診察室便り

 日常診療で感じた事、最近の話題、など、医療だけでなく、いろいろな話題にふれたいと思います。
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2024年3月17日(日)
麻疹?見たことない?

 今日は春の陽気という感じの天気でしたが、明日はまた冷え込むようです。まさに三寒四温ですね。

 3月に入り、東京都が2日連続で、はしか(麻疹)感染者が確認されたと発表しました。東京都の発表によれば、2名ともに海外からの帰国者と言うことです。しばらくぶりに麻疹という言葉を聞きました。国内では過去の病気と思われていますが、世界中のどこかにはまだ存在しています。今の若い先生方は麻疹を診たことがないでしょう。私が最後に麻疹の患者さんを診たのは、十数年前でしょうか?それでも麻疹の患者さんを診れば。すぐピーンと来ると思います。

 麻疹の怖さは、インフルエンザやコロナの比ではありません。20年くらい前、まだインフルエンザに効く薬(タミフルなど)がなかった頃、インフルエンザと麻疹に罹った(同時に罹ったのではなく、それぞれ少し期間をおいて感染しています)お子さんが数名おりました。その保護者に、「どちらが症状が重かったですか」と伺ったところ、皆さん「麻疹の方がはるかにひどかった」とお話しになっています。
 今、もしインフルエンザに罹ってインフルエンザに効く薬がなければ、けっこうひどいと言うことは容易に想像されますよね。麻疹はそれよりも重症なんです。

 麻疹は本当に怖い病気です。にもかかわらず、ネットでは「自然免疫獲得のチャンス。罹ってしまえばこっちのもの。」などと呆れた暴言もありました。麻疹は春の終わりから夏の初めにかけて流行します。

 麻疹対策の一番はワクチンです。これに勝る者はありません。4月から小学生になる皆さん、1回目接種から数年経っていますので、そろそろ免疫が低下してる頃です。今すぐ2回目接種をしましょう。1才になるお子さんは、1才になったらすぐ1回目接種をしましょう。

2024年3月11日(月)
あの日から13年

 東日本大震災から、今日で13年になります。あの日は乳幼児健診をしていました。そろそろ終わる頃に突然大きな揺れがきて、建物が壊れるかと思いました。焦って全員院外に出ましたが、電線や車の揺れはまだ続いていました。あの時健診していた赤ちゃんたちは、今、中学校1~2年生になっています。ほとんど記憶に残ってないでしょうが、お父さん、お母さんから当時のことは聞いているでしょう。

 警察庁によりますと、東日本大震災による死者数は今年3月1日までに全国で1万5900人、行方不明者は2520人となっています。宮古ではまだ沿岸の工事も継続されています。震災の影響まだまだ続いています。

 今年の1月1日には能登半島地震が起きました。私の友人が内灘に住んでいますので、驚いて電話したところ、彼の居住地は少し高いところにあって無事だったそうです。いつまた、どこで地震が起きるかわかりません。非常時の準備だけは怠れません。とは言うものの、今の自分の備えと言えば、小型バッテリー、簡易トイレくらいしかありません。食料や飲料水は常に準備していなければなりません。今回の能登半島地震によって、いつでも、どこでも地震が起きるという認識を新たにしました。

 話は変わりますが、今シーズンはインフルエンザの流行が長く続いています。昨年はインフルエンザA型が、今年になってからはインフルエンザB型が猛威を振るっています。とはいえ、B型は少し症状が軽いので重症になる人は今のところあまりみられません。

 インフルエンザだけでなく、コロナや他の感染症もけっこう流行っています。こんなにいろいろの感染症が流行ることはあまりなかったのですが、感染症の診断が容易になったことも感染症が増えた原因の一つかもしれません。以前は検査キットというものはなかったので、同じような症状だと、ほとんど風邪という診断でした、今は検査キットのおかげで多くの感染症の診断がその場で可能になりました。医学の進歩です。

 ところで、これだけいろいろ流行ってくると、だんだんその感染症の特徴がわかるようになってきましたので、少しまとめてみました。

インフルエンザやコロナは発熱しないとなかなか検査が陽性にならない。(発熱なしでも陽性になる人もいます)
・発熱直後から、目が充血、ボンヤリして元気がなければ全年齢通じてインフルエンザ。年長児ならコロナかもしれない。
・インフルエンザとコロナに一緒にかかることはめったにない。
・乳幼児のコロナはとても軽症。この年齢ではインフルエンザも軽症ですが、コロナよりは少し辛そう。  
・発熱が3日以上続く場合、インフルエンザ、コロナの検査が陰性なら、それら以外の可能性が高い。のどか赤ければ溶連菌アデノ。赤くなければその他の上気道炎。
・溶連菌とアデノの違いは、溶連菌は喉にブツブツがみられる。アデノは喉がグチャグチャに赤く晴れ上がる。しかし、今流行ってるアデノはあまりグチャグチャにならない。そのせいか軽症が多い。
・乳幼児で、さらに発熱が5日くらい続いて咳やゼーゼーが目立ってくれば、RSかヒトメタ
・年長児で、頑固な発熱、咳嗽が数日続く割に元気な時は、マイコプラズマ

 とまぁ、最近の感染症についての私見です。かなり独断と偏見に満ちてますので、こういう場合もあるんだなぁくらいに思ってください。

2024年1月1日(月)
あけましておめでとうございます。

 あけましておめでとうございます。今日は朝から少し雪がちらついていますが、晴れ模様です。初詣の人出も多くなりそうです。

 今年は辰年です。辰を龍とか竜と書いても良さそうなモノですが、なぜ辰なんでしょうね。十二支は、昔の中国で天体と時間を観察するのに使われていた暦のようなモノだったようです。これら十二の語句は、植物の成長する様子から決められています。陰陽五行説によると「辰」は5番目で、子(ねずみ)」で生えた植物がある程度の段階まで育ち、形が整ったことを表す文字なんだそうです。こうして決められた漢字と関連ありそうな動物や同じ音の動物を当てはめたものが現在の十二子になったようです。

 わかったようなわからないような?つまり、「辰」は、植物がある程度の段階まで育ち、形が整ったことを表す文字であって、読むとタツと読める。龍も竜もタツと読めるが実在しない動物(十二支の他の動物は実在する)なので、辰になったようです。

 辰年はどんな年になるんでしょうね。過去の辰年をみると、2012年に京都大学の山中伸弥先生が、人工多能性幹細胞(iPS)の作製に成功し、再生医療の分野に革命をもたらす画期的な成果として、ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。2000年のシドニー五輪では、女子マラソンの高橋尚子さんが女子として史上初の金メダルを獲得しました。また、田村亮子さんは日本女子柔道史上初の金メダルを獲得しました。1988年には、世界最長の全長53.85kmの青函トンネルが開通しました。24年間の歳月を要した日本の土木史上空前のスケールを誇る仕事でした。

 辰が、ある程度の段階まで育ち、形が整ったことを表す文字ならば、今年は、今まで努力してきたことが報われるような年という気がします。今年も良い年でありますように!

2023年12月31日(日)
大晦日

 しばらく診察室便りをサボっていました。最初は月3~4回は書いていましたが、だんだん少なくなり、最近は月1くらいになりました。忙しいと言えばそれまでですが、チョット書き込むくらいの時間はあったはず。遅ればせながら今年最後の診察室便りをお届けします。

 今日は大晦日、今年ももう少しでおわりです。年末年始はユックリ休めるのですが、来年は1月2日に当番医が当たっており、1月3日は夜間急患診療所に出勤です。以前は年末年始の当番医は3~4年に1回でしたが、最近は2~3年に1回になりました。世のため人のためと思って頑張っていますが、けっこうキツいです。その代わりと言ってはなんですが、1月4~5日を休みます。新年は1月6日(土)から診療開始します。

 11月下旬から12月にかけてインフルエンザがかなり流行しましたが、年末は少し落ち着いてきたようです。とは言え、まだまだそこそこに流行ってはいます。さらに溶連菌が多いですね。他に、アデノウイルス、たまにコロナという具合にホントにマア感染症の多いこと。こういう事態はあまりなかったことです。世間ではコロナ対策を徹底したあまり感染症に対する免疫力が弱まったなどと言われていますが、今更そんなことを言われても困りますよね。

 そのコロナも新しい変異株が出てきたようですが、今のところは小康状態です。本格的なWithコロナ時代になったようですが、この先も次々に変異株は出現してくるのでしょう。一喜一憂せず、官民一体となって重症度にあわせた対応が必要ですね。

 今年の10月に日本LD学会に出席してきました。日本LD学会は、LD(学習障害)・ADHD(注意欠如多動性障害)等の発達障害に関する研究・臨床・教育の進歩向上を図るとともに、LD等を有する児(者)に対する教育の質的向上と福祉の増進を図ることを目的に、設立された学術研究団体です。私はあまりこういう分野には関わったことがありませんでしたが、最近は、お子さんの発達障害を気にして相談をされる保護者が増えてきました。専門施設へ紹介するほどでなければ、そこそこの対応はできますが、専門施設へ紹介となると、診察の順番が回ってくるまで数か月待ちと言うことも多く、それまでの間なにか支援ができないかなと思っていました。そんなわけで、LD学会に勉強に行ってきました。

 学会場は広島国際会議場で、となりに広島平和記念資料館がありました。学会参加者は医師だけでなく、学校の先生や保育士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理士など多岐に渡ります。意外でしたが医師の参加は少なく、医師以外の方が多かったです。

 ふだんは診察室でしかお子さんを診ることができませんが、このように多くの職種の方からお話を聞くことができて大変ためになりました。発達障害と一口に言っても、その範囲は広く、いわゆるグレーゾーンに属するお子さんも多くいらっしゃいます。発達障害の有無にかかわらず、支援が必要なお子さんは多いです。専門施設やかかりつけ医のような医療機関だけではなく、地域での子育て支援施設や行政が一体となって支援できる枠組みが必要と感じました。

 昼休み時間に平和記念資料館に行ってきました。大勢並んでいましたが、あまり待つことなく入場できました。見るもの全てが悲惨でした。海外からも多くの人が来ており、時折すすり泣く声も聞かれ、一層悲痛な気持ちになりました。私の亡き祖父は戦争体験者です。戦地に行ってきました。子どものころに何度も戦争の話を聞かされました。そして最後は必ず、「戦争だけは、決してやってはいけない」でした。今、世界中至るところで戦争が起きています。国連もほとんど機能していないように見えます。なんとかならないのでしょうか。一刻も早く世界中の戦争が終結することを願ってやみません。

   
 原爆ドーム    広島平和都市記念碑

2023年7月23日(日)
盛岡愛

 大雨になったり、猛暑になったり、今年の夏は天候不順です。体調管理も難しくなります。来月も暑くなるようですので、熱中症対策をしっかりと行いましょう。

 今年はいわゆる夏かぜらしきものが5月頃からズ~と流行っています。RSウイルスはまだ流行が止まりません。ヘルパンギーナも徐々に増えてきました。アデノウイルス溶連菌もちょこちょこ見られます。他に名のない?ウイルスでしょうか、やたらと発熱が続く夏かぜもよく見ます。それにコロナが混じってきます。他の夏かぜと比べるとコロナは特徴に乏しくわかりにくいですが、年長時~学童ですと、発熱+咽頭痛の症状が見られれば、そのうち何人かはコロナです。また、保育園、幼稚園ですと、周囲にコロナの子がいて1~2日くらいの発熱だとコロナの場合があります。例年なら夏の小児科はヒマなのですが、今年はそうでもなさそうです。感染経路はほとんどが喉、鼻です。よく手洗いをして、手を喉、鼻に触れないようにしましょう。

 夏の高校野球が盛り上がっています。今年はベスト4に盛岡勢が3校名を連ねています。今年の岩手県は突出した学校がないようで、いわゆる群雄割拠の様相を呈しています。どこの学校にもチャンスがあるようにみえます。ベスト4の顔ぶれから、本命 花巻東、対抗馬 盛岡三、ダークホース 盛岡商、大穴 盛岡一とまあ、勝手な予想をしていますが、できれば盛岡の名前がつく学校に行ってほしいですね。

 大相撲も盛岡市出身の錦木が頑張っています。今場所は先場所からの勢いに乗って、あわよくば優勝?という期待も持たせてくれました。しっかりと手をつく立ち会いは、見ていて気持ちがいいですし、相撲内容も跳んだり叩いたりしないで、しっかりと組んで力比べの相撲を取ります。地味ではありますが玄人受けする相撲です。残念ながら終盤失速しましたが、相撲内容からは敢闘賞や殊勲賞を受賞しても良いかと思います。今日の午後が千秋楽で北勝富士と対戦します。北勝富士が勝てば豊昇龍vs伯櫻鵬の勝者と優勝決定戦です。残念ながら錦木は優勝争いから脱落していますが、ここは、意地を見せて北勝富士に勝ってほしいです。そして来場所はさらなる飛躍を期待しましょう。

 ニューヨーク・タイムズ紙「2023年に行くべき52カ所」に「盛岡市」が選ばれました。なんとなく、どうして?とい気もしますが、自分の住む街が良い評価を受けることはうれしいです。私は生まれも育ちも盛岡です。学生時代を含めて10数年は盛岡を離れましたが、人生の大半をこの街で過ごしています。高校野球も大相撲も「わが町バンザイ」です。これが盛岡愛というものでしょうか。

2023年6月14日(水)
いろいろな感染症

 少しずつ暑くなってきましたが、相変わらず、いろいろな感染症が流行っています。RSウイルス感染症は昨年の10倍以上の流行とのことです。誰かが言ってましたが、夏と冬の感染症が一気にやって来たとか?

 この3年間、みんなが感染予防に努めたおかげで、いつも罹るようなありふれた感染症が鳴りを潜めていました。それが今年一気に息を吹き返しました。

 みんなマスクをして、手を洗って、不要な外出は避けて、大人の会議はリモートになり、飲み会もなくなって、子どもは運動会も修学旅行も止めて、一生懸命頑張ったのに、それが、良かったような?悪かったような?感染の機会が減って免疫力が落ちてしまったというのは確かでしょうね。

 自然に罹って免疫ができることが望ましいなんていう人もいます。しかし、軽くすめば良いですが、どんな感染症も軽くすむという保証はありません。やはり罹らないのが一番です。そういう意味ではこの3年間の対策はやむを得なかったと思います。

 ちょっと話はそれますが、最近、海外から麻疹が持ち込まれたようです。国内ではほぼ絶滅した麻疹ですが、海外ではまだ流行地域があります。麻疹は本当に怖い病気です。インフルエンザよりもコロナよりも怖いです。しかし、ワクチンでほぼ防ぐことができます。1回目は1才過ぎたらすぐに接種、2回目は小学校に上がる1年前になったらすぐに接種しましょう。麻疹は春の終わりから夏にかけて流行します。未接種のお子さんは接種を急いでください。

 では話を戻して、いろいろな感染症が流行っているとは言うものの、圧倒的に軽症が多いです。一方で、コロナ前と比べると、やや重症なお子さんが目立ちます。例えばRSウイルス感染症は生後6か月くらいまでは、かなり重症で入院するケースが多いですが、乳児期を過ぎると、比較的軽症化し外来治療で治癒できることがほとんどです。しかし、今年は乳児期以降でも入院するケースが増えています。また、RSウイルス以外でも発熱や咳嗽が続いて入院紹介することがあります。こういう場合、従来ですと、「風邪がこじれた程度」でしたが、今年は圧倒的に肺炎が多いです。やはり、免疫が十分にないのでしょうね。

 夏かぜ御三家(手足口病ヘルパンギーナアデノウイルス)もチラホラ見かけるようになってきました。呼吸器感染症の感染経路は鼻腔、咽頭が圧倒的に多いです。感染予防の基本は手洗いです。よく手を洗って、手を顔に触れないようにしましょう。マスクはバイ菌を他の人にうつさないためのもの。咳をしたり、発熱のある人はマスクをしましょう。これはエチケットです。

2023年6月1日(木)
乳幼児健診写真サービス終了

 新型コロナウイルス感染症が5類感染症となって、約1か月が経ちました。世の中はだいぶ以前のような活気を取り戻してきました。観光地の賑わいほぼ回復したように感じます。

 ところで、マスク着用は個人の自由となったものの、まだ大勢の人がマスクをしています。特に、スーパーマーケットのような人の集まるところでは、そうですね。私も入店するときは、なんとなく意味ないなあ?と思いながらも、マスクを着用しています。

 医療機関もあまり変わりません。コロナ感染が疑わしい人は相変わらず院外で検査しています。はっきりコロナ感染症と分かっている人を院内で診察して良いものか?いくら、動線を分けても狭い院内では隔離に限界があります。他の患者さんがいないときには院内で、いるときは院外で診療というスタイルも以前とあまり変わりません。なんとなく前と変わらんなあ?と思いながら診療しています。

 10年以上前から、乳幼児健診の時に赤ちゃんの写真を撮って、保護者にプレゼントしていましたが、この写真サービスを5月で終了することにしました。始めた当時は生後2か月から1才までの赤ちゃんの成長の様子をアルバムにできると大変好評でした。しかし、スマホが普及するにしたがって、紙媒体の需要が著しく少なくなってきました。写真撮影は希望される方だけに行っておりましたが、最近は、そういう方も少なくなってきたので、そろそろ潮時かと思ってました。これも時代の流れですね。

 この頃、発熱が続く感染症があちこちの幼稚園、保育園で流行っています。RSウイルスアデノウイルス溶連菌など原因が分かる「いつものウイルス」だけでなく、「なんらかのウイルス」が流行しているようです。

 コロナが流行した3年間は、「いつものウイルス」が見られなくなったり、復活したりしました。いずれコロナも「なんらかのウイルス」から「いつものウイルス」になっていくのでしょう。社会全体がそういう認識をするまでには、まだまだ時間がかかりそうです。

2023年5月7日(日)
いよいよ5月8日

 3年あまりに渡って、私たちを苦しめた新型コロナウイルス感染症が、いよいよ明日、2類相当感染症から5類感染症となります。何がどう変わるのか?よく分からない人も多いかと思います。

 町の診療所では、インフルエンザ同様の診療体制で良いように言われていますが、はたして、どうなんでしょう?今の今まで、コロナが疑わしい人は他の患者さんと厳密に分けて診療しなければならなかったのが、たった1日でコロッと変わる?しばらくは混乱しそうですが、毎日毎日繰り返されている「今日は~人」の報道がなくなれば、次第に落ち着いてくるんでしょう。

 ところで、5類感染症となることによって、コロナ感染後の療養期間が大きく変わります。今までは、症状が出現した日の翌日から7日間の安静が必要でしたが、5日間に短縮されます。さらに、自宅待機は、強制ではなく推奨になりました。コロナ感染後の療養については、次のように新たな取り決めがなされました。

療養について
・陽性が判明した場合、医師の指示等に従って、無理せず学校や職場等を休むなど、自宅で安静に過ごしましょう。
・学校については出席停止期間が定められていますので、医療機関又は学校にご確認ください。

療養期間
・発症翌日から5日間※は外出を控えることが推奨されます
※国の通知では「発症翌日から5日間かつ症状軽快後24時間が経過するまで」とされています
・法律に基づく外出自粛は求められませんが、発症後10日間はマスク着用や高齢者等ハイリスク者との接触を控えるなど周囲の方にうつさない配慮をお願いします。

同居家族・濃厚接触者について
・濃厚接触者について:5月8日以降、一般的に保健所から新型コロナ患者の「濃厚接触者」として特定されることはありません。また「濃厚接触者」として法律に基づく外出自粛は求められません。

同居家族に陽性が判明した場合
・陽性になった方のご家族も外出自粛は求められませんが、ご自身の体調にご注意ください。
※7日目までは発症する可能性があると言われています。特に5日目までは体調管理に注意してください。

 以上のようになりました。「発症翌日から5日間※は外出を控えることが推奨されます」とあるように、コロナに罹っても、必ずしも自宅安静をしなくても良くなりました。これは厚労省通知ですが、学校などは文科省通知で、出席停止期間と明示しています。したがって学校などは休むことになりそうです。

 一般社会でも学校でも、感染したら、いくら元気でも少しは自宅安静した方が良いと思います。それが5日間と言うことですが、一般社会では推奨ですので、コロナに罹っても、ふつうに出歩く人も見られそうです。職場ごとで決まりを作る必要があります。

 濃厚接触者という区別もなくなりますので、かなり、自由な生活に戻れることは間違いありません。喜ばしいことです。とは言え、なんとなく混乱しそうです。明日の外来はどうでしょう。

2023年4月1日(土)
開院記念日

 今年は暖かくなるのが早いですね。もう全国で桜の便りが聞こえてきます。当院の向かいにある児童公園の桜も4月上旬には見頃になりそうです。今日4月1日は当院の開院記念日です。平成8年4月1日に開院しました。今日からは開業28年目に入ります。時の経つのは早いですね。

 インフルエンザもコロナも下火になってきました。インフルエンザはこのまま収束しそうですが、コロナはまだ気になりますね。一昨日、発熱で受診した中学生は「何となく怠そう」という感じでした。どうかな?と思って検査したらコロナ(+)でした。昨日は、発熱したばかりの元気な1才児がインフルエンザ(+)でした。少なくなったとは言え、まだ注意が必要です。

 4月から、少し予防接種の変更があります。一つは今まで生後3か月から開始していた四種混合ワクチンが生後2か月からの開始になります。生後2か月くらいでも百日咳に罹患するために接種開始を1か月早めることになりました。もう一つは、新しい子宮頸がん予防ワクチンが定期接種(公費)できるようになりました。子宮頸がん予防ワクチンはサーバリックス(2価)、ガーダシル(4価)、シルガード9(9価)の3種類があります。3月までは定期接種(公費)で接種できるのはサーバリックス、ガーダシルの2種類でしたが、4月からは、シルガード9も定期接種(公費)に組み込まれます。

 シルガード9はサーバリックス、ガーダシルよりも予防するウイルスの数が多くなりますので、より効果が期待できます。現在、サーバリックス、ガーダシルを1~2回接種している人は、そのまま同じワクチンを接種しても良いですし、残りの回数をシルガード9に変更して接種することもできます。しかし、いくらワクチンの守備範囲が拡がっても完全に子宮頸がんを予防することはできませんので、子宮頸がん予防には定期検診も必要なことにかわりはありません。

 ところで、このシルガード9の接種回数が少しわかりにくいです。医療機関への自治体からの説明は次のようになっています。

①.9才以上の女性:合計3回接種
②.9才以上15才未満の女性:初回接種から6~12か月の間隔を置いて合計2回の接種とする。
 文面どおり受け取ると、15才以上の女性は3回接種ですが、9才以上15才未満の女性は2回接種でも3回接種でも、どちらでもよいことになります。はてさて?不思議ですね。

 シルガード9を定期接種に組み入れることが決まった頃は「9才以上の女性:合計3回接種」の予定だったようです。3回接種が2回接種でも良くなったことについては、厚労省のHPに「HPVワクチンに関するQ&A」→「問4-2. 年齢によってシルガード9の接種回数が異なるのはなぜですか?」に詳しい説明が掲載されています。

 それによりますと、「シルガード9を合計2回の接種で完了する用法については、9~14歳の女性を対象に臨床試験が行われ、効果と安全性が確認されたうえで薬事承認がなされており、シルガード9を2回接種した9~14歳の方における有効性は、3回接種した方と比べて、劣ってはいないことが報告されています。また、米国やカナダ、オーストラリアなどの諸外国では、原則、15歳になるまでに1回目の接種を終えていれば、2回で接種完了としています。

 これらの背景から、15歳になるまでに1回目の接種を行った方は、2回で接種を完了できることとしています。なお、シルガード9を含め、HPVワクチンの定期接種は小学校6年~高校1年相当の女子が対象であり、標準的な接種期間は、中学校1年(13歳になる学年)の女子となっています。」ということだそうです。

 昨年度のうちに接種券が送られてきた方には3枚の接種券が届いたはずです。今年度は小学6年生と中学1年生には2枚の接種券が届くはずです。

 今後は9才以上15才未満の女性は2回接種になるように思いますが、3回接種も可能です。当院では接種時にこの事をご説明してから接種回数を決めるようにします。

 今年も開院記念日のお花をいただきました。昨年の今頃はコロナの検査でバタバタしていました。今年は少し余裕があります。きれいな花を見ていると心が和みますね。

2023年3月11日(土)
あの日から12年

 この頃一気に暖かくなってきました。東京ではもう桜が咲いているようです。スギ花粉もけっこう飛んでます。南東北は大量の花粉が飛んでるようですが、岩手県は昨年並みのようです。とは言え、昨年かなり飛散しているので要注意ではあります。

 3年ぶりのインフルエンザ流行はなかなか収束しませんが、少しずつ流行範囲は狭まってきたようです。ある程度流行すればその地域はおさまり、また他の地域で流行が見られるという繰り返しです。今シーズンはコロナと同時流行?などといろいろ危惧されましたが、今のところそういうことはなさそうです。

 この3年間、コロナで振り回されていましたが、5月8日からは少しまともな世の中に戻るんでしょうか?今はマスクだけでなく、フェイスシールド、手袋、ガウンを着用して診療しています。いつまでこんな格好で診療しなければならないのか?日々疑問に思っています。5月8日前に少し軽装備にしたいですね。

 今年もまた、3月11日がやって来ました。昨年のこの日に佐々木朗希投手のことを少し紹介しました。まさか、その1年後にWBCに出場するとは?全く思ってもいませんでした。

 今年のWBCすごく盛り上がっています。第1戦では二刀流大谷翔平選手の打って投げてのいつもどおりの大活躍で完勝しました。第2戦はダルビッシュ投手の不調をカバーするかのように打線が爆発して終わってみれば大勝でした。そして第3戦、先発は佐々木朗希!偶然の巡り合わせではないでしょうね。WBCに出場が決まって、試合日程が決まったときに、栗山監督は3月11日は佐々木朗希先発と決めたのでしょう。

 佐々木投手は小学3年の時、東日本大震災の津波で父と祖父母を失いました。夜が明けたら周囲はとんでもない光景になっていたでしょう。これから先どうなるのだろう?言葉では表現できない絶望感しかなかったと思います。お父さんはまだ37才の若さで他界されました。お母さんのご苦労は計り知れません。ご家族みんなで苦難を乗り越え、素晴らしい日本野球の宝を育ててくれました。

 震災で大切な家族を失った人達はたくさんいらっしゃいます。一度は希望を失なった少年が、多くの人達に希望を与える投手になって、きょうのマウンドに立ちます。もちろん快刀乱麻の活躍を期待しますが、勝敗よりも思う存分投げきってほしい。お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、みんなが見守っています。

2023年2月17日(金)
インフルエンザ大流行?

 2月になって1週間に1日くらい大雪が降りましたが、少しずつ寒さも緩んできたようです。そろそろ三寒四温の季節ですね。スギ花粉症の人は、鼻がムズムズし始めてきたと思います。早期治療を始めましょう。

 この頃、インフルエンザがものすごい勢いで増えています。過去2シーズン流行がなかったため、多くの人が免疫が少なくなっています。そのためか、今までにないくらいのスピードで流行しているという感じです。

 一方、新型コロナの方は徐々に減少に転じています。この頃は緊急事態宣言とかもなく、特別なことをしなくても自然に減少してきたようにも見えます。新型コロナの流行もインフルエンザの流行もだいたい左右対称な山型の増減パターンを取ります。時間とともに自然に増加して自然に減少していくという現象に見えます。私達がいくら感染予防を頑張っても、すぐに山の下降線にはなりませんが、山の高さ(ピーク)を低くおさえることはできます。

 以前に『エラーカタストロフの限界』【2021年10月5日(火)】というお話をしました。ウイルスは増殖するときに自身の遺伝子をコピーして子孫に伝えていきますが、増殖のスピードが速くなりすぎるとコピーミスが起きやすくなります。少しくらいのコピーミスならあまり問題ないですが、生命維持に必要な遺伝子までコピーミスしてしまうと、もはやそのウイルスは増殖できなくなり自滅してしまいます。今の新型コロナの減少の原因として、このようなウイルスの自滅も考えられます。

 昨年の夏頃には、今シーズンは新型コロナとインフルエンザの同時流行が危惧されましたが、今のところ、同時流行というほどではないですね。また、新型コロナとインフルエンザに一緒に罹る人は少数で、ほとんどの人は同時感染しません。

 ウイルスの人(宿主)への感染は椅子取りゲームみたいなもので、どちらか一方のウイルスが先に感染すると他のウイルスは感染できなくなります。今は、圧倒的にインフルエンザ優勢のようです。この先どうなるか見当がつきませんが、インフルエンザの流行が終わる頃には、また新型コロナが息を吹き返すかもしれません。いやはや、まだまだ前途多難です。

2023年2月5日(日)
「電話が繋がらない」のお知らせ

 先週水曜日の大雪にはまいりました。朝から晩までやむことなく、ず~と雪が降りました。木曜日は雪もやみ、比較的穏やかな天気でしたが、午後になって異変が起こりました。といっても天候ではなく、なんと、クリニックの固定電話が繋がらなくなってしまいました。

 隣の薬局に電話したら、何度かけてもお話中?ちょっと他院に用事があって電話したところ、やはりお話中?こりゃおかしい。そこで携帯から薬局にかけたら、ちゃんと繋がる。薬局からこっちにかけても繋がらないとのこと。え~?当院の電話が全く使えなくなりました。しかし、Web予約はキチンと作動しているし、ネットも繋がる。となると、ケーブル~電話用モデムの故障とか、とても自分では対処できそうにもないので、いつもお世話になっている電話会社に連絡したところ、遅い時間にもかかわらず、見に来てもらえました。

 いろいろと調べてもらったところ、院外での接続に問題があるようで、ちょっとやそっとでは直らないようでした。どうもこの大雪が影響してるらしいとのこと。さあ困った。時間は6時半を過ぎており、どこに連絡しても繋がらない。それにこの日は夜間急患診療所の当番なので、そろそろ出かけないとならない。いやはやまいった。

 明日になったらまずNTTに連絡しようということにして、さしあたり、当院をご利用なさっている方には、事情をお知らせしようと、夜間急患診療所から帰宅後、【「電話がつながらない」のお知らせ】をWebに掲示しました。ご覧になった方は驚かれたと思います。

 金曜日朝一番に、NTT始め関連する業者さんたちに連絡をしたところ、皆様から早急に対処していただけるとご返答をいただきました。どうもあちこちで電話回線の事故が起きているようで、土曜日に順番に回っていくので、到着30分くらい前に連絡すると言うことでした。

 何とか、土曜日のうちに復旧してほしいと思っていたところ、午前中に連絡が入り、昼前に点検してもらえました。その結果、外部の電話回線を受ける機器が劣化していたということが判明しました。大雪の影響は定かではありませんでしたが、原因がわかり早速工事していただいたところ、電話回線が復旧しました。あ~ホッとした。電話が繋がらなかったのは木曜日の午後から土曜日の午前まででしたが、ものすごいストレスでした。

 当該事業者の皆様には、迅速にご対応いただき、心より感謝申し上げます。また、当院をご利用いただいてる皆様にもご迷惑をおかけしました。2月6日(月)からは、従来通りの電話によるお問い合わせが可能です。

 話は変わりますが、この頃、インフルエンザが増えてきました。流行り初めはだいたい学校、幼稚園、保育園ですので、ある程度流行地域が限定されてきます。その一方、コロナは少なくなってきました。そろそろ、バトンタッチでしょうか?同時流行はしないと思っていますが、油断はできません。

 先日インフルエンザに罹ったお子さんの保護者から、家族や兄弟の待機期間は何日ですか?と聞かれました。インフルエンザでは家族の待機期間はありません。ふつうに生活して大丈夫です。みんなすっかりコロナに慣れてしまいましたね。

2023年1月1日(日)
あけましておめでとうございます。

 あけましておめでとうございます。今日は朝から雪が降っています。午後からは天気は回復するようです。雪がやんだら初詣に行ってきます。あまり積もらないと良いですね。

 今年は卯年です。うさぎから受けるイメージは優しい感じですが、卯年はどんな年なんでしょう。本来の干支とは「十二支(じゅうにし)」」と「十干(じっかん)」を組み合わせたものです。十二支とは時間を表し、「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種の動物を当てはめています。この十二支に、空間を表す十干「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10の要素を加えたのが、60種からなる「干支」です。 双方を組み合わせた干支を六十干支(ろくじっかんし)ともいい、60年で一巡します。

 60才になると「還暦のお祝い」を行う習慣があります。これは、生まれてから60年で六十干支が一巡し、元に戻ることに由来しているのだそうです。

 六十干支でいうと、今年2023年は「癸卯」となります。「癸」は十干の最後で、一つの物事が収まって、新しい物事へ移っていく段階を意味します。「卯」はもともと「茂」という字が由来といわれ、繁殖する、増えるという意味があります。また、「卯」という字の形が「門が開いている様子」を連想させることから「冬の門が開き、飛び出る」という意味があると言われています。

 こういうことから「癸卯」の2023年は、昨年までのいろいろなことに一区切りついて、成長や繁栄という新しい世界が広がっていく年と解釈できます。なんとなくコロナの収束を期待したくなる「癸卯」です。