今日は少し寒さが和らぎましたが、正月三が日は、また寒くなりそうです。寒さとともに、今月中旬からインフルエンザも流行してきました。
先週の土曜日は夜間急患診療所で診療してきましたが、受診患者数30数名、そのうち約半数がインフルエンザでした。発熱したばかりで受診するお子さんが殆どでしたね。
発熱後あまり時間が経過していないとインフルエンザの検査をしても(-)のことが多いです。しかし、今くらいの流行になってくると、突然の発熱。目が充血してボーとしている。周囲にインフルエンザの人がいる。等々の状況でしたら、検査の結果にかかわらずインフルエンザと診断します。当然薬も出します。
この日は陽性率80%くらいでしたね。1人だけ、検査結果がはっきりしないと薬を飲みたくないという人がおりました。明日休日当番医を受診して、また検査してもらうとお話ししていました。早く良くなるといいですね。
先日、階段で転んで骨折しそうになりました。12月19日(金)、朝にゴミを出すため両手がふさがった状態で外の階段を降りました。所々、凍っており気をつけていたつもりでしたが、最後の一段を降りた瞬間に転んでしまいました。最後の一段ですよ。地面にはうっすらと雪がかかってましたが、その下が凍っていました。
左の膝が屈曲し、足首が過伸展して腰の下に入るような状態で転んだので、これはどこか折れたなと思いましたが、なんと、全く痛くない?!しかも普通に歩ける。すごい、自分はなんと丈夫なんだろうと、変に感心しながら、そのままクリニックへ車で出勤しました。
その後、全く何ともなかったのですが、午後の乳幼児健診が終わったあたりから、なんとなく左足が痛み出してきました。今の今まで何ともなかったのに、ドンドン痛みが強くなってきました。たまらず湿布してみましたが、効果なく、立ち上がると痛くて足がつけません。さらに、痛くて歩けなくなりました。左足をよ~く見ると、若干腫れてきています。
何とか、診療は終えましたが、こりゃ折れてるなと思い。整形外科の救急を受診しました。患者として夜間救急受診と言うことは生まれて初めてですね。いつもとは立場が逆です。受付の人もよほど痛そうに見えたのでしょうか。「車いすをお貸ししましょうか?」なんて言われました。マア、かかと歩行で何とか歩きましたが、とても痛々しく見えたのでしょうね。
レントゲン写真を撮ってもらいましたが、幸い、骨折はなし。腱が過伸展(伸びすぎ)したために周囲に炎症が拡がり疼痛が増したのだろうとのことでした。安静にすれば軽快するが、固定した方が痛みが軽減するので、簡易ギブスを巻くことにしました。ギブスを巻いてもらい、帰る間際には、松葉杖もあった方がいいでしょうと言うことで、「ギブスに松葉杖」という姿で帰宅しました。
少し痛みは和らぎましたが、一晩で治るかな?と心配でした。しかし、翌日には信じられないくらい良くなりました。全く痛みがなく普通に歩けました。「お医者さんの言うことは信じましょう。」と、思いましたよ。この日は一日ギブスを巻いたまま診療しましたので、患者さんたちから「骨折ですか?」「歩けるんですか?」などとお気遣いをいただきました。翌日にはギブスも外しました。後遺症なく完治しました。ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。
今回の件で、高校の古文にあった徒然草の「高名の木登り」を思い出しました。
有名な木登りといわれている人が、他の人を指示しながら高い木に登らせて梢を切らせた時、高いところで危なく見える時は何も言わないで、降りてくる時に軒の高さくらいになったところで、「あやまちすな。心して降りよ」(けがをするな。注意して降りろ)と言葉をかけました。
たまたまそれを見ていた別の人が、「かばかりになりては、飛び降りるとも降りなん。如何(いか)にかく言ふぞ」(これくらいの高さであれば、たとえ飛び降りたとしても降りられよう。どうしてそう言うのか)と聞いたところ、「その事に候(さうら)ふ。目くるめき、枝危きほどは、己(おのれ)が恐れ侍れば申さず。あやまちは、やすき所に成りて、必ず仕(つかまつ)る事に候ふ」(そのことでございます。高くて目がくらみ、枝が折れそうで危ない間は、自分で恐れて用心しますから、注意しろとは申しません。けがは、安全な所になってから必ずするものでございます)というお話しです。
「あやまちは、やすき所に成りて、必ず仕(つかまつ)る事に候ふ」は、実に今回の自分にピッタリです。このたとえ話は医療についても言えます。医療は最後の最後まで気が抜けません。日頃そういう思いで診療していますが、今年はこれを教訓として、気持ちを引き締めて新年を迎えたいと思います。新年は1月4日(日)の当番日からスタートです。
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