診察室便り

 日常診療で感じた事、最近の話題、など、医療だけでなく、いろいろな話題にふれたいと思います。
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2018年11月4日(日)
文化の日

 11月になりましたが、あまり冷え込みも強くなく、例年と比べると穏やかな天気です。地球温暖化の影響で暖かい冬?は過ごしやすく思いますが、農作物などに影響はないのでしょうかね?

 そろそろインフルエンザがみられるようになってきました。と言っても限られた地域ですが、保育園、幼稚園、小学校、中学校でチラホラ出ています。先日、隣の席の子がインフルエンザに感染したという小学生が受診しました。発熱翌日でしたので検査は陰性でしたが、表情、症状からはインフルエンザと思われましたので薬を処方しました。その後は受診していないので、治癒したんでしょう。まだ、本格的な流行にはなってませんが、ワクチンは年内に済ませるようにしましょう。

 昨日は文化の日、今日は日曜日と連休です。最近はハッピーマンデーというように日月連休が多くなり、ゆっくりできて助かります。今回は土日連休ですのでハッピーマンデーではないですよね。たまたま文化の日が土曜日に当たったと言うことです。

 ところで、文化の日は「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」とされていますが、文化の日の由来、知ってますか?そもそも、11月3日は明治天皇の誕生日で戦前は明治節と言って国の祝日でした。1946年に帝国議会は新しい日本国憲法をこの日に合わせて公布しました。施行されたのは1947年5月3日です。

 天皇は日本人にとって心のよりどころです。初めは11月3日を憲法記念日に制定したかったのですが、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、反対しました。憲法記念日が天皇誕生日となると、なんとなく戦前の社会を連想することを心配したのでしょうね。

 というわけで、5月3日:「憲法記念日」11月3日:「普通の日」となりそうだったのですが、GHQは古いものを無くしたいが、日本人の天皇への思いを尊重した方が、これからうまく管理できると考えたのでしょう。11月3日は憲法記念日以外なら何でも良いよということになって、その結果、できあがった日が「自由と平和を愛し、文化をすすめる日」と言う文化の日なのだそうです。

 成人の日や体育の日は、第◯月曜日となってますが、文化の日は11月3日でかわることはありません。なんとなくボートして過ごしている休日ですが、いろいろな由来があるのですね。

2018年10月9日(火)
そろそろ、インフルエンザワクチン

 今年もまた、インフルエンザワクチンの季節がやって来ました。昨年同様、ワクチン不足が心配されているようです。昨年は最終的には不足しなかったと思いますが、一番みんなが接種したいときに出荷規制がかかり、地域によっては大変苦労したところもあったようです。

 今年はどうなるんだか?始まってみないとわかりませんが、当院では、例年、前年分と同数のワクチンを用意しておりますので、極端に接種する人が増えない限り大丈夫だろうと思っています。

 子どものインフルエンザワクチンには、補助金を出して助成してくれる自治体がありますので、その時期に合わせて接種開始する医療機関が多いです。

 盛岡市、矢巾町、紫波町、滝沢市と、それぞれ金額は異なりますが、今年は10月20日より助成が始まりますので、当院もこの日から接種開始する予定です。

 ところで、インフルエンザワクチンは、10月下旬~12月初旬にかけて接種する人が多く受診されますので、この時期は大変混み合います。西日本の自治体では助成を10月1日から開始しているところが多いため、少し接種期間が長くなり、若干余裕がありそうです。

 盛岡市および周辺市町も、もう少し早く開始してほしいです。とマア、自治体にはいろいろお願いしたいことばかりですが、今年は盛岡市小児科医会(盛岡市内の小児科医の集まり)から盛岡市医師会を通じて、以下の二つを盛岡市にお願いしました。

1.助成(補助金開始)を10月1日からとしてほしい。
2.盛岡市以外の三市町の予診票は二枚複写なので、一枚目だけに記入すれば良いのですが、盛岡市の予診票は複写になっておらず、二枚に渡って記入しなければなりません。少し煩雑です。少しでも診療をスムーズに進めるため、盛岡市の予診票も二枚複写にしてほしい。

1.については、今年は無理ですが、来年以降は検討したいとのことでした。
2.については、今年から一枚目記入だけですむ二枚複写の予診票にかわりました。

 盛岡市の担当の方々、どうもありがとうございます。こういう小さな事でも積み重ねていくと、大きな効果を産みます。来年は是非10月1日から助成を開始してほしいです。

2018年9月24日(月)
夏のインフルエンザ

 9月中旬にしては穏やかな気候が続いています。だんだん寒くなっていくんでしょうね。昨日は秋分の日でしたので、お墓参りをしてきました。カラリと晴れた青空は気分が良いですね。

 昨年も同様でしたが、もうインフルエンザが発生してきました。今のところ北東北3県ではみられていないようですが、全国的に学級閉鎖も行われてきており、いつものシーズンよりもインフルエンザの流行時期が早いような気がしますが・・・? どうでしょうね。

 日本では、インフルエンザは冬に流行るものという固定観念?があります。夏にインフルエンザが流行るなんてあまり考えられてないです。しかし、東南アジアのような熱帯、亜熱帯地域では、インフルエンザは雨季(日本の夏)に流行ります。

 さらに、熱帯・亜熱帯地域では温帯地域と違って、年間を通してインフルエンザウイルスの活動がみられることもわかってきています。

 なぜ、日本では冬の乾燥した時期に流行するのか? 熱帯・亜熱帯地域では雨季に流行するのか? 詳細はわかっていませんが、夏にも日本でインフルエンザがみられるようになってきたのは、事実です。となると。考えられる理由は二つあります。

 一つ目は、熱帯・ 亜熱帯地域からの旅行者が増えてきた事があげられます。日本を訪れる海外からの旅行者は年々増え続けています。沖縄で流行った春先の麻疹も海外から持ち込まれたものでした。

 二つ目は、温暖化でしょうね。今夏の西日本の異常気象はゲリラ豪雨や、桁外れの台風があったり、まるで亜熱帯地方の気象のようでした。今は日本は温帯地方と言うことになっていますが、そのうち、北海道以外は亜熱帯地方となるかもしれませんね。

 これからもこの傾向は続くでしょう。もうインフルエンザは年間を通じてみられる感染症で、夏と冬に流行があると認識を変えなければなりません。

2018年9月11日(火)
気管支喘息

 西日本の台風のあとは北海道の地震と、自然災害が続きました。どうして、こんなに災害が多くなってきたのでしょうね。今度は、どこで何が起こる?と、心配になってしまいます。東日本大震災の時、私たちは停電のため、テレビも見ることが出来ませんでしたが、震災のなかった地域では被災地の様子が報道されていました。今の北海道の状況を見ると、7年前の震災を思い出します。早く回復してほしいです。

 9月は、昔から、September attackと言って、1年を通じて最も気管支喘息発作が多い月です。昼と夜の寒暖差が大きかったり、急に冷え込んだり、季節の変わり目はアレルギー疾患を持つ人にとっては要注意の時期です。ところで、September 11 attackと言う言葉もあります。こちらは、2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロを指します。

 気管支喘息はアレルギー疾患ですが、赤ちゃんや幼児ではアレルギーがなくても気管支炎になると、ゼーゼー、ヒューヒューした苦しい呼吸が見られることがあります。最近ではRSウイルスやヒトメタニューモウイルスが簡単に検査できるようになったため、これらが原因の気管支炎でゼーゼー、ヒューヒューが多くみられると言うことも分かってきました。

 毎年、9月の外来にはゼーゼー、ヒューヒューした苦しい呼吸のお子さんが多く受診します。RSウイルスやヒトメタニューモウイルウスのような感染症が原因の場合はなかなか予防が難しいですが、気管支喘息は予防できる疾患です。症状がみられたときだけ治療してあとは何もしていないと、気管支喘息は治りません。

 気管支喘息の治療は、【苦しくなってから治療するのではなく、苦しくならない様に普段から予防治療する】ことが大切です。こどもの気管支喘息は成人と比べると治りやすいとも言われています。しかし、発作を繰り返す度に気管支は汚れがたまって治りにくくなってしまいます。今(小児期に)、治療をすることは、今だけ良くなればよいのではなく、長い一生、喘息で苦労しないため、将来のための治療でもあるのです。

2018年8月31日(金)
AI先生

 暑い、暑いと思ってたら、いつの間にか涼しくなってきました。この頃は雨模様で朝夕の通勤は混雑していますね。昨日は雨が強く、道路も渋滞していましたので、雨合羽を着て徒歩通勤しました。今日は晴れそうだったので自転車にしましたが、帰る途中雨に当たり、ぐしょ濡れになってしまいました。明日は何で行くかな。

 レスリング、アメフト、水球、ボクシングとアマチュアスポーツ界のパワハラ問題が続々と明るみにさらされてきました。と、今度は体操ももめてますね。宮川 紗江(18才)VS 塚原 千恵子(71才)、まさに、孫とおばあちゃんの対決です。誰かなんとかしてあげなさいよと言いたくなります。具志堅 幸司 副会長に期待しましょう。頑張って下さい。こんな状態でホントに、東京オリンピックはできるのでしょうかね?

 最近は、いろいろな分野でAI(人工知能:Artificial Intelligence )と言う言葉を耳にします。AIは「経験から学び、新たな入力に順応することができる。」のだそうです。まるで人間みたいですが、人間よりも遙かに優れた能力もあるようです。医療の世界でも着実にAIは導入されてきています。

 まだ早いですが、あと2~3ヶ月もすれば、今年もまたインフルエンザの季節を迎えます。インフルエンザの検査といえば、鼻をゴチョゴチョいじって検査。あの検査嫌ですよね。これが一般的ですが、インフルエンザに罹っても24時間以上経過しないと診断精度が十分に上がらず、罹っていも陰性に出ることがよくあります。

 ところで、インフルエンザに罹ると、咽頭にも変化が見られます。例えば、夏カゼをひいて喉が真っ赤なるようなもんですな。インフルエンザではあまり喉が赤くなりませんが、咽頭の後壁に「イクラ」のような2㎜ほどの大きさの透明感のある濾胞が見られます。これをリンパ濾胞というのですが、インフルエンザにかなり特徴的な所見です。

 これはインフルエンザに罹って5時間くらいで出現してきますが、チョット見にくいです。よほど気をつけてみても、肉眼でリンパ濾胞と確信するのは難しいです。仮に「オッ、これは間違いなくリンパ濾胞だ。」と思っても、鼻ゴチョゴチョしないと患者さんは納得してくれません。そんなわけで鼻ゴチョゴチョが隆盛ですが、このリンパ濾胞を正確に診断するAIができたそうです。

 機械学習の一つである「ディープラーニング(深層学習)」を用いて、このインフルエンザ濾胞の画像を解析することで正確にインフルエンザの早期診断を行えるようになったと言うことです。スゴいですね。いくら何でも今シーズンから一般的に使用されることはないと思いますが、近い将来インフルエンザの診断はAIに委ねられるようになるかもしれません。

 AIの進歩は素晴らしく、次々に現在の医療を変えていくと思います。AIが人間的な感情も持てるようになると、「AI先生」に人気が集中し、人間の医師は隅っこに追いやられてしまうかもしれませんね。

2018年8月14日(火)
ヒトメタニューモウイルウス

 暑い日が続きますね。この暑さ、いつまで続くのかと思っていたら、お盆の後半には天気が崩れてくるようです。少し雨が降った方が良いですね。

 毎年、夏になると、手・足・口病ヘルパンギーナアデノウイルス感染症などの夏カゼが流行ってきますが、今年は、その他にもRSウイルスもけっこう見られます。本来は、秋~冬に流行るRSウイルスですが、季節の感染症は変わりつつあります。これも温暖化が原因でしょうかね?

 最近、RSウイルスとよく似た症状が見られるヒトメタニューモウイルスの話をよく耳にします。ヒトメタニューモウイルス?長ったらしくて、舌がもつれそうな名前ですのでヒトメタと略します。このウイルスはRSウイルスと同じように乳幼児に(細)気管支炎をおこす嫌なウイルスです。

 乳幼児のゼーゼー、ヒューヒューを見れば、まず、最初にRSかヒトメタを疑います。検査して、RS(-)ヒトメタ(+)なら、保護者に「ヒトメタです。」とご説明しますが、「それ、なんですか?」と聞かれます。「RSの年長版みたいなもんです。」と言うと、「なるほど。」と納得されます。まだ、知名度は低いようです。

 ヒトメタの検査は、胸部写真を撮影してからでないと検査できなかったのですが、2018年4月から胸部写真なしでも検査できるようになりましたので、これからはたくさん見つかるようになるでしょう。

 RSとよく似たヒトメタですが、好発年齢はRSは2才未満児に多いのに対して、ヒトメタは2~4才に多く見られます。好発年齢が低いRSの方に重症例は多いです。しかし、1才未満でもヒトメタに罹ることもあり、その場合はけっこう重症です。

 流行期は最近かなりずれてきた感じがします。2017年は夏からRSの流行が延々と続きました。2018年も夏に流行しています。ヒトメタは毎月見られます。RSとヒトメタは乳幼児のゼーゼー、ヒューヒューの2トップです。これから秋にかけて流行りそうな気がします。赤ちゃんの呼吸が苦しいかな?と思ったら早めに受診しましょう。

2018年7月26日(木)
今年の熱波は未体験ゾーン

 暑い日が続きますね。関東や関西では連日の猛暑日です。40度を超える気温は想像がつきません。

 京都では高校野球をナイターで行ったようです。この猛暑の中、果たして野球や屋外スポーツをしても良いのかどうか?考えさせられます。近い将来、夏の甲子園は全試合ナイターになるかもしれませんね。東京オリンピックはどうなるんでしょうね?

 どうしてこんなに暑くなってしまったんでしょう。気象のことはよくわかりませんが、何はともあれ、熱中症対策が大切です。「今年の熱波は未体験ゾーン」と救急医学会が次の【4 つの提言】をしています。

①. 暑さ指数を意識した生活を心がけ、運動や作業中止の適切な判断を!
②. 水分をこまめに取ること。おかしいなと思ったらすぐ涼しい場所に誘導を!
③. 適切な重症度判断と応急処置を。見守りつつ改善がなければすぐ医療機関へ!
④. 周囲にいるもの同士が、お互いに注意をし合う!

 なんとなくわかるような気がしますが、実際の現場では臨機応変な行動が出来るかどうか、ちょっと不安ではあります。熱中症になって病院に運ばれるニュースもよく聞きます。

 熱中症は、軽症~中等症~重症の三段階があります。早い段階で対処することが大切です。まず、何はともあれ暑い場所に長くいないことです。

 私たちの体内では、いつも熱が産生されているわけですが、高温環境におかれると発熱量が増えて体温が上昇します。体温が上がると体の表面を流れる血液量が増えて体内の熱を体外に放出するようにします。この時、血液は主に体表に近い部分に多く流れていきますので、脳内の血液量は減少します。そのため脳は貧血状態となって、一時的にめまいや立ちくらみをおこします。これを熱失神と言います。熱失神は熱中症の始まりです。

 また、体温が上昇すると、汗をかくことによって体内の熱を体外に逃します。ところが、子どもは汗腺の働きが未熟ですので、大人のように水分をとって発汗とともに熱を放出するという事が十分に出来ません。たくさん水分をとっているから大丈夫というわけではないのです。

 子どもは、大人から「大丈夫?」と声をかけられても、はっきりと意思表示が出来ません。「具合が悪い時は呼んでね。」と言っても、小さいお子さんには難しいでしょう。周囲の大人達が子どもの異変に早く気づくようにしなければなりません。

 ボーとしていたり、反応が鈍い様な時は要注意です。涼しい環境に移して、糖分、塩分の入った水分を十分摂取して下さい。はっきりと応答が出来るようになれば回復してきています。どんどん症状が進行するようでしたら、迷わずに救急受診しましょう。

2018年7月5日(木)
ムンプス難聴

 もう、夏かと思うような暑い日が続いたかと思ったら、一転して今度は雨の日が続くようになりました。岩手県はまだ梅雨明けしてないでしょうね。天候不順で体調を崩すお子さんも多いです。エアコンの温度調整など環境整備に気をつけましょう。

 現在、放映されているNHK朝の連ドラ「半分、青い。」の主人公 鈴愛(すずめ)は子どもの頃にオタフクかぜに罹患しました。それが原因で左耳が聞こえなくなってしまいました。「半分、青い。」というタイトルは、鈴愛が、「自分の(聞こえる)世界が半分になった。」ということに由来するのだそうです。

 左耳の聴力を失った鈴愛は、多くの困難を乗り越えて生きていきます。しかし、ドラマでは就職に際して片耳が聞こえないと履歴書に記載したため、不採用通知を受けてしまいます。

 ムンプス難聴という病気を聞いたことがあるでしょうか?オタフクかぜは、正しくは流行性耳下腺炎といいます。英語ではmumps (ムンプス)です。あまり知られていませんが、オタフクかぜに罹った後に耳が聞こえにくくなることがあります。これをムンプス難聴というのですが、たちの悪い難聴で片耳が殆ど聞こえなくなる事もあります。

 オタフクかぜに罹った人100~500人に対して1人くらいの割合(0.2〜1%)で難聴が発症するといわれています。発症年令は15才以下が多く、 中でも5~9才に多いです。

 ムンプス難聴は、見逃されていることが多いです。それは、片耳だけの難聴の場合が殆どなので、通常の会話にはあまり障害がみられず、気づきにくいのです。また、オタフクかぜには不顕性感染と言って、ほっぺたが腫れる症状が見られなくても罹っている場合があります。その場合でもムンプス難聴に罹ることがあります。本人はオタフクかぜに罹っていないと思ってるわけですから、難聴に気づくことがないわけです。小学校入学時の就学時健診でみつかる難聴の多くはムンプス難聴といわれています。

 ムンプス難聴には、次のような特徴があります。

①.オタフクかぜの発症4日前から発症18日後の間に起こることが多いですが、腫れがひけてから、約1ヶ月以内に起こることもあります。
②.片耳が殆ど聞こえなくなってしまいます。
③.有効な治療法はありません。自然治癒もあまり期待できません。

 ムンプス難聴に罹ると、殆ど治りませんので、オタフクかぜに罹らないようにするしかありません。とは言え、オタフクかぜは感染力も強く、周囲で流行ると、感染を免れることは難しいです。

 オタフクかぜに有効な対策は、ワクチンです。「オタフクかぜのワクチンは効果あるんですか?」という質問を受けることがよくあります。有効率は95%以上です。ワクチンの効果が現れにくい人、ワクチンの効果が数年しか続かない人もいますので、オタフクかぜワクチンは2回接種します。

 ワクチン接種後にオタフクかぜに罹っても、多くの場合、症状は軽くて済みます。ムンプス難聴の発生率は自然にオタフクかぜに感染した場合は、0.2〜1%ですが、ワクチン接種してあれば、0.1%未満と言われています。

 もし、鈴愛がオタフクかぜのワクチンを受けていたら、難聴は防げていたでしょう。オタフクかぜは夏に流行します。積極的にオタフクかぜワクチンを接種しましょう。

2018年6月28日(木)
日本アレルギー学会

 6/23~6/24に千葉の幕張メッセで開催された日本アレルギー学会に出席してきました。先週は大阪で地震が起きたり、その前は新幹線で殺人事件があったりと、ちょっと外出するのに気がひけましたが、何事もなく無事でした。新幹線に乗って着席する時、何気なく周囲を見回してしまいました。幸い危ない感じの人はおりませんでしたが、何が起きるかわからない物騒な世の中になってきましたので、いろいろ気を遣います。昨日も富山でとんでもない事件が起きました。日本の国は大丈夫か?と憂います。

 アレルギー学会は、内科、皮膚科、耳鼻科、眼科、小児科、など、アレルギー疾患を診療している医師が多く集まりますので、他科の先生との交流が出来て、大変勉強になります。

 今回はアトピー性皮膚炎の新薬のお話しがありました。アトピー性皮膚炎の治療といえば、ステロイド外用剤、プロトピック軟膏、保湿剤、かゆみ止めの内服薬(抗ヒスタミン剤)等が主な治療手段ですが、これらの薬とは全く違う注射(皮下注射)の新薬が発売されました。

 アトピー性皮膚炎の痒みは、皮膚が炎症を起こすことによって生じます。そもそも、皮膚が炎症を起こすのは、Th2細胞というリンパ球がサイトカインという化学物質を出し、これが皮膚に作用する事が原因です。サイトカインとは体内の細胞同士の情報伝達を行うタンパク質のことで、アトピー性皮膚炎で働く主なサイトカインはIL(インターロイキン)-4、IL-13といいます。

 このIL-4、IL-13の働きを抑えて皮膚での炎症が起きないようにする新しいタイプの薬をデュピクセントと言います。2週間に1回皮下注射して16週間~6ヶ月くらいが標準治療期間のようですが、1年くらい継続治療することも出来るようです。治療期間中はステロイド外用剤、プロトピック軟膏も併用します。

 従来のステロイド外用剤、プロトピック軟膏だけでは効果がなかったアトピー性皮膚炎でも改善が見られているようですが、治療終了すると再燃することもあるようです。

 この薬は誰にでも使用できるというものではなく、極めて重症な成人(15才以上)のアトピー性皮膚炎に限られてます。また、とても高額な薬です。1回の薬剤費は81.640円です。もちろん保険適応ですが、かなり高いです。すでにアメリカやヨーロッパでは発売されていますが、海外ではもっと高い薬価になっていますので、それと比べれば決して高いわけではないようです。

 この薬は6ヶ月くらい治療して改善が見られたら中止~終了し、症状が再発したら、また使用できるようですが、中止期間中にこの薬に対する抗体が出来て、治療再開した時に薬が効きにくくなることもあるようです。となると、出来るだけ長期に続ければ良いのか?と言うわけでもないようで、治療期間についてはっきりと決まっていないようです。

 まだ、発売されて間もない薬です。将来的には小児(15才以下)での適応も通るようです。期待の持てる薬と思いますが、未知の部分も多く、今後の状況を見極めたいと思っています。

2018年6月6日(水)
東北絆まつり

 先週の土曜日と日曜日に盛岡市で「東北絆まつり」が開催されました。2011年に仙台から始まり2016年の青森で東北の6県を一巡りした「東北六魂祭」を継承したお祭りです。

 「東北六魂祭」は、東日本大震災の犠牲となった多くの人達の魂を弔い、東北の復興を目指す目的で始まりました。未だ道半ばでありますが、これからも東北の復興に向かって進む気持ちが「東北絆まつり」に引き継がれました。

 6年前の「東北六魂祭」の時は各県のお祭りを見ましたが、出来ればもう少しじっくり見たかったですね。特に、ねぶたや竿燈は夜の方が華やかです。今回はお祭りは見ないで、街中をぶらついてきました。観光客も多く、大変賑わいました。ずいぶん暑かったですね。普段は歩けない車道を悠々と歩くことが出来て何となく楽しかったです。

 3月下旬に沖縄で発生した麻疹麻疹(はしか)は、まだ、一部の地域で患者さんが見られているようですが、全国的な流行にはなっていません。麻疹・風疹ワクチンの出荷規制も解除されました。幸い岩手県内での患者報告はなく、このままおさまってほしいです。

 小児科の外来は感染症が多いですが、季節によって様々な感染症が見られます。この頃は急性胃腸炎が多いですね。本来は秋~冬に多いので、ちょっと季節外れという感じです。軽症なお子さんが多いですが、下痢が長引くことがあります。しっかり手洗いをしましょう。

 リンゴ病もよく見ます。最初ほっぺたが赤くなって、少し遅れて手足に網目模様の紅斑が出現してきます。 殆ど合併症なく治りますが、お日様にあたると発疹が増悪します。 
 
 他に、溶連菌感染症アデノウイルス感染症などが目立ちます。そろそろ夏カゼのシーズンです。感染症予防の基本は、うがい・手洗いです。そして、ワクチンで予防できる病気は、積極的にワクチンで予防しましょう。

2018年5月5日(土)
こどもの日

 今日5月5日はこどもの日です。この日は1948年に「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」お休みの日と決められました。こどものお祝いだけでなく、お母さんに感謝するという日でもあるようです。

 総務省は、2018年5月4日に、5月5日の「こどもの日」にちなみ、毎年恒例となる日本のこどもの数に関する統計データを発表しました。それによりますと、2018年4月1日時点の日本におけるこども(15才未満)の人口は前年同時期に比べて17万人少ない1553万人で、1982年から37年連続の減少状態を継続していることが明らかになりました。また戦後の統計記録のある昭和25年以降においては、過去最低値とのことです。

 今後もこの傾向は続くでしょうから、どうなるんでしょうね?AI(人工知能)の進歩によって人手不足もある程度解消されるようですが、やはりマン(ウーマン)パワーが必要とされることは多いでしょう。海外からの移民に頼らざるを得ないかもしれませんね。

 厚生労働省は、4月9日~4月15日の間に全国で18例の麻疹患者が発生したと発表しました。内訳は次の通りです。
・感染地域:沖縄県14例、東京都2例、茨城県1例、国内(都道府県不明)1例
・年令群:0才(1例)、10~14才(2例)、20~24才(4例)、25~29才(2例)、30~34才(4例)、35~39才(2例)、40代(3例)

 麻疹は怖い病気といってもピンとこない人達の方が多いでしょうね。なんといってもここしばらく岩手県では発生していないように思います。自分自身、最後に診てから10年以上経過しています。となると、麻疹を診たことのない医師も多いと思いますし、患者さんもどういう症状が出たら、麻疹を疑って病院に行けば良いのか?よくわかりませんよね?麻疹の症状といえば、発熱、発疹、咳、などですが、普通のカゼ症状に似てますよね。詳しくは麻疹(はしか)をご覧下さい。

 連休明けからは、全国各地で麻疹が流行する?というような根拠のない風評被害が起きないか心配です。熱が続けば麻疹ではないか?咳が止まらなければ麻疹ではないか?発疹が出れば麻疹ではないか?目やにが出れば麻疹ではないか?という具合に混乱しそうです。インフルエンザみたいに、保育園から麻疹の検査をしてくるように言われました?というような受診もあるかもしれませんね。(インフルエンザのように簡単にできる検査はありませんからね)

 確かに、麻疹は怖い病気ではありますが、あまり心配しすぎるのも考えものですよ。麻疹に対してはワクチンという素晴らしい味方がおります。まず、ご自分のワクチン接種歴を確認しましょう。麻疹に罹るのはワクチン未接種の人、あるいは1回しか接種していない人ばかりです。ですから、麻疹ウイルスが突然変異してワクチンが無効になるようなことでもない限り、そんなに大きな流行にはならないと思います。

 麻疹は麻疹ワクチンで防ぐことが出来る病気です。ワクチン接種後2週間で免疫が出来ます。麻疹に罹った場合、潜伏期間(罹ってから症状が出るまでの期間)は約11日間(10~12日間)です。5月初旬~中旬くらいからが要注意期間でしょうね。

 ご自分のワクチン接種歴が不明の場合、抗体検査すればどの程度の免疫があるかわかりますので、それから接種しても良いですが、結果が判明するまで時間がかかります。それよりは、まず、1回接種する方が無難です。

 現在、麻疹単独のワクチンは品切れのようですし、麻疹風疹ワクチンもそろそろ出荷規制がかかり、品薄になりそうです。まだ、余裕はありますが、いつもの事ながら、まだ一度も接種していない1才児から優先的に接種します。成人の方は接種できない場合もありますので、ご了承くださいますようお願いいたします。

 一つだけ注意して欲しいことがあります。ワクチンの効果は95%~98%といわれています。100%ではありません。全ての人に免疫がつくわけではありません。ワクチンを接種すれば麻疹の流行地に行っても大丈夫とは思わないで下さい。いかにワクチン接種して2週間以上経過したからといって流行地に行くのは、危険極まりないです。

2018年5月3日(木)
春のインフルエンザ

 今日5月3日は憲法記念日です。小さいお子さん達はこの日をどのように思っているのでしょうね?日曜日が一日増えたくらいかな。

 人から聞いた話ですが、「道路を歩くときは右側を歩きましょう。赤信号では止まりましょう。お店でものを買うときは順番に並んで割り込まないようにしましょう。などという身の回りのルールを憲法といいます。この憲法が実施された5月3日を記念日としてお祝いする日で祝日になりました。」という解説をしてくれる幼稚園があるそうです。分かりやすくて良いですね。

 今年の連休は、休日当番日や夜間急患診療所にも当たりませんでした。カレンダー通りの診療日です。昨日、一昨日はかなり混み合いました。

 特にコレといった疾患は見当たりませんでしたが、インフルエンザはまだいますね。でも、なんとなく春のインフルエンザは軽症に見えます。別に根拠はないですが、そう見えるんですよね。ニコニコしてても検査したら陽性ということがよくあります。本来この程度のインフルエンザなら薬は不要でしょう。でも発熱が続けばいくら元気に見えても、また、医療機関を受診するでしょうから、連休にもなりますし、早めに解熱させるという意味では薬が必要かもしれませんね。

 ところで、春のインフルエンザが軽症なのは、なぜでしょうね?

 冬の流行期には大勢の人達がインフルエンザに罹ります。その時に症状が見られなくても軽く感染する人はけっこういるはずです。感染しても症状がみられない場合を不顕性感染といいますが、インフルエンザは多いです。それでも感染すればある程度の免疫はできます。

 春にインフルエンザに罹る人達は、おそらく冬のシーズン流行期にも軽く罹っていたのではないでしょうかね。だから、少しは免疫ができていて、軽く済む?

 この現象とは別ですが、同じインフルエンザに2回罹る人を時々見ます。なぜでしょうね?

 今はインフルエンザの診断が容易になってきましたから、診断してすぐ薬が処方されることが多いです。で、すぐ解熱します。今度は十分免疫ができる前によくなってしまうので、同じインフルエンザにまた罹ってしまうのではないでしょうか?

 全て自分の推論ですので、根拠はありません。ご参考にしてください。

 昨日インフルエンザと診断した子のお母さんから、ワクチンは5~6ヶ月しか有効期間がないので、春まで持たせるためには遅く接種した方が良いのでは?と聞かれましたが、重症者が多いのは圧倒的に冬の流行期です。ですから、ワクチン本来の「重症化を防ぐ」という観点からも、やはり、冬の流行期にあわせて年内に接種完了するのがいいですよ。と、お話しました。ご納得いただけたようでした。

2018年4月19日(木)
沖縄で麻疹流行

 そろそろ、桜の便りも聞こえて来るようになりました。当院前の公園でも桜が咲いてきました。やっと、春本番です。スギ花粉症も、もう少しで落ち着いてくるでしょう。5月になってもアレルギー症状が治まらない時は、シラカバやハンノキの花粉症も疑われますので、一度医療機関を受診してみて下さい。

 3月下旬に発生した沖縄県内の麻疹(はしか)はおさまることなく患者数が増加しています。3月下旬に2014年以来の患者が確認されてから、わずか2週間ほどで18人の感染が判明し、その後も患者数は増え続け、4月10日現在35人が麻疹と診断されています。

 流行の発端は3月17日に近隣の国から観光で訪れた30代男性だったようです。観光目的で那覇市や糸満市、北谷町、名護市など広範囲を移動した後、はしかの感染が発覚しました。

 この男性が訪れたホテルの宿泊者、飲食店従業員、大型商業施設などで感染が広がりました。今回の流行は観光関連に従事している人たちの間で広がっているのが大きな特徴です。

 しかし、4月10日から1週間後の4月17日には、はしか患者数は56人に増加し、名護市の中学校では学級閉鎖になっています。次第に感染が拡大してきており、今後、学校、幼稚園、保育園などでも感染する可能性も高くなります。

 はしかは感染後、約11日間の潜伏期間を経て、発熱や咳、鼻水といったカゼ症状がみられるようになります。発症直後は発疹は見られないため、早い段階ではしかと診断するのは困難です。3~4日熱が続いた後、一度少し解熱して、それから39度以上の高熱と発疹が出現します。この高熱や発疹は、1週間くらい続いて、その間、食欲不振、不機嫌、ひどい咳が続きます。完全に治るまでは、10日間~2週間くらいかかります。また、抵抗力の弱い人は、生命が脅かされる場合もあります。

 沖縄県内では1999~2001年のはしか流行時に、乳幼児9人が亡くなっています。県保健医療部はワクチン未接種者に対して、早急にワクチン接種するよう呼びかけています。

 ワクチン接種によって麻疹の感染を免れることは出来ますが、抗体の上がり方は個人差がありますので、ワクチン接種したからといって油断は禁物です。さらに1回接種では免疫は次第に低下してきますので2回目接種が必要です。沖縄県は2回目の接種率が低いようです。ちなみに今のところ、2回接種した人は罹っていないようです。

 先日、1才のお子さんのお母さんからワクチン接種してから何日くらいで抗体が出来ますか?という質問を受けました。ひょっとして沖縄に行くのでは?と伺ったところ、そうでした。よほどの大事でもない限り、今、沖縄に行くことは避けた方が良いです。とお話ししました。

 もともと、はしかは春~夏にかけて流行します。いやな時期にはしかがでました。ゴールデンウイークで人の往来が増えれば、全国的に感染が広がる可能性もあります。はしかの感染力はインフルエンザよりはるかに強いですし、特効薬も何もありません。頼れるのはワクチンだけです。早く終息してほしいです。

2018年4月3日(火)
子どもを受動喫煙から守る条例

 4月1日から、「子どもを受動喫煙から守る条例」が東京都で施行されました。学校周辺や公園といった子どもの多い場所での喫煙や、子どもがいる部屋、自動車内での喫煙を控えるよう求めるものですが、特に、罰則規定はないそうです。

 賛成する人が多い反面、反対する人もいます。タバコが健康に良くないのはわかりきったことです。しかし、子どもの前では吸わないけれど、家庭内でも吸えないとなると、愛煙家は戸惑いますね。「換気扇の下で吸う」、「ベランダで吸う」など、いろいろ工夫して、子どもへの健康被害を減らそうと努力しているのに、さらに厳しくなるのかと言う不満も耳にします。

 自分は全くタバコを吸わないので、愛煙家の気持ちはわかりませんが、タバコの煙だけでなく衣服に染み付いたタバコの臭いもけっこう気になります。はっきり不快感を覚えます。診察室に入ってくるお父さんやお母さんでも時々そういう人がおります。面と向かって「タバコの臭いのしない衣服を着て受診しなさい」とは言えませんが、そういう時はさりげなく換気扇を回しています。嫌みではありません。院内には自分同様タバコの臭いが気になる人達も多くいるはずです。

 この条例、東京オリンピックを視野にに入れたものでしょうが、東京都だけにとどまるのか、日本中に広がるのか、興味のあるところです。

 タバコをあからさまに非難しましたが、私もタバコを吸ってみようと思ったことがあります。私の実家は米屋でした。当時はタバコも販売してましたので、タバコはいつでも簡単に手に入りました。高校生の時、面白半分でタバコを吸ってみました。確かセブンスターというタバコだったと思います。自分の部屋に隠れて深夜こっそり吸いました。吸い方なんぞ全くわからなかったので、思いっきり吸い込んでみました。一気に3分の1くらい吸ったら、急に頭がクラクラして、めまいがして、天井が回って、吐き気がして、このまま死んでしまうのではないか?と言うくらい気持ちが悪くなりました。救急車を呼んで病院に行こうと思いましたが、そうするとタバコを吸ったのが親にばれてしまいます。めちゃくちゃに叱られるのが怖く、我慢することにしましたが、少しずつ具合が良くなってきました。なんとか、病院に行かずにすみましたが、この時の経験は一生忘れられません。

 今でも、ス~と、思いっきりタバコを吸う人を見ると、この人は大丈夫か?自分みたいに倒れはしないか?と思ったりします。マア、そんなわけで、幸か不幸かわかりませんが、自分はタバコを吸う機会を逃してしまいました。

 今年も開院記念日のお花をいただきました。お花は部屋の雰囲気を明るくしてくれますので、心が和みます。今回お花をいただいた個人タクシーの早川さんは、私が10年以上前からお世話になっている方です。とても丁寧な運転で安心して乗っていられます。こちらからお礼しなければならないくらいですので大変恐縮しております。

     
2018年4月1日(日)
開院記念日

 今年のスギ花粉症は、例年よりややスギ花粉が多く、症状がキツいと言う患者さんが多いです。いつもの事ながら、「内服薬、点鼻薬、点眼薬の3点セット」の治療ですが、最近は、舌下免疫療法も普及してきました。今、舌下免疫療法をご紹介すると、「是非、試してみたい」と言う方が多いのですが、スギ花粉が飛散している1月~5月は新規に始めることができません。「6月になったら開始しましょう」とお約束するのですが、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ですね。6月以降に受診される方は少ないです。それでも実施される方は毎年少しずつ増えてきています。スギ花粉症だけでなく、ダニ花粉症も舌下免疫療法の適応です。いつまでも「内服薬、点鼻薬、点眼薬の3点セット」に頼らなくてもすむようになりますよ。

 今シーズンは猛威を振るったインフルエンザですが、この頃、やっと少なくなってきました。長かったですね。ところで、いつも思うことですが、「インフルエンザの治癒証明書」を求められる事があります。いつから、登校、登園できるか?という証明書ですね。これは本当に必要でしょうか?

 インフルエンザに罹ったら、どのくらい学校(幼稚園・保育園)を休むのか?というと、学校保健安全法では、「インフルエンザ発症日(発熱した日)を0日と数え、発熱翌日から5日間休み、かつ、解熱した後、2日(乳幼児にあっては、3日)を経過するまで出席停止」となっております。

 ほとんどの医療機関では、インフルエンザに罹ったお子さんと保護者にこのように説明しています。インフルエンザ感染後数日は体内にインフルエンザウルスが残っているため、この基準は大変分かりやすく理にかなっています。ですから、この条件を満たしたら、わざわざ医療機関を再診して証明書をもらわなくても良いはずです。

 では、なぜ証明書が求められるのか?実は、「インフルエンザの治癒証明書」については、自治体、学校、幼稚園、保育園それぞれで、対応が異なっています。盛岡市は以前は学童に対して治癒証明書を発行するよう医師会に要請していましたが、現在は行われておりません。

 証明書を求める施設は少ないのですが、なぜ必要か聞いてみると、どうも上述した学校保健安全法を守らない人達がいるようです。熱が下がったらすぐ登園。5日休めも無視。甚だしいのは熱が完全に下がらなくても薬を飲んでるから大丈夫。という具合です。確かにこれでは、キチンとルールを守っている人達にはたまったもんではないですな。

 つまり、「インフルエンザの治癒証明書」は、ルールを守れない人達のためにあるというわけですね。となると、そういう人達だけに証明書をもらってくるようにいえば良さそうなもんです。当院にかかりつけの方にはそういう方はおりません。5日間休んでしっかり治ったのに、わざわざまた受診しなければならないのか?真面目な人達には迷惑千万です。

 とマア、いつもそう思っておりますが、以前こういうお子さんがいました。
 その子はインフルエンザに罹ってルール通り休んで登園したところ、2日後から咳き込みがひどくなって再受診しました。元気なく、呼吸音も悪く、血液検査も悪く、気管支炎で入院となりました。この子は、熱はすぐ下がったそうですが、だんだん咳が増えてきたそうです。でも、5日間経ったから登園したとのことでした。確かに、ルール通りではありますな。

 ウ~ン?この時はちょっと考えさせられました。私は解熱して一般状態良好ならば・・・と言うニュアンスで話したつもりですが、保護者は発熱のことだけ注意していたのでしょうね。登園前に一度受診してもらえれば良かったなと思った症例でした。以来、「熱が下がって、一般状態良好ならば登園」とお話しするようにしています。

 本日4月1日は、当院の開院記念日です。雪の降る寒い日でした。あれから22年が経ち、23年目に入りました。小児医療もずいぶん変わりました。重症な感染症はワクチンの普及により激減し、入院治療するお子さんは少なくなりました。その反面、食物アレルギーのように重症例は少ないものの、未だ、治療法の見つからない疾患も多くあります。

 医学は常に進化する学問です。これからも日々努力し、受診されるお子さん達に最善の医療を提供するよう努力していきます。

2018年3月18日(日)
インフルエンザの新薬

 あんなに寒い日が続いたのに、いつのまにか暖かくなってきました。いつもはノンビリとタイヤ交換をしてますが、今年はもうタイヤ交換を済ませました。お彼岸の頃に天気が荒れることがありますが、その時は車に乗らないようにします。

 先週初め頃には、やっとインフルエンザも少なくなってきた感じがしましたが、また増えてきたようです。昨晩は夜間急患診療所の勤務でしたが、インフルエンザのお子さん多かったです。28人中12人がインフルエンザでした。学校や幼稚園が休みになったので、周囲にはインフルエンザがいないという人が多かったですね。部活動や商業施設などで感染するのでしょうね。まだまだ、油断禁物です。

 3月14日に新しいインフルエンザの薬が発売されました。当初は5月の予定でしたので、かなり早まった発売になりました。まだインフルエンザ流行中とは言え、そろそろシーズンオフです。そんなに発売を急がなくでも良さそうに思いますけどね。

 この新薬は、今後新たに発生するであろう新型インフルエンザにも効果が期待されています。となると、新たな新型の発生が間近い?なんて思ってしまいます。今のところそういう話は聞いていませんが、いずれまた新型は出てくるでしょうから、早いに越したことはないでしょうね。余談になりますが、リレンザも確かシーズン終了間際の発売だったように思います。

 この新薬はゾフルーザと言います。従来のノイラミニダーゼ阻害剤(タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビル)は、人の体内の細胞で増殖したウイルスが細胞外にでるのを阻止することによって効果を発揮しますので、ウイルスが大量に増えたあとでは効果が期待できません。

 インフルエンザウイルスの複製酵素をRNAポリメラーゼと言います。新薬は、RNAポリメラーゼを阻害してウイルスの増殖を直接抑えますので、重症であったり、感染から時間が経っても効果があると言われています。

 また、インフルエンザウイルスが体内から消失するスピードも、従来の薬より早いようです。となると、従来の薬で治療した場合は発熱後5日間安静、ゾフルーザで治療した場合はもっと短くてもよい?なんてことになったら、混乱しますね。

 ちなみに、この薬は錠剤で1日1回の経口投与で治療が完了します。お子さんでも内服できるくらい小さな錠剤です。体重10kg以上あれば処方できますが、10kgの子が内服するのはチョット無理かな? ところで、同じ年令でも10kg未満のお子さんには処方できません(今のところそのようです。)変な話ですね?

 さしあたり、従来の薬で十分間に合ってますので、新薬は少し様子を見てから採用しようかと思っています。はてさて、来シーズンはどうなっているのやら?

2018年3月11日(日)
あの日から7年

 今日で東日本大震災から7年になります。月日の経つのは早いものですね。「3.11.」この数字をみて 「ハッ!」とする人は どのくらいいるのでしょう?未だに多くの人々が仮設住宅で暮らしております。震災前の生活に戻るのは、まだまだ時間がかかりそうです。

 今日は休日当番日でした。当院周辺ではインフルエンザはかなり少なくなってきましたが、本日はインフルエンザの患者さん多かったですね。盛岡市の北方面、滝沢市が目立ちました。ある小学校では6年生が流行中のようで、A型、B型、両方見られます。3月16日が卒業式だそうですが、延期できるのなら延期した方が良さそうです。学校関係者も大変です。

 いつもは午後2時46分に黙祷していましたが、本日は発熱のため受診する患者さんが多く、黙祷は控えました。診療後に黙祷しました。過去を忘却の彼方へと追いやってはいけない。と、思いながらも、次第に記憶が薄れていきます。

 河北新報社と民間のリサーチ会社が東日本大震災に関するネットアンケートを東北6県と首都圏で実施し、「復興五輪」を掲げる2020年東京五輪が復興に役立つかどうか聞いたところ、52.0%の人が「役に立たないと思う」と答えています。また、復興五輪の理念は「明確ではない」が63.6%に上ってます。

 自分もそう思います。オリンピックの予算はすでに億単位を超えて兆単位のようです。ここまでお金をかける必要があるのでしょうか?お金をかけるところはもっと他にあるでしょう?人もお金も首都圏に集中していきます。オリンピックを見に来た外国人がお金をおとす場所ほとんど東京。復興五輪とは名ばかり。この言葉には極めて違和感を感じます。

 オリンピックに復興が埋没しないように祈るばかりです。

2018年2月25日(日)
舌下免疫療法

 今日も寒いですね。それでも日中は少し暖かくなるので、雪がとけますが、夜間は冷え込むので、せっかくとけた雪が凍ってしまいます。

 日陰の道路はボコボコで車のハンドルが取られそうになりますし、歩いているとツルッと滑って転びそうになります。雪道は要注意です。

 相変わらずインフルエンザの患者さん多いですが、少し峠を越えた感じですし、軽症なお子さん達が多いです。もうすぐ高校受験もあります。それまでには、もう少し落ち着いてほしいですね。

 現在12才以上で行われているダニのアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法が12才以下の小児でも実施可能になりました。今まで延々とアレルギーのお薬を飲み続けていたお子さん達には朗報です。

 舌下免疫療法は、自宅で毎日1分間舌下に薬を投与し、それを内服します。単純なことですが、最低3年間は続けなければいけません。効果が期待できる反面、かなり意志が強くないと続けることが難しい治療でもあります。
 
 12才以下で実施可能とありますが、やはり、小学生以上でないと上手く出来ないように思います。とは言え、これからは対象年齢が大幅に増えますので、大いに普及していくと思います。ダニのアレルギー性鼻炎でお悩みの方は是非ご相談下さい。

2018年2月8日(木)
インフルエンザ今昔

 まだまだ寒い日が続いてます。福井県では約1500台の車が雪に埋もれて約10kmにわたり動けなくなってしまいました。今日は天気も回復してきて少しずつ動き始めたようです。なんとも凄まじい出来事です。

 インフルエンザのA型、B型同時流行の勢いは止まりません。日を追うごとに患者さんが増えてるように感じます。混合流行なんて言われたりもしていますが、A型、B型が混じって(混合して)AB型になるわけないので、同時流行の方が正しい表現ですね。

 マスコミ報道はA型、B型同時流行で近年にない大流行とあおっています。確かに、毎日、大勢のインフルエンザの患者さんを診察していますが、それほど大変でもないです。もちろん忙しいことには変わりありませんが、むか~し、インフルエンザの検査キットがなく、もちろん、インフルエンザに効く薬もなかった時代を思えば、この程度の流行たいしたことないですよ。な~んて言ったりすると、あちこちから非難されそうですな。

 平成11年に検査キットが、平成12年にリレンザ、平成13年にタミフルが発売されてインフルエンザの診断治療は画期的に変わりました。それまでのインフルエンザ診療はどんなだったか、想像つきますか?

 ちょっと話はそれますが、インフルエンザという呼称(病名)は昭和になってから一般的に広まってきたようです。それまでは「流行性感冒」とかいって、「冬のはやりカゼ」というイメージでした。冬になっていつものカゼより少し症状がきついと、「流行性感冒」と診断されてたわけです。これがいつ頃からインフルエンザと呼ばれるようになったかは不明ですが、昔のインフルエンザの診断は容易でなく、血液検査で抗体価の上昇から診断したりしていましたが、これがまた不正確で、しかも時間がかかる。結果がわかる頃には患者さんは治っているというようなことが日常茶飯事でした。

 では、本線に戻って、検査キットや薬がなかった時代の診療はどうだったのか?今から20年くらい前にタイムスリップして、当時の診療風景を再現してみました。

まず、初日
お母さん:昨日から急に高熱が出て、グッタリして何も食べられないんですよ。
小児科医:カゼかな?ところで、周囲にインフルエンザに罹った人はいませんか?
お母さん:保育園では熱で休んでいるお友達もいるようです。
小児科医:ニュースでインフルエンザが流行ってきたといってましたから、インフルエンザかもしれませんね。
お母さん:どうしたら良いですか。
小児科医:発熱によって免疫が上がってきて治癒しますので、あまり熱冷ましは使わないようにして様子を見ましょう。
お母さん:はい、そうします。

そして、2日日
お母さん:先生、全然熱が下がりません。昨日よりも悪くなったような気がします。もう2日間何も食べていないです。
小児科医:そうですか、確かに昨日より悪そうですね。では、今日は点滴をしていきましょう。
お子さん:エ~ン、エ~ンと泣く

そして、3日日、
お母さん:先生、良くなるどころか、どんどん熱が上がってきます。昨日帰ってから今まで、座薬を6回使いましたが熱が下がりません。
小児科医:そうですか、やはり、インフルエンザでしょうね。インフルエンザに効く薬はないので、体力や免疫力が上がってくるのを待つしかないです。それまで頑張りましょう。今日も点滴をしましょう。それと、二次感染予防に抗生物質を処方しましょう
(小児科医の心の中)ウイルスに抗生物質は無効だが、他に有効な薬もないし、いつもながら困った。
お子さん:今日も、エ~ン、エ~ンと泣く

そして、4日日
お母さん:先生、全然熱が下がりません。今日で4日目です。毎日ボーとしています。一体いつになったら治るんですか?ほんとに大丈夫ですか?(目がつり上がり、言葉がだんだんきつくなってくる)
小児科医:インフルエンザの発熱は4~5日で下がってきますので、もう少しの辛抱です。多くの人はそろそろ回復しますが、時々入院が必要になるときもあります。大丈夫かと言われても、今のところは大丈夫に見えます。
(小児科医の心の中)なんとも歯切れが悪い説明。自分がとても頼りなく思われているというのを実感。

お母さん:うちの子はどうでしょう?毎日痛い思いをして点滴をしてもさっぱり良くなっていないように見えますが?
小児科医:そろそろ治りそうですが、お母さんも少しお疲れのようですから、大事をとって入院しましょうか?
(小児科医の心の中)外来ではもう限界かもね。

お母さん:入院したら治るんですか?どんな治療するんですか?
小児科医:インフルエンザに効く薬はないので、治療は今と同じように点滴が中心です。肺炎などを合併していればその治療もします。24時間持続点滴しますので、外来治療よりは効果があります。免疫力が上がってくるのを待つという意味では、外来も入院も基本的には同じです。
お母さん:え~、一日中点滴するの、かわいそう!

 とマア、こんな具合でした。時間の経つのを待つしかない治療?なんて想像つきますか?今は、検査キットも薬もあり、インフルエンザの患者さんの多くは1回の受診ですみます。1回の受診で診断がつかなくても2回目の受診でほぼ結果が出ます。

 昔は、ごらんのように熱が続くため一人の患者さんが3~4日続けて受診するのが普通でした。つまり、今の患者数の3~4倍の患者さんを診ていたことになります。診察は検査キットはないので検査なし(当たり前ですね)。薬もないので点滴くらいしかすることがない。ベッドはいつも満員。そこに付き添う人たちもインフルエンザに罹ってしまう。ベッドが足りなくなり、待合室をカーテンで仕切って点滴をしたこともあります。診察は毎日7~8時過ぎまでかかり、もう自分も含めスタッフ一同みんなホントにグッタリでした。この時代を思えば今の流行なんてかわいいもんですよ。

 ただ、なんかの弾みで薬が効かなくなったら、また、あの暗黒時代に逆戻りです。この頃、予防に薬を欲しいという人を多く見かけます。薬の乱用によって、薬の効果が落ちてしまうこともあります。本来健康な人ならば、インフルエンザの薬はインフルエンザに感染したときだけ使用するようにしましょう。

2018年1月28日(日)
A型、B型同時流行

 ここ数日寒い日が続いています。今が一年で一番寒い季節ですね。でも、少しずつ日が長くなってきました。ほんのチョッピリ春の気配も感じます。

 今日は大相撲初場所の千秋楽です。先場所から続いている不祥事は後を絶たないようですね。優勝インタビューで栃ノ心が「ゴルフクラブで鍛えられた。」なんて、話したら面白いでしょうね。マア、そういうことはないでしょう。

 ところで、成人式を台無しにした はれのひの篠崎社長と、春日野親方はなんとなく顔が似ているように思えます。性格も似たもの同士かな~?今場所が終わったら、今まで無言だった貴乃花親方が何か爆弾発言でもしそうな感じがしますが、マア、それもないか。

 学校が始まる前から流行が始まったインフルエンザですが、かなり流行ってきました。今シーズンはなんといってもA型、B型同時流行というのがスゴいですね。

 普通はA型から始まって、それからB型が少し出てきて、おしまいというパターンですが、両方流行ると結構大変です。早くもA型、B型両方にかかった人もいます。

 なんとなく、小学校、中学校はB型、幼稚園、保育園はA型が多いように感じますが、もうすぐゴチャゴチャになってくるのでしょう。

 よく患者さんから、「先生はインフルエンザに罹らないんですか?」と、聞かれます。毎日大勢のインフルエンザの患者さんを診ていますから、ガッチリ感染しているはずです。でも、軽く感染してるんだと思います。その結果、免疫力がアップしているのではないかな?と、自分では思っています。毎日軽いワクチンを打っているようなもんでしょう。とは言え、全くの新型が発生したときは不安ですね。

2018年1月13日(土)
そろそろ、またインフルエンザ

 北陸や西日本では大雪で大変なことになっています。岩手県も北国ですが、今年は今のところ大雪の被害は免れています。でも、天気予報によると、そのうち寒気が北上してくるような話でした。いずれ、もっと寒くなって雪も降るんでしょうね。1月中旬から2月中旬が最も寒い時期です。

 もう、そろそろ冬休みも終わり新学期が始まります。年末にはB型インフルエンザが少し流行りかけてきましたが、学校の冬休みと同時に一段落していました。新学期が始まれば、またそこそこに流行るんだろうと思ってましたが、どうも今週になったらインフルエンザのお子さん達チョコチョコやってきます。

 圧倒的にB型が多いですが、A型も出てきました。どのあたりで流行しているのか、よくわかりません。大勢人が集まるところで、感染することが多いんでしょうね。この分だと、新学期と同時にA型、B型両方流行るかもしれません。

 いつもお話ししておりますが、できるだけインフルエンザワクチン接種した方がいいですよ。ワクチン接種しても完全に感染を防ぐことは出来ませんが、インフルエンザに感染たとき、体内で出来た免疫は正しくインフルエンザウイルスを処理してくれます。免疫のない状態でインフルエンザに感染すると、本来は我が身を守るための免疫がどのように対応してよいのかわからず、思いがけない異常反応を起こすことがあります。それが、脳炎・脳症のような重篤な合併症の原因ともいわれています。

 最も寒くなるこれからが本格的なインフルエンザシーズンです。手洗い、うがいを励行して十分睡眠をとりましょう。

2018年1月1日(月)
あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。12月は寒い日が続きましたが、年末年始は少し落ち着いた天気になりました。

 今年は戌年です。戌が犬という字になったのは、後世、一般庶民が読みやすいようにということからだそうです。

 ところで、「戌」は「滅びる」を意味する「滅」で、あまり良い感じがしませんが、「守る」という意味につながるのだそうです。これを植物に例えますと、木は、種から芽を出し、花が咲き、実をつけますが、やがて熟した実は落ちます。それでも木は残ります。最終的に本体の木だけは守るということで、たいへん忠義なたとえに引用されてるようです。

 犬はとても人間と親しく、忠実な動物です。そこから、戌年の人は「誠実な努力家」と言われています。

 一昨年は申年、昨年は酉年、そして今年は戌年、桃太郎トリオがそろいました。来年は亥年。猪突猛進の前年である今年は、ゆっくり、しっかり堅実に足元を固める年なんでしょうね。

 食物負荷試験は、現在、卵、ミルクのみ行っていますが、主に軽症なお子さんを対象にしています。次第にほかの食品も行う予定ですが、その前に、もう少し、卵、ミルクの対象者を広げていきたいと思っています。

 アレルギー性鼻炎の舌下免疫療法は現在12才以上が対象ですが、今年度中に少し対象年令が下がります。おそらく5才以上となると思いますが、5才の子が舌下免疫療法の意味を理解するのは難しいと思います。アレルギー性鼻炎だから誰も彼も舌下免疫療法というわけにはいかないでしょう。やはり、小学校高学年くらいにならないと難しいように思います。小児科で本格的に舌下免疫療法が普及するには、まだ少し時間がかかりそうです。

 今年もいろいろ新しい試みに挑戦し、堅実な医療を心がけたいと思っています。新年は5日から診療開始しますが、2日は休日当番医です。

2017年12月31日(日)
大晦日

 今年も12月31日を迎えました。夏にRSウイルスが流行したり、冬のインフルエンザはB型が流行したりと、感染症の流行り方がやや変則的な年でした。

 B型はA型と比べると少し症状が緩やかですが、それでも結構つらそうな人も多かったです。今年のB型は一度発熱し、翌日少し解熱し、翌々日また熱が上がってくるというパターンが多いように感じました。

 小さいお子さんでは嘔吐のような腹部症状もみられました。通常のインフルエンザウイルスは腸管感染はしませんので、腹部症状からインフルエンザ感染を考えるのは、ちょっと不自然ですが、B型は疑う必要がありますね。年末年始の国民大移動に伴い、あちこちでインフルエンザが流行るかもしれません。

 今シーズンはインフルエンザワクチン不足が心配されましたが、今になって急に市場に出回ってきました。ほんとに欲しい11月はギリギリで、いつ足りなくなるのかとハラハラしながら接種していましたが、何とか持ちこたえました。今のところ、希望者には全員接種できています。もう少し現場の事情を考えてほしいものです。

 来年は1月2日が休日当番医です。年の初めから大変です。年末年始の当番医は通常とは別枠で決めています。以前はくじ引きでしたが、何となく?不公平感が漂ったため、今は、あらかじめ順番を決めています。くじ引きで決めていたころは、私は1月1日が1回、12月31日が5回当たっています。マア、当たりがいいのか悪いのか?微妙ですな。

 来年も良い年でありますように!!

2017年12月3日(日)
そろそろインフルエンザ

 この頃、大相撲の日馬富士暴行事件がよく報道されていますが、コメンテーターは自分の推測で話をしていますので、人によりさまざまです。いつまでたってもよくわかりません。被害者である貴ノ岩に同情が集まっていますが、加害者の日馬富士にも擁護論が聞かれます。千秋楽の白鵬の迷挨拶といい、大相撲は襟を正すことがたくさんありそうです。

 インフルエンザのニュースがチラホラ聞かれるようになりました。ところでワクチン、足りるのか?足りなくなるのか?先々週、インフルエンザのニュースを3件ほど見ました。

 一つ目は、インフルエンザとタミフルの異常行動でしたね。今に始まったことではなく、薬が原因かどうかは別として、インフルエンザに罹れば異常行動がみられるので気をつけましょう。で、薬にだけ頼らずワクチンを接種しましょう。でした。
 二つ目は、殺人インフルエンザが流行するかも?殺人インフルエンザって?新型が発生したのかな?と思いきや、毎年流行を繰りかえしているA香港型H3N2のことです。確かに、A香港型はもう一つのA型(H1N1)2009よりも病原性は高いです。実際重症例も多くみられます。今シーズンはさらにバージョンアップしたんでしょうかね。これについてもワクチンを接種しましょう。でした。
 三つ目は全国的にインフルエンザの流行が始まった。これもワクチンを接種しましょう。でした。

 そして、先週インフルエンザワクチンが12月からは順調に供給されると報道されました。11月までは安定供給するために厳しい出荷規制がかかり、手元に十分量のワクチンがありませんでした。入荷予定日にきちんと入ってこないと接種できなくなるところでしたが、何とかつないできました。

 こういう状況からインフルエンザ関連のニュースを裏読みすると、厳格な出荷規制をして来たために、もしかしたら、市場に出回るころには余ってしまうかもしれない?という心配が出てきたかもしれませんね。そこでワクチンを接種しましょうか?かなりうがった見方ではありますが、、、

 11月中旬に市内の保育園でA型が少し流行りました。昨日は市内の小学校で学級閉鎖がありましたが、こちらはB型でした。A、B両方流行るかもしれません。

 インフルエンザワクチンは、ほとんどの人が年内に接種されます。当院のインフルエンザワクチンは例年の7~8割終了しました。今のところなんとか接種希望者全員に接種しています、今後は少し不安ですので、お早めに接種するようにしてください。

2017年11月23日(木)
小児アレルギー学会

 いよいよ、冬将軍がやってきました。寒くなりましたね。インフルエンザもボチボチみられるようになってきました。ワクチンは今のところ不足していませんが、地域によっては深刻な状況になっているところもあるようです。

 この前の土日、宇都宮で開催された「第54回日本小児アレルギー学会」に出席してきました。すでにご存じの方も多いと思いますが、神奈川県で牛乳アレルギーのため経口免疫療法を実施中のお子さんがアレルギー症状のため、一時呼吸停止になり病院に搬送され、低酸素脳症で治療を続けている。という報道がありました。

 これに関連して学会では「食物アレルギー患者における重篤な食物アレルギー症状の調査結果」が報告されました。低酸素脳症に陥ったお子さんについての詳細は、ご家族の事情を配慮して公表されていません。経口免疫療法の注意喚起でした。

 経口免疫療法は、食物アレルギーを持つお子さんがその食品を少しずつ食べることによって相当量を食べられるようにする治療です。経口免疫療法を始めるにあたって、まずどのくらいの量を食べることができるかどうかを決めます。これを負荷試験といって、アレルギーを起こす食品を少~しずつ食べて、このくらいなら大丈夫という安全量を決めて、そこから始めます。できるだけ毎日食べて徐々に増やしていくわけです。

 しかし、この経口免疫療法、二つの意味というか方法があります。一つは、前述したような安全量を決めてそこから少しずつ増やしていく方法で、一般の診療所でも行われています。当院でも行っていますが、安全性に重点を置き、軽症な食物アレルギーのお子さんが対象です。これは経口免疫療法というよりは食事指導と言った方がわかりやすいように思います。

 もう一つは、負荷試験でアレルギー症状が出るか出ないかのギリギリの量を決めて、そこから食べ始めていく治療法です。この場合、当然アレルギー症状が出現することが予想されますので、症状出現時に備えた対策が必要です。これが、本当の意味の経口免疫療法です。少しずつ食べていたのではなかなか改善が見られない重症な食物アレルギーのお子さんたちが対象となりますが、これは治療というものの研究的な要素も多く、対象となるお子さんは治療を受けるというのではなく、臨床研究に参加するという形で開始されています。

 ところで、当然のことながら、関心のある医師が多く、開始30分前には会場の席が埋まっていました。立ったままで聴講する人も多く中に入れませんでした。そこで、中継テレビが用意されましたが、今度はそこが黒山の人だかりという状況でした。テレビではそんなところは映ってなかったようですね。

 小児アレルギー学会といえば、昔は気管支喘息が話題の中心でした。その後アトピー性皮膚炎が盛んに議論され、しだいにアトピー性皮膚炎と食物アレルギーとの関連で盛り上がり、今は発表の8割近くが食物アレルギー関連です。この傾向はまだまだ続きそうです。

2017年11月3日(金)
ツバメウオ

 先月は大型台風が続いて天気が荒れましたが、11月になったら少し寒さが緩んできたようです。でもまた寒くなっていくんでしょうね。10月中旬に突然パソコンが壊れてしまい、大変でした。今までもバージョンアップするときによくトラブルが起きましたが、今回は再生不能で、すべて買い換えました。困ったもんです。

 海水魚の写真と名前を書いて水槽の下に掲示しました。お子さんたちに魚の名前を聞かれるんですよね。それぞれ特徴がありますが、このちょっと大きいツバメウオが人気があるようです。色合いは地味ですが、おおらかにゆっくりと泳ぎます。ツバメウオに限らず、お魚さんはデリケートですから、くれぐれも水槽はたたかないようにしてくださいね

 
 ツバメウオ

 インフルエンザワクチン不足のニュースを時々耳にしますが、今のところ大丈夫です。確かに今年度は例年より少ない生産量です。そのため出荷規制が行われており、各医療機関では一度に多くのインフルエンザワクチンを確保することができません。ですから、どこも手元には少ししかないのです。となると、事前に予約するというのはちょっと難しいそうです。そこで、予約できない。手元にない。いつ入荷するか確約できない。それがワクチン不足という表現になってるんでしょうね。

 実際、ちょっと、入荷が途絶えるとたちまち不足という事態はあるかもしれません。これから12月末までに少しずつ入荷してきます。その頃には毎年接種する人たちは、終わっていますので、そんなに大きな混乱にはならないと思っています。とはいえ、いつも想定外のことが起きますので、年を越すまでは不安ではあります。

 最近インフルエンザワクチン接種される方が増えています。午後4時頃から外来が混み合って大変混乱しています。午前は比較的すいていますので、できるだけ午前の受診をお願いします。

2017年9月30日(土)
インフルエンザワクチン不足?

 この頃、朝が冷え込んできました。一昨晩は寒くて夜中に目が覚めました。9月まではまだ夏の続きのような気がしますが、10月と聞くと一気に秋になった感じがします。

 あまり政治には関心がないほうですが、衆議院の解散で10月22日に選挙が行われることになりました。小池東京都知事が率いる希望の党が話題を呼んでいます。ここ数日選挙の話といえば、こればかりですね。

 ふつう選挙といえば、「私が当選した暁には~」てな具合に自分の政策をみんなに聞いてもらうもんですが、今のところどこの政党も具体的な政策らしきものが見えてこないようです。10月10日公示だそうですので、それからでしょうね。

 さて、毎年のことですが、今年もまたインフルエンザワクチンの季節がやってきました。今年はワクチンが不足しそうなんて話が聞かれます。実はワクチンが足りなくなるかもしれないというのは、夏にはすでに分かっていました。

 毎年、春にその年のインフルンザワクチンの製造がはじまりますが、今年は最初予定したワクチン株でうまく作れなかったので、株を変更して作りなおしたのだそうです。また、熊本地震の影響でワクチン製造に支障をきたしたことも原因のようです。その結果、今年は例年の80~85%くらいの製造量のようです。

 インフルエンザワクチンは概ね前年使用した分と同じくらいの量が各医療機関に出荷されます。今のところ昨年と同じくらいの量を確保できそうですが、今後どうなるか?少し不安ではあります。

 ネットを見ると、岩手県内の医療機関ではありませんが、予約制限?とか、かかりつけの子にしか接種しないとか?ホントかね?と思うような記事を目にします。毎年、当院にはあちこちで接種を断られた(理由は不明)お子さんたちが大勢いらっしゃいますが、お断りせず全員接種しています。今年もそうしようと思っていますが、ほんとに不足したらどうしよう。頭が痛いです。

 10月20日より、盛岡市、紫波町、矢巾町、滝沢市の補助が始まりますので、この日から接種開始しようと思っています。10月初旬には院内掲示やホームページでお知らせします。

 今年も9月15日山車大絵巻パレードを観てきました。これが終わるといよいよ秋です。


     
 三番組 羅生門    南大通二丁目町内会 義経八艘飛び
     
 の組 碇知盛    み組 毛剃九右衛門


2017年9月14日(木)
もう、インフルエンザ?

 日増しに朝夕涼しくなってきました。秋を感じる今日この頃です。

 例年この時期には食中毒がよく発生しますが、群馬県の総菜店の食品を食べた3才の女の子が、O-157に感染して死亡したというニュースがありました。痛ましいことです。ご冥福をお祈りします。

 女の子は、タケノコやエビの炒め物など4種類の加熱食品を食べたそうですが、保健所の調査ではO-157は検出されていないそうです。

 この総菜店では、大皿に盛られた総菜を好きなだけ取る「量り売り」をしており大皿にはふたはなく、取り分けるトングも使い回せる状態だったそうです。何となく不衛生と感じます。従業員や調理場の設備などから、O-157は検出されていなかったようですので、販売の段階で、2次感染が起きた可能性があります。

 ところで、これまでに同じ遺伝子型のO-157が、群馬県や埼玉県以外にも、東京、神奈川など首都圏や、長野、新潟、滋賀、香川など、全国11の都県で検出されています。となると、ある一定の感染ルートが推測されます。一刻も早い感染ルートの解明が待たれます。

 当院でも先々週O-157の患者さんを2名診ました。下痢、血便、発熱と症状がそろえばO-157のような感染性(細菌性)胃腸炎を疑いますが、最初は症状に乏しいこともあり、初期診断が難しいこともあります。食中毒は予防が大切です。菌を、「付けない」「増やさない」「死滅させる」ことが3大原則です。

 今日、今年始めてインフルエンザの患者さんをみました。1才のお子さんでした。見た目は元気であまりインフルエンザという感じはしませんでしたが、家族の半分がインフルエンザに罹っているとのこと。調べたらなんとインフルエンザA型でした。あ~、驚いた。

 家族で最初に感染した(と思われる)人はコンビニ勤務していたようなので、不特定多数の人との接触があったのでしょうね。これが今年の始まり?とは思えませんが、チョット調べてみたら、全国的にも早いペースでインフルエンザが見られているようです。佐賀県佐賀市の高校、神奈川県川崎市の小学校、宮城県仙台市の小学校では、今週初めにもう学級閉鎖が行われています。

 真夏からRSが流行ったり、今シーズンは冬の感染症の流行は早いのかもしれません。

2017年8月25日(金)
今年の夏かぜ

 今日は台風一過のような好天です。久々に自転車で通勤しました。途中、明治橋から北上川を見ましたが、川は増水して濁流となっています。こんなに増水した北上川は見たことがないです。小さなお子さんは川辺に近寄らないようにしましょう。

     
 増水した北上川
まるで海ですね。
   いつもの北上川

 お盆前に痛めたギックリ腰もよくなり、診療に励んでおりますが、今年の夏は例年よりも夏カゼが流行っています。夏カゼと一口に言ってもいろいろあります。同じ疾患でもその年によって微妙な違いがあります。日常診ている今年の夏カゼの特徴を少しまとめてみました。

 まず、殆どの場合“喉が赤い”です。初日はこれで夏カゼと診断し、「経過をみましょう」となります。ここからいろいろあります。

1.手・足・口病:まずは、今夏大流行の手足口病です。通常は手のひら、足の裏に発疹が出現するのですが、今年の手足口病は、肘、膝、臀部に少し大きめの発疹~水疱が見られます。
 喉の発疹は発熱と同時に見られる場合が多いです。肘、膝、臀部の発疹は、発熱した時点で少し出現していることもありますが、発熱が1~2日続いて解熱する頃から、ゾロゾロと出現することが多いです。突発性発疹みたいですね。

2.ヘルパンギーナ:発熱は2日くらいで解熱しますが、その頃から喉の奥に大きな口内炎が出来てきます。喉の痛みが強くなり、食事が取れなくなることもありますが、そんなにひどくはなりません。

アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱):喉の赤みはこれが一番です。ジュクジュクして白苔(汚れの塊)がみられます。溶連菌とよく似ていますが溶連菌よりもさらにジュクジュクしています。発熱と喉の痛みが特徴ですが、発熱は1週間くらい続くこともあり、手足口病やヘルパンギーナよりもキツイです。

4.RSウイルス感染症:上記1.~3.のように喉が赤くなることはあまりありません。RSは一般的な夏カゼではないです。
 本来は秋~冬に流行する疾患ですが、今年はなぜか夏に大流行しています。一説には季節外れの流行ではなく、流行が早まっただけともいわれています。
 RSは年令によって症状が異なります。赤ちゃんでは細気管支炎と言って喘息のような激しい喘鳴が見られ呼吸困難に陥ります。6ヶ月未満の赤ちゃんでは入院することが多いです。1才過ぎくらいから喘鳴はあまり強くなくなりますが、激しい咳と頑固な発熱が続くようになります。健康な年長児ですと普通のカゼ症状くらいですみます。赤ちゃんにとっては怖~いRSです。

 ざっと、現在流行中の今年の夏カゼの特徴を並べてみました。1.~3.の夏カゼは殆ど軽症ですむことが多いですが、ときどき重症化しますので、ドンドン悪くなっていくような時は早めに再受診しましょう。また、大人が罹るとけっこう症状がキツイです。お子さんの食べ残しを食べたりしないように、また、食器やタオルは共用しないようにしましょう

2017年8月13日(日)
お盆休み

 暑い日が続きますが、朝晩はそんなに暑くないので、例年の夏よりは少し過ごしやすいです。この分だと秋は早いのかもしれませんね。

 気象のことはよくわかりませんが、暑い季節は暑く、寒い季節は寒い方が何となく自然に思えます。今年の夏はRSウイルスが大流行していますが、こういう気象の変化とも関係あるかもしれません。

 今日からお盆です。もう帰省ラッシュが始まったようで、明日がピークとのこと。お盆前に帰省してきた患者さん達を診ましたが、もうすでに帰路についたお子さんもいます。
 RS、手・足・口病、アデノ、ヘルパンギーナ等々、今年の夏は夏かぜ大流行です。みんな元気になって帰ったかな?

 毎年、お盆にはクリニックの残務整理をしています。たくさん不要ゴミが出てきますのでけっこう力仕事も多いです。なのに、なんと昨日ギックリ腰になってしまいました。別に重いものを持ち上げたわけではないのですが、チョット姿勢が悪かったんでしょうね。

 湿布してコルセット巻いて、出来るだけ安静にしていますが、これでは力仕事は無理!残務整理は持ち越しになっちゃいました。今日は痛みはだいぶ和らいできましたが、今年のお盆休みはホントに休みだけになりそうです。小児科は秋から冬にかけて猛烈に忙しくなりますので、お盆休みはしっかり休んで繁忙期に備えなさいと言うことでしょうね。

2017年7月20日(木)
塩中毒

 今週の月曜日は休日当番日でした。最近特に流行り病も無く、閑な当番日かと思っていましたが、先週末から少しずつ患者さんが増えてきたせいか、けっこう忙しかったですね。恒例の夏カゼも、手・足・口病アデノウイルス感染症などよく見られます。

 手・足・口病は、その年によって特徴があります。通常の手・足・口病の発疹は手のひらや足の裏に小さな水疱を形成します。発熱もあまり見られませんが、今年の手・足・口病は、肘や膝にチョットふくれた感じの発疹が見られます。発熱もよく見られます。発熱が1~2日続いて解熱する頃に発疹が目立ってくるというパターンが多いです。

 数年前にもこういうタイプが流行しましたが、肘や膝に多くの発疹が見られると1ヶ月くらい経過してから、爪がはがれたりすることもあります。大体はきれいに治りますが、びっくりしますね。

 手・足・口病は、多くの場合軽症ですが、時として重症な場合もありますので、発熱が長引くようなときは早めに受診しましょう。

 もう一つ、今流行中の病気があります。普通は秋~冬にかけて流行するRSウイルス感染症が、なぜかこの暑い夏に流行っています。RSウイルスは年長児や大人が罹ってもカゼ程度の症状ですみますが、赤ちゃん(特に、6ヶ月未満)が罹ると細気管支炎というとても重症な気管支炎になり、入院することも多いです。

 ゼーゼー、ヒューヒューという苦しい呼吸器症状が主症状ですが、発熱もけっこう続きます。保育園の赤ちゃんクラスではあっという間に流行してしまいます。赤ちゃんの呼吸がチョットおかしいなと思ったら早めに受診しましょう。

 2015年8月、盛岡市内の認可外保育施設で当時1才のお子さんが大量の塩分摂取による塩中毒の症状で亡くなったというニュースを耳にしました。預かっていた元経営者は、傷害致死の疑いで逮捕されました。小さいお子さんを預けているご両親にはとても怖いニュースです。いったい何があったのでしょうか?

 容疑者の元経営者は「液体に食塩を溶かして飲ませたが、死ぬとは思わなかった」と供述しています。脱水症状でもあって飲ませたのでしょうか?それにしても中毒に至る量の食塩水を1才の子が飲めるわけがありません。途中で吐き出してしまいます。

 一体どのくらいの食塩を摂取したのでしょうか? 日本中毒情報センターによると、食塩(塩化ナトリウム)の推定致死量は0.5~5g/kgとされています。1才児ですと、体重約10kgくらいですので5~50gくらいの食塩量です。ちなみに1日に必要な食塩量は成人男性で8g未満、女性で7g未満とされています。未満とあるのは、ただでさえ日本人は食塩を取り過ぎる傾向があるので、少し厳しい表現になっています。この値を参考にすると、1才児では大体1日あたり1.5gくらいが必要な食塩量になります。5gでも致死量になるなら、通常の食事の3~4倍の食塩量でも危険という事になります。

 食塩を取り過ぎるとNA(ナトリウム)が増えます。体内のNA量は腎臓で調整されますが、乳幼児では腎臓の働きが未熟であるため、一度に大量のNAが体内に入ってくると上手く処理することが出来ません。NAが過剰な状態を高NA血症といいます。

 NAは細胞内から細胞外へ水分を運びますので、高NA血症では細胞が脱水状態になります。この現象は特に神経細胞で顕著にみられ、脳が萎縮したり、血管が障害を受けます。その結果、傾眠、けいれん、昏睡のような神経症状が見られるようになります。

 首や背中など全身に塩の結晶がつき、ベビー服も塩でかたくなっていたということですから、相当な量の食塩が体内に貯留していたものと思われます。本当にお気の毒です。亡くなられたお子さんのご冥福をお祈りします。

 このお子さんは2015年8月17日午前10時半ごろから18日午前0時5分頃までの間、保育施設に預けられていたようですが、もう少し早く帰宅できていれば、この様なことにはならなかったかもしれません。悔やんでも悔やみきれない事件です。

2017年7月6日(木)
劇症型溶連菌感染症

 6月28日、プロ野球西武ライオンズの森慎二投手コーチが劇症型溶連菌感染症(以後、劇症型)で亡くなったというショッキングな報道がありました。
 普通、溶連菌といえば、発熱や喉の痛みが主な症状の「喉のカゼ」というイメージしかありませんが、時として、とんでもない重症型があり、それが劇症型です。

 劇症型は、1987年にアメリカで発見されました。日本における最初の感染は1992年です。それ以降、日本では毎年100~200件の劇症型が確認されています。2015年には434名、2016年は11月20日現在の患者数が442名と、過去最多の患者数を更新しました。小児例はこれまで約 50 例(1999~2010年)が報告されています。

 劇症型は、体力がない人とか免疫力が弱い人とかが罹りやすいわけではなく、子どもから大人まで誰でも罹ります。特に30歳以上の大人に多いのが特徴の一つです。

 最初に見られる症状は、発熱や喉の痛みとか、手足の痛みや腫れなどで、ふつうのカゼとよく似ています。そのため早期発見が難しい病気です。
 
 劇症型では通常は細菌が存在しない組織(血液、筋肉、肺など)に菌が侵入し、症状が進行すると、高熱が続き、傷口の痛みが強まり、重症化してきます。

 さらに菌が全身に回り(敗血症)、ショック症状や 肝不全、腎不全のような全身の臓器が働かなくなってしまう状態(多臓器不全)になります。また、筋膜や脂肪の組織が破壊されて、手や足の切除が必要になることもあるため、劇症型は、「人食いバクテリア」とも呼ばれています。

 これらの症状は数時間~数日の間に急激かつ劇的に進みます。死亡率が約30%というきわめて重症な感染症です。

 ところで、溶連菌自体はありふれた菌で、健康な人の体内にも存在しています(健康保菌者)。また、溶連菌に感染しても症状が起こらない場合もあります(不顕性感染)。この様に症状はないけど、喉に溶連菌が存在している小学生は10%もいると言われています

 劇症型を来す溶連菌とカゼ症状ですむ溶連菌との違いはよく分かっていま せんが、菌の進化の過程で、遺伝子の変異がおこり劇症型に「変身」した可能性があると推測されています。

 子どもがよく罹る溶連菌は、発熱や喉の痛みが主な症状です。リウマチ熱や腎炎のような合併症が心配なので抗生剤を服用しますが、基本的には劇症型を心配する必要はありません。

 ただし、傷がある場合は要注意です。劇症型の感染経路は明らかになっていませんが、傷口から感染することが多いとされています。

 小さな傷でも、周辺の痛みが強い場合は要注意です。傷とそのまわりを指で押すと強い痛みを感じる時があります。この場合、蜂窩織炎といって、皮膚の深部にまで菌が入り込んでいる可能性があります。ここから、一気に全身に菌が回ることがありますので、 「指で押すと強い痛み」を感じるような時は早めに受診しましょう。 

 劇症型に対して、特別な予防法はありません。季節を問わず、うがい・手洗いを徹底する事が大切です。また、小さな傷が原因になることもありますので、傷を見つけたらすぐに水道の流水で水洗いし、清潔に保つ様にします。「早期の発見・対処」が大事です。