麻疹(はしか)は、とっても怖〜い病気

麻疹は、【命に関わる】重症な疾患です。

 1才になったら、すぐ麻疹・風疹混合ワクチンを接種しましょう!

 麻疹(はしか)は、昔からあるありふれた病気です。しかし、時として、命に関わる大変重症な病気でもあります。日本では、麻疹は「子どもの命定め」、フランスでは、「子どもの自慢は麻疹が済んでからするように」といわれていました。

 幸い麻疹ワクチン(現在は、麻疹・風疹混合ワクチン)が普及したおかげで、最近は、あまり麻疹の患者さんをみなくなりました。おじいちゃん、おばあちゃんたちは、麻疹の怖さをよく知っていると思いますが、若い世代の方々は、麻疹の名前くらいは知っていても、実際にみたこともない方が、殆どだと思います。そのくらい麻疹は少なくなってきました。これはワクチンが普及したためです。

 しかし、散発的ではありますが、麻疹の患者さんは現れています。これらの患者さんたちは、ワクチンを受けていなかった人や、ワクチン未接種の1才未満のお子さんたちです。また、最近、ワクチンを接種していても、年長児や、成人の麻疹が目立つようになりました。

 麻疹は、春〜夏に流行しやすく、とても伝染力が強いため、アッという間に流行します。ワクチンが唯一の予防法ですので、1才になったら、すぐワクチンを接種しましょう。(忘れないように、カレンダーの1才の“お誕生日に麻疹・風疹混合ワクチン”と書いておきましょう)


 ◆ 麻疹は、どんな病気なの?

 麻疹は、麻疹ウイルスによっておこる発疹性の急性疾患です。

@.潜伏期間:ウイルスに感染した後、約11日間の潜伏期間があります。

A.前駆期(カタル期):まず38〜39゜の熱がでて、鼻汁、咳、白目が充血し、目やにがでる、などの症状が現れます。この時期を前駆期(カタル期)といいます。

B.コップリック斑:これらの症状に引き続いて、発疹が出現してきますが、発疹出現の1〜3日前に、頬の内側にコプリック斑という粘膜疹が、みられます。このコプリック斑は、麻疹患者の90%以上に見られますので、発疹出現前の早期診断に役立ちますが、2〜3日の間に消失します。

C.発疹期:カタル期の高熱は、コプリック斑が見られるころに少し低下しますが、再び高熱がみられるようになり(この発熱パターンを2峰性発熱といいます。)、同時に麻疹特有の発疹が、耳介後部、頚部より出現し、24時間以内に顔面、上肢、胸部に広がります。(この時期を発疹期といいます。)

 発疹出現後2日目には、背部、腹部、下肢にも広がっていきます。発疹3日目には、足に達しますが、その頃には、顔面の発疹は薄くなってきます。

D.回復期:発疹の性状は、初めは、円形、卵円形の紅斑ですが、やがて融合して、不規則な紅斑になります。健康な皮膚との境界は明らかで、色は淡紅色から暗色となり、日数がたつにつれて、色素沈着といって、暗赤紫色の発疹に変わっていきます。(回復期)

 この高熱や発疹は、1週間くらい続いて、その間、食欲不振、不機嫌、ひどい咳が続きます。完全に治るまでは、次に述べる合併症がない場合でも、10日間〜2週間くらいかかります。また、抵抗力の弱い人は、生命が脅かされる場合もあります。

〜とても、おそろしい病気なのです。〜



 ◆ 合併症

@.クループ(喉頭炎):のどの奥の喉頭という組織が炎症をおこします。軽いクループは、麻疹によくみられますが、時に重症化すると、著しい呼吸困難がみられることがあります。

A.肺炎:麻疹の真っ最中に合併するだけでなく、麻疹が治癒したかに見えた後にも重症な肺炎がみられることがあります。
(麻疹後肺炎といって、たちが悪い→重症化しやすい)

B.脳炎:発疹出現後2〜7日くらいで、発生することが多く、頻度は麻疹患者1.000人に対して、0.5人〜1.0人くらいです。発熱、頭痛、嘔吐、けいれん、昏睡、などの症状がみられます。

C.亜急性硬化性全脳炎(SSPE):麻疹罹患後に、体内でウイルスの持続感染がおこると脳細胞が傷害されて、言語障害や、行動異常が見られるようになります。麻疹患者10万人に1人くらいの割合で発症し、麻疹罹患後、約7年くらいしてから発症します。


 ◆ 治療

 特効薬はありません。対症療法(それぞれの症状を和らげる治療)と細菌の2次感染による合併症の治療が中心になります。(だから、ワクチンが大切なのです。)


 ◆ 予防

@.麻疹ワクチン:これに勝るものはありません。
 ワクチン接種で、感染予防に必要な抗体が、95%〜98%にできます。→有効率95%以上ということです。
★免疫ができない人もごくわずかながら存在するわけで、そのためもあって、ワクチン接種回数は2回必要です。

A.γ−グロブリン:γ−グロブリンというのは、種々の抗体を含んだ血液製剤です、自分自身で抗体を作るワクチン(能動免疫といいます)に対して、γ−グロブリンを注射するということは、体外から他人の抗体を補充することを意味します。(受動免疫といいます)
 しかし、その効果は、人により様々です。従って、γ−グロブリンだけで治るということはありません。軽症化に少し役立つ程度です。また、γ−グロブリンは、大変高額でもありますし、他人の血液から作られた製剤ですので、使用にあたっては、注意が必要です。


 ◆ ワクチン接種回数は、2回

 麻疹ワクチンは、従来1回接種すると終生免疫(一生続く免疫)が得られると考えられていました。ところが、ワクチンを接種したにもかかわらず麻疹にかかる人がみられるようになってきました。その多くは、(中学生)高校生〜成人の方々です。なぜでしょう。

 原因の1つは、ワクチン1回接種では、わずかではありますが、十分な、免疫ができないことがあるためです。もう一つの原因は、接種後、年数が経過するにつれて、免疫が弱まるためと考えられています。

 現在は、ワクチンが普及したおかげで、麻疹の大流行というものは殆どみられなくなりました。しかし、昔は、全国的に大流行することがよくありました(小児病棟の入院患者の半分以上が麻疹などということもありました。)。当然の事ながら、ワクチンを接種した人たちは、大流行があっても麻疹にかかることはありません。

 しかしながら、ワクチンを接種していても、“かる〜く”かかることはあります。この自分でも気づかないくらいの“かる〜く”かかることにより、さらに免疫が高まっていくのです。ワクチンが普及したおかげで、麻疹の大流行がなくなったのは、大変よいことですが、その反面、ワクチン接種した人たちの免疫がさらに高まる機会も失われてしまいました。その結果、年令が進むにつれて、ワクチンでつくられた抗体が弱まり、麻疹にかかる人がみられるようになってきました。

 麻疹・風疹ワクチン2回接種が必要です。2回接種の意味は、

@.1回接種で、十分免疫ができなかった場合を考え2回接種の機会を設けています。

A.1回接種では加齢とともに免疫が低下するので、追加接種により十分な抗体を得るようにするため2回必要というものです。

 現在、麻疹と風疹が一緒になったワクチンが2回接種されています。(1回目:1才になったらすぐ。2回目:小学校入学1年前。)