何回も罹ることがあります。
溶連菌は、正しくは、A群β-溶血性連鎖球菌といいます。昔は、猩紅熱と呼ばれ重症なタイプも見られましたが、現在は適切な抗生剤を内服することで、殆ど問題なく治癒します。溶連菌による主な病気は、<咽頭炎や扁桃腺炎>と<とびひ>です。
一般に溶連菌感染症というときは、<咽頭炎や扁桃腺炎>を指すことが多いです。
2〜3才から、小学生くらいまでが好発年令です。季節は、冬に多く夏は少ないのですが、一年を通じてみられます。発熱、のどの痛みが特徴的です。咳や、鼻水などの風邪症状はあまり見られません。潜伏期間は2〜3日です。
@.咽頭炎、扁桃腺炎:発熱、のどの痛みが見られます。のどは真っ赤に腫れ上がり、見るからに痛そうな感じがします。(発病1〜2日)
A.イチゴ舌:イチゴのようなブツブツの舌になります。(発病2〜4日)
B.全身発疹:顔〜全身にボツボツとしたかゆみを伴う赤い発疹が多数見られます。(発病1〜2日)
C.皮膚落屑:上記の症状が消えた後に、手や足の指先から皮膚がむけることがありますが、自然に治ります。
これらの症状が全て出現するわけではなく、特に1〜3才くらいでは、症状がはっきりしないこともよくあります
溶連菌の、のど、舌、発疹は、目で見てもかなり特徴的です。いろいろな検査法がありますが、綿棒でのどの菌をとり検査キットで調べる方法が簡単で、すぐ判定できます。
@.中耳炎、気管支炎、リンパ節炎。
A.急性腎炎:溶連菌感染後2〜4週間後に発症することがあります。突然、むくみ、尿の出が悪くなり、尿に血液や蛋白が混じってきます(血尿、蛋白尿)。急性腎炎を見逃さないように2〜4週間後に尿検査をします。この時点では、尿検査に異常が見られなくても、その後に急性腎炎を発症することがあります。まぶたの腫れ(眼瞼浮腫)や明らかな血尿(濃い赤色尿)に注意して下さい。
B.リウマチ熱:昔は溶連菌が原因のリウマチ熱がよくみられましたが、最近は殆ど見られません。特に心臓に溶連菌が感染しますと重症になり、治癒しても心臓弁膜症を予防するために、長期に薬を内服することになります。
C.アレルギー性紫斑病:出血斑(主に下肢に出現します。)腹痛、関節痛が、見られます。腎炎症状も併発すると紫斑病性腎炎と言って長引く事があります。
溶連菌そのものは、抗生剤ですぐおさまる場合が多いのですが、少し菌が残っていると前述した急性腎炎、リウマチ熱、アレルギー性紫斑病などを起こすことがありますので、これらの予防のためにしっかりと抗生剤を内服します。薬の種類によって
内服する期間は異なりますが、よく使用されるペニシリン系の薬ですと、10日間必要です。
従来は、殆どペニシリン系の抗生剤で治癒しましたが、最近は、少し効きにくい溶連菌も増えてきていますので、症状に応じて他の種類の抗生剤も使用されるようになってきました。内服期間は、3日間、5日間、1週間などと薬の種類で異なります。
家族全員が感染しているかどうかはわからないわけですが、家族内感染の頻度は、兄弟で50%弱、親で20%くらいといわれています。発熱、のどの痛みがあるときは、検査して菌がでていれば治療します。
溶連菌は人に移る病気ですから、少し集団生活を休む必要があります。普通、抗生剤内服後1日たてば、ほぼ除菌されますので、内服後1日で登校、登園は可能ということになります。しかし、発熱が続いていたり、元気がないときは、十分薬が効いていない場合もありますので、症状が落ち着くまで安静を保つことが必要です。
また、きちんと薬を飲んでいるにもかかわらず、2〜3日たっても熱が下がらない時は、薬の効きにくい溶連菌かもしれませんし、他の疾患を合併しているかもしれませんので、早めにもう一度受診しましょう。
溶連菌は数種類あり、また、最近は保育園のような集団生活の場では、常に感染が繰り返され、流行が長期に続くため何回も罹るお子さんも増えています。