診察室便り

2020年12月31日(木)
大晦日

 数年に一度という寒波のせいで、年末年始はとても寒いです。今年ももう少しで終わりですが、なんともマア、大変な年でした。日本中ほとんどの人達がそう思ってるでしょう。コロナに始まり、コロナで終わる一年でした。自分なりに今年一年の印象に残るニュースを5つ上げてみました。コロナ関連ばかりです。

1番目は、中国武漢で新型肺炎発生。
 2019年末頃から中国・武漢を中心に原因不明の肺炎が相次ぎました。2020年1月には武漢市当局が患者の情報を公式に発表。海鮮市場と関連した患者が多いことから、市場は閉鎖されました。日本には1月16日に上陸してきました。当初は人-人感染が明確ではなかったため、春節の観光客らによって世界中にウイルスが拡散する事態となりました。

 そして、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」が2月3日、横浜へ入港。乗客の大半が日本人だったこともあり、日本政府は寄港を認めた上で、船上での検疫を実施しましたが、船内のゾーニング(感染者の被害拡大を防ぐために行う隔離処置)が不十分であったため、相次いで乗員・乗客が感染しました。

2番目は、東京オリンピックの中止。
 今年の夏に予定されていた東京オリンピック・パラリンピックは、新型コロナウイルスの収束が見込めないため、3月24日に1年程度の延期となりました。一生懸命頑張って代表になったアスリート達にとっては、開催できるのかどうか、とても気になるところです。IOCは2021年夏の開催に強い意欲を示していますが、感染対策や観客動員の可否、追加経費の負担など課題は多く、実現にはほど遠い気がします。

3番目は、志村けんさんら著名人の死去。
 当初、軽症の人が多いと言われた新型コロナウイルスでしたが、高齢者や基礎疾患を持っている人が罹ると重症化すると言うことも次第にわかってきました。肺疾患を患っていた志村けんさん、ガン治療で免疫が低下していた岡江久美子さん、糖尿病の大相撲力士勝武士関らの訃報が駆け巡り、国民に大きなショックを与えました。

4番目は、マスク・PPE(個人防護具)などが入手困難になりました。
 感染が拡大する中、マスクの着用を求める声が強まり、マスク需要が極端に増えたため、医療機関でもマスクが不足するようになりました。当院では、常時1年分くらいはストックしてますので、不足することはありませんでしたが、先が見込めない状況では、今後も不足する懸念があります。

5番目は、当院の新型コロナ対策:完全予約制にしました。
 今までは、あまり厳密な予約診療はしていませんでしたが、三密回避のため、10月より完全予約制にしました。予約のない方は、院内が空いていれば入室できますが、三密状態になりそうなときは、院外で待ってもらうようにしました。今までは到底考えられないことで、混乱が心配されましたが、皆様のご理解、ご協力のおかげで、なんとか診療を続けています。

 まだまだ、ありそうですが、コロナに関してはきりがないですね。来年は丑年です。牛の角でコロナを吹っ飛ばしてもらいたいものです。

2020年12月10日(木)
RNAワクチン

 先日、「ワクチンの有効率」のお話をしましたが、ある日本人医師が、直接発売元の製薬会社に『90%以上のワクチン有効性の具体的な算出方法』を問い合わせたところ、「現時点でご提供可能な情報はございません。この度は先生のご要望にお応えできず、誠に申し訳ございません」と言う丁寧なお返事を文書で頂いたそうです。チョット歯切れが悪いですが、それはさておき、一昨日から、世界中で注目を浴びている新型コロナウイルスワクチンの接種が、イギリスで始まりました。

 イギリスの新聞は「今日から私たちの反撃が始まる」、「(感染の)終わりの始まりだ」と期待をもって伝えています。このワクチンはmRNAを用いたRNAワクチンといって、ふだん私たちが接種している生ワクチンや不活化ワクチンとは異なるワクチンです。

 mRNAは、新型コロナウイルスの遺伝子情報を基に人工的に作ったウイルスの設計図を自らに転写(コピー)して、私たちの細胞に伝える働きをします。細胞内ではこの遺伝子情報が抗原たんぱく質に翻訳されてウイルスに対する免疫が作られます。こうしてできた免疫は従来の生ワクチンや不活化ワクチンよりも効果があるとされています。

 多くの期待が寄せられているRNAワクチンですが、今年になるまで大手のワクチンメーカーは、いわゆる遺伝子ワクチンの開発には積極的ではありませんでした。mRNAは体内に投与されると分解されてしまいますが、それを防ぐための手段がなかなか見つかりませんでした。2020年以前に臨床試験が実施されたRNAワクチンはわずか12種類しかなく、全て承認されていません。

 そんなときに新型コロナウイルスがやってきて、RNAワクチンは一躍脚光をあびることになりました。なぜ、RNAワクチンが注目されたのかと言うと、RNAワクチンは開発に要する期間が極めて短いということです。モデルナ社は新型コロナウイルスの全配列を取得してから、わずか2か月間の研究でRNAワクチンの臨床試験まで進みました。

 不活化ワクチンが5年~10年くらい要するのに対して、RNAワクチンは遺伝情報(塩基配列)がわかれば、1年もかからないうちにできると言われています。そのため、ウイルスが突然変異しても、それに対応するRNAワクチンは短期間で作ることができます。

 「人類の救世主」として期待が大きい反面、史上初のRNAワクチンですので、どんな副反応があるのか?心配もあります。イギリスでは、早速重篤なアレルギー反応が、二人に見られたとのことですが、どうやらアナフィラキシーを起こしたようです。このお二人は過去にも同様の症状が出たことがあるそうです。ワクチンによるアナフィラキシーはRNAワクチンに限ったことではなく、全てのワクチンで起こりうることです。過去にアナフィラキシーを起こしたことがある人は、どんなワクチンでも注意が必要です。

 通常、ワクチンの副反応が現れるのは、ワクチン接種から2か月以内と見られていますので、この間に特に大きな問題がなければ、日本でも接種が始まるでしょう。しかし、それ以後の長期的安全性については、今のところ不明です。予期しない免疫反応を引き起こす可能性も否定できません。接種して1年後、数年後、もっと後になってから何か起きるのか?でも、そういうことを心配していては、いつまでたってもワクチンを接種できません。

 「自分の順番が回ってきたら接種する」と言う人は多いようです。これは、自分の順番が回ってきたときに、どれだけワクチンの安全性が確認されているかによって接種を考えるということでしょうね。私もそうです。これから、ワクチンに関する報道や論文が多くなると思います。そういう情報を吟味しながら接種を考えます。

2020年11月22日(日)
新型コロナウイルスワクチン

 ついに岩手県でもクラスターが発生して、本格的な流行に入りそうです。今のところ、感染者は追跡可能と言うことですので、ここで封じ込めれば、一気に流行することはなさそうです。11月下旬~12月上旬がヤマでしょうか?

 昨日は、盛岡市の発熱外来で勤務してきましたが、十数名のコロナ疑いの患者さんが受診されました。殆どの方が濃厚接触者と言うことで、保健所から検査を勧められての受診でしたが、みんな元気で何も症状がみられない人達でした。町ですれ違ってもとてもコロナ疑いなんて思えません。先の見えない不安な日々ですが、自身の健康管理をしっかりとするしかないですね。

 米ファイザーやモデルナ社が開発中の新型コロナウイルス感染症のワクチンが世界中で注目を浴びています。それは、有効率が90%超と驚くほど高いからです。しかし、これは素晴らしい、早く接種したい・・・という人は意外と少数派のようです。あまりにも短期間に完成されたワクチンですので、何となく心配というのが本音でしょう。実際そう思います。自分でも今接種するかと言われれば少し躊躇します。

 ところで、有効率90%というと、100人がワクチンを接種するとそのうち90人が有効で発病しないと思ってしまいそうですが、違うんですよ。有効率とは、ワクチンを接種した人の発病率だけに着目するのではなく、ワクチンを接種しなかった人の発病率も考慮して双方を比較してえられる数値です。有効率90%というのは、接種しなかった人と比較して接種した人の発病率が90%減少した。あるいは、接種せずに発病した人のうち90%は接種していれば発病しなかったという意味です。

 何となくわかったような、わからないような・・・。では、実際に数字で表してみますと、ワクチンを接種した人100人中10人が発病した場合、発病率は10%ですが、有効率は90%ではありません。ワクチンを接種しなかった人の発病率によって有効率は変わってきます。ワクチンを接種した人100人中10人しか発病しなかったとしても、ワクチンを接種しなかった人100人中80人が発病した場合、50人が発病した場合、20人が発病した場合では、当然、有効率は変わってきます。

 ワクチン有効率90%という数値は、接種しなかった人の発病率を1とすると、接種した人の発病率が0.1になる場合、その差1-0.1=0.9を%で表した数値です。例えば、ワクチンを接種しなかった100人中20人が発病、ワクチンを接種した100人中10人が発病したとします。ワクチンを接種しないで発病した20人を1とすると、ワクチンを接種して発病した10人は0.5になりますので、その差1-0.5=0.5有効率50%と言うことになります。

 新型コロナウイルスワクチンでは、この辺の説明が少し不足しているように思われますので、有効と思われるますが、まだよくわかりませんね。今後の報告に注目です。

2020年10月31日(土)
二つのロタウイルスワクチン

 10月1日からロタウイルスワクチンが定期接種となりました。これで1才までの予防接種はインフルエンザワクチンを除いて全て公費で接種できるようなりました。大変喜ばしいことです。

 ところで、ロタウイルスワクチンには、ロタリックス(2回接種)とロタテック(3回接種)の2種類あって、接種される保護者が選択できることになっています。自分で選べるということは、良いことですが、その反面どちらにしようかな?と悩むことにもなります。

 最初にお話ししますが、効果については同等ですので、どちらを接種してもよろしいです。では、この2種類のワクチン、何が違うのかというと、次のような違いがあります。
 
 ロタウイルスの表面にはP蛋白質とG蛋白質が存在しています。P蛋白質は11種類の遺伝子型、G蛋白質は10種類の血清型を持っており、この組み合わせでいろいろなタイプのロタウイルスができます。遺伝子型は[]で囲んで表記します。例えば、G1P[8]は、G蛋白質が1型・P遺伝子型が8型のロタウイルスという意味です。乳幼児のロタウイルス胃腸炎の原因で最も多いのが、このG1P[8]です。

 ロタウイルス胃腸炎の原因になる主なウイルスには5つの血清型(G1P[8]、G2P[4]、G3P[8]、G4P[8]、G9P[8])がありますが、ロタリックスは、5つの中でも一番流行して重症化しやすいG1P[8]のヒトロタウイルスを弱毒化したワクチン(1価ワクチン)です。1種類の血清型しか使用していませんが、交差免疫(ワクチンに含まれているウイルスに対する免疫を獲得することで、タイプの似ているほかのウイルスにも防御反応を示すこと。)によって、他の4種類のロタウイルスにも有効であることが確認されています。

 一方、ロタテックは、ウシロタウイルスに、ヒトロタウイルスを組み入れたウイルス4種類と、ウシロタウイルスにP[8]遺伝子を組み入れたウイルス1種類の計5種類のウイルスを混ぜた遺伝子組み換えワクチン(5価ワクチン)です。

 このように成分、製法が異なりますが、両方のワクチンともに、ほぼ同等の効果を示しています。

 二つのロタウイルスワクチンは、ともにロタウイルスによる感染を防いだり、軽くしたりして、点滴や入院が必要になる重症例を約90%減らします。結果として、脳炎などの重い合併症も防ぎます。予防効果は少なくとも3年間は持続することが海外の臨床試験で確認されています。

 教科書的な説明になってしまいましたが、結論はどちらでも良いということです。しかし、どちらでも良いと言われるとかえって迷いますよね。ワクチンの接種券には、ロタテック2mlとロタリックス1.5mlと記載されて、保護者がどちらかを選択することになっています。接種時に「ロタリックス(2回接種)とロタテック(3回接種)のどっちを接種しますか」と聞かれても、「どっちが良いでしょう?先生のお勧めはどちらですか?」と迷われる方が多いです。自分でもどっちでも良いですと言うものの、どちらか一方を選ぶとなると迷います。有効性が同じとなると、それでは比べようがありませんので、それぞれの短所で比較してみましょうか。強いて言えば・・・ですけどね。

 まず、ロタウイルスワクチンは、接種後に嘔吐してしまった場合も、飲み直しができません。となると、何回か嘔吐する場合を想定すると、回数の多いロタテックの方がよさそうです。一方、めったにない副作用の腸重積は、接種回数が多い方が頻度は高くなります。となると、回数の少ないロタリックスの方がよさそうです。とマア、あまり良い説明ではありませんが参考にはなりますかね。

2020年10月16日(金)
予防接種間隔の改正

 10月1日からワクチンどうしの接種間隔が改正されました。今までは、生ワクチンを接種した後は4週間おいて、不活化ワクチンを接種した後は1週間おいて、次のワクチンを接種していましたが、大幅に変更されて、注射生ワクチンどうしについては、現行どおり27日以上の接種間隔を開けて接種しますが、これ以外の接種につきましては、「制限なし」となりました。詳しくは、予防接種スケジュールをご覧下さい。

 生ワクチン接種後4週間おくのは、世界中どこでもそうですが、不活化ワクチンを接種後1週間おくというのは、日本独特のルールでした。

 生ワクチンを接種後、4週間以内に生ワクチンを接種すると、生ワクチンどうしでお互いに相手の免疫産生を抑え合う作用(干渉作用)が理論上起こりうると言われております。(しかし、実際に生ワクチン同士で干渉作用がみられるという根拠はありません。)そのため、生ワクチンを接種後4週間おくというのは、世界共通のルールです。
 一方、不活化ワクチンの場合は、生ワクチンとでも不活化ワクチンどうしでも、干渉作用は起こることはありません。

 では、なぜ、今まで日本では不活化ワクチン接種後1週間おいていたのかというと、複数のワクチンを続けて接種した場合、接種後に何か症状(例えば、発熱など)がみられた時、それがワクチンを続けて接種したため?と誤認されることを防ぐためでした。

 生ワクチンの副反応がでやすい接種後4週間、不活化ワクチンの副作用がでやすい1週間、の間隔をあけて、他のワクチンを接種すれば、それぞれのワクチンの副反応の出現時期が重ならないので、副反応がみられた時、どのワクチンが原因か判明できるということです。

 しかし、これには、特別な医学的根拠はなく、日本小児科学会では、何年も前から、厚生労働大臣に対して、「異なるワクチンの接種間隔変更に関する要望書」を提出しておりました。それが、この度、やっと実現しました。

 現行の注射生ワクチンは、1才前に接種するBCGと、1才後に接種するMR(麻疹・風疹)ワクチン、水痘ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチンの4種類です。今回の改正は1才までのお子さんには、あまり影響ありませんが、1才過ぎのお子さんにとっては接種間隔を気にしなくても良くなりましたので、朗報です。

 その反面、いつでも良いとなると次の接種を忘れてしまうかもしれません。一つワクチンを接種したら、その日のうちに次のワクチンの接種日を決めるようにすればよいでしょうね。

2020年9月29日(火)
指定感染症

 9/28、政府は10月中下旬から新型コロナウイルス感染者について、「入院の対象を高齢者と基礎疾患を持つ人に限定する」という方針を固めました。軽症者や無症状者は、宿泊施設や自宅での療養を徹底するとのことです。

 これによって無症状の人まで入院させ病床が足りなくなるというような医療崩壊は回避できそうです。また、コロナ以外にもいろいろ病気はあるわけで、そういう人達が医療を受けられなくなる医療難民を防ぐ意味でも入院対象者をあるていど限定することは理にかなっていると思います。

 その代わり、といっては何ですが、高齢者と基礎疾患を持つ人以外でも、急に悪化する場合もあるわけですから、そういう場合は速やかに入院できるようにしてほしいです。

 新型コロナウイルス感染症は「指定感染症」となっています。指定感染症とは、「緊急の対応の必要があると判断された場合、政令で指定し、1年限定で1~3類感染症に準じた対応を行うとされる感染症」を言います。感染症は、危険度によって最も高い1類から相対的に低い5類まで分類されており、新型コロナウイルス感染症は「2類感染症以上の取り扱い」となっています。

 現在、新型コロナウイルス感染症は、最も重症な1類並の対応がなされています。1類は、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱およびラッサ熱のウイルス性出血熱、ペスト、マールブルグ病が、指定されています。殆ど見たことも聞いたこともない病気ばかりだと思いますが、全て罹れば命に関わる重症疾患です。私は今まで一つも診たことはありません。2類は、急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、SARS、MARS、鳥インフルエンザ(H5N1)、鳥インフルエンザ(H7N9)です。

 冷静に現状を鑑みると、新型コロナウイルス感染症が、1類、2類に匹敵するような疾患とは、とうてい思えません。そろそろ指定感染症の枠をはずしても良いように思います。ちなみにインフルエンザは5類に分類されています。新型コロナウイルス感染症も5類にでも分類されれば、普通の医療機関でも診療がしやすくなりますし、コロナに罹ったばっかりに周りから差別・偏見・誹謗中傷されるようなこともなくなるはずです。

 今後の流行状況にもよりますが、今回の政府の「入院の対象を高齢者と基礎疾患を持つ人に限定する」という方針は、指定感染症の見直しの始まりのようにも思えます。

2020年9月13日(日)
完全予約制

 暑い暑いと言ってるうちに、次第に秋の気配を感じるようになってきました。週末は少し気温も下がってきました。夏場は特に流行病も多くはないので、平穏無事な日々でノンビリしていますが、今年は新型コロナウイルスによる受診抑制のためか、さらに閑散としています。でも、病気のないことは良いことですね。

 とは言え、秋から冬にかけては、インフルエンザワクチンも始まりますし、普通のカゼだけでなく、ロタウイルス胃腸炎やインフルエンザなどでけっこう忙しくなりそうです。いつもと違うのは、新型コロナウイルスの存在です。

 当院では、院内での待ち時間を短縮できるように予約制をとっておりますが、10月1日からは完全予約制にします。完全予約制というのは、一般診療だけでなく、予防接種、健診など、全てが予約制ということです。なぜ完全予約制にするのかというと、【新型コロナウイルス感染予防、拡散防止のため~三密回避のため】院内待機人数を制限しなければならないからです。

 完全予約制だからと言って、予約がなければ診療しないと言うことではありません。院内待機人数が多くなければ予約外でも診療できます。しかし、院内待機人数が増えると、院外で待ってもらったり、空き時間に予約して出直してもらうことになるかもしれません。

 長年小児科医として診療にあたってきましたが、今まで、患者さんを院外で待たせるとか、出直してもらうとか、考えたこともありませんでした。しかしながら、現実を鑑みるに、三密回避のためには、そういう選択もやむを得ないのかもしれません。未曾有の難局を乗り切るため、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

2020年8月22日(土)
アフリカの新型コロナウイルス

 暑い日が続きます。熱中症で救急搬送される人も増えているようです。昔はこんなに暑くなかったように思いますが、これも地球温暖化の影響なんでしょうね。そのうち、日本は温帯から亜熱帯になるような気がします。

 国内の新型コロナウイルスは、相変わらずですが、外国の状況はどうなっているんでしょう。アフリカ大陸での新型コロナウイルス感染者数は8月6日に100万人を超えましたが、その勢いは衰えており、以降13日までの1週間の増加率はその前の週の11%より低い8%だったそうです。

 WHOがアフリカのデータを解析したところ、最初の感染発見からおよそ2~3週間後の感染急増はみられず、ほとんどの国での増加はゆっくりで、増加の山場ははっきりしていません。どうやら、アフリカは新型コロナウイルスの流行を、今のところ、うまくコントロールしているようです。

 人口約5.000万人のケニア共和国で15~64才の約3.000人の献血検査結果から、20人に1人が、新型コロナウイルスの抗体を有していると推定されました。これを実人数にすると250万人に相当します。しかしケニアの病院で患者は溢れかえってはいませんし、医療崩壊も起こっていません。

 また、マラウイ共和国の大都市ブランタイアで無症状の医療従事者500人を調べたところ、10人に1人を超える12.3%が新型コロナウイルスの抗体を有していることがわかりました。また、その時点でのブランタイアでの新型コロナウイルスによる死亡数17人は、予想の1/8くらいしかありませんでした。

 このように、アフリカの多くの国々は医療が脆弱であるにもかかわらず、新型コロナウイルス死亡率は他の地域を下回ります。世界の新型コロナウイルス感染者の死亡率は3.7%ですが、アフリカでは2.3%(8月16日時点で、死亡数は25.356人、感染例数は111万53人)。ちなみに、日本では1.9%(8月21日時点で、死亡数は1.174人、感染例数は61.062人)

 より高齢の人ほど、新型コロナウイルスによる死亡リスクは高まりますが、アフリカの人口の6割以上は25歳未満と若く、そのことが新型コロナウイルスによる死亡が少ないことに寄与しているのかもしれません。それに、新型コロナウイルスの重症化と関連する肥満や糖尿病などの富裕国に多い持病がアフリカではより稀です。

 また、日頃からマラリアやその他の感染症に繰り返し曝されていることで、新型コロナウイルスのような新たな病原体と戦える免疫が備わっているのかもしれません

 今後、アフリカではギニア、セネガル、ベニン、カメルーン、コンゴ共和国の数千人の新型コロナウイルス抗体を調べる試験が始まります。抗体は感染してもできない場合もありますし、できても徐々に失われるとの報告もあるので、抗体保有率は真の感染率を下回るでしょうが、得られたデータは、アフリカでの感染の実態の把握につながります。

 数千万人がすでに新型コロナウイルスに感染しているとするなら、ワクチンに頼らず感染に身を任せて集団免疫を獲得して流行を終わらせることに取り組んでみたらどうかという考えが浮かぶと、国境なき医師団のYap Boum氏は言っています。

 確かに、長い目で見れば、経済を停滞させ、むしろ人々の健康をより害しかねない制約方針よりも、集団免疫を目指すほうが良い場合もあるのかもしれません。

 とはいえ、日本国内では、高齢者や肥満、糖尿病などの基礎疾患を持っている人達も多く、さらに、感染すると、誹謗中傷され、挙げ句の果てに、会社を辞めざるをえなかったりと、医学がすすんでいる割には、協調性が欠けていますので、Yap Boum氏のような考え方は受け入れられないでしょうね。

2020年8月10日(月)
ウイルスの干渉(かんしょう interference)

 ついに、7月29日、岩手県でも新型コロナウイルス感染症が発症しました。それまでは、第1号患者が出ても、みんなで温かく見守りましょうと言ってましたが、何と、ネットでは中傷するような人達もいたようです。
 岩手県はホームページを通じて「人権に配慮し、差別・偏見・誹謗中傷はやめましょう」と訴えかけています。コロナに限らず、ネットでの中傷は目に余るものがあります。少し規制があった方が良いかもしれません。

 今年も、そろそろお盆の帰省が始まってきました。例年とは違った「新しい生活様式のお盆帰省」になりそうです。新型コロナウイルス感染症は相変わらず全国で増え続けていますが、毎日、「今日は~人」発生と報道されると、この先いつまで続くのかなと憂鬱な気持ちになります。一定の人数が感染して免疫を持たなければおさまらないとなると、しばらくは、「今日は~人」が続きそうです。

 このような現状の流行も気になりますが、今年の秋~冬はどうなるのだろうということもそろそろ気になってきました。毎年のようにやってくるインフルエンザと新型コロナはどの様な流行形態をとるのか、今のところ全く不明です。

 ところで、「ウイルスの干渉」という現象をご存知でしょうか?干渉(かんしょう interference)とは、一つの細胞に二つのウイルスが感染した場合、どちらか片方、あるいは、両方のウイルスの増殖が抑えられるという現象です。これは、一方のウイルスが細胞に感染するのに必要なレセプター(接合部)を独占するため、他方のウイルスが感染できなくなるためと考えられています。つまり、増殖に必要な成分が一方に利用され、他方が利用できないということです。さらに、一方が他方の増殖を阻害する因子を放出することもあります。インフルエンザと新型コロナがこのような干渉を起こしてくれれば、どちらか一方の流行にとどまり、同時に流行することはないかもしれません。

 現在、日本は夏ですが、南半球は冬に入りました。南半球ではインフルエンザは少なく、新型コロナが多いようです。インフルエンザよりも新型コロナの方が優位なウイルスの干渉が起きているのかもしれません。

 日本の冬はどうなるかわかりませんが、南半球のように新型コロナ優位になるのか、すっかり逆転してインフルエンザ優位になるのか、あるいは、両方流行するのか、両方とも流行しないのか?せめてワクチンのあるインフルエンザだけでも予防しておきたいです。

2020年7月22日(水)
GoTo Travel キャンペーン

 今週の日曜日から大相撲7月場所が始まりました。今年は名古屋場所とは言わないのですね。大人数による東京から名古屋への移動・長期滞在を避けるために、特別開催として、東京で行うということです。観客数を少なくして開催されましたが、全く観客のいなかった先々場所よりは、はるかに盛り上がりを感じます。やはり、観客あってのプロスポーツです。

 いよいよ、今日からGoTo Travel キャンペーンが始まります。世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスの影響で、外出自粛を余儀なくされて数か月たちます。この間、本来なら大勢の人で賑わうはずの観光業、飲食業、サービス業、イベント業などは、訪れる人が大きく減少し、甚大な被害がもたらされています。

 そこで、2020年4月に政府が発表したのが「GoToキャンペーン事業」です。新型コロナウイルス感染症の流行が落ち着いたら、被害を受けた産業への復興を目指すもので、大変良い企画だと思います。

 ところで、GoToキャンペーンはTravel(旅行)だけではないのですね。他にもいろいろあって、全部で4通りのGoToキャンペーンがあるようです。

1.GoTo Travel キャンペーン
 旅行業者や予約サイトを利用して、旅行代金半額相当の割引・クーポンなどが支援されるようです。
2.GoTo Eat キャンペーン
 オンライン飲食予約サイトを通じて、飲食店で使用可能なポイントなどが給付されるようです。
3.GoTo Event キャンペーン
 イベント・エンターテインメントのチケットを販売会社経由で購入すると、割引やクーポンなどが給付されるようです。
4.GoTo 商店街 キャンペーン
 商店街を活性化させるための施策が用意されているそうです。

 2.~4.のキャンペーンはこれから実施されるようなので楽しみにしています。今、話題になっているのはGoTo Travel キャンペーンですね。東京都を始め、新型コロナウイルス感染者が日々増加しているのに、あちこち出かけても良いのか?ということです。確かに、収束にはほど遠い状態での旅行は、チョット、気がひけます。
 実は、私も週末の連休には旅行を予定していました。去年の冬にはすでに宿も予約しており、夜間診療所や休日当番医にあたらないことを祈ってましたが、5月の段階であきらめました。ぜ~んぶキャンセルしました。

 最近の流行状況を見ますと、軽症者が圧倒的に多いです。新型コロナウイルスと一口に言っても、その遺伝子型は数十種類におよび、軽症~重症まで様々なタイプがあります。現在の日本で流行しているタイプは軽症のように思いますが、いつ変異して重症タイプになるのか全く見当がつきません。

 春先には一定の人数が免疫を持たねば感染は収束しないと言われてました。その状況は現在も同じです。急激な患者数の増加は医療崩壊、経済崩壊を来すので、できるだけ緩やかな患者数の増加にとどめなければなりません。

 となると、ワクチンができるまでは、今くらいの規模の流行はチョコチョコ繰り返されるように思います。その都度、一律に厳格な自粛、あるいは、逆にオールフリーというわけではなく、地域の流行状況、重症度にあわせて、医療優先であったり、経済優先であったり、柔軟に対応しなければなりません。

 GoTo Travel キャンペーンで、感染は全国に拡がりそうです。今週末には、岩手県内にも大勢の観光客が訪れるでしょう。そろそろ岩手県でも感染者が報告されそうです。大変、不謹慎で非難されるような言い方ではありますが、できれば、岩手県第一号患者は県外からの旅行者であってほしいです。(と思ってるのは、自分だけではないと思いますが・・・)

2020年7月10日(金)
乳幼児のマスクは不要?

 最近、マスク警察という言葉を耳にします。マスクをしていない人を見ると、きつ~く注意する人達を言うようです。ご自身に何か持病があって、新型コロナウイルスに感染すると重症化するような人なら、周囲の人にマスクをつけてほしいと注意するでしょう。しかし、マスク警察というのは、どうも独りよがりな正義感を押しつけている人達のようです。

 一方、マスクを義務づけられているような施設内でマスクをするように注意されると、逆ギレするような人もいるようです。どっちもどっちで、いやはや何とも困ったものです。

 マスク本来の目的は、「他人からの感染を防ぐことではなく、自分が他人にうつさないため」です。となると、自分自身が具合が悪くなければマスクをする意味はそんなにありません。とは言え、スーパーマーケットのように大勢の人達がマスクをしている様な場所では自分も装着しなければならないと思います。周囲の状況に合わせていくことも必要です。

 日本小児科学会は「乳幼児のマスク着用の考え方」と題して、乳幼児のマスク着用の危険性について警告しています。マスクによって、呼吸器に負担がかかったり、吐物による窒息の原因になったり、熱がこもって熱中症のリスクが高まったり、と、けっこう心配なことが多いからです。 

 先日受診した2才のお子さんは久々に喘息発作を起こしてきました。しっかりとマスクをしていました。真面目なお母さんです。でも、喘息は気管支が狭くなり呼吸が苦しくなる病気です。これにマスクをすれば、ますます苦しくなるのは容易に想像がつきます。こういうときはマスクを外しましょう。

 今は、多くの人達がマスクを着用するのが当たり前になっていますので、マスクをつけたおとうさん、おかあさんがお子さんの世話をする場面も増えています。でも、これは少し気になるところでもあります。

 子どもたちにとって、おとうさん、おかあさんのように、いつも見守ってくれる人との”ほほえみの交換”は、愛情形成の第一歩です。マスク越しの表情では十分な意思の疎通ができません。人間関係の基礎を形成する大切な時期はだいたい2才頃までと言われています。マスクが当たり前となった世の中で、この時期を過ごした子どもたちの感情の発達に今後、影響が出てくることが憂慮されます。

 お家の中では、子どもも大人もマスクは不要です。コミュニケーション能力を高めるためにもマスクを外して、お子さんとおしゃべりする時間をできるだけ多くとって下さい。

 新型コロナウイルスは子どもの感染は少なく、重症化するという報告もありません。2才以下の乳幼児ではマスクは不要です。乳幼児に限らず、誰でもこれからの暑い季節は、ご自身の体調や周囲の流行状況をみながら、マスクを装着するようにしましょう。

2020年6月23日(火)
OBENTO PARADISE

 一昨日、大通で<OBENTO PARADISE>が開催されました。大通飲食店街の「自慢のこだわりお弁当を食べて飲食店を応援しよう」という企画で、20数件の出店がありました。午後12時~3時まででしたので、12時前に行きましたが、すでに大通は大勢の人で賑わっていました。これだけの人混みを見るのは実に久しぶりです。12時から一斉に販売が開始しましたが、どこの出店にも長蛇の列ができて、まさに三密です。

 日本の各地でも、自粛解禁のムードになってきました。患者数が減少している現在、過度な制限は不要ですが、あまり息抜きが過ぎると、またすぐ流行が再燃しそうです。

 青天の霹靂の如く出現した新型コロナウイルスも、いろいろな特徴があることがわかってきました。SERSやMARSのような強毒性のウイルスと比べると致死率が低いこと。感染しても症状がみられない不顕性感染者が20%くらい存在すること。重症化するのは、高齢者や基礎疾患を持っている人が多く、若い年齢層は少なく、こどもは患者数そのものが少ないこと。自然治癒率が80%くらいあること。感染後の抗体がどのくらい持続するのか、また、どのくらい感染防御に役立っているのか不明であること。まだ、いろいろあると思いますが、全く不明の未知の感染症ではなくなってきました。その分、少し気の緩みも出てきそうです。

 新型コロナ対策の1番手に期待されているのが、今後作られるであろうワクチンですが、接種後の抗体がどの程度有効なのか、1回接種でどのくらいの期間効果が持続するのか、インフルエンザのような変異が新型コロナにもみられた場合、毎年接種が必要なのか。まだまだわからないことが多い状況です。

 新型コロナウイルス流行前の日常に戻るには、まだまだ、先は長そうです。いつ大きな流行が来るか見当もつきません。一時的な収束はあっても、完全な終息はないように思います。

 流行が拡大した時に私たちができることは、ロックダウンと自粛くらいしかありません。【Afterコロナ】はあまり期待しないで、しばらくは【Withコロナ】と割り切って流行の状況に合わせたメリハリのある(自粛)生活を送ることが肝要です。
        

     
2020年6月12日(金)
オンライン学会

 6月10日(水)から、発熱外来(正式名称は、盛岡地域外来・検査センター)がスタートしました。大体月1回くらい出番が回ってくるようです。これからしばらくは小康状態が続きそうですが、いつ流行が再開するのか、気が抜けませんね。

 6月6日(土)、岩手県小児科地方会がありました。これは主に岩手県内の小児科医の学会です。いつもは、岩手医大や中央病院や市内のホテルが会場になりますが、今回は新型コロナウイルス感染予防対策として、オンライン学会となりました。zoomというアプリをパソコンやスマホにインストールしてできるようです。

 当日、自宅でパソコンを起動して、早速入場しました。画面には学会場が映ります。座長、演者がそれぞれ小さな画面に映って、スライドが全面にでます。学会で見るスライドは小さくて少し離れたところからはよく見えません。演者が「スライドの字が小さく見にくいと思います。」なんて、発表の時に話すことがあります。いつも。思うのは、「だったら、もっと大きく作ってきなさいよ。」なんですが、オンライン学会はそんなことないですね。とてもスライドがよく見えて、話の内容もわかりやすくなります。

 今回は1会場でしたが、複数会場で講演がある時でも、画面を切り替えるだけで他の会場に入ることができます。質問も気軽にできます。大勢の人がいる場所では、何となく発言しにくいものですが、オンラインだと周囲の視線が全くありませんから、普通に会話する感じですね。通常、会場内では飲食禁止ですが、オンラインだと自由にできますし、周りを気にせずに中座する事もできます。

 通常の学会よりも良さように思いましたが、何となくパットしない?一か所にみんなが集まって顔を突き合わせて話をしないため、どうしても全体の雰囲気が読み取りづらい気がします。また、回線が不安定だったり、遅延が発生したりして接続が切れてしまうこともあり、講演の進行を妨げてしまう可能性もあります。

 学会は、研究発表を話したり聞いたりするだけでなく、大勢の人達と交友を深めるソーシャルな側面もあります。たまにしか会えない人とも会うことができます。そんなときには、いろいろな話題で盛り上がります。ワイワイガヤガヤとしたアナログな雑踏が良いですよね。オンライン学会ではそれができません。これはチョット残念です。

 今春に予定されていた全国学会は殆ど中止、延期になってしまいました。秋に延期された学会の多くはオンラインで開催されるようです。

 今回は岩手県内だけの学会でしたが、全国規模の学会では一度に1.000人以上が一堂に集まります。みんなが興味を持つ演題には、多くの人が会場狭しと集まり、立ち見も多いです。昔と違って今の学会はとてもスケジュールがハードです。朝は9時前からモーニングセミナー、昼は食事しながらランチョンセミナー、夜は7時過ぎまでイブニングセミナーで、いつもすし詰め状態。休憩時間は会場移動時間のみ、この時の人の大移動は満員電車のラッシュ並み。どう見ても、三密状態です。新しい日常は学会にも変化をもたらすようです。

 学会出張は新しい知識を得るためだけでなく、知らない土地に行くという楽しみもありました。日中は一生懸命勉強して、夜は久しぶりに会った友人とその土地の名物を食べに繰り出すというような昔ながらの学会のスタイルは、新型コロナウイルスによって大きく変わりそうです。

2020年5月31日(日)
発熱外来

 今日は暑かったですね。それでもマスクをしてる人が大勢います。去年まではこんな現象は見られなかっただけに、何となく違和感があります。

 緊急事態宣言も解除され、少し街には活気が戻って来たようですが、新型コロナウイルスは、まだ日本のあちこちで出現しています。北九州市では市内各地から患者さんが発生してるようで、心配です。もう第二波か?なんて言われてますが、何を基準として第一波終了ということになるのか?よくわかりません。まだまだ第一波の途中であるようにしか思えません。

 ふつうのコロナウイルスなら夏には少なくなりますが、新型コロナウイルスはどうなんでしょう。仮にこのまま収束に向かったとしても、それこそ秋〜冬にかけての第二波が気になります。この時期インフルエンザと重なることも憂慮され、今から頭が痛いです。

 新型コロナウイルスのワクチンはいつできるのか見当もつきません。奇跡的なスピードで開発が進むことを祈るだけです。こうしてみると、緊急事態宣言が解除されても、あまり生活の変化はないです。もう、新しい日常〜三密回避の世界〜に慣れていくしかないです。

 盛岡市は6月から発熱外来を設置すると発表しました。盛岡市、及び近郊市町の医師会が協力します。自分も発熱外来で診察しようと思ってます。日々の報道でも見られるように、新型コロナウイルスを受け入れる指定病院の医療従事者は、疲弊しきっています。同業の身でありながら、何もできず少し歯痒い思いをしてましたが、自分も少しはお役に立てそうです。発熱外来は午後2時〜5時までだそうです。もし、ウィークディに当たれば、その日は午後休診になりますので、ご了承下さい。それにしても早く収束してほしいですね。

2020年5月13日(水)
PCR検査

 「政府は先ほど、特定警戒都道府県の茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5つを含む39の県を対象に、緊急事態宣言を解除する方針を固めた。14日の対策本部で最終決定することにしている。一方、北海道、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫の8都道府県は引き続き、緊急事態宣言の対象となる。」というニュースが、ありました。

 少し日常生活が緩和されそうです。それに伴い、三密、自粛も緩んでしまいそうで、不安もあります。第二波に気をつけようなんて耳にしますが、まだ、第一波の途中でしょう。先の長い戦いが続きそうです。

 テレビのコロナ番組も飽きてきましたが、相変わらず、「もっと、PCR検査しろ」と言う人が多いですね。実際の現場でPCR検査をしている検査技師さんの話によると、かなり専門的な知識と熟練した技術が必要とされるのだそうです。いくら、検体を多く採取してきても限られた人数では限られた量しかこなせないと言うことです。

 まず、どういう目的で検査するかですよね。現状は、症状や周囲の状況から感染が疑わしい人達を優先的に検査しています。つまり、治療優先のための検査です。チョット心配だから検査したいと言う人の気持ちもよく分かりますが、検査希望だけでは、なかなか順番が回ってきません。

 ところで、PCR検査を受けると、誰でも陽性(感染している)か、陰性(感染していない)かわかると思いますか?PCR検査は優れた検査ですが、問題もあります。検査の正確さを見る基準に「感度」と「特異度」があります。新型コロナウイルスのPCR検査の感度は高くてみても70%程度です。また、特異度は99%とされています。

 感度とは実際に疾患があるときに、正しく陽性と出る確率です。感度70%と言うことは感染者100人を検査したら70人が陽性と判定されて、残り30%にあたる30人は本当は感染しているのに感染が見逃されて陰性と判定されるということです。これを、偽陰性と言います。

 一方、特異度とは実際に疾患がないときに、正しく陰性と出る確率です。特異度99%と言うことは、感染していない人が100人いたとき、99人が陰性と判定されるということです。言い換えますと、本当は感染していないのに陽性と判定される人が1人(1%)存在することになります。これをを偽陽性と言います。

 つまり、検査してもわからない感染者、非感染者が必ず一定の割合で存在しているわけで、PCR検査は「安心」を目標とする検査としては適用できません。「PCR検査には過ちがついて回る」ということです。

 現在、日本国中に新型コロナウイルスに感染した人は15.000人くらいいます。実際はこの10~100倍以上の感染者がいると推定されています。仮に少なめに見て15.000人の10倍の15万人の感染者がいたとします。日本の人口は約1億人ですから、15万/1億=0.0015(0.15%)の割合で、感染者が存在することになります。

 これを岩手県に当てはめて、岩手県民全員を検査すると仮定します。岩手県の人口は122万人ですから、122万人x0.0015(0.15%)=1.830人が感染者と言うことになります。感度70%ですから、残りの30%にあたる1.830人x0.3=549人がホントは陽性なのに陰性と判定される偽陰性となります。

 また、122万人-1.830人=1.218.170人は罹っていません。特異度99%ですから、1%にあたる1.218.170人x0.01=12.181人は、ホントは陰性なのに陽性と判定される偽陽性となります。

 偽陰性(ホントは陽性なのに結果が陰性)の人達は、自分は罹っていないと思って自粛もせず、あちこちに出回ってしまうかもしれません。その結果、大勢の人達に感染を広げることにもなりかねません。

 逆に、偽陽性(ホントは陰性なのに結果が陽性)の人達は、すでに感染者がいる病院や隔離施設に行くことになるでしょう。この時に他の感染者から移されるかもしれません。この偽陽性の問題がとても重要なのです。

 「希望すれば全員が検査を受けられる」ことにすれば、早晩この様なことが起きます。偽陰性、偽陽性が増えることにより、医療崩壊があっという間に現実のものとなってしまいます。

 検査数が少ないと言われているPCR検査ですが、希望者を全て検査するのではなく、医師が診察して必要な場合に検査を行うという今の方法で良いと思います。しかし、実際には医師からの要請があっても検査できないような場合もあるようですので、検討すべき課題もあります。

2020年4月24日(金)
緊急事態宣言

 緊急事態宣言が発令されて2週間たちました。専門家会議によると、「人との接触を8割減らす」は、まだ達成されてないとのことでした。報道で、江ノ島のサーフィン、パチンコ店の行列、商店街の賑わいなどを見る限りでは、確かにほど遠いという感じがします。
 ゴールデンウィークの外出自粛も、どの程度実現できるのか?思い切って高速道路は物資輸送と緊急車両以外を閉め出すくらいのことをしなければ無理でしょうね。

 岩手県は23日、全国的に感染が拡大している新型コロナウイルスの対策会議を開き、接待を伴う飲食店やスポーツクラブを対象に、25日から5月6日まで休業を要請することを決めました。さらに、全面協力した中小企業には協力金として10万円を支払う。また、売り上げが半減した小売業者などに家賃を補助する独自の支援策もまとめました。
 キチンと自粛要請を守って休業している店舗もたくさんある一方で、要請を守らずに開いている店もあります。身勝手とは思いますがそれなりの事情もあるんでしょう。平和な時代になったら、自粛要請を守ってくれた店に行きますよ。

 楽天が法人向けにPCRキットを売り出すようです。利用者は同封されている説明書に従って、各自で自宅で検査試料を自己採取後、防漏性容器に収めます。それを専用回収ボックスに入れて、専門業者が回収するという仕組みのようです。

 自分で採取して自分で包んで専用箱に入れるということですが、医療機関でもかなり注意して扱っているのに不慣れな人が恐る恐るやっても十分な検体が得られるのかどうか疑問が残ります。検体が少なければ陽性と出るものも陰性と出る可能性も高く、その場合、陰性だから安心と思う人もいそうです。そもそも、陰性だからといって感染していないということにはなりませんので、誤解されないことです。

 新聞には、「ただし陰性か陽性かを判断するものではなく、遺伝子配列が検出されたかどうかが結果として示されるという。風邪などの症状がない人が対象で、検査の実施に医師の判断を必要としない。」と、記載されてました。これまたよく分かりません。検査して陰性か陽性かを判断するものでないなら、検査する意味があるのかな?思います。
 また、感染検体の配送業社に感染者が出る場合も憂慮されます。とても、推奨する気にはなりませんが、どういう結果になるか興味はあります。

2020年4月1日(水)
開院記念日

 今日、4月1日は当院の開院記念日です。開業24年を経過し、今日から25年目に入りました。早いものですね。昨年の今日は、「令和」という新元号が発表されました。新しい時代の幕開けで気持ちもウキウキしました。しかし、今年はかって経験したことのないくらい大変なことになっています。

 最早、新型コロナウイルスの制圧は困難な状況になってきました。 現在、約2000名の国内感染者の内訳をみると、外国籍が約800名、海外からの帰国者が約200名で、残りの約1000名が日本人の国内発症数と言う話も聞きました。となると、日本人の国内発症数はしばらく前より横ばい傾向で、外国籍の患者や海外からの帰国者の発症が増加傾向ということでしょうか?あまりこういうことは報道されませんので、詳細不明ですが、患者数が増えていることには変わりないですね。

 これからは、新型コロナウイルス受け入れるしかないと思います。しかし、患者数の急激な増加は社会崩壊や、医療崩壊を引き起こします。それを避けるように、できるだけ、ゆっくりと受け入れる必要があります。その間に、ワクチンや治療薬が開発されることを待つしかありません。自粛がいつまで続くのか検討つきませんが、自分のできうる範囲内で頑張っていくしかないです。

 3月29日の新聞に、山中伸弥教授の「iPS、コロナ対策にも貢献」と言う記事が載っていました。この中で、「iPS細胞からは新型ウイルスが感染する肺の細胞を作ることもできる。~それによって、ウイルスの感染の仕組みを知ることができる。」と述べられていました。今すぐに実現できることではありませんが、今後、新型コロナウイルスが世界中に定着してインフルエンザのように定期的に流行するような疾患になった時、この研究は人類に大きな力を与えてくれると思います。

 喜劇俳優の志村けんさんが、新型コロナウイルスによる肺炎で、お亡くなりになりました。ドリフターズの頃からファンだった人も多いと思います。退院会見で「だいじょうぶだあ~」を聞けると思っていたのに、とても残念です。ご冥福をお祈りします。

 新型コロナウイルスによる肺炎に限らず、肺炎の治療の歴史を見ると、従来から細菌やウイルスを退治する抗生物質や抗ウイルス剤と、呼吸を助ける人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)が使用されています。昔と比べると、薬も器械も格段に進歩していますが、やはり、限界を感じます。限界というのは、薬も器械も補助療法であって、弱くなった肺細胞自体を元気な細胞に戻す治療ではないからです。

 10年くらい前に私の父も義父も肺炎で亡くなっています。その時の主治医と、「肺炎の治療は今も昔もあまり代わり映えしない。もっと良い治療はないものか?例えば、汚れた肺をきれいに洗浄するとか、皮膚移植のように新しい肺細胞を植え付けるとか。」と言うような話をしたことがあります。もし、iPS細胞の研究で感染したウイルスの仕組みを克明に知ることができれば、そこから、新しい肺細胞を作ることができるかもしれない。その肺細胞を患者さんに移植すれば・・・という夢のような治療が実現するかもしれません。自分のかってな想像です。日進月歩の医学を信じて、今はジッと耐える時なのでしょう。

 今年も開院記念日祝いのお花をいただきました。この花のように早く世の中が明るくなってほしいです。

     
2020年3月11日(水)
あの日から9年

 今日、3月11日は東日本大震災が発生した日です。早いもので、震災が発生してから今年で9年になります。昨年は釜石でラグビーワールドカップも開催されました。未だ、復興半ばとは思いますが、少しずつ整備されているようです。
 毎年、各地で震災復興に向けてのイベントが多く開催されますが、今年は新型コロナウイルスの影響で、自粛や規模縮小が多いようです。

 新型コロナウイルス感染症に対して、「これから1~2週間が急速な拡大か、収束かの瀬戸際になる」。と政府の専門家会議が2月24日に発表して2週間たちました。今のところ、爆発的な流行にはなっていませんが、毎日患者さんは発生しています。

 さらに、昨日、安倍首相は全国の大規模なイベント自粛を10日程度継続するよう要請しました。現状を見ると、爆発的な流行は回避できても、いつまでも流行が続きそうにも思えます。この対策の効果が見られるのはこれからでしょう。少しでも患者発生数が抑制されることを期待します。

 少し希望的な見方をすれば、もともとコロナウイルスは冬に流行るカゼのウイルスです。子どものカゼでは、ライノウイルスに次いで2番目に多く感染するウイルスです。通常のコロナウイルスは暖かくなると、流行しなくなります。また、感染が起きやすい環境は、風通しが悪くて、大勢の人が集まる狭い空間です。これから気温が上がれば、部屋を換気する人も増え、感染リスクの低下が期待されるかもしれません。となると、感染は3月から4月初旬にかけてピークを迎え、その後は減っていく?と期待したくなりますが、新型コロナウイルスは、通常のコロナウイルスと違いますので、季節性の変化をするのかどうかもわかりません。あまり楽観的には考えない方が良さそうです。

2020年3月3日(火)
COVID19検査

 3/3、新型コロナウイルスの検査について、厚生労働省が今週中に公的保険の適用にする方向で調整している。という発表がありました。検査費用は、1回につき1万8.000円くらいかかるそうですので、3割負担の人の場合、5,400円が窓口負担になりますが、加藤厚労相は、窓口負担分については公費で補てんし、自己負担分をなくす方針だそうです。

 これで、多くの人が検査を受けることが可能になりそうです。となると、今度は、検査の結果が問題になります。陽性だったら、どうしよう?陰性だったら、人に移す心配はないのか?などなど、いろいろ考えてしまいます。

 インフルエンザと比較してみましょう。インフルエンザ陽性なら、多くの場合、薬を処方され、5日間自宅で安静にする。というのが一般的です。では、新型コロナウイルス陽性だったら、どうしましょう?

 軽症者が多い疾患ですから、検査陽性でも何ともない人も多いと思います。少しカゼ症状が見られれば、普通のカゼと同じように対症療法です。咳止め、解熱剤、必要に応じて抗生剤。軽症ならこんな感じでしょうが、チョット症状がきついと入院が必要かもしれません。重症な人は指定病院へ入院でしょう。しかし、入院するほど重症ではない、中等症以上で外来治療では少し心配というような人は、どこの医療機関を受診すれば良いのでしょうか?

 安静期間についてもよくわかりません。症状によっても異なるでしょうが、自宅療養ならどのくらいの期間安静にしていれば良いのか。一度陽性になった人は、もう一度検査して、陰性を確認しなければならないのか?さらに、陽性と判定された人の家族はどうしたら良いのか、その人の職場ではどうしたら良いのか?陽性の場合、自宅待機を長期間強いられるとなると、検査をためらう人も出てくるかもしれません。

 一方、検査が陰性だったら、感染していないと思って良いのでしょうか。これは明らかに間違いです。「検査は罹っていることを証明できますが、罹っていないことは証明できません。」検査が陰性ということは、罹っていないかもしれないし、罹っているが検査できるくらいのウイルス量ではないという場合の両方があります。後者の場合、罹っていないと思って、あちこち出かけたりイベントに参加したりすれば、感染源となるかもしれません。となると、陰性だからといって安心というわけでもありません。

 なんとなく、新型インフルエンザの時のように、『罹ってない証明書』を求められるような気がします。こんなものはありませんので、ご注意下さい。

 多くの人が検査可能になることはたいへん良いことですが、検査結果がわかったあとの道筋がしっかり出来ていないと、検査する事によって、かえって混乱するかもしれません。「未知の感染症」である以上、手探りで進めていかなければならないことばかりです。臨機応変な対応が望まれます。

2020年2月24日(月)
COVID19

 猛威を振るう新型コロナウイルスは、新型コロナウイルス感染症:coronavirus disease 2019(COVID-19)コヴィッドと名前がつきました。最初WHOは(SARS-CoV-2)(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2)と発表しましたが、2/12に突然変わったみたいです。なぜでしょうね?おそらくSARSという言葉はいろいろな意味で使いにくいんでしょう。

 病名でさえ混乱しているわけですから、感染の広がっている現状は不安に満ちています。何が一番心配かというと、私たちが今まで経験したことのない「未知の感染症」だからだと思います。
 
 当初は、軽症が多く、高齢者や基礎疾患を持っている人は要注意と言うことでしたが、必ずしもそうではないようです。また、コロナウイルスは子どもにカゼをひきおこす代表的なウイルスですので、子どもはある程度免疫を持っているためあまり罹らないというようなことでしたが、次第に子どもの感染者も増えてきています。

 罹ったらどのくらいの期間、会社を休んだり、学校を休んだりしなければならないのか、簡単に決めることができません。じきに岩手県でも患者さんはみられるようになると思いますが、潜伏期間が長い感染症ですので、症状がみられないうちは罹っている本人もわからないわけで、なんともやっかいです。

 誰が感染しているのか、感染していても発症していないのか?カゼ症状がみられた時に、自分はどこの医療機関にいけば良いのか?なんて思ってるうちにどんどん広がり、どこの医療機関でも診察せざるを得なくなるかもしれません。

 拡大を防ぐための対策など政府の基本方針を取りまとめる緊急の専門家会議が今日午前、厚生労働省で始まりました。明日にはその感染防止策が公表されるようです。
 「未知の感染症」は、刻一刻と状況が変わってきますので、それに応じた対応が必要になります。少しでも感染の拡がりを遅くしなければなりません。その間に「未知の感染症」の実態が少しずつわかってきて、対策を考えることができるようになります。

 呪文のように唱えられている?手洗いは有効ですが、いつでも、どこでも手洗いができるわけではありません。感染は主に鼻、口からです。人は無意識に手を顔に持って行きます。近くに手を洗う場所がない時は、意識的に手を顔に近づけないようにすれば、感染の機会は減ります。

2020年2月4日(火)
ヒブワクチン出荷停止

 今日は立春です。雪も少なく過ごしやすい今冬ですが、今晩からは冬型が強まりそうです。

 すでにご存知の方も多いかと思いますが、ヒブワクチンは注射針に錆(さび)が発生した事例があったため、安全確認の調査が行われることになりました。そのため、しばらく出荷停止になります。在庫がなくなれば接種できなくなります。早晩、全国的にヒブワクチンが不足しそうです。

 厚労省は「ワクチンが不足し、やむを得ない場合には、可能な限り※、1回目及び2回目の接種を優先すること ※免疫状態等から、特に医師が必要と認める場合を除きます。」と、通達していますので、当院もこの方針で接種することとします。今後の供給については2月末頃に連絡があるとのことです。

 ヒブワクチン初回接種(1回目、2回目、3回目)は、4週間~8週間間隔で接種します。追加接種(4回目)は初回接種3回目から7か月~13か月で接種します。幸い、ヒブワクチンが定期接種となって普及した結果、現在の日本では髄膜炎のような重症ヒブ感染症は殆ど見られなくなりました。

 しかし、全く免疫がない状態では少し心配です。というわけで、まだ免疫がない(少ない)赤ちゃんを優先して、接種間隔を調整しながら、1回目、2回目を接種することにします。3回目、追加接種(4回目)は見合わせざるを得ない状況になります。

 大変な事態ですが、2月末頃の連絡を待つしかありません。なお、他のワクチンについては問題ありませんので、「今、接種出来るワクチンから接種していく。」という基本方針にかわりはありません。肺炎球菌ワクチン、4種混合ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンなどはヒブと一緒に接種できなくてもかまいませんので、予定どおり接種して下さい。

2020年1月23日(木)
新型肺炎

 武漢で発症した新型肺炎は増加の一途をたどり、ついに人~人感染も見られるようになってきました。今のところ、患者さんは軽症が多いようですが、高齢者や基礎疾患を持っている人は重症になるようです。まだ、小児の感染は報告されていないようですが、今後感染が広がるにつれて出現してくるかもしれません。

 武漢では都市からの出入りを禁じるようになったようです。住民の生活には支障を来すかもしれませんが、確かに、ウイルスを封じ込めるという意味では一番効果がありそうです。しかし、少し遅かったかなと言う気がします。もっと早く封鎖できれば、もう少し感染の広がりを抑えることができたかもしれません。

 北朝鮮は中国からの入国者をしばらく受け入れないとしたようです。新型肺炎の原因となっているコロナウイルスの潜伏期間は2日から12日くらいで大体9日間くらいと言われています。インフルエンザのように感染したら1~2日で発熱するというわけではないので、感染してもまだ症状の見られない潜伏期間にいる感染者はわかりません。検査のしようがないです。

 いよいよ、明日から中国の春節が始まり、大勢の観光客が日本にやって来ます。仮にもし、この新型肺炎が重症だとわかっていれば、観光の経済効果よりも人命尊重のため、北朝鮮のようにしばらく中国からの旅行者を受け入れないようにすれば、国内の感染を最小限に防ぐことができるかもしれません。しかし、今のところ、新型肺炎が重症という認識はないようですし、実際に重症度がどの程度なのか誰にもわかりません。

 となると、もう、日本国内での感染を防ぐことは困難と思われます。新型インフルエンザの時のように、「新型肺炎の感染が疑われる人が見られたら、どうしたら良いのか」と言う対策を急がなければなりません。どの様な検査が必要なのか、どこの医療機関に紹介すれば良いのか、発熱や咳嗽など肺炎を思わせる症状がみられた時、私たちはどうしたら良いのか?医療機関だけで対応できる問題ではありません。

 現在、私たちができることは、いつも通りの手洗い、マスク。あとは、とにかく【人混みにいかない】ことです。

2020年1月19日(日)
大学入試センター試験

 今年の冬は雪が少なく、過ごしやすいですね。雪が少ないと交通の渋滞もなく、生活しやすい反面、雪不足で困ることも多いようです。スキー場や雪まつりなど雪が降らないと大変です。それに農作物にも影響が出てきているようです。さらには、夏の水不足まで心配になってきます。

 昨日、今日と、大学入試センター試験が行われました。例年この時期は天気が荒れることが多く、いつも受験生は交通手段に苦慮していましたが、今年は少し冷え込んだものの、入試には支障なかったようです。

 私も大学受験で東京の大学(東京大学ではありません)を受けたことがありますが、当日は数年ぶりの大雪が降って、電車が遅れたり、運休したりして、遅刻しそうになりました。最寄り駅から受験会場までは、東京にしては珍しく野原が広がっており、そこが一面雪の原でした。雪の中を走り込み、なんとか試験開始に間に合いました。当時は遅刻したら試験を受けさせてもらえないと聞いていたので、雪をかき分け必死の思いで受験会場まで走りました。

 この時、高校の同級生のE先生(現在、盛岡市内で内科を開業)と一緒に走りました。今となっては笑って話せる懐かしい思い出でです。

 来年からは入試制度も変わるようですが、過渡期に当たる受験生は負担が多いです。制度改革は数年かけてみんなが十分納得できるようにして行わなければなりません。入試の時期、入学の時期もそろそろ見直す頃になってきていると思います。

 さて、新学期とともにインフルエンザが流行り始めてきました。A型だけでなく、B型も見られています。今週から2月中旬くらいまで、例年通りそこそこの流行が続きそうです。

 いつものシーズンとチョット違うのは、中国で新型肺炎が出現したことです。中国の春節で多くの中国人が日本に観光にやって来ます。今のところ、人~人の感染は証明されていないようですが、ウイルスは増殖を繰り返しながら進化?していきます。

 水際対策で、できるだけ、国内流入を防ぎたいところです。アメリカは中国武漢からの入国者は他の人と区別して検疫するそうです。日本もそのくらいのことはした方が良いと思います。
 盛岡保健所にも新型肺炎について問い合わせましたが、今のところ静観しているとのことでした。今シーズンはインフルエンザだけでなく、新型肺炎にも気を遣わなければなさそうです。まずは、手洗い、マスクですね。

2020年1月1日(水)
あけましておめでとうございます。

 あけましておめでとうございます。今年は子年(ねどし、ねずみどし)。いよいよ東京オリンピックが開催されます。昨年のラグビーワールドカップ同様、日本中が興奮のるつぼとなるでしょうね。

 ところで、なぜ、”子”という字が”ねずみ”を意味するのでしょうね。子という字は上の部分が大きく、下の部分が小さくて不安定な印象を与えるのだそうです。それで、不安定→弱々しい→子どもという意味が生まれたようです。また、子には増えるという意味もあったので、いつの間にか、子どもをたくさん産むねずみに関連づけられて、子をねずみと読むようになったようです。ということから、子年は(子孫)繁栄の年です。年々進む少子高齢化に待ったがかかれば良いですね。また、オリンピックも開催され、経済だけでなく世の中も盛り上がることでしょう。

 過去の子年を見ると、1960年(昭和35年)には、池田内閣の「所得倍増」政策により、経済は飛躍的に伸びて、高度成長時代が始まりました。1972年(昭和47年)は、札幌でアジア初の冬季オリンピックが開かれ、ジャンプ競技では金銀銅のメダルを独占した日の丸飛行隊が話題になりました。2008年(平成20年)は、ノーベル賞に4人の日本人が選ばれました。2020年も嬉しいニュースを期待しましょう。

 ねずみ(子)が干支で最初の理由ですが、干支が作られた時代は約3600年前と大変古く、なぜ、ねずみ(子)が1番最初なのかはわかっていません。しかし、日本の民話:「十二支のはじまり」には、次のような面白いお話があります。

 昔、神様が動物たちに「1月1日にみんなにごちそうするので、私のお家に来なさい。12番目までに来れば、ご褒美を上げます。」と言いました。そこで、動物たちはこぞって神様のお家に出かけることにしますが、足の遅い牛は寝過ごしてはいけないと思って、外で寝て早朝すぐ出かけることにしました。ねずみも早く着きたかったので牛の背中で寝ていました。そして、神様のお家に牛が着いた瞬間、ねずみは牛の背中から飛び降りて、1番最初に着いたことになりました。それで、子→丑の順番になったのだそうです。ねずみや犬(戌)がいるのに猫がいないのは、ねずみが猫にこの話をしなかったため、猫はこなかったと言い伝えられています。面白いですね。