診察室便り

2014年6月20日(金)
針のないインフルエンザワクチン?

 ワールドカップ日本の第2戦はギリシアと引き分けでしたね。朝何気なくテレビを見たら、ギリシアの選手が一人退場になりました。ということは11:10日本有利です。まあ、相手の不幸を喜ぶのは良くないことですが、どうしても今日は勝ちたかったから、素直にラッキー!と思いました。しかし、結果は0対0の引き分けでした。残念!

 コートジボワールに負けたときも後がないといってましたが、今回もまた、後がなくなってしまいました。しかし、ワイドショーは気楽ですね。まだまだ望みありという、前向きな姿勢の報道ばかりです。(とてもそうは思えませんが・・・)

 ザックジャパンはネットでは酷評されているようですが、みんな頑張っているわけですから、観戦する方もあまり勝つことばかりにこだわらず、世界のサッカーを楽しむ気持ちでみたいものです。

 ちょっと、早いですが、もう来シーズンのインフルエンザワクチンの株が決まりました。今から作らないとシーズンに間に合いませんからね。ところで、先日興味あるニュースを見ました。アメリカで、針を使用しないインフルエンザワクチン:無針ジェット式注射器「Stratis」が開発されたそうです。有針注射器で接種した場合と比較しても効果に変わりはなかったとのことです。

 無針ジェット式注射器の方が痛みが少ないことは確かです。もう20年以上前になりますが、BCGでも無針ジェット式注射器が使われたことがありました。針の代わりにスタンプで圧縮空気をブシュッと接種するだけで完了しました。痛みはほとんどなく、あっという間に終わります。「Stratis」というものはまだ見たことがありませんが、こんな感じなんでしょうね。

 インフルエンザワクチンは、ちょっと、痛いですよね。自分も毎年しているからわかります。無針ジェット式注射器が日本国内でも使用されるようになったら、まず、自分に打ってみようと思っています。

2014年6月14日(土)
第25回小児科医会総会フォーラム

 最近、特に流行する病気もなく、平穏な日々が続いています。昨日は夜間急患診療所で勤務してきましたが、受診した患者さんは、ナントたった二人でした。まあ、みんな健康で元気ということですね。特に目立った疾患もないといいましたが、溶連菌感染症だけは、ちょっと、患者さんが多いです。全国的にも患者報告数が3週連続で増えています。過去10年の同時期としては、最も多い報告数を記録し、警報基準値を超過する保健所管内が続出しているようです。

 溶連菌感染症は腎炎やリウマチ熱の原因にもなる病気ですが、キチンと抗生物質を内服すると治りますので、喉の痛み~発熱~発疹などが見られたら早めに受診するようにしましょう。

 今日と、明日の二日間、盛岡市で「第25回日本小児科医会総会フォーラム」が開催されます。これは普通の医学学会とは少し趣が異なり、<子ども達のために、小児科医ができること>をテーマとして、医療、行政、教育などの広い分野から話題提供し、勉強する集会です。一般の方々も参加できる市民公開講座もあります。興味のある方は、是非、聴講なさって下さい。

2014年6月3日(火)
子どもの手を握って歩こう。

 やっと、インフルエンザの患者さんを診ることがなくなってきました。昨シーズン(2013/14)のインフルエンザ発生動向によりますと、流行の開始時期、流行の規模、ピークの時期などは昨年並みでした。患者数は昨年と比較すると、15才未満が多く全体の半数以上を占めています。シーズン前半はA型が流行しましたが、後半はB型も流行しました。B型は2種類(山形系統とビクトリア系統)検出されています。

 昨シーズンを振り返ってみますと、B型の流行が目立ちました。B型に2回罹る人もいましたが、2種類(山形系統とビクトリア系統)のB型に罹ったかもしれませんね。A型、B型ともに軽症が多く、無事に終息したという感じです。

 現在のインフルエンザワクチンは、A型に重点をおいて作られています。それは一般的にA型の方がB型よりも重症な場合が多いからです。しかし、今シーズンのようにB型も2種類発生し、それぞれ流行するとなると、B型にも十分効果のあるワクチンの開発が必要になってきます。1本で間に合わなければ、A型ワクチン、B型ワクチンの二つのインフルエンザワクチンが必要になるかもしれません。

 今日の朝刊に「駐車場で1歳女児はねられ死亡 盛岡のスーパー 」という記事がありました。乗用車が発進した直後に、女の子をはねたようです。この子はお母さんと一緒に駐車場に出て車に向かっている途中で、はねられてようですが、はねられた時は1人で歩いていたようです。大変痛ましい事故です。

 駐車場は、信号もなければ歩道もない。いわば無法地帯のようなものです。駐車場に入ってきた運転手は車を置く場所を探すのに必死です。そういう状況で子どもが飛び出してきたら、何が起きるかわかりません。こういうところでは小さいお子さんを絶対に1人にしないように気をつけなければなりません。

 別に駐車場に限った話ではありませんが、小さいお子さんを連れて外出する時は、必ず手を握って歩くようにしましょう。スーパーで買い物袋で手がふさがるような時は、初めからリュックサックを用意しましょう。少々見栄えは悪くとも子ども守ることが大切です。

2014年5月25日(日)
大相撲

 大相撲5月場所も今日が千秋楽ですね。大相撲中継は診療時間に当たるので、普段はまず見られませんが、土日は時間を見つけて観戦しています。私は、子どもの頃はけっこうな相撲ファンでした。小学校の頃は近所の仲間同士でよく相撲を取っていたものです。

 さて、今場所もいよいよ大詰めです。また、白鵬が優勝するのでしょうか?先場所活躍した鶴竜は今ひとつ精彩がなく、日馬富士も昨日で優勝争いから脱落、残るは稀勢の里ただ一人、それも白鵬が負けて、自身が勝った場合に、やっと、優勝決定戦に持って行けるという大変厳しい状況です。

 別に稀勢の里びいきで白鵬が嫌いなわけではありませんし、特に応援している力士もおりません。単純にできるだけ混戦になれば面白いと思っているだけです。となると、やはり優勝決定戦をみたいですよね。

 しかし、ふと思いましたが、もし、今場所稀勢の里が優勝して、来場所も優勝すれば横綱に推挙されるでしょう。そうすると、横綱がなんと4人!大関は琴奨菊ただ1人、ところが、琴奨菊は今場所すでに負け越しが決まっています。もし、来場所も負け越したら、大関陥落!、となると、さ来場所は4横綱、大関なしという世にも奇妙な番付になってしまうかもしれません。

 もし、もし、・・・ですから、こんなことにはならないと思いますが、協会の幹部は少し気にしているかもしれませんね。

 次代を担う若手として期待されている遠藤は惜しくも負け越してしまいました。上位陣とはまだ、力の差があります。特に白鵬には全く歯が立たないように見えます。白鵬も遠藤に対しては異常なほどコテンパンに叩きのめしているという感じを受けます。

 ちょっと荒っぽいようにも見えますが、大横綱といわれた北の湖や千代の富士もこれから台頭してきそうな若手には、いやというほど強さを見せつけて勝っていたように思います。こうすることによって相手に苦手意識を与え、なかなか自分には追いつけないんだぞと教え込むんですね。勝負の世界は厳しい。それに打ち勝ってこそ、一流の仲間入りができるのでしょう。「がんばれ遠藤」です。

2014年5月18日(日)
夜間急患診療所

 この頃、暖かいですね。5月は運動会シーズンです。毎週土曜日は、あちこちから元気な子どもたちの声が聞こえてきます。
 延々と流行が続いたインフルエンザもやっと終息しそうですが、まだ、一部の中学校や保育園では見られています。もうインフルエンザは通年性の疾患と思った方がよいかもしれません。

 昨日は夜間急患診療所で勤務してきましたが、発熱よりも嘔吐・下痢で受診するお子さんたちの方が多かったです。みんな、急性胃腸炎による症状でしたが、ほとんど軽症でした。ただ、一人だけ、生後8ヶ月の赤ちゃんは、ちょっと脱水症状が強そうでしたので、二次輪番病院へ入院紹介しました。この赤ちゃんはロタウイルスによる急性胃腸炎でした。

 ロタウイルス胃腸炎にはワクチンがありますが、この赤ちゃんは接種していなかったようです。接種しても完全にロタウイルスの感染を防ぐことはできませんが、軽症ですむことが多く、入院や点滴治療をしなくてもよいことが多いです。第二子の時は是非ロタウイルスワクチンを接種するようお勧めしました。

 ところで、ロタウイルスワクチンには、ロタリックス(2回内服)とロタテック(3回内服)の二種類あります。そこで、「どちらがよいのでしょうか?」と、よくお母さんからご質問を受けます。

 ロタリックス(2回内服)でもロタテック(3回内服)でも予防効果には差がなく、また、接種料金の総額も同じです。では、どっちを選んだらよいのか?迷いますよね。

 それぞれの違いを簡単にお話します。人に感染して胃腸炎を起こすロタウイルスには5種類あります。ロタ1とか、ロタ2とか、名前がついているものと思って下さい。

 この5種類は名前は違っても兄弟みたいなもので、よく似ています。ですから、5種類のうち1種類の免疫を作れば、他の4種類にも効果が期待できます。これを交差免疫(タイプの似ているほかのウイルスにも防御反応を示すこと。)と言います。ロタリックスはこの交差免疫を利用して、1種類の免疫で5種類をカバーするように作られています。

 一方、5種類それぞれの免疫を作って5種類のロタウイルスに効くように作られたのがロタテックです。何となく5種類の免疫があるロタテックの方が効果があるように思えますが、実際の効果は同じです。ちなみに、日本国内ではロタリックスのシェアが上回りますが、世界市場ではロタテックが多いです。

 となると、ますます迷ってしまいますね。ロタリックスもロタテックも注射ではなく、飲む(内服)ワクチンです。となると、もし赤ちゃんがうまくい飲めなかったときのことがちょっと気になりますよね。うまく飲めずに吐いてしまった・・・。というような場合、どうしましょう?

 ロタウイルスワクチンは、飲む(内服)ワクチンですが、赤ちゃんはうまく飲めないで吐いたりこぼしたりすることが時々あります。ロタウイルスワクチンは、実際の容器に入っている量よりも少量で効果があるといわれていますが、もし、ガバッと吐いてしまったら、もう一回飲むの?という疑問が出ますよね。

 二年前まで集団接種されていた経口ポリオワクチンをご存じの方も多いと思います。かつて経口ポリオワクチンは、少量飲めればよいとしながらも、接種会場で飲んだ後に嘔吐した場合は、もう一度飲飲むこともありました。
 この場合、「嘔吐したから、もう一度飲む。」あるいは、「少量でも飲めていればよいから、もう一度飲まなくてもよい。」でも、どちらでもよいとされていました。ロタリックスは前者の考え方を、ロタテックは後者の考え方を継承しています。

 つまり、ロタリックスでは、ほとんど飲めずに嘔吐した場合は、後日、もう一度飲みます。ロタテックでは、嘔吐しても少量は接種されているから、もう一度飲むことはありません。(ロタリックスを嘔吐して再投与する場合の費用は無料です。)

 どちらも経口ポリオワクチンの考え方を受け継いでいます。吐いたらもう一度飲む。吐いても少量は吸収されているから大丈夫。これだけで、どちらを選択するかの決め手とはならないかもしれませんが、参考にしてください。

 当院では、今のところ、ロタリックスを大量に嘔吐して後日再投与した赤ちゃんが1名。ロタテックについては嘔吐なしです。どちらを選択するにしてもロタワクチンは、生後104日までには開始しなければなりませんので、できるだけ早く接種にいらしてください。

2014年5月6日(火)
こどもの日

 今年の連休は前半、後半にわかれました。どこかに出かけるということもなく日頃たまった雑用に追われ、毎日クリニックで残務整理していました。アッという間に連休も終わりそうです。

 昨日はこどもの日でしたね。毎年総務省は人口推計を発表していますが、それによると、平成26年4月1日現在におけるこどもの数(15歳未満人口 以下同じ)は、前年に比べ16万人少ない1633万人で、昭和57年から33年連続の減少となり、過去最低となりました。男女別では、男子が836万人、女子が797万人となっており、男子が女子より39万人多く、女子100人に対する男子の数(人口性比)は105.0となっています。

 まあ、いつもの年と同じで一段と少子高齢化に拍車がかかった感じです。33年前から子どもの数が減っているということを受けて、総務省は、現在「出産適齢期の女性の数が減り続けているため、1人の女性が産む子どもの数が大幅に増えないかぎり、今後も子どもの数の減少に歯止めはかからない見通しだ」と話しています。そりゃそうでしょうね。

 どう考えてもこの少子化はおさまりそうにありません。でも、どうしてこんなになってしまったのでしょうね?もっと以前に何とか対策を立てることが出来なかったのでしょうか?今さら言ってもどうにもなりませんから、遅ればせながら今後の対策を考えてほしいものです。

 今、日本の労働人口は減少しています。その分を女性に求めているわけではないでしょうが、最近は配偶者控除も廃止して主婦も働くような方針も提案されています。となると、ますます、少子化になってしまいそうです。では、労働力確保するにはどうしたらよいでしょう。最終的には海外からの移民に頼るしかなさそうです。TPPの次は移民政策がはじまるのでは?歴史的に日本は単民族国家ですから、他民族を受け入れるまでには時間がかかりそうです。しかし、将来の日本はアメリカのような多民族国家になるかもしれませんね。

 国政の方針を決めるのは政治家ですが、その政治家を選ぶのが選挙です。少子化の原因や、対策もいろいろ言われてはいますが、子どもに選挙権が無いのが少子化の一番の原因ではないでしょうか?こどもに選挙権が無いからこどもの問題が政治に反映されないのです。もっとも赤ちゃんが1人で選挙に行けるわけはないですから、こどもの親がこどもに代わって選挙権を行使すればよいと思います。

 当然ながら、こどもにも人権があるわけで、それを認めるならば、産まれたらすぐ選挙権を得ても良いはずです。成人するまではその権利を親に委嘱し、成人したら自分で行使するのが正論と思います。

 具体的には、こども1人につき1票を与え、その1票を両親にそれぞれ0.5票ずつ加算するような方式はどうでしょうか?これだと子どもが多くなればなるほど両親の投票権が増えます。それによって「子育て世代の意見」が大いに政治に反映されるのではないでしょうか。

 世の中の多くの人達は少子化なんてそのうち何とかなるだろうくらいにしか思っていなかったはずです。しかし、もはや手遅れに近い感があります。年金制度改革や移民の受け入れなど議論すべき重要事項を私たちのこどもの世代まで先送りしてはいけません。現実を直視し、真剣に考えるべき時が今だと思います。

2014年4月27日(日)
まだ、インフルエンザ?

 すっかり春めいてきましたね。桜も満開からチラホラ散り始めてきました。当院向の西一児童公園の桜もきれいですが、数年前の大雪以来、あまり花が咲かなくなってしまいました。それでも、ここ2~3年は以前ほどではありませんが、桜の花が見られるようになってきました。今年は石割桜もイマイチパッとしないようです。老木とは言え、まだまだ頑張ってほしいです。

 この頃、外来が大変混み合っています。特に、今春から保育園、幼稚園に通園し始めた赤ちゃんや小さいお子さんが多いです。そろそろ、疲れが出てくる頃ですね。調子が悪い時は無理せずに休んだ方が良いですよ。

 さらに、春休みで終息しかけたインフルエンザが、また、暴れてきました。小学校は春休み前はB型でしたが、今はA型が多いです。中学校、高校でも流行っている学校がありますし、保育園、幼稚園もA型もB型もいます。

 ここ数年、春先までインフルエンザが流行ることは珍しくなくなりましたが、それにしても今年はちょっと異常です。軽症が多いのも今シーズンの特徴です。今日は全く発熱のない元気なA型のインフルエンザの小学生を診ました。同じクラスにはインフルエンザはいないが、明日は日曜日なので何となく心配。では、調べてみようか。そしたら、インフルエンザA(+)。果たしてインフルエンザの薬は必要かな?と悩みました。

 連休で、人の出入りが多くなると、また少し流行りそうですが、いくら何でもそろそろ終息するでしょう。それよりも、麻疹が、関東や関西から運ばれてこないか不安です。麻疹の潜伏期間は約11日間です。5月中旬~下旬には麻疹の患者さんも発生するかもしれません。麻疹ワクチン未接種のお子さんは接種を急いで下さい。

 先日来日したオバマ大統領を日本は国賓として招待しました。国賓というのは、「陛下のお客様」ということで、国として「最高のおもてなし」をします。 国賓には首相クラスはなり得ず、国家元首に相当する方だけがなるのだそうです。

 日本としては「最高のおもてなし」をして、TPPや安全保障について良い結果を期待したわけですが、尖閣は何とか日本の思惑が通ったようですが、TPPはどうなったの?というまま終わりましたね。

 安倍首相はまず、寿司談義をしてオバマ大統領と打ち解けあって、翌日の日米首脳会談でガチンコ勝負する気持ちだったでしょう。ところが、寿司屋のオヤジさんによると、オバマ大統領はいきなりTPPで安倍首相に譲歩を迫ったようです。寿司屋にしてはけっこう深刻な雰囲気です。

 「人生で一番うまい寿司」だとオバマ大統領はにこやかに話していましたが、実際は半分くらいしか食べていないようです。安倍首相は美味い、美味いといって全部食べたようです。テレビ画面からだけでは真相はわかりにくいですね。

 国賓として招待されたオバマ大統領でしたが、迎賓館には泊まらず、夫人も同伴せず、あたふたと日程を消化して次の訪問国韓国へ行ってしまいました。「最高のおもてなし」を準備していたのに何となく残念な気持ちになります。

 ところで、あの寿司屋では、「1人前 3万円~」でしたね。3万円の寿司ってどんな寿司なんでしょう?回転寿司なら何枚食べられるかな。

2014年4月10日(木)
STAP細胞

 だんだん暖かくなって春らしくなってきました。学校が休みの間も、インフルエンザはちょこちょこ見られましたが、新学期が始まったら、また少し増えてきたようです。そろそろ終息するでしょうが、4月中は、まだインフルエンザいますね。

 昨日、渦中の人、小保方晴子さんの記者会見がありました。実況は見られませんでしたので夜の報道番組で見ましたが、ウ~ン。どうでしょうね?論文の捏造、改ざんは、確かに科学者としてあるまじき行為ですが、それはそれとして、本当にSTAP細胞はあるのでしょうか?こちらの方が論文云々よりもはるかに興味があります。

 昨日の会見では、理研の責任逃れに対する反発は、よくわかりましたが、根本的なことは何も解消されなかったですね。

 「科学とは、客観性と再現性が重要な学問である。」と、言われます。つまり、第3者が、異なる場所、異なる時期に同様な実験を行っても、同じ結果が得られなければなりません。例えば、水(H2O)を電気分解すると、水素(H)と酸素(O)が発生します。これは、誰がどこで行っても同じ結果になります。決して金や銀が出来ることはありません。となると、なぜ、小保方さん以外の研究者がSTAP細胞を作製できないのか?疑問です。

 百歩譲って、小保方さんにしかできない特殊な方法(?)があるのかもしれません。ならば、小保方さんは、200回もSTAP細胞を作製したと言っていますから、「あと1回だけ」みんなの前で成功すれば良いだけの話です。なぜ、小保方さんへ「あと1回だけ」のチャンスを与えようとしないのでしょうか?
 
 それは、多くの人が感じていながら、口に出してないことだと思います。「この人はウソをついている」と多くの人が思っているからでしょう。

 ところで、物理学でノーベル賞を受賞した日本の学者達は、今のところ、皆ノーコメントのようです。科学者にあるまじき手法とは言え、もしかしたらSTAP細胞が存在するのかもしれない・・・。と、少しは思っているのかもしれません。

 16世紀イタリアの偉大な科学者ガリレオ・ガリレイは、多くの人達が、天体が地球の周りを回っているという天動説を唱えていたのに対し、それは逆で、地球が天体の周りを回っているという地動説を発表しました。

 当時はガリレオの地動説は全く受け入れられず、多くの批判を受けましたが、「それでも地球は回っている」という名言を残しました。そして、その通り、地球は回っていると言うことが後世になって証明されました。ひょっとして、小保方さんは21世紀のガリレオかもしれませんね?

 初めてSTAP細胞のニュースを見た時は、驚き、感動しました。それが、わずか2~3ヶ月の間にこの様なことになろうとは、思ってもいませんでした。

 このまま、オオカタ ハルコ(“殆どコピペ” という意味)のまま、STAP細胞がSTOP(ストップ)細胞になって終わってしまうのか?実際に作製されて現代のガリレオになるのか?小保方さんに「あと1回だけ」のチャンスを与えてほしいですね。

2014年4月1日(火)
開院記念日

 4月になって、やっと、春めいた陽気になってきました。今日から消費税が8%に上がるというので、先週末は買い物をする人も多かったようです。自分もビールやら酒やら、ちょっと多めに備蓄しましたが、身近にたくさんあると、ついつい無駄遣いしてしまいそうです。生活必需品や消耗品だからといって、あまり買いすぎてはかえって逆効果かもしれませんね。

 これからしばらくは買い物を控える人も多くなりそうですが、売る立場の人でしたら、4月からは今までの原価を下げて、消費税が8%でも5%の時よりも税込み価格を安く設定しようなんて、考えているかもしれません。お客さんが集まるといいですが、まあ、そんなに上手くはいかないでしょうね。

 2月下旬から1ヶ月以上にわたって流行したインフルエンザも、やっと下火になってきました。昨日、今日は2~3人くらいです。でも、まだまだ、ダラダラと続きそうです。4月中は、少ないながら、まだインフルエンザの患者さんがやってきそうです。

 4月1日は、当院の開院記念日です。18年前の今日開院しました。雪が降って寒い一日でした。当時は、まだ盛南開発が始まったばかりで、当院の周辺もまだまだ未開発地域(?)でした。それが今はドンドン住宅も建ち、大きなテナントが次から次と開設されています。まだまだ、発展していくのでしょうね。

 今日は、お祝いに職員一同からお花をいただきました。とても綺麗なお花です。しばらく診察室に飾っていますので、受診されましたら、ちょっと見ていって下さい。


2014年3月23日(日)
赤ちゃんのアレルギー性鼻炎

 大相撲春場所も今日で千秋楽を迎えました。鶴竜が優勝し、ほぼ横綱昇進を決めたようです。最近はモンゴル出身のお相撲さんが強くて、日本人のお相撲さんはなかなか横綱になれませんね。

 日本人の横綱は貴乃花が最後です。貴乃花は2003年(平成15年)1月場所で引退しましたので、以来10年以上日本人横綱はいなくなってしまいました。何となく寂しい気もしますが、スポーツに関わらず他国へ行って結果を出すと言うことは大変なことだと思います。言語、風習の違いからいろいろな苦労があります。そういう環境で第一線で活躍し続けているのは立派なことだと思います。

 相撲とは逆に野球ではイチローやダルビッシュ、かつては、野茂、佐々木など日本から大リーグに行って活躍した選手もいます。

 外国人だから、日本人だからといった枠を越えて、一生懸命頑張っているアスリートを応援しましょう。

 先日、「赤ちゃんのアレルギー性鼻炎について」 お便りをいただきました。アレルギー疾患の発症は、年々低年齢化してきています。以前は1才未満のアレルギー性鼻炎は殆どいないと言われていましたが、最近はけっこう診る機会も多くなってきました。

 A.Iさんからの


 こんにちは。息子がいつもお世話になりありがとうございます。先日、健診でお世話になった際に、お聞きするのを忘れましたのでメールで失礼いたします。
 
 一ヶ月ほど鼻水、痰絡みの咳が続いている旨を伝えましたところ、アレルギー性鼻炎かもしれないとのことで、薬を14日分処方していただきました。

 そこで、質問なのですが、薬を飲みながら様子を見て、いずれはアレルギー検査や、アレルギー性鼻炎の検査もした方がいいのでしょうか?

 花粉やダニなどの原因がわからないので、親としては気になるところではありますし、心配です。あと、日常生活で気をつけることがあれば教えていただきたいです。

 お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。




 メールありがとうございます。

 少しお鼻の調子は良くなりましたか?先日診た時の鼻の状態からは、感染症よりもアレルギー性の炎症と思われました。感染症の場合は、汚い鼻汁が多く、鼻粘膜もただれた状態です。アレルギーの場合は、水っぽい鼻汁で、鼻粘膜もツルッと腫れた感じがします。もちろんこれだけで診断がつくわけではありませんが、鼻の中を診ることで、大体の見当はつきます。

 赤ちゃんの頃には、花粉よりもダニ、ハウスダストが原因のことが多いです。しかし、検査してもハッキリ結果が出ないことも多く、また、詳しい検査は腕から採血しなければなりませんので、やや気がひけます。ただ、スギ、ネコ、ダニの3点セットでしたら、指先からの少量の血液でわかりますので、もし検査をご希望されればこちらをお勧めします。

 日常生活も普通でかまいません。ダニ、ハウスダストというと、しっかり掃除をしなければならないと思うかもしれませんが、普通に掃除するだけで十分です。1日のうち一番長くいるのは寝室ですから、寝室のお掃除は、ちょっと力を入れて下さい。また、赤ちゃんにとってタバコはとても有害ですので、赤ちゃんと同居する人は必ず禁煙して下さい。

 もし、ご両親がスギ花粉症を持っていれば、赤ちゃんは、将来ほぼ100%スギ花粉症を発症します。両親のうちいずれかでも、40%くらいは発症すると思って良いです。そのような場合、今、赤ちゃんがスギ花粉に感作されていなくても(検査して、抗体がない状態でも)、将来の発症に備えて、花粉の多い日の外出は避けられた方がよいです。スギ花粉症の積極的な予防法はなく、少しでも発症を遅らせるためには出来るだけ花粉に接触しないことです。

2014年3月21日(金)
卒園式とインフルエンザ

 この頃寒いですね。今日は雪景色になりました。寒いおかげで花粉症の流行が遅くなっているのはけっこうなことですが、インフルエンザはまだ流行しています。春休みに入った小中学校はだいたい一段落したところですが、幼稚園では卒園式にインフルエンザが流行するという最悪な状況になったところもあるようです。

 インフルエンザに罹ったお子さんの保護者からは、「明日の卒園式には出席できませんよね~?」と、尋ねられます。インフルエンザは「出席停止」です。当然欠席です。

 しかし、何かしらの配慮があってもよいように思います。先日行われた県立高校の入学試験では体調の悪い子たちは別室で試験を受けました。卒園式は別室で行うわけには行かないと思いますので、やはり、当日の欠席はやむを得ないと思います。

 そこで、出席できなかった子たちには、後日もう一度簡単でも良いからプチ卒園式をしてあげたらどうでしょうか?幼稚園の先生たちも大変かとは思いますが、本人や保護者にとっても懐かしい思い出になると思います。

2014年3月11日(火)
あの日から3年

 空前絶後の東日本大震災から今日で3年になります。今年も各地でいろいろな催しが行われました。避難者数はまだ26万7千人にも上るそうです。どことなく復興が進んでいるようにも聞きますが、現実はほど遠いように思われます。

 ときどき、放射線の健康被害についてご質問を受けることがあります。私は放射線のことはよくわかりませんので、何一つ自信を持ってお話しできませんが、医学的な発表についてはときどき興味を持って調べています。

 福島で多くの子どもたちを検査した結果、甲状腺がんの発生率が高いのは放射線の影響が大きいという報告が見られます。一方、放射線の影響は少ないという報告もあります。実際のところ、どちらの報告も決定的な決めてはないようです。

 放射線の影響は少ないという言い分は、元々、甲状腺がんは進行が遅く、早期に発見されることはあまりありません。精密検査を多くの子どもたちに実施すれば、将来甲状腺がんを発生する可能性のある子どもたちを相当数見つけることは出来ると思います。「たまたま検査したから見つかった。検査しなければ、何か症状がみられるようになる何年か後に見つかるわけで、今は見つからないはず。そういう例まで含んでいるから、結果として多くなる。」ということのようです。いかにももっともらしい説明です。でもこれは福島一県だけのことです。

 もし、同じ精密検査を西日本のどこかの県で行えばどうでしょうか?両県で甲状腺がんの発生率に差がなければ、放射線の影響は(少)ないと考えることが出来ます。しかし、明らかに福島の方が多ければ、それは、やはり放射線の影響と考えざるを得ません。現実はこの様な精密検査を福島でだけしか行っていませんので、比べようがありません。

 仮に福島以外でこの様な検査をして甲状腺がんが見つかった場合、どうなるのでしょうか?手術するのか?経過観察するのか?見つけてもらった(?)お子さんや保護者は当惑するばかりです。となると、他県で福島との比較目的だけでは精密検査を行うわけにはいかないでしょう。つまり、福島だけのデータで見ていくしかないということになります。

 放射線の影響が出始めてくるのは、被曝後4~5年後からといわれます。今後も福島だけ精密検査を続けた場合、4~5年後からの甲状腺がんの発生率が、現在まで(被曝後3年間)の発生率を上回るようなら放射線の影響が大きいと思います。しかし、あまりかわらなければ影響はないのかもしれません。いずれ何年か経たねば、結論がでない事だと思います。

 震災直後に岩手にも放射線が飛散してきていると思います。当時の政府の発表はそのような事に触れていません。混乱を防ぐためとは思いますが、事後措置は何もしていないので、不安に思う人も多くいます。実際にどれだけ被曝したかは不明です。

 過去においては、アメリカ、旧ソ連、中国、フランスなどが競って核実験をした時期があります。当時もかなりの放射線が日本に飛んできているはずです。その頃、子どもであったわれわれ世代はそのような事は全く知らず、平気で外で遊んでいました。とは言え、放射線が混じった雨を浴びると頭が禿げるというので、雨の日は外遊びをしなかったように思います。
 核実験で日本に飛散した放射線は、明らかに福島の事故よりも多いと言われております。これまた、確証はないですが、私もそう感じています。以来、何十年も経っていますが、特に特定のがんの発生率が高まったという事実はないように思います。

 放射線による健康被害は福島だけの問題ではありませんが、実際に健康被害がどの程度あるのか?それすらよくわかりません。長い年月にわたり、国民の健康状態を、福島、東北、全国などで比較した結果がそれを示してくれるのでしょう。

 今年も午後2時46分に黙祷しました。この時間帯に受診されていた患者さんたちにも一緒に黙祷して頂きました。どうもありがとうございます。

 自分にできることと言えば、陸前高田の仮設診療所に診療しに行くことくらいです。ささやかな支援ですが、また、来月12日(土)に行ってまいります。

2014年3月6日(木)
4月から小学校1年生になる皆さんへ、麻疹・風疹ワクチンを忘れずに!

 今週になったら急に寒くなりましたね。せっかく春が近いと思っていたのに冬に逆戻りしたみたいです。ちょっと、花粉の飛散が遅れそうですから花粉症の人にとってはそんなに悪いことでもないかもしれませんね。

 インフルエンザも本格的に流行してきました。当院周辺の小中学校、幼稚園、保育園も患者さんでいっぱいです。小中学校はB型が殆どです。幼稚園、保育園もB型が多いですが、けっこうA型も見ます。

 今年のインフルエンザの特徴は?と言っても、自分が診ている範囲のことしかわかりませんが、一般に軽症が多いように感じます。A型とB型を比べるとB型の方がやや症状が軽いので、B型が多い今シーズンはそう感じるのかもしれません。とは言え重症化することもありますから油断は出来ませんよ。

 インフルエンザとは違いますが、最近、麻疹(はしか)が流行している地域が出てきました。何でもフィリピンに行って感染してきた人が感染源になってしまったようです。かつては「麻疹の輸出国」と揶揄された日本ですが、今度は「輸入国」になってしまいました。麻疹の輸出も輸入も決してよいことではありません。国は2020年東京オリンピックまでには麻疹を日本から撲滅したいと意気込んでおりますが、このぶんではまだまだ先のお話になりそうです。

 患者さんは、関東、関西、愛知県、岡山県、広島県、宮崎県あたりで多く見られています。今年になってからの患者数は2月23日現在119人に達しており、既に昨年1年間の発生数232人の半分以上に達しています。昨年は成人が多かったのですが、今年は患者の60%が14才未満で子どもに多く見られるのが特徴です。患者数は今後も増えるものと思われます。

 フィリピンから輸入された麻疹と関連があるかどうかはわかりませんが、東京都の日本医大病院では、6日までに、小児病棟で子どもの入院患者5人と医師1人の計6人が麻疹に感染していることが判明しました。病院は感染拡大を防ぐため、小児病棟を閉鎖し、3月中は新規患者を受け入れない方針を発表しました。

 ところで、「なぜ、そんなに麻疹、麻疹と騒ぐの?」と、思う人もいるでしょうね。麻疹といってもピンとこない人達も多いともいます。ここ10年以上大きな流行はなく、麻疹を診たこともない医師も増えています。

 麻疹は、春から夏にかけて流行がみられます。麻疹は、「発熱、咳、全身倦怠感の強いとっても怖い病気で、命に関わる病気」です。と言うとインフルエンザみたいな病気?と思われるかもしれませんね。症状は似ているところもありますが、【インフルエンザよりもしんどい!】と思った方がいいです。どのくらい辛いかというと、インフルエンザに罹った場合、タミフルのような薬で治療しますよね。もし、薬なしでインフルエンザを治療するとしたら・・・。かなり辛いですよね。でも、麻疹はそれよりも厳しいと思った方がよいです。感染力も麻疹の方がインフルエンザよりも強いです。

 インフルエンザはタミフルを始めとした特効薬が出来ましたが、麻疹は何もありません。唯一の防衛手段はワクチンです。今年の子どもの感染者の大半がワクチン未接種のようです。

 麻疹・風疹ワクチンは2回接種します。ご存知ですか?1回目は「1才になったらすぐ」打ちます。2回目は「5才以上7才未満で、小学校入学前の1年間」に打ちます。

 4月から小学校に上がるお子さんたちは、麻疹・風疹ワクチンの2回目接種を済ませましたか?まだでしたら、何はさておき、接種に来て下さい。3月31日までですよ。麻疹・風疹ワクチンの効果は抜群です。【予防できる病気は予防する。】これが感染症対策の大原則です。

2014年2月24日(月)
ついに、インフルエンザ流行開始

 史上最多の88の国と地域が参加したソチオリンピックが閉幕しました。いつものことですが、今回のオリンピックも悲喜こもごもの結果でした。

 浅田真央さんのフリーの演技は素晴らしかったですね。何かすっかり吹っ切れて思う存分滑りまくったという感じです。現役引退か続行かはこれからじっくり考えることでしょうが、まずは「ご苦労さまでした。感動をありがとう。」です。

 先週の末からインフルエンザが増えてきましたが、今日は久々にインフルエンザ外来といってもよいくらいインフルエンザの患者さんが受診されました。学級閉鎖、学年閉鎖している学校も増えてきました。相変わらず小学生が多いですが、徐々に保育園・幼稚園にも広がってきました。

 A型とB型が半々ですが、ちょっとB型の方が多いかなという印象です。一つの施設でA型とB型の両方が流行っている所もあります。盛岡市は全国的にも遅く流行が始まりました。今シーズンはあまり流行せずに終息すると思っていましたが、甘かったですね。やっぱりインフルエンザはやってきました。今のところあまり重症なお子さんはいませんが、油断禁物です。あまり、人混みには出かけず、手洗い、うがいをキチンとしましょう。

2014年2月20日(木)
今は昔、参加することに意義があった?

 先週から予想外の大雪が続いています。山梨県などでは陸の孤島となっている地域もあるようです。早く回復してほしいですね。

 インフルエンザは、小流行が継続中という感じです。しばらく、ダラダラと続きそうです。今年はA型とB型が半々くらいですね。

 B型は検査で(+)になるまで、ちょっと時間がかかる時もあります。今年のB型は二峰性発熱がよく見られています。一度上がった熱がいったん下がって、また上がるパターンを二峰性発熱と言います。
 最初二日くらい発熱が見られ、その後二日ほど解熱して、また上がるというB型の患者さんをよく見ます。大体、最初の二日間は検査しても(-)、ちょっと下がったので様子を見ていたら、また上がったので検査したら(+)というパターンです。
 この頃には、もう回復に向かっていますので、インフルエンザの薬は不要です。

 一般にB型はA型よりは軽いことが多いですが、時として重症な患者さんもいますので、ダラダラと発熱が続く時は受診した方がよいですよ。

 オリンピックも後半に入って多くの競技で熱戦が繰り広げられています。いつものことですが、メダルの話題が中心になっていますね。この選手は金がとれそうとか、銀がとれそうとか・・・。もう、オリンピックはメダルの取り合いを競うだけの催しになってしまったのでしょうか?

 昨日のフィギュアスケートスケートspで浅田真央さんは、実力を十分発揮できなかったようです。周囲からは金を期待され、自身もそのために努力してきたわけですが、目に見えない重圧があったのでしょうね。

 【オリンピックは、参加することに意義がある】この言葉は、1908年ロンドン大会で英米両チームが対立して険悪ムードだった時に、アメリカの司教がセントポール大寺院の礼拝で述べた言葉だそうです。
 この言葉に感動したクーベルタンが英国政府主催の晩餐会のスピーチで引用しました。「人生にとって大切なことは、成功することではなく努力すること。」という趣旨のこの言葉は、その後のオリンピックのあるべき姿を示した名句として知られています。

 かつて日本が高度経済成長期にあった1964年の東京オリンピック当時は、この言葉をよく聞いたように思います。学校の先生もよく口にしていました。それから50年経った今、「オリンピックは勝って、メダルをたくさんとること。特に金メダルの数。」という風潮が主流になってしまったようです。

 【参加することに意義がある】というのは、選手としてオリンピック競技に出場することだけをいうのではなく、オリンピックやその準備段階も含めて、選手を支える人、裏方として準備をする人、競技を観戦する人、みんなが一緒になって、自分なりの目標や目的をもって参加し、努力することだと思います。

 そして、自分なりの目標を達成できれば、大きな幸せを感じられるでしょう。また、目標が達成できなくても、一所懸命にやったのなら、「よくやった」という充実感を得られるでしょう。それがその人の人生に『幸せな経験』としていつまでも残ることと思います。

 逆に、後悔が残るとしたら、何にも参加しなかった、全然努力しなかったということかもしれません。

 一生懸命努力して勝ち得たメダルは、大きな価値があり、素晴らしい努力の結晶です。その一方で、メダルの争奪戦にばかりこだわるのは、まるで、子どもがおもちゃを見せびらかしあっているようなものです。これではオリンピック本来の姿が失われたも同然です。

 浅田真央さんにはメダルなんぞどうでもいいから、今晩のフリーでは自分自身が心から楽しめる演技をしてほしいと願っています。

2014年2月9日(日)
夜間急患診療所

 いよいよ、ソチオリンピックが始まりました。早くもメダルの期待がかかる選手が登場しています。女子モーグルの上村愛子さんは4位でした。初出場した98年長野五輪から7位、6位、5位、4位と一つずつ順位を上げてきましたので、今年こそはメダルをとれるものと期待していましたが、ちょっと残念です。

 スピードスケートやアイスホッケーのように、時間や得点を競う競技は素人目でも優劣がわかりますが、採点で決まる競技は何となくしっくりこない感じがします。審判は公平に採点しているのでしょうけどね。

 昨晩は、夜間急患診療所で診療してきました。先週から少しずつインフルエンザの患者さんが増えてきました。A型H1N1が多いですが、B型もけっこういます。今シーズンは溶連菌もかなり流行しており、インフルエンザ+溶連菌の同時感染しているお子さんもよく見かけます。

 インフルエンザが流行れば夜間急患診療所を受診する人も増えます。昨晩は21人の患者さんを診ました。まだ、あまり多くはないです。流行が頂点に達する頃には60~70人が受診します。

 全員発熱でインフルエンザを心配しての受診でしたが、発熱したばかりでは、検査は殆ど(-)です。とは言え、明日は日曜日ともなれば不安になって受診する気持ちはよくわかります。

 13人検査して、(+)と出たお子さんは8人でした。A型とB型同数でした。残り5人のうち2人は(-)でしたが、症状や周囲の流行状況からインフルエンザと診断して、抗インフルエンザ薬を処方しました。残り3人は、今のところ、インフルエンザっぽく見えない(?)ので、経過観察です。

 インフルエンザは、急に発熱した後、ちょっと熱が下がって、また上がることがあります。最初の発熱時では殆ど検査(-)ですが、また上がってきた時には(+)になっていることが多いです。このタイミングで検査すれば陽性率は上がるでしょうね。でも、それまで待てないのが現実かもしれません。

 ところで、B型はA型に比べて検査(+)になるのに、少し時間がかかります。昨晩受診した小学生のお子さんは、発熱した日、翌日と二日続けて検査して(-)、しかし、熱が下がらないと言うことでした。
 ボ~として、目が充血して元気がなくて・・・。まあ、インフルエンザでしょう。3回目の検査で、やっとB型(+)に出ました。お母さんは喜んでいましたね。インフルエンザになって喜んでるわけではなく、結果がはっきりしてホッとしたのでしょう。
 このお子さんにはタミフルではなく吸入薬を処方しました。B型にはタミフルより吸入薬の方が効果が期待できますので、吸入出来るお子さんには吸入薬を処方しています。

 吸入薬には2種類あります。リレンザとイナビル。どちらも、A型にもB型にも効果がありますが、違いがわかりますか?リレンザは1日2回吸入を5日間続けます。イナビルは1回に4吸入(10才未満:2吸入)で済みます。

 1回吸入のイナビルの利点は、医療機関で診察後に吸入しておしまいです。楽ですね。でも、吸入薬は使い慣れていないと上手くできないことも多いです。ちょっと吸い損ねたかな?と思ったりすると心配になるかもしれません。
 その点、リレンザは、1日2回吸入を5日間ですから、2~3回上手く吸入できなくても大丈夫かな?という気もします。

 リレンザでもイナビルでも、大体2日くらい経てば解熱してきます。そうするとリレンザの場合、キチンと5日間吸入しなくなる心配もあります。その結果、体内に残っているインフルエンザウイルスを他の人に移してしまう事にもなりかねません。

 一長一短と言うことでしょう。私は両方処方していますが、キチンと指示通り吸入できればどちらでもよいです。昨日の処方は半々でした。


リレンザ

イナビル

2014年2月7日(金)
もりおか雪あかり

 寒い日が続きますね。今の時期が一年で一番寒いです。今日は診療終了後に、岩手公園で開催されている「もりおか雪あかり」を見てきました。今年で10回目だそうですね。復興の願いも込めてるのでしょう。幻想的な雪像や光のページェントはとても魅力を感じます。

 ※ 「もりおか雪あかり」は、本州一寒い街「もりおか」の冬の夜に、凛とした空気の中ひとつひとつの灯りの中に寒いからこそ感じられる「まち」「ひと」のあたたかさを伝えようとはじめられ、今回で第10回目の節目の開催です。(実行委員会事務局HPより引用)

 この頃、インフルエンザが流行っているとか?確かに少し増えてきましたが、テレビの流行状況はどこの話なんでしょう。いつものことですが,流行っている地域もあれば,そうでない地域もあります。今のところ、岩手県は全国でも最下位に近いくらいの流行状況です。むしろ、溶連菌感染症の方が多いくらいです。とは言え、時間の問題です。いずれ流行期を迎えるでしょう。願わくばこの程度でおさまってくれると良いのですけどね。

 今年の流行の主役は5年前に登場したH1N1です。新型として登場しましたが、その後、あまり大きな流行はなく、今シーズン再び大流行しそうな気配です。

 インフルエンザと言えば「急な発熱」というように発熱に気をとられがちですが、H1N1は時として強烈な呼吸不全(呼吸が苦しい状態)を引き起こします。
 5年前、とんでもない重症肺炎を何人も診ました。特に気管支喘息などの呼吸器疾患を持っている人は悪化しがちです。

 あれから、4~5年経って、何となく当時のことを忘れかけている人もいると思います。気管支喘息の患者さんは日頃の予防治療を怠らないことです。

 今年のシーズンは流行の並みが少し遅れてきていますが、タミフルの効かない耐性インフルエンザが出現してきたり、中国のH7N9や、韓国のH5N8、さらに中国のH10N8など、新たな鳥インフルエンザの出現が脅威となっています。日本一国の問題ではなく世界中が協力してインフルエンザ対策を講じなければならなくなってきています。






2014年1月26日(日)
インフルエンザ流行始まる。

 本日は休日当番医でした。いつものことですが、年明け後の小児科外来は閑散としています。12月はかなり混み合いますが、年が明けたとたんにヒマになるのが小児科です。

 今年も先週前半まではとても空いていましたが、後半から少し混み合ってきました。インフルエンザもチラホラみられるようになってきました。

 先週の当番医の先生からは、「インフルエンザも1人で、とてもノンビリした当番医でした。」と連絡をいただいてましたので、「今日もヒマかな~。」と思っていましたが、ナント、インフルエンザがドンドンやってきました。ビックリした~。

 先週まで殆どいなかったインフルエンザがどっからきたんだろう?という感じです。いよいよシーズン到来です。今日はA型14人、B型2人でした。相変わらず親からの感染が目立ちましたが、小学校ではそろそろ広がりを見せています。今の所ところ、幼稚園・保育園より小学校の方が多いですね。

 「急な発熱が見られたら、早めに医療機関を受診しましょう。」と、よく言われますが、受診したところで、「発熱後あまり時間が経過していないから、検査はできない。」な~んて言われたことないですか?

 確かに、発熱後ある程度時間が経たないと検査してもわかりません。デモね、検査が全てじゃないんですよ。周りにインフルエンザの人がいて、目が充血して、ボーとしてたら、検査(-)でもインフルエンザを疑いますよ。これ常識。小中学生なら、前後左右の席の子がインフルエンザなら、まずもらっちゃいますね。と言うわけで、検査は参考程度。「医師の見立て」を信頼して下さい。

 今日も検査(-)のお子さん2人にインフルエンザと診断してインフルエンザの薬を処方しました。

 ただし、発熱したからといって夜中に急いで救急を受診しなくても良いですよ。翌日、ゆっくり、かかりつけの先生を受診して下さい。

 2月中はダラダラと小規模な流行が続くでしょうね。手洗い、うがいをキチンとしましょう。インフルエンザワクチンの助成金は今月で終了します。未接種の人は急いで接種しましょう。

2014年1月23日(木)
停留睾丸

 この頃、少し寒さが和らいできた感じがします。昨年も確か1月上旬が厳寒でした。例年は1月中旬から2月中旬にかけて厳しい寒さが続きますが、だんだん寒さの周期もずれてきたようです。とは言え、まだまだ寒いことにはかわりません。

 今日は、インフルエンザのお子さんが二人受診しました。一人は盛岡市内の高校生で、同じクラブの先輩がインフルエンザに罹っているとのこと。もう一人は、矢巾町の小学生で、こちらは周囲に全くインフルエンザはいないそうです。
 インフルエンザワクチンの助成金が出るのは今月中です。まだ接種していない人は、急いで接種しましょう。

 先日、停留睾丸についてご質問のメールをいただきました。ときどき乳幼児健診でも尋ねられることがあります。特に男の子のお母さんは知っておいた方がよいですよ。

 M.Iさんからの


 いつもお世話になります。

 お正月休み中に風邪をひいて、医大の小児科が開いてたので診てもらったのですが、その際に、睾丸の玉がおりてきていないから、様子をみてこのままなら医大の外科にまわすからまた来るように、と言われました。

 入浴の際にみるように言われて帰宅したのですが、自分で見てみてもよく分からなくて、夫に見てもらったところ、入浴中はおりてきているとのことでした。でも、おむつ替えの時などに見てみると、おりていないような気がします。

 これは何才くらいまでこのまま様子をみていいものでしょうか?また、普段はおりてきてなくても、入浴中におりてきているならば問題のないものでしょうか??

 よろしくお願いします。




 メールありがとうございます。

 睾丸(精巣)は、生後6ヶ月くらいまでに陰嚢内に自然に降下してきますが、1才で100人に1人くらいの頻度で下がっていないお子さんが見られます。これを停留睾丸といいます。

 睾丸は思春期になると精子を作る働きをしますが、この場合、睾丸は体温よりやや低めの温度であることが望ましいです。そのため、睾丸は体外で陰嚢に包まれた状態で存在する事になります。つまり、体内に長く停留していると精子を作る働きが弱まることが懸念されます。

 また、停留睾丸の場合、思春期以後の精巣がんの発生頻度が高いともいわれております。しかし、これには賛否両論あり、「早期手術によって腫瘍の発生率が下がる。」という報告がある一方、「変わらない。」とする報告もあります。日本のデータははっきりしたものがなく、詳細不明です。

 ただ、体内にあるよりも体外にある(陰嚢内におさまっている状態)方が精巣がんは発見しやすいわけですし、やはり、体裁上も、体外にある方が自然ではあります。

 ところで、普段は停留睾丸のように見えても、リラックスした時に陰嚢内に下降してくる場合があります。この場合は停留睾丸ではなく、移動性睾丸といいます。お子さんの場合、入浴中には下降しているようです。この場合は基本的には問題ないと思います。

 手術が必要な場合は、一般的には1才前後に行われます。この頃に睾丸を陰嚢内に全く触れないようなら手術が必要かもしれません。

 今の所、移動性睾丸で心配ないと思いますが、1才頃に(1才の健康診断でよいと思います。)もう一度確認すればよいでしょう。では、お大事にして下さい。

2014年1月19日(日)
そろそろインフルエンザ?

 昨日、今日は大学入試センター試験の日です。これまでに大きなトラブルはないようですが、一部の地域で、交通機関の乱れのため、試験開始時間が繰り下げられたようです。

 毎年のことですが、天候に左右されるのは大変です。こういう意味からも秋入試が望ましいのかもしれませんね。

 全国的にはインフルエンザが流行している地域も増えてきているようですが、盛岡市内は、依然としてインフルエンザは少ないです。そもそも、インフルエンザの流行は年明けに、冬休みが終わった小学校から流行が始まることが多かったです。それが、どういうわけか、ここ7~8年前くらいからは、秋頃から流行がみられるようになってきました。そして4年前には新型インフルエンザが発生しました。
 新しいこと(例えば、新型の発生など)があると、その前後の数年間は何かしらの変化があるのかもしれませんね。

 今年になってから当院で診たインフルエンザ患者さんは4名ですが、そのうち3名が昨日の受診でした。そろそろ流行ってきたかな?と、思いましたが・・・

 3人ともお父さんが、仙台や大船渡に行って感染してきたようです。それが家族に移ったという状況です。今週から殆どの小学校で新学期が始まります。いよいよシーズン到来です。ワクチンは済みましたか?手洗い、うがいを励行し、外へ出かける時はマスクをしましょう。

2014年1月12日(日)
インフルエンザの新薬:T-705

 今日は、成人の日ですね。ハッピーマンデー制度導入に伴い、2000年から1月の第2月曜日が成人の日になりましたが、今年は12日の日曜日に成人の式典を行う自治体が多いようです。

 以前は、1月15日に国立競技場でラグビーの日本選手権(学生vs社会人)が開催され、スタンドには振り袖姿の新成人も多く見られました。懐かしい光景です。
 今日はあいにくの雪降りですが、一目新成人という方々を町で見かけますね。一頃見られた成人式での騒動も最近は見られなくなってきました。みんな新成人としての自覚を持つようになってきたのでしょうね。良いことです。

 先日「医学の進歩」のお話しをしましたが、今日も一つ、「医学の進歩」の話題を取り上げたいと思います。

 長らく開発中だった新しいインフルエンザ治療薬T-705(ファビピラビル)が発売される見通しとなりました。早ければ今春にも製造販売が承認されるようです。インフルエンザ治療薬といえばタミフルが定番となっていますが、最近はタミフルに効かないインフルエンザウイルスも増えてきました。

 タミフルはインフルエンザウイルスを直接やっつけるのではなく、人の体内の細胞で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外にでるのを阻止することによって効果を発揮します。直接ウイルスの増殖を防ぐ働きはありません。ですから、ある程度時間が経ってからでは既にインフルエンザウイルスが増殖していますので効果が期待できません。
 これは現在使われている他のインフルエンザ治療薬:リレンザ、ラピアクタ、イナビル、全て同じです。

 これに対してT-705は、インフルエンザウイルスの増殖そのものを抑える作用を持ちます。インフルエンザウイルスの複製酵素をRNAポリメラーゼといいますが、T-705は、このRNAポリメラーゼを阻害してウイルスの増殖を直接阻止します。
 また、タミフルとは明らかに作用機序が異なるため、タミフルが効かないインフルエンザにも効果があるとされています。

 T-705は製薬会社が製造販売承認を申請してから3年近く経って、やっと承認がおりましたが、少し時間がかかりすぎた感じです。おそらく鳥インフルエンザに対する効果も確認してから承認という運びだったものと思います。(推測ですが・・・)

 この新薬T-705は、黄熱病や西ナイル熱にも効いたという報告があります。また、数年前に流行しそうになった新型コロナウイルスにも効く可能性もあるといいます。そんなわけで単なるインフルエンザ治療薬としてだけではなく、大きな期待が寄せられているようです。
 もしかしたら、T-705は現在治療が困難なウイルスに対しても効果が期待できるのかもしれません。そのため満を持して今回の承認となったのでしょう。

 一方、承認まで時間がかかったということは、副作用が強いのでは?ということも少し気になります。まだ実際の医療現場では使用されていませんので何とも言えませんが、どんなに良い薬と言えども、「薬は両刃の剣」です。使用するに当たってはキチンと適応症状を見極めていくことが大切です。

 前述したようにT-705はRNAポリメラーゼの阻害作用を持つ薬です。この仕組みはすでにエイズやC型肝炎などのウイルス性疾患の治療薬として用いられているのですが、ようやくインフルエンザウイルスについてもRNAポリメラーゼ阻害作用を持つ化合物が登場したことになります。

 今後、各製薬会社は、T-705のようなインフルエンザの新薬をドンドン開発していくのでしょう。

 まだ詳細はわかりませんが、T-705はカプセルか錠剤のようです。おそらく最初は成人適応のみで小児では適応がないかもしれません。タミフルもそうでした。まず、カプセルが発売されて1年くらい経ってから、小児用のドライシロップが発売されました。

 まだ、ドライシロップが発売されていない時、せっかくカプセルがあるのに小児に使用できないのは残念ということで、私はタミフルのカプセルをばらして小児に処方しました。もしかしたら、またそういう事になるかもしれませんね。

2014年1月1日(水)
あけまして おめでとうございます

 あけましておめでとうございます。今朝は朝5時に早起きして八幡宮に初詣をしてきました。さすがに人通りは少なく、並ぶことなくお参りをしてきました。ご利益があると良いですね。

 今日は、年の初めとして、「医学の進歩」の話題に触れたいと思います。テーマはスギ花粉症です。

 私自身スギ花粉症があるので、早ければ2月中旬頃からでも鼻がグシュグシュしてきます。毎年のこととはいえ、ホントにまいります。同様の症状でお悩みの方も多いと思います。それでも最近は昔と違って効果のある薬が増えてきたので、だいぶ楽になりました。
 しかし、薬の効果は一時的ですので、スギ花粉が飛散している間は続けなければなりません。私のスギ花粉症は軽症の方ですが、重症の方は大変です。

 この国民病ともいうべきスギ花粉症に新しい治療法が登場します。スギ花粉症は、既に体内に出来ている抗体に、体外から侵入してきたスギ花粉とが結合することによっておきます。これがアレルギー反応(抗原抗体反応)です。薬物療法は、この反応を直接抑えることが出来ません。ですから、薬物療法では、効果がイマイチという人もいます。

 このアレルギー反応を直接抑制することが出来れば、症状を未然に防ぐことが出来ます。自分の免疫で抑制してゆく、発症しないように体質を変えてゆく治療が減感作療法といわれる治療です。根本的治療法とも言えます。

 スギ花粉に対する減感作療法は昔から行われていて、新しい治療法ではありません。具体的には、薄めたスギ花粉エキスを少量ずつ定期的に皮下注射します。治療期間は2~3年を有します。ある程度の効果が認められております。
 しかし、治療期間が長く、また、元々アレルギーを起こすスギ花粉を皮下注射するわけですから、時としてアレルギー症状が見られることもあります。というようなわけでスギ花粉皮下注射減感作療法subcutaneous immunotherapy(SCIT)はあまり普及していません。

 そこで、スギ花粉エキスを皮下注射するのではなく、舌下に投与する方法が考えられました。これが、スギ花粉舌下減感作療法sublingual immunotherapy(SLIT)です。皮下注射減感作療法と比較しても、今までの所、大きな副作用もなく、十分な効果がみられているようです。

 この治療法はもう10年くらい前から注目されていましたが、やっと保険適応される見通しとなりました。スギ花粉舌下減感作療法は、通常、スギ花粉症シーズンの前年秋に、治療が開始されますので、残念ながら今シーズンには間に合いませんが、来シーズン以降期待されている治療法です。(適応年令は12才以上です。)

 毎年スギ花粉症で受診される方にこの話はしています。みんなから実施されるようになったら教えてほしいといわれています。いよいよ来シーズンからは可能です。何年か後には、スギ花粉症で悩んだのは過去の話になっているかもしれませんね。