診察室便り

2008年6月23日(月)
夜尿症学会

 一昨日、仙台市で開催された【日本夜尿症学会】に行ってきました。午前の診療終了後、新幹線で行ってきました。仙台くらいなら日帰りでいけますから便利ですね。

 夜尿症というと「子どもの病気」とか、「そのうち治るだろう」とか思われがちですが、結構大人でも夜尿症で悩んでいる人はいるようです。成長とともに治るというのもみんながそういうわけでもないようです。
 毎年、修学旅行や泊まりの行事が近くなると、夜尿で相談にいらっしゃる方は多いです。

 【難治性夜尿症の病態と対応】というシンポジウムがありましたが、全国あちこちで治りにくいお子さんの治療に悪戦苦闘しているようでした。私の所にも夜尿症で治療している方がたくさんおりますが、確かに治りにくいお子さんも多いです。
 夜尿症には、@.尿量の多いタイプ→タップリ、ぐっしょり型。 A.排尿機能が未熟(膀胱容量が少ない)タイプ→チョッピリ、何回も型。 B.解離型→昼間はおしっこをためることができても、夜間になるとチョットおしっこがたまるとすぐ排尿してしまう型。  C.これら3つのタイプが一緒になった混合型。という具合に分類されていますが、そんなにスッキリと分類できるわけでもないです。

 昔と比べると、夜尿症の治療も新しい薬が出てきて、随分すすんできたように思いますが、イマイチですね。何とか夜間にたまる尿量を少なくすることができても、膀胱に十分尿がたまらないうちにでてしまうようです。昼間の膀胱訓練(排尿我慢トレーニング)なども効果があるようですが、かなり長期戦になることを自覚して治療することも大切です。

 ところで、夜尿症のお子さんがみんな治りにくいわけではなく、ときどき、あっさり、すぐに治ってしまうような時もあります。そういう場合、大体が鼻や、喉に問題があることが多く、『睡眠不足が原因』となっています。
 なぜ、睡眠不足で夜尿症になるのかというと、睡眠中に脳から「抗利尿ホルモン」というホルモンが分泌されますが、このホルモンは尿を体内にためる働きをします。
 睡眠不足になると、このホルモンの分泌が悪くなり、その結果、尿がたまらず、「ジャー」ということになります。(ですから、夜中に起こすということはホルモンの分泌を妨げることになり、良くないのです。)

 アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、扁桃腺肥大、などがあって、夜間、口を開けて呼吸をしているような場合は、睡眠不足となっていることが多く、まずこれらの疾患を治療するだけで夜尿症は改善することがよく見られます。実際、この様なお子さんはたくさんいます。

 全ての夜尿症を治せるわけではありませんが、一人で悩まずに、ご相談にいらして下さい。

2008年6月15日(日)
秋葉原無差別殺傷事件

 こんなことが起きてよいのだろうか。なぜこんな事件ばかり起きるのだろう。
 6月8日の事件発生から1週間たちました。しばらく秋葉原は歩行者天国を中止するようです。被害者の方、ご遺族の方、本当にお気の毒です。
 マスコミ報道では、いろいろなことが言われています。この様な事件が起きるたびに、「今後、二度とこの様な事件が起きないように・・・。」という下りで終わっていますが、何一つ解決の糸口が見つかってないように思います。

 何年か前に起きた神戸のサカキバラ事件、最近の土浦の殺傷事件、駅ホームでの突き落とし事件、等々、これらは、未成年者や若者の異常な犯罪です。この犯人たちは、テレビゲームが得意だったようです。ゲームという作られた世界に没頭しているうちに現実と虚構の世界の区別がつかなくなってしまうんでしょうか。だんだんゲームがないと落ちかなくなり、現実世界で思うようにならないと、すぐ「キレル」ようになるのでしょうか。
 ゲームの世界では、リセットボタン一つで死んだ人が生き返るわけですが、現実でもそのように思いこんでしまうんでしょうか。行き着くところ、人の命の尊さが全くわからない人間になってしまうのでしょう。「人の命は尊いもの」と誰もが教えられているはずですが・・・。

 テレビドラマで殺人事件を題材にした番組があります。テレビのなかではよく人が死にますが、ある番組で殺された俳優さんが、別な番組では生き返って出演しています。作り物の世界だから当然ですが、どこかゲームの世界と似ているようにも感じます。こんなことも人の命を軽んじることにつながりはしないかと、いつも気になっています。

 話は秋葉原に戻りますが、容疑者の両親がテレビ取材に応じている報道がありました。これを見た人はどう思ったのでしょう。あれだけの大罪を犯した子の親が謝罪をするのは当然として、よくテレビに出たものだと思います。普通の感覚の持ち主なら、とても遺族に申し訳なくて人前にでられるはずがないと思いますが、どうでしょうか?。きちんした謝罪と思った人はいたでしょうか?。私にはとても真摯に謝罪しているようには思えませんでした。記者の質問にも、「捜査に関することは答えられない」などといってました。自分たちの置かれている立場がわかっているのだろうか?。とても無神経な親にしか見えませんでした。「この親にして、この子あり」というのは、あまりよい言い方ではないかもしれませんが、そう感じました。

 親はみんな我が子にはよい人間になってほしいと思っているはずです。でも、子どもは親の思うように育つものでもないです。子は親を見て育ちます。昔から言われるように「親の背中を見て育つ」ものです。だから、良い子に育てようと思ったら、親が良いことをしてお手本にならなければなりません。
 子どもの代わりに作文を書いてやったり、絵を描いてやったりして、いくら良い成績を取っても、それは明らかなルール違反です。それを子どもはまねをします。良い子になるわけがないですよね。

 加藤容疑者の生い立ちについても連日報道されていますが、こんなになる前に、どこかで修正できなかったのでしょうか。責任の半分は親にもあるのではないでしょうか。日本の将来が心配です。

2008年6月1日(日)
衣替え

 6月1日は衣替え。中学生や高校生は冬服から夏服に替わり、季節の推移を感じます。自分も、長袖から半袖に衣替えをします。でも、このごろ少し寒いですので、もう少し長袖にします。

 白衣から、私服に変えて診療するようになって、10年くらいになりますかね。勤務医の頃は、毎日白衣を着てました。別にそれで何も不自由はありませんでしたが、開業してから白衣はやめて私服で診療しています。

 白衣が嫌だったわけではないですが、よく、「子どもは白衣をみると泣くから」とか、「白衣は冷たい感じがするから」とか、言う人もいますが、そんなこともなかったですよ。

 いつも同じ服装では、何となくパッとしないような気がしたり、患者さんも飽きがくるのではないかと思ったり、、あまり外出することもないので、せめて仕事着くらいは着たいものを着たりしてとか・・・。そんなことから私服で診察するようになりました。どうでしょうか。白衣より親しみを持って頂けますか?。そうだとうれしいです。

 結構、明るく清潔な柄を選んでいるつもりですが、なにか気にかかるような服装でしたら教えて下さい。私の先輩(岩手県外です)で、Tシャツで診療している先生がいますが、チョット砕けすぎですよね。やはり、襟が付いてるシャツでなければいけないと思います。

 このごろ天候不順です。急に暑くなったり、寒くなったり、気管支喘息は季節の変わり目に悪化します。今年は今のところ例年よりも喘息発作で受診するお子さんは少ないです。春よりも秋の方が患者さんは多いですが、6〜7月は要注意です。

 先日、山形へ転居される気管支喘息のお子さんが、わざわざお別れのごあいさつによっていかれました。どうもありがとうございます。環境も変わりますしチョット不安定な季節ですので、体調管理に気をつけてください。
お元気でね。

2008年5月15日(木)
麻疹(はしか)発生!

 この頃、鳥インフルエンザが秋田や青森で見つかっています。韓国でもずいぶん発生しているようです。マスコミ報道によると、やっと、政府や、地方自治体も新型インフルエンザ対策に本腰を入れ始めたようです。新型インフルエンザの話は、また日を改めてするとして、本日は、麻疹の話題です。

 5月8日に矢巾町の9ヶ月女児が麻疹にかかって入院しました。もう軽快していると思いますが、この月令ではまだ、ワクチンも接種できず、麻疹に対して全く無防備です。どうも、ワクチン接種しないで麻疹に罹った人から移ったようです。

 麻疹は、春から夏にかけて流行します。去年の春は首都圏を中心に結構流行しましたが、いつまた流行りだすかわかりません。麻疹にはインフルエンザのタミフルのような特効薬はなく、ワクチンが唯一かつ、確実な防衛策です。麻疹ワクチンの普及で最近は麻疹の患者さんは本当に少なくなり、いくら「重症な病気」と言ってもピンとこないかもしれませんね。

 10年くらい前になりますが、インフルエンザと麻疹の両方に罹ったお子さんがいました(同時ではなく、別々に罹っています)。まだ、タミフルのない時代でしたので、インフルエンザで入院、麻疹でも入院とたいへんでした。後から、お母さんに、「どっちがひどかったですか」と聞きましたら、「麻疹の方がひどかった」ということでした。おそらくそうでしょうね。

 効果絶大なワクチンですが、ワクチン1回接種では免疫が低下して麻疹にかかる心配があるため、欧米先進国では2回接種が常識になっています。
 日本でも、今年から1才〜18才までのお子さんは2回接種ができるようになりました。1回目接種(第1期)は1才になったらすぐ接種します。2回目接種は、小学校入学1年前の1年間(第2期)、中学校1年生(第3期)、高校3年生(第4期)です。第1期、第2期は、結構接種されいるようですが、第3期、第4期は、どうも出足が悪そうですね。

 麻疹ワクチンは、1回接種すれば約10年くらい効果が持続しますが、その後はだんだん効果が薄れてきます。中学校1年生(第3期)、高校3年生(第4期)では、殆ど免疫がなくなっている場合もありますから、早く接種しましょうね。

 勉強、部活も忙しいかもしれないけど、健康が第一ですよ。「自然に罹って免疫をつければいい」なんて馬鹿なことを言ってる人がいるけど、とんでもない話です。命をかけて免疫を作りますか?脅かすわけじゃないけど、ワクチンがない頃には、日本では、麻疹は「子どもの命定め」、フランスでは、「子どもの自慢は麻疹が済んでからするように」と言われていた時代がありました。

詳しくはこちらをクリック→麻疹

2008年5月11日(日)
Hib(ヒブ)ワクチン

 Hib(ヒブ)ワクチンについて、お便りをいただきました。やっと日本でも接種できるようになります。今年の秋頃からは接種開始できそうです。

M・Hさんからの


 息子も3ヵ月になり、予防接種をはじめようと思っていたところ、細菌性髄膜炎という病気の存在とヒブワクチンが予防に効果的であると知りました。このヒブワクチンも任意でもぜひ接種させたいと思っております。 今年の夏からということのようですが、貴院ではいつ頃開始されるのでしょうか。三種混合と同時に接種することが一般的らしいので、今後の予防接種をどう進めるべきか迷っています。
 お忙しいところ申し訳ありませんが、ご助言お願い致します。



 お便りありがとうございます。最近テレビでもHib(ヒブ)ワクチンの報道があったようです。その番組は見ませんでしたが、少し関心が高まってきたということでしょうか。よいことです

 Hib(Haemophilus Influenzae b)は、インフルエンザ菌 b型といいます。冬に流行るインフルエンザウイルスとはまったく別なものです。   
 この菌による細菌性髄膜炎はとても重症で、乳幼児に多くみられ、生後4ヶ月から増加し、0才児にもっとも多く見られ、2才までに66%が罹っています。死亡率が5%、運動マヒ、精神遅滞、難聴、てんかんなどの重い後遺症が20%というとんでもない病気です。  
 また、なかなか診断が難しく、進行も早いために、アッという間に重症になってしまいます。経口(飲み薬)の抗生物質はまず効きません。

 Hibワクチンは、安全性が高く、有効率は100%近いといわれています。1980年代後半から先進国で普及し、現在、開発途上国を含めた世界100か国以上で使われています。導入した国では髄膜炎患者が激減し、すでに「過去の病気」となっていますが、日本では、5才未満乳幼児のHib髄膜炎は、年間2.000人に1人が発症しています。これは毎年500人〜600人の乳幼児がHib髄膜炎に罹っている事になり、実に悲惨たる状況にあります。

 当初、今年の1月から実施予定でしたが、夏にずれ込みました。さらにまた遅れて、早くても今年の秋頃になりそうです。当院では、実施可能になればすぐ接種開始します。
 Hibワクチンは、0才時(3ヶ月〜)に3回、1年後に1回の計4回の接種が必要です。三種混合ワクチンと同時接種が認められていますので、三種混合ワクチンと同時に接種する時は、それぞれ右腕と左腕に接種すればよいですが、単独でも接種できます。

 お子さんが今3ヶ月なら、まず三種混合ワクチン、BCGを早めにすませ、秋にHibワクチンを予定すればよいと思います。ポリオは定期接種ですが、今の日本にはない病気ですから、秋の接種は、Hibワクチンを優先的にした方がよいと思います。ただ、任意接種ですので有料になります。1回7.000円くらいといわれてますので、4回で、28.000円くらいになりそうです。とても料金が高く、おそらくなかなか普及しないように思われます。費用の一部を自治体から公的に補助するような制度が必要と考えています。

 Hib(ヒブ)ワクチンの詳細については、HPから→予防接種→Hib にリンクして下さい。(お便りをきっかけに作りました)

2008年5月7日(水)
連休

 昨日で連休も終了しました。今年の連休は遠出せず家でのんびりしていましたが、去年もそうでした。一昨年はチョット遠くへドライブしました。
 どうも人の大勢いるところは苦手で、つい、出不精になってしまいます。子どもたちも大きくなってくると、クラブ活動やら何やらであまりあっちっこっち連れて行ってくれといわなくなり、少し助かっています。

 昔は飛び石連休なんていって、続けて休むことが少なかったように思いますが、変わりましたね。ゴールデンウイークに限らず、国民の祝日も●月○日じゃなくて、曜日になってしまいました。なにか無理矢理続けて休みを取るようになったような気がします。これでいいのかな。確かに続けて休めるのはいいけど、祝日の意味がぼやけてしまいますよね。

 学校の土・日休みも見直されていくようです。ゆとり教育といった反面、やはり学力低下を招いてしまったようです。土・日は学校へ行かず塾通いというお子さんも多いようです。自分が子どもの頃に毎週2連休があったらどうしていただろう。多分することがなくなってぶらぶらしていたんじゃないだろうか?でもまだ当時は外で遊ぶ子が多かったけど、今は休みの日には学校の校庭にも入れない。これじゃ連休になると何をしてよいのか、逆にストレスがたまりますよね。おまけに3連休もよくありますしね。

 やはり、祝日は最初に決めたように、曜日ではなく、●月○日が良いと思いますよ。でもたまには連休もほしいですよね。どんな仕事をしていてもときどきは連休が自由にとれるような世の中になればよいです。自分のような職業はまず、無理かな?

2008年4月24日(木)
新・夜間急患診療所

 4月1日から夜間急患診療所が元競馬会館に移転しました。昨日、初めて出勤しました。全体の間取りは今までと同じ感じでしたが、広くなって、とてもきれいでした。

 岩手放送の取材があるということでしたが、患者さんを診察しているところをビデオに撮っていきました。いつもは白衣を羽織るようにして診察していますが、テレビ放送ということでしたので、きちんと白衣のボタンを締めて少し緊張しながら診察しました。いつ放送されるか聞き逃しましたが、近々と思います。私は何も聞かされていませんが、どんな内容の番組なんでしょうね?!。

 昨日は、あまり混み合わず平穏な1日でしたが、帰り間際にちょうど靴を履こうとしたとき、熱のある赤ちゃんが受診しました。わざわざ宮守村から来たと言うことでした。ギリギリ間に合ってよかったですね。診察後、お父さんもお母さんも、とても喜んで帰りました。
 私の自宅はこの近くですので、交通手段は自転車です。今日の診療で特別なことをしたわけではないですが、わざわざ遠くから受診した赤ちゃんを時間ギリギリで診ることができたということだけで、最後になにかとても良いことをしたような気がして、ニコニコしながら鼻歌交じりで自転車に乗って帰りました。酔っぱらいと間違われなかったかな?。

2008年4月11日(金)
ノロウイルス集団発生

 『盛岡の保育園で感染性胃腸炎』という記事が今日の朝刊に載ってました。テレビのニュースでも報道されたみたいです。実は、この保育園の園医は私です。

 昨日の朝、その前日に夜間診療所に勤務した先生からお電話をいただきました。「昨晩、〜保育園に通っている子たちが嘔吐で受診したけど、チョット人数が多いのが気になる。」ということでした。「園医さん気をつけてみてちょうだい」というわけで、さっそく園に電話しましたら、確かにそれらしい子が多いようでした。保健所に連絡してもらい、その日のうちに保健所が園に来て検査していきました。

 その結果は、新聞にあるように、検査の結果5人の便からノロウイルスが検出されたとのことです。(本日さらに4人から検出され、合計9人になりました)。
 幸い、今のところ重症な子はいないようですし、最初に発症した子たちは軽快したようです。

 こういう報道があると、みんな心配して受診しますよね。そして「ノロウイルスの検査をしてほしい」といわれますけど、ノロウイルスの検査は保険がききませんので、自費になります。簡単な検査で4〜5千円くらい、詳しい検査だと1万円以上かかります。保健所の検査は行政検査ですので費用はかかりませんが、これは今回のように集団発生が疑われた場合に行われる検査です。ですから普通の診療所ではあまりノロウイルスの検査をすることはありません。

 ノロウイルスにはインフルエンザのような特効薬がありませんから、治療する上ではノロでもロタでも、その他のウイルスでもあまりかわりありません。ただ、集団発生が疑わしいときは、感染拡大を防ぐためにも検査が必要に思います。その時は保険をきかせてほしいですよね。
 
 ノロウイルスの集団発生はときどきあります。冬に多いといわれていますが、もう年中見られるようになりました。あまり重症化しないといわれていますが、抵抗力の弱い高令者や乳幼児は少し心配です。今回のように早めに対応できれば感染の規模も小さくてすむでしょうし、あまり重症者もでないと思います。早く終息すればよいです。

2008年4月6日(日)
花粉症

 このごろだいぶ花粉が飛んでるようです。地域によって差はあるでしょうが、去年よりも多いようです。患者さんも去年より症状がきついと行って来院しています。私もスギ花粉症ですのでよくわかります。幸い室内での仕事ですからあまり外に出かけないため、今のところそんなにひどくないです。でも油断して薬を飲み忘れたりするとすぐハックション、グズグズですからね。嫌になってしまいます。ひどいときは夜中に鼻が詰まって目が覚めるときもありました。最近は、まじめに(?)薬を飲んだり、点鼻、点眼していますので調子よいです。

 私がスギ花粉症になったのは大学に入った頃でした。鼻はでる、詰まる、目はかゆい、なんなんだこれは?という具合でした。市販の点鼻薬で一時的によくなってもだんだん薬が効かなくなり、最後は、頭に来て薬瓶を壁にぶつけたら跳ね返って自分の頭に当たりました。何とも情けない話です。
この薬は血管収縮剤だったんですね。今だったらまず使いませんけど、当時はまだ学生それもまったく専門の勉強をしていない頃でしたので何もわかりませんでした。

 盛岡市の場合、スギのシーズンは大体5月の連休くらいまでです。4月初旬〜中旬がピークですので、ここ2〜3週間はきちんと治療しましょう。それから、マスクを忘れないようにマスクは結構効果がありますよ。

2008年4月1日(火)
開院記念日

 本日4月1日は、当院の開院記念日です。12年前の今日開院しました。小雪が舞う寒い日でした。当院はマンションの1階ですがマンション完成と同時に入居しました。この日は引っ越してくる人もいて駐車場は少し混みましたが、来院した患者さんは13人しかいませんでしたので、あまり混雑することも無く、無事1日の診療を終えました。(13人で混雑ということはまずないですね。)
 1日で13人しか診ないんですから疲れるわけないですが、なぜかとっても疲れました。忙しくて疲れるのではなく、あまりヒマでも疲れるんですね。この13人の中には今もときどき受診するお子さん(?)もおります。

 1日終わってホッとしていたら、同じマンションに住み始めたお子さんが、じんましんがでたというので受診しました。引っ越したばかりで荷物もほどけず、コンビニの弁当を食べたとのことですが、チョットあわなかったのかな。でもすぐよくなりましたね。このお子さんも今はもう引っ越していません。

 4月は、私たち小児科医にとって少しのんびりできる月です。あまり流行病(はやりやまい、つまり感染症)もなく、新学期はみんな張り切って、通園通学しますので、病院に来るお子さんは少なかったのですが・・・。

 最近は、少し事情が変わってきました。
朝起きると、【ハックション〜グズグズ】という具合に花粉症が幼児期からも見られるようになりました。風邪が治りにくいと思っていたら花粉症なんてこともよくあります。スギ花粉症の発症年令は年々低年令化しています。
 両親がスギ花粉症なら、お子さんは、ほぼ100%スギ花粉症を発症します。スギ花粉症の予防は現在殆ど行われていませんが、せめて、花粉が飛びそうな天気の時には外出を控えるようにした方がよいですよ。

2008年3月30日(日)
駆け込み接種?

 麻疹・風疹第2期接種と、2種混合第2期接種は、明日3月31日までです。4月1日になると接種できなくなります。4月1日から小学校へ入学するお子さん、中学校へ入学するお子さんは忘れずに(といっても明日1日だけですが、)接種しましょう。
 
 4月からは、また制度がかわり、麻疹・風疹は中学校1年生と高校3年生でも接種することになります。詳しいお話しは4月になると学校から説明されますので、該当するお子さんは忘れずに早めに接種しましょうね。という具合に毎年同じ話をいていますけど、どうも接種率が上がらないようです。なぜでしょうね?
 
 特に、麻疹に関しては、その怖さがよくわからないのでしょうね。ときどき接種してない人を見かけます。麻疹にかかった方が完全に免疫が出来るとか、予防接種は副作用が心配とかいう人も結構います。現実に自分が罹らないとよくわからないかもしれないけど麻疹は本当にひどいですよ。ワクチンがなければ新型インフルエンザくらいの脅威ですよ。といってもピンときませんか。

 2種混合ワクチンも現行の制度のままでよいか?いつも疑問を感じています。2種とはジフテリア、破傷風のことです。幼児期は3種混合ですが、小学校6年生で接種する2種混合には百日咳が入っていません。昔、大人になると百日咳は罹らないように考えられていました。また、3種のうち百日咳のワクチン成分で腕がよく腫れました。これは年長児ほど強く見られました。そんなわけで現在は2種混合になりましたが、最近大人の百日咳がよく見られるようになりました。理由は簡単です。年令がすすむにつれて百日咳の免疫が少なくなるからです。つまり、現行の2種ではなく、3種が必要なわけですが、いっこうに改善の動きがありません。困ったモンです。

 日本の予防接種制度は改善すべき点が多々あります。それはさておき、明日1日だけですから、忘れないで接種しましょうね。

2008年3月21日(金)
麻疹・風疹予防接種

 麻疹・風疹予防接種は、現在、第1期(1回目)と第2期(2回目)の2回接種ですが、2回目は小学校入学前の1年間です。つまり、3月31日までですので、「4月から小学生になるお子さんは早めに接種しましょう。」と、よくお話ししていますが、皆さんお済みですか?。

 第2期が実施されるようになって2年目になりますが、昨年度の第2期の接種率はあまり高くはなかったようです。日本人は海外に行って麻疹を移してくるようですので、『麻疹の輸出国』などと呼ばれています。何とも残念なことです。
 きっちり予防接種をすれば、まず罹ることはないのですから、もっと積極的に接種すべきと思います。でも、日本の予防接種法では、「予防接種は強制するものではなく、勧めるもの〜勧奨接種」です。「接種した方がよいですよ」くらいの意味ですから、これでは麻疹の撲滅まで、まだまだ時間がかかりそうです。
 昨年春は、関東から成人を中心に麻疹が流行しました。また、今年も・・・。心配ですね。

 本日、今年高校を卒業して大学へ進学する方(お子さんとは呼びがたい)が麻疹抗体価の検査のために見えました。大学からの通知は、「麻疹の抗体を検査して感染のおそれがあれば予防接種をするように」という内容でした。ごもっともですが、仮に抗体が十分あったとしても、これから何年か経過するうちにおそらく抗体は少なくなり、感染の危険が出てきます。
 抗体を検査して、現在の状況を把握することはよいことですが、結果の如何に関わらず、麻疹ワクチンの効果は10年くらいと思っていた方がよいです。要するに1回接種では不十分ということです。海外では3回接種している国があるくらいです。

 4月からは、中学校1年生と高校3年生も2回目の接種を行うことになります。それぞれ第3期、第4期と呼んでますが、4回接種するのではないですよ。2回接種ですよ。1回目が第1期(1才になったらすぐ接種)、2回目が第2期、第3期、第4期です。詳しくはこちらをご覧下さい。→ 麻疹、風疹の予防接種法の改正について     

2008年3月9日(日)
紹介状

 3月は転勤の季節です。毎年今頃になると、患者さんから、「今度転勤することになりましたので、紹介状をお願いします。」とよくいわれます。せっかく盛岡の生活にも慣れてきた頃と思いますけど少し残念ですね。
 紹介状は継続的に治療をしているアレルギー疾患が殆どです。毎年10人〜15人くらいはかいていますが、かなり詳しくかいていますので、結構大変です。でも、転勤先で治療に困らないように、きちんとかいてますよ。
 4月になると紹介先の先生から、「詳細な紹介状ありがとうございます。」というご返事をいただきますが、「向こうの生活には慣れたかな?元気かな?」などと思ったりします。
 紹介状は、紹介先の医療機関用ともう一通、保護者用の計二通お渡ししています。内容は同じですので、保護者が今までの経過を知るのに便利と思います。

 4月になると今度は逆に紹介状を持参した患者さんがよく見えます。とても詳しい紹介状からとても簡単なものまでいろいろありますね。でも、結構長く治療されていても、紹介状はもらわなかったという患者さんもいます。そういう場合には、直接前医にお電話して経過を聞いたりしています。これからしばらく治療するわけですから、患者さんとのコミュニケーションをよくするためにも紹介状はあった方がよいです。

 ずーと前になりますが、気管支喘息のお子さんの紹介状を書いたところ、2年後に返事が来ました。イヤ、びっくりした。「この2年間発作が無かったようで・・・。しばらくぶりに発作を起こしたようで、本日受診しました。」という紹介先からの御返事でした。確かに軽症でそろそろ治療も終了できそうなお子さんでしたが、2年後に返事が来るとは思ってもいませんでした。元気でなによりと思うべきでしょうか。『便りの無いのはよい便り?』

2008年3月2日(日)
当番医

 今日は休日当番医でした。前回12月31日は猛烈に混み合いましたが、今回はその半分くらいの忙しさでした。

 そろそろインフルエンザも終息する頃と思ってましたけど、結構インフルエンザの患者さんいますね
。本日は8人診ましたけど、盛岡市の北方面:滝沢〜みたけ〜厨川〜黒石野あたりは、今流行中のようです。
 当院の近くでは、本宮小学校のお子さん1人でした。全員A型でしたが、そろそろB型が流行りそうです。受験生は要注意ですよ。

 インフルエンザにかくれてあまり目立たないけど、 溶連菌はすごく流行っています。昨年11月頃からズ〜と、患者さんが続いています。溶連菌が流行る年には腎炎がよく見られます。発熱、のどの痛み、発疹が見られたら、早めに受診しましょう。本日も溶連菌の患者さんは多かったですよ。

 本日終了間際にタバコを誤飲した赤ちゃんが受診しました。お父さんのタバコを食べたみたいですが口腔内にはタバコは見えず、臭いもしませんでした。胃洗浄は、必ずしも必要ではありませんが、今回は行いました。

 私が医者になりたての頃ご指導を受けた上司は、タバコ誤飲の赤ちゃんには必ず胃洗浄を行い、必ずその場に親を同伴させました。胃洗浄自体決して痛みを伴う医療行為ではありませんが、鼻からチューブを胃に通して、ガッチリ押さえ込んで行いますので、端で見ていると、とてもかわいそうに見えます。でもなぜこんなことになったのか?それは『タバコを放置していた親の責任以外のなにものでもない』のです。「かわいい我が子がこんなに苦しむのは誰が悪い?。もし、タバコよりももっと危険なものを誤飲したらどうなる?」ということを身をもって教えようという意図だったと思います。この是非はともかく、【タバコは百害あって一利なし】ということを、こういう事例からも自覚したいものです。当時の上司とは、今は亡き日赤小児科の阿部先生です。

 ところで、本日は予防接種週間ということで予防接種を希望されるお子さんには接種しようと準備してましたが、一人も来ませんでした!。何もわざわざ日曜日に接種することもないですよね・・・。予防接種週間は見直しが必要かもしれませんね。

2008年2月26日(火)
予防接種週間

 3月1日〜7日は予防接種週間です。ふだん仕事で受診できない人たちのために、通常の診療時間以外に予防接種を行おうというわけです。
 数年前から始まりましたが、人手の少ない時間帯に予防接種をして、もし事故でも起きたらどうするとか、時間外診療を助長することにならないかとか、いろいろな意見がありましたが、全国的に定着してきたようです。でも、盛岡市の場合、あまり受診する人はいないようです。

 3月に行う意味は、小学校6年生の2種混合ワクチン第2期と、4月に小学校入学するお子さんたちの麻疹・風疹予防接種の第2期とを、きちんと接種しようということに重点をおいているからです。特に麻疹・風疹予防接種の第2期の接種率はあまり高くないようですので、是非この機会に接種してほしいと思います。麻疹は本当に大変な病気です。今年も全国あちこちでもう患者さんが見られています。お隣の秋田県もそうですね。

 当院は3月2日(日)が休日当番医ですので、この日にも予防接種をすることにしました。接種予定の方は、前もって電話(635-8341)でご連絡下さるようお願いします。

2008年2月21日(木)
インフルエンザ“持続的小流行”?

 インフルエンザまだまだ、治まりませんね。でも少し、少なくなってきたように感じます。昨年11月7日に盛岡市で今シーズン最初のインフルエンザの患者さんが発生しましたが、3ヶ月以上たってもまだ流行しています。12月初旬から、インフルエンザの患者さんを見ない日はないです。今日も2名インフルエンザの患者さんが受診しました。

 以前はこんなに長く流行することはありませんでした。せいぜい3〜4週間流行して、サーと治まるというのが定番でした。ところが、近年のインフルエンザの流行は【爆発的な大流行はなくなったけど、長々と続く】というのが特徴です。
 爆発的な大流行がなくなったのは、ワクチンの普及、検査キット、タミフル、リレンザというインフルエンザに対する武器が整ってきたからと思います。
 すなわち、検査キットですぐ診断し、タミフル、リレンザを処方されれば短期間で治癒します。また、ワクチン接種していれば軽症で済みます。お家で2〜3日安静にしているだけでよくなります。
 昔のように熱が下がらないといって毎日受診する患者さんは見られなくなりました。おかげで院内でのインフルエンザ感染もなくなりました。というわけで、大流行は見られなくなってきましたが、なぜか、長々といつまでも流行します。もっと早く治まってもよさそうなのに・・・、昨年も、一昨年も7月までインフルエンザの患者さんを見ました。今年も結構長びくのでしょうね。
 「ある程度の人口が罹らないとインフルエンザは治まらない。」といった学者がいますが、はっきりした根拠があるわけではないです。でも確かにその通りかもしれません。

 インフルエンザについて私たちは、解っていることより解らないことの方が多いです。例えば、なぜ冬に流行するのか。解りますか?低温で乾燥するから?確かにそれもありますが、それだけで説明できるものでもありません。同じように冬に流行する嘔吐下痢症(いわゆるお腹のかぜ)もなぜ冬に流行するかよくわかっていません。

 ところで、今シーズンのインフルエンザは、例年より少し軽症かなという印象があります。今のところインフルエンザで入院紹介したお子さんは一人です。インフルエンザというよりも気管支炎がひどいため入院紹介しました。
 Aソ連型は、薬が効きやすいですので軽症が多いのでしょう。また、ワクチンもかなり効果があるようです。でも安心は禁物、A型の後には、B型が流行することが多いです。B型はA型に比べてタミフルの効果は落ちます。また、Aソ連型よりも強烈なA香港型もいつ流行するかわかりませんので、まだまだ、要注意ですよ。受験生は今からでもワクチン接種した方がよいですよ。

2008年2月19日(火)
声の欄

 毎日、新聞の【声の欄】を見ていますが、ときどき、「あれ?」と思うことがあります。そういう記事は、大体が非難めいたものです。医療に関する投書もよく見られますが、一方的な思いこみもあるように感じます。「話は双方から聞かなければわからないもの」と思っていますので、あまり中傷的な投書は読まないようにしています。
 
 でも、ときどきとても良い投書も見ます。それは大人ではなく、子どもの投書です。前向きな自己主張とでもいえばよいでしょうか。
 昨日の岩手日報夕刊に、中学校3年生の『予防意識持ちウイルス撃退』という投書がありました。
インフルエンザワクチン接種のこと、手洗い、うがいのこと、咳エチケットのことなど、インフルエンザ流行を防ぐためにみんなが強力することの必要性を述べています。さらに、「一人一人の意識を変え行動することによって、さまざまな問題に対処できる」と結んでいます。
 イヤ、なかなか立派ですよ。しっかりした考え方だと思います。自分が中学校3年生の時にはとてもかけない内容です。
 我々小児科医は、こういう子たちが育つように日常診療に励まなければならないです。

 数年前になりますが、やはり岩手日報夕刊に掲載された中学3年生女子の「幼児虐待について」とても印象に残る投書がありました。
 詳細は省きますが、私が感心したのは、「本来ぐっすり眠っているはずの夜遅い時間に、コンビニや、繁華街に小さな子ども、それも幼児をつれて歩くことは、虐待以外のなにものではない」という文面です。全くその通りです。

 こういう子たちがいる限り、日本の将来も捨てたもんではないだろう。こういう子たちのためにも小児科医は頑張らなければならない。と思うのであります。

2008年2月10日(日)
スキー

 今年の1月はとっても寒かったですが、2月になったら少し寒さが和らいだ感じがします。まだまだ、寒いことにはかわりありませんけど・・・。
 
 1月下旬から流行してきたインフルエンザは、なかなかおさまる気配がありません。先週前半は少し下火になたような気がしましたが、後半からまた患者さんが増えてきました。例年と比べると小学生が多いように思います。いつも思うことですが、受験シーズンまでにはおさまればよいですね。11月下旬に少しインフルエンザが流行始めた時には、ワクチン接種する人が大勢いましたが、今は殆どいません。不思議です?。

 今のところ、タミフルは普通に処方しています。A型インフルエンザの場合、タミフルやリレンザを使わなければ、4〜5日間発熱が続きます。タミフルやリレンザを処方しない医師もおりますが、軽症ならよいでしょうけど、4〜5日間我慢しているのは大変です。
 先日も、「漢方薬を処方されたけど、熱が下がらない」といって、受診したお子さんがいました。いつも漢方薬を飲んでいるならともかく、こういうときだけ処方されてもね・・・。確かに、漢方薬もある程度の効果は期待できますけど、個人差もありますし、インフルエンザにはっきりと有効な漢方薬はありません。あまり、過度の期待を持たせてはいけないですよね。

 昨日は、八幡平リゾートにスキーに行って来ました。少し硬い雪でしたけど、結構よかったですよ。子どもたちも転びながら楽しんでました。
 私は、学生時代を弘前(青森県)で過ごしました。とても雪の多いところです。スキー場まで電車で20〜30分でいけましたので、よくスキーに行きました。時々車を持っている友人に乗せてもらって、4〜5人で行ったりもしましたけど、そういう時は帰りに温泉によってきました。もちろん、泊まりじゃなくて入浴だけですけど、雪が降る露天風呂はとても気持ちがよかったですね。大阪や名古屋からきている友人は「向こうでは味わえない気分」と喜んでいました。今は、1年に1〜2回しか行きませんが、スキー場に行くだけで学生の頃を思い出します。雪の感触はとても気持ちがいいです。
来週は学会、再来週は夜間診療所、その次は当番医、というわけで今シーズンは1回きりかな?

2008年1月28日(月)
インフルエンザ第2弾? もう麻疹?

 先週末からインフルエンザが増えてきました。保育園〜幼稚園〜小学校と、年末にはあまり流行らなかったところから患者さんが発生してきました。当院の近辺では本宮〜都南方面が目立ちます。本宮小学校、羽場小学校、見前南小学校、要注意です。今のところ爆発的な流行にはなってませんが、例年ならこれからが本番です。

 12月の流行はたいしたこと無かったですが、2月はチョット怖いですよ。11月後半から12月前半にかけて、ワクチン接種する人が多かったですけど最近はあまり接種する人がいませんね。毎年のことですが、流行が一段落するとホッとして安心してしまうんでしょうね。まだまだ、流行は続きそうですからこれからでも接種した方がよいですよ。

 インフルエンザとは違いますが、また今年も麻疹が流行しそうです。もうあちこちで患者さんが見られるようになりました。
1月13日までの2週間に全国の医療機関から報告された麻疹の患者数は計145人。神奈川県の44人をトップに、北海道22人、福岡県16人、東京都13人、秋田県10人・・・ということです。年齢別では、10代が44%と最も多いようです。麻疹ワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)接種を忘れないようにして下さいね。

2008年1月23日(水)
お腹のかぜと腸重責

 新学期も始まり、みんな元気に学校や幼稚園に通っているようですね。年末に少し流行したインフルエンザはまだ、地域的な流行を繰り返しています。年が明けてからインフルエンザの患者さんを診ない日はありません。もっとも、1日2〜3人ですけどね。
 以前は一気に流行し、一気に終息しましたが、今は、大きな流行はなくなりました。おそらく、『早期診断、早期治療』の効果でしょう。そのかわり、長々とあちこちで小さな流行が続くようになりました。
インフルエンザは、ある程度の人口が感染して免疫を持つようになるまで、暴れるようです。まだまだ、要注意ですよ。

 今年も、お腹のかぜ(急性胃腸炎)は流行ってます。でも軽症が多いですね。今日お腹のかぜのお子さんに点滴しましたけど、お母さんから、「吐き気止めの坐薬を常備した方がよいのでしょうか」と聞かれました。結構、皆さんお家に持っているようですね。でも、吐き気止めは安易に使わない方がよいですよ。お腹のかぜで吐くということは、バイ菌を体外に出すために吐くのですから、いわば体を守るための行為でもあるのです。ですから、いくら薬で止めようとしてもすぐにおさまることはないです。むしろ、薬で強引に胃や腸の動きを押さえ込まれて、かえってひどくなることもあります。
 私は大体、吐き気止め坐薬を使う年令のお子さんには、1回の処方で2個しか出しません。「もっと出してほしい」といわれることもありますが、1日に何回も吐き気止め坐薬が必要な時は、少〜し具合が悪い時か、あるいは他の病気(例えば、腸重責)がかくれているかもしれませんので、もう1度受診するようにお話ししています。

 ところで、腸重責という病気をご存知ですか?。 2〜3才以下のお子さんに多い病気です。腸が腸にめり込んで全く動かなくなり、何度も嘔吐しますので、早めの処置が必要です。この場合、吐き気止めを使っても吐き気はおさまらないばかりかどんどんひどくなります。腸重責はお腹のカゼの流行る冬場に多く、お腹のかぜのウイルスが原因の時もあります。
 嘔吐は共通の症状ですが、お腹のかぜと比べると、腸重責では、腹痛、血便(よく、イチゴジャムに例えられます)が多く見られます。しかし、腹痛は軽く、血便も見られないこともありますので、チョット、わかりにくい時もあります。
 昨年も今頃腸重責のお子さんを診ました。無事よくなりましたが、発見が遅れると結構大変です。今の時期、何回も嘔吐する時は腸重責のことも考えて、あまり吐き気止めばかり使わず、早めに小児科を受診しましょうね。、

2008年1月15日(火)
最強ウイルス

 1月12日、13日と2日間続けてNHKで新型インフルエンザ の放送がありました。ご覧になった方も多いと思います。鳥インフルエンザが人〜人感染するようになり、新型インフルエンザが登場するのも時間の問題ともいわれています。12日のドラマは新型インフルエンザが日本海に面した小さな村から発生して、瞬く間に日本中に拡がり多くの犠牲者を出すというものでした。とてもわかりやすく作られた良いドラマと思います。

 しかし、実際に新型が発生すればこの程度じゃすまないでしょう。ドラマでは最初から新型と診断されていますが、新型は現在の検査キットではわかりませんから、患者さんの検体を新型が検査できる機関(国立感染症研究所のような所)へ送って調べてもらうことになります。
 つまり、新型を疑わない限りそこまで検査はしませんから、どのような症状で新型を疑うかということが、ポイントとなります。普通のインフルエンザも新型も最初の症状はそんなに違いません。
 ドラマではとてもスムーズに新型の感染がわかりましたが、実際にはこんなに簡単に見つかるとは思えません。かなり重症なインフルエンザの患者さんが増え始めた時、初めて新型の検査が行われるように思います。当然その間にも感染は拡がっていくはずです。

 このドラマはあちこちに問題がたくさん提起されています。例えば、病院の廊下にたくさんの患者さんがいましたね。入院ベッドがない状態だから・・・?。でも、病室以外には入院患者さんを受け入れることはできません。となると、現在入院している少し元気な人は半ば強制退院ということになるのでしょうか?。特殊な状況だから、廊下にベッドを置いても良いということにはならないでしょう。ベッド不足をどう解決するのか?。

 一番興味をひいたのが、省庁(課長)連絡会議でした。“何も決まらない会議”でしたね。「大事なことは、ことが起きた時に何ができるか」というセリフがありました。まさにその通りですが、実際は、何もできないという実に不備な状態なのです。
 例えば、「空港を閉鎖する。電車を止める。〜それは誰の権限で?。」、「患者、地域の封じ込めをする。〜人権問題にならないか?。経済損失は誰が保証するのか?。」、「学校を休みにする。〜その間の授業はどうする?。」、「プレパンデミックワクチンの接種優先順位は?。」、「タミフルは十分な量あるのか?。効かない場合は、どうするのか?。」、「人が集まるデパートは営業自粛〜営業利益の損失保証は?。物価が上がらないか?。」、などなど、こういう事態に対して何一つ対策ができてないのが現実です。
 もはや医師の力だけではどうにもならないのです。行政が積極的に動いてくれないと何も決まりません。

 「新型インフルエンザはインフルエンザではない。」という学者がいます。この意味は、「新型は、通常のインフルエンザを、はるかにしのぐとんでもない病気」ということです。国民の命を守るため、国〜県〜市という行政間のスムーズな連携を急ぐ時にきています。

2008年1月11日(金)
「危険運転」認めず・・・?。

 一昨年(平成18年8月)、幼児3人が犠牲になった福岡市の飲酒運転事故の判決が、1月8日福岡地裁で下されました。被告への量刑は、【危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)】を認めず、【業務上過失致死傷罪】と【道路交通法違反(酒気帯び運転、ひき逃げ)】とを合わせて上限の『懲役7年6ヶ月』でした。
 【危険運転致死傷罪】が成立するには、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」ということですが、これが立件できなかったということです。

 この報道があった後、各新聞社に多くの投書があったようです。その多くは「刑が軽すぎる」というものですが、「厳格な法解釈に基づく妥当な判決」という少数意見もあったようです。

 裁判長は、「酔っぱらった状態にあったことは明らか」としながらも、「スナックから、事故現場まで蛇行運転や居眠り運転をせず衝突事故も起こさなかった。」ことや、「事故直前、急ブレーキをかけハンドルを切った。」ことなどを重視し、「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態にあったと認めることはできない。」と判断しています。さらに、「景色を眺める感じで脇見をしていた。」とする被告の供述の信用性を認め、事故の原因については、「漫然と脇見をしたこと。」にあったと結論づけました。

 この判決に納得する人はいるのでしょうか?。事故の原因は脇見運転?。だったら、全ての酔っぱらい運転は脇見運転で片づけられてしまうだろう。3人の幼児がなくなったのは、危険運転によることは明らかです。その原因がアルコールだろうが、脇見だろうが、『懲役7年6ヶ月』は、軽すぎるのではないでしょうか。

 この被告は、大量の水を飲んでアルコール濃度を薄めてごまかそうとしました。極めて悪質です。にもかかわらず、この判決は全て被告に都合よくできている。法律をいじくりまわして無理矢理罪を軽くしているようにしか思えない。これでよいのだろうか、愛する3人の子を一瞬にして失ったご両親の無念さは、如何ばかりのものであろうか・・・。

 こんな判決では、今後も酔っぱらい運転は無くならないだろう。チョット酒が強いなんて思ってる奴は、「蛇行運転や居眠り運転をせず衝突事故も起こさず、急ブレーキをかけハンドルを切って、脇見をしていた。」で、罪は軽くなるなんて思ってるんじゃないか。
 今回の判決が今後の酔っぱらい運転の裁判の判例になってしまうのか?。それでよいのだろうか?。
 
 何のための法律なのか、誰のための法律なのか、大岡越前のような裁判官はいないのか、日本の国は正直者が馬鹿を見るような国になってしまったのだろうか。

 とても悲しい出来事です。 

2008年1月6日(日)
海水魚


























 昨年暮れから、新しい水槽でイソギンチャクとクマノミを共生させようと思っていましたが、なかなか“活きのいい”イソギンチャクが入荷してこないので、エビ(スカンクシュリンプ)に変更しました。
 エビは大人しく、チョット強い海水魚が一緒だと、どうしても危害を被ってしまいますので、デバスズメや、ハタタテハゼのような大人しい魚と一緒にしてみました。今のところ共存しています。多分大丈夫と思っています。
 エビはよく脱皮しますので、抜け殻が水槽にプカプカ浮かんでることがあります。驚かないようにね。

 新年は今のところ平穏です。まだ、急性胃腸炎(お腹のかぜ)や、インフルエンザの患者さんを見ます。
 インフルエンザはここ数年大流行はありませんが。ダラダラと夏頃まで続くようになりました。今年も長々と続くかもしれませんね。
 A香港型はまだ、殆ど流行していないようですが、こちらの方が、年末に流行したAソ連型より強烈ですので、十分用心して下さい。薬の効きも若干落ちます。やはり、ワクチンですよ。
 学校が始まるとまた、いろいろ流行ってくるでしょう。しばらくは落ちついた日々と思います。


 今年のサッカー、遠野高校は、残念でした。昨年の盛商とまではいかなくても国立までは何とかと思っていましたが、でも岩手県として、4年連続ベスト8は立派ですよ。これからもがんばれ。

2008年1月1日(火)
あけまして おめでとうございます。

 あけまして おめでとうございます。今日は八幡宮に初詣に行って来ました。私が子どもの頃は、祖父によく連れて行ってもらいました。なぜか、朝早く(と言うよりは、未明に)出かけました。眠いけど外に出ると寒さで“シャキッ”としました。昔は【元朝参り】と言って、早朝にお参りするのが習わしだったようです。帰りに出店で何か買ってもらうのがとても楽しみでした。今も店は多いですね。

 いつものことながらずいぶん人がでています。お参りするまで1時間くらい並びました。みんなきちんと順番を守ってお参りしていました。こういうところで割り込んだりすると、お願いが叶わないと思うんでしょう。何事もルールを守ることが大切ですよね。でも、みんなの願い事を全て聞くとなると、神様も大変ですね。


 昨日は当番医でとても忙しかったです。今日はのんびりしています。でも3日は夜間診療所なんですよ。新年は1月5日(土)から診療開始します。

 今年もきっとよい1年でありますように。