診察室便り

2012年12月31日(月)
休日当番医

 この頃、少し寒さも和らいできましたね。でも、明日はちょっと冷え込みそうです。体調管理に気をつけましょうね。

 私は、昨日は夜間急患診療所。今日は休日当番医と、忙しい年末でした。年末年始の休日当番医は3年に1回あたります。一応、公平なあみだくじで当番日が決まりますが、平成8年の開業以来、12月31日と1月1日しか当たったことがありません。これでも公平と言えるかどうか?いつも疑問に思いますが、マア、世のため、人のためと思って頑張っています。

 今日も大勢の患者さんがみえました。インフルエンザ、急性胃腸炎、溶連菌、水ぼうそう、気管支喘息発作、等々、いつもは朝9時から診療しますが、今日は少し早めて8時30分から開始しました。昼休みもなく、例によって、缶コーヒー1本とリンゴジュース1本だけでカロリー補給し、昼休みもなく、延々10時間ぶっ続けて診療しました。ア~疲れた。

 北は札幌、南は福岡と、全国各地から帰省してきた患者さん達も診ましたよ。せっかく里帰りしてきたのですから。少しでも盛岡の印象を良くするようにも努めました。発熱や嘔吐で最初は心配そうな顔をしてきたお母さんお父さんも、みんな診察後は笑顔になっていましたので、少しはお役に立てたかなと思っています。

 インフルエンザは今のところ軽症が多いですね。「発熱~ちょっと元気がない」くらいでも、検査すると、けっこうインフルエンザが見つかります。今は、大きな流行になっていませんが、新年早々、流行が始まりそうな気がします。

 ちょっと、気になったことですが、今日診察した気管支喘息の患者さん達は、普段治療していても発作を起こしたり、あるいは、発作時だけの治療だけであったり、「ン?」と、考えさせられるような症例でした。若い頃の自分だったら、「喘息は、予防治療が大切であって・・・」てな調子で説教じみた話をしたでしょうね。でも、みんなかかりつけの先生を信頼して受診しているわけですから、いろいろ気を遣ってお話ししないといけないですよね。「本当は・・・」と思いながらも、「今日は、ちょっと発作を起こしているようですから、応急処置をします。休み明けには、必ず、いつも診ていただいている先生を受診して発作を起こさないような治療をしてもらって下さい。」とお話ししました。ずいぶん自分も大人になったような気がします。若い頃は『瞬間湯沸かし器』みたいな自分でした。

 あと2~3時間で今年も終わります。何事もなく無事1年を終えることができ、ホッとしています。アントニオ猪木の名言「無事、これ名馬なり」は、ホントにその通りですね。来年も良い年でありますように!!

2012年12月17日(月)
インフルエンザ流行の兆し

 12月にしては寒い日が続いていましたが、先週末から少し寒気がゆるんで来ましたね。とは言え、明後日からまた寒くなるようです。しっかり体調管理しましょう。

 昨日は衆議院選挙でした。予想どおり(?)と言ってはなんですが、自民党の圧勝でした。3年前とすっかり逆になってしまいました。また、3年後はどうなるのかわかりませんが、新内閣には、この課題山積みの難局を打破するよう頑張ってほしいです。

 早速、『危機突破内閣』が発足するようです。あまり大きな期待はしていませんが、少しでも良い世の中になるようお願いします。
 
 ところで、菅直人元首相のように小選挙区で破れても、比例で復活当選する候補者がいますね。この制度は不思議に感じます。一度負けたら、今回は負けじゃないかナ~と思いますが、どうでしょうか?

 それともう一つ、比例で当選してから、他の政党に移る代議士がいる。これは言語道断と思いますよ。その政党に投票した人達に対する裏切り行為ですよね。

 いろいろ問題のある選挙制度です。大体にして、衆議院議員が480人も必要なんだろうか?国家経費削減は、まず、議員定数削減からですね。

 インフルエンザもボチボチ流行り始めてきました。盛岡市内の幼稚園や、保育園でも増えてきているところがあります。小学校や、中学校は学級(学年・学校)閉鎖ができますが、保育園では難しいですね。だから、ドンドン感染が広がっていくのでしょう。手洗い、うがいはしっかりするとして、まず、ワクチン接種を急ぎましょう。

 今日は嘔吐・下痢症状が強いインフルエンザのお子さんを診ました。何回も嘔吐しているので、最初、急性胃腸炎かと思いましたが、通園している幼稚園でインフルエンザが流行しているというので、調べてみたところ、インフルエンザA型でした。とても、薬を飲める状態ではなかったので、点滴の抗インフルエンザ薬で治療しました。点滴終了後は歩いて帰りました。

 タミフルが発売されて11年、点滴靜中できるラピアクタが発売されて2年になります。薬のない時代と比べると、インフルエンザ治療は格段に進歩しました。『危機突破内閣』にも何か特効薬があればいいですね。3年前は体調不良から退陣に追い込まれた安倍さんですが、きっと捲土重来を期していると思います。今度は頑張って下さいよ。

2012年12月9日(日)
ノロウイルス大流行

 金曜日の地震は怖かったですね。「ア~、またか!」と思いましたが、なんとか、無事おさまってくれました。とはいえ、1週間くらいは気をつけるようにということです。早速、車のガソリンを満タンにして、灯油を買ってきました。そして、土、日は何と寒いこと。雪もガンガン降って、これで地震が来たらホントに困ってしまいます。

 昨日、「修学旅行で宿泊していた岩手県立盛岡第一高校(盛岡市)の1年生35人が嘔吐や下痢などの症状を訴え、病院に搬送された。生徒らはノロウイルスに感染した疑いがあり、調理担当の従業員4人からノロウイルスが検出された。」という報道がありました。

 ノロウイルスが原因でしょうか?ノロウイルス胃腸炎は健康な人であれば軽症ですむことが多いのですが、もし、今回の原因がノロなら要注意疾患ですね。詳細は近々判明すると思います。

 今年は、全国的にノロウイルス胃腸炎が流行しています。これだけ流行するのは、2006年以来だそうです。 ここまでノロウィルスが猛威をふるっているのは、どうやら、従来のノロウィルスとは異なる「変異株」が出現したのが原因のようですね。

 従来株も変異株も症状に特別な変化はないようですが、人の方には免疫ができていないので、感染しやすいわけです。国立感染症センターは、すでに今年の1月に変異株が北海道と大阪市で発見されたと報告しています。

 ノロウイルスには特効薬もないので、ドンドン感染が広がってきているのでしょう。ノロウイルスの消毒には50~100倍に薄めたハイターで汚物処理をすればよいですが、汚物は、容易に周囲に拡散しますので、なかなか大変です。

 私たちが出来る感染予防は、とにかくよく手洗いをすることでしょうね。水やお湯の流水で手洗いを15秒以上、できれば30秒以上は行った方がよいです。なるべく石けんも使って下さい。「流水で洗う時間を長くとる」ことが大事です。

 最近、【ノロ、ノロ】と、少し騒ぎすぎのように感じてましたが、このまま流行が続けば、いろいろ問題が発生しそうです。ノロに感染したら、いつから、登園(校)していいのか?明確な基準はありません。医療・介護職や飲食業の場合も、いつから職場復帰してよいか?これまた何も基準がありません。

 『学校伝染病等に係る登校・登園に関する意見書』では、「下痢・嘔吐から回復し、全身状態が良好で脱水症状を認めないこと」となっていますが、一度体内に感染したノロウイルスは、2~4週間は存在します。つまり、症状は治まっても人に移す可能性はあるわけです。

 ノロウイルス罹患後の社会復帰については、ケース・バイ・ケースと思いますが、一定の基準を設けなければ混乱します。医療と行政が早急に対策を講じなければならないことです。

 修学旅行で体調を崩した高校生達は、回復したでしょうか?私が高校の頃には修学旅行がありませんでした。ですから、修学旅行の思い出は何もありません。今回の一件は、災難でしたが、何年か後の同窓会では懐かしい思い出に変わっているかもしれません。そうあってほしいです。

2012年12月3日(月)
インフルエンザ発生

 衆院選は、いよいよ明日公示されます。あちこちの政党がくっついたり、離れたり、忙しいことです。中国に【合従連衡】という故事があります。意味は、「そのときの利害に従って、他と結びついたり離れたりすること。また、時勢に応じて巧みに計略をめぐらす政策」です。今度の衆院選にピッタリですね。どうせ、選挙が終われば、また、くっついたり、離れたりするのでしょう。

 先週末に滝沢村の小学校でインフルエンザが発生しましたが、今日は、盛岡市内の小学校でもインフルエンザが発生しました。午前中に同じクラスの子が二人来ました。他にも数名いるようですので、このクラスは学級閉鎖が近そうです。

 そろそろ、季節到来です。選挙活動で人の往来も増えれば、年内でも流行が始まるかもしれません。何はともあれ、ワクチン接種を急ぎましょう。

2012年11月27日(火)
夜尿症のご相談

 今日は、雪が降りましたね。いよいよ冬本番です。インフルエンザはまだ、全国的な流行はみられませんが、新潟県上越市の中学校では学校閉鎖もあったようです。インフルエンザワクチンは遅くとも、年内には済ませるようにしましょう。

 先日、夜尿症の治療について、ご相談を頂きましたので、ご紹介します。そのうち治るだろうと思っているうちに、いつの間にか、小学生~なんて事はよくありますね。あの有名な坂本龍馬も14才まで夜尿症があったということですので、夜尿症は大物の片鱗?かもしれません。

M.Oさんからの


 いつも娘共々、大変お世話になっております。今日は娘のことでご相談があり、メールをさせて頂きました。

 実は、我が家の娘、来年の二月に7歳になるのですが、未だ、おねしょが続いています。単に、子供だしおねしょくらいしかたないのかな…と気楽に考えていたのですが、さすがに7歳だしなぁ…と、若干気になり(本人も気になる様子。やはり、小学生なのでおねしょをしてしまう事自体が恥ずかしいようで、どうにか治したいようです。)

 ネット等で検索してみたところ、《5~6歳以上のおねしょは、夜尿症にあたる》…といった趣旨の記事を読み、はじめて治療対象になりうる事例なのだ…と認識をした次第です。

 そこで、お伺いなのですが、夜尿症は吉田先生のところでも治療をして頂けるものなのでしょうか?我が家の娘は、アレルギー薬等にお世話になっている事もあり、飲み合わせ等も考えると、可能であれば、吉田先生のところで治療を受けられると、大変心強く、有難いなぁ…と思っておりました。いかがなものでしょうか?

 インフルエンザ予防接種時期でお忙しいかと存じますので、お返事はお時間に余裕のある際で全く構いません。ご面倒をおかけ致しますが、何卒宜しくお願い申し上げます。




  メールありがとうございます。

 確かに、おねしょが気になる年令になりましたね。でも、気にすることはよいことですよ。自覚が生まれることによって改善していくことはよくあります。ネットを見ると、あれやこれやいろんなことが書かれているので、混乱してしまいますよね。

 一般に、幼児期の夜尿をおねしょといい、6~7才(小学校入学後)以後の夜尿を夜尿症というようです。これは、幼児期の夜尿は病気ではないけれど、6~7才になっても夜尿が続く場合は、放置しないで生活指導や薬物治療を行った方がよいという意味から、おねしょを病気と見なして、「症」という表現をしているのだそうです。

 おねしょの治療適齢期は、自分自身がおねしょを気にするようになる小学校入学前後がよいと言われています。また、夜尿症を治すには「薬物治療」だけでは効果がなく、「適切な生活指導」、それから、「本人の治したいという気持ち」が大切です。

 ところで、夜尿症には、①.尿量の多い多尿型、②.膀胱容量の少ない膀胱型、③.両者の合併した混合型の三つのタイプがあります。それぞれのタイプによって治療法は異なりますので、まず、どのタイプの夜尿症なのか診断する必要があります。その上で、タイプにあった薬物治療を始めますが、次に示すような生活指導も大切です。

<夜尿症を治すために、次のことに注意しましょう。>
・あせらず、おこらず、おこさず。

※ あせらず:キチンとした治療、生活指導によって改善します。すぐに治らないからと言って、あせらないこと。親の焦りは子どもに不安感を与え、夜尿症を治りにくくします。

※ おこらず:お子さんを怒っても、夜尿症は治りません。かえって、本人が萎縮して逆効果です。夜尿のない日には、ほめてあげて下さい。それが自信につながります。

※ おこさず:尿を体内にためるホルモンを抗利尿ホルモンといいます。このホルモンはグッスリ眠ることによって分泌されます。睡眠が中断するとこのホルモンの分泌も止まります。
 また、眠っている間に無理矢理起こしてトイレに連れて行って、オシッコをさせるということは、夜尿をする場所が布団からトイレに変わっただけで、全く治療にはなっていません。これも逆効果です。

・日中は尿意があっても少しガマンするように心がける。
・水分は、朝、昼に多めにとり、夕方からは控えめにする。(水分摂取のリズムを作ります。)
・夕食には、汁ものや、果物は少なくする。
・グッスリ眠る(抗利尿ホルモンの分泌をよくするため)。そのためには、アレルギー性鼻炎、扁桃腺肥大、副鼻腔炎など、睡眠の妨げになる疾患はキチンと治療する。
・就眠前に入浴し、体を温めてから眠る(冷えると尿意が近くなります)

 等々、いろいろありますが、全てを完璧に行おうとせず、出来ることから、ボチボチ始めてみるとよいですよ。以前、夜尿症で受診された扁桃腺肥大が著しいお子さんがおりました。熟睡できてないようでしたので、耳鼻科と相談して扁桃腺摘出手術を行ったところ、劇的に夜尿症が改善しました。お子さんもアレルギー性鼻炎がありますから、こちらの治療継続も大切です。

 冬場の小児科は大変忙しいですが、夜尿症のお子さんもよく来ます。私も夜尿症のお子さんや保護者と一緒に、あれやこれや試行錯誤しながら治療をしています。いつでも受診して頂いてよいですよ。では、お大事にして下さい。

2012年11月16日(金)
手足口病後の予防接種までの期間

 いよいよ、解散総選挙になりました。師走の選挙のため、各地で予定されていたいろいろな催しも延期されるようですね。主催者側から見たら、迷惑な事かもしれません?

 野田首相の『開き直り解散』は、吉と出るか、凶と出るか。民主、自民、第三極、・・・。全部でいくつの政党があるんでしたっけかね?長々とした政権公約よりも、短くてわかりやすいキャッチフレーズに人気が集まるような気がします。

 「わかりやすいキャッチフレーズ」とは、【現実的で実行可能な政策】ですね。今日、万歳三唱した前議員の方々、ご自身の生き残りだけを考えずに、「わかりやすいキャッチフレーズ」を見せて下さいよ。

 今日は、「手足口病後の予防接種までの期間」についてのご質問を受けましたので、ご紹介します。一般的には治癒後2週間となっていますが、手足口病の治癒はどうやって判断したらよいかですね。

T.Kさんからの


 こんばんは。いつも娘達がお世話になっております。

 先日(11/2)、3番目がインフルエンザの予防接種1回目とポリオを受けました。その後(11/5)、手足口病を発症しました。その場合、インフルエンザの2回目はどのくらい期間を空けるのが良いのでしょうか。

 お忙しいところ、申し訳ありませんが、ご返答お願い致します。




 お便りありがとうございます。

 お子さんが11月5日に、手足口病に罹ったようですね。もう元気になったでしょう。

 一般的に手足口病後の予防接種は、治癒後2週間空けると言われております。しかし、医療機関によっては1週間としているところもあります。
 
 なぜ、期間を空けなければならないかというと、手足口病のようなウイルス感染症に罹った後、私達の体は、軽度の免疫抑制状態になっています。こういう状態でワクチンを接種しても十分免疫ができないかもしれないという理由からです。 

 この期間は、ウイルス感染症の重症度とも関係します。つまり、軽症疾患なら短期間、重症疾患なら長期間です。例えば、軽症な手足口病なら1~2週間空ける。重症な麻疹(はしか)なら4週間空ける。という具合です。

 ところで、手足口病の治癒を何を持って判断するか、ちょっと迷いますよね。一般に発疹性疾患の治癒は発疹消退を持って治癒とすることが多いと思います。手足口病の発疹は大体1週間くらいで消退しますので、このあたりを治癒としていいように思います。それから、2週間空けるか、1週間空けるか、医師によってまちまちのようです。

 私も特に厳密な基準は設けず、軽症~重症の程度に応じて、ケース・バイ・ケースで対応していますが、発疹消退後、1週間で接種することの方が多いです。

 お子さんの場合、軽症だったと思いますから、来週(11月19日~)早々から接種して良いと思いますよ。では、お大事にして下さい。

2012年11月11日(日)
RSウイルス検査 保険適用は1才未満!?

 少し、朝晩冷え込んできましたね。日中は暖かく感じる時もありますが、確実に冬が近づいてきています。のどを冷やさないように外出時はマスクを着用しましょう。

 全国的に増加しているRSウイルス感染症は、まだまだ、流行が続きそうです。第41週(10月14日)までの全国累積報告数は5万7467人で、例年同時期の2.7倍と急増しています。本格的流行シーズンの冬に向けて、大流行が危惧されています。

 国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官の安井良則先生は、「患者が増えたというよりは、実態に近い数字が報告されるようになってきた可能性がある」と、冷静にお話しされています。

 RSウイルス感染症は2才までにほぼ全ての乳幼児が初感染し、その後も何度も再感染します。このため、「初感染例を中心にRSウイルス感染症の多くが診断されていれば、年間百数十万人の推計値が出てもおかしくない。これまでの報告数が少なかっただけでは」と、分析しています。

 報告数が実態に近づいた要因として大きいのが、昨年10月に通知されたRSウイルスの免疫学的迅速検査が保険適用されたことです。
 RSウイルス迅速検査キットは、従来は入院患者のみに保険適用されていましたが、外来検査でも1才未満の乳児に保険適用となりました。そのおかげで、一般診療所でもRSウイルス感染症の早期診断ができるようになり、赤ちゃんが重症化する前に総合病院へ入院紹介できるようになりました。
 大変ありがたいことですが、ちょっと、残念なことがあります。それは、1才以上のお子さんには保険がきかないということです。

 RSウイルス感染症の症状が重くなりやすい初感染例は乳児だけでなく1才児にも多く見られます。また再感染例でも気管支炎を起こすこともあります。安井先生は、「今年の報告数に占める1才以上の小児の割合が例年より高いことからみても、この年令層の患児への迅速検査も必要不可欠だ」と、述べております。

 RSウイルス感染症に対する認識が広がり、保育園で流行している場合に、検査を要望する患者家族は増えています。この様な現状からも安井先生は、「迅速検査は全年令で保険適用検査できるのが理想だが、せめて幼児にまで保険適用を広げてほしい」と、要望しています。

 RSウイルス感染症により呼吸困難が生じれば入院が必要で、毎年約2万人が入院しています。その大半は0~2才児です。母体からの移行免疫が働きにくく、月令が低いほど重症化しやすいRSウイルス感染症です。今後、全ての乳幼児に対して、外来でも迅速検査の保険適用がなされることを望みます。

2012年11月3日(土)
日本脳炎ワクチン再開

 10月31日、厚労省において、「日本脳炎に関する小委員会」が開催されました。議事録には、7月と10月に起きた2件の死亡症例の経過とそれに対する6人の先生方の意見が紹介されています。

 10月の症例は、接種後5分という極めて短時間のうちに心停止をきたしていることより、ワクチンによるアナフィラキシーショックの可能性は低く、心臓突然死が疑われていますが、結論は出ていません。ワクチンとの因果関係は極めて少ないとしていますが、全く影響がなかったかどうかは不明です。

 このお子さんは広汎性発達障害のため、3種類の薬を飲んでいました。その3種類全てが心臓に副作用をもたらす薬でした。特に2剤は併用禁忌(一緒に飲んではいけない薬)だそうです。薬品の名前は控えますが、これらの薬は心臓へ作用して、心電図で「QT延長」をきたします。

 「QT延長」は聞き慣れない用語と思います。簡単に言うと、『心臓が不安定になって脈が乱れやすくなる状態』です。この時に、心臓に強い刺激が加わると、致死的不整脈を生ずることがあります。委員会でも、薬の副作用→QT延長→何らかの刺激→致死的不整脈(心室細動)→心停止という状況を想定しているようです。これにワクチンがどの様に関与したかは、全く不明であるとしながらも、痛みや恐怖のようなワクチンそのものとは直接関係ない事象が関与しているかもしれないとしています。

 人間は、痛みや恐怖のようなストレスが加わると、カテコールアミンというホルモンを分泌します。このホルモンは心臓を活発にするよう働きかけます。健康な心臓では問題ありませんが、病的な心臓には時として、心臓に障害を与えるような場合もあります。QT延長はこの様な場合にあたります。

 実際にワクチンを接種した医師と、3種類の薬を処方していた医師とは別です。保護者は薬の副作用や併用禁忌については知らなかったようです。

 救急車で搬送された病院の救急救命センター長は、「通常は若い人であれば、心肺蘇生を行えば、一度は心拍が回復する。しかし、全く回復しなかったことは不思議でならない。心臓そのものに原因があるように思われる。」とコメントしています。

 言うまでもなく、予防接種は体調不良の時は行うものではありません。また、小児科医が普段処方する薬には特別危険な副作用がみられるものはありません。今回の出来事は極めて特殊なケースで、おそらく健康な人ではあり得ないことだったと思います。

 当院では11月1日より、日本脳炎ワクチンを再開しました。先日もお話ししましたが、日本脳炎ワクチンは、今の時期、急いで接種する必要はありません。インフルエンザワクチンなどと同時接種ならかまいませんが、日本脳炎ワクチン単独接種でしたら、年が明けてからゆっくり接種しても夏には十分間に合います。

2012年10月25日(木)
今度はポリオだと~?!

 昨日の午後は仙北小学校の就学時健診に行ってきました。新1年生になる子(まだ、幼稚園・保育園)と、6年生とでは、格段に体格が違いますね。当たり前ですけどね。「ホ~、6年も経つと、この様に成長するのね~。」と、いつも思います。
 何となく来年度の新1年生達は落ち着きがありませんでしたね。診察中もあちこちで、ぺちゃくちゃおしゃべりしたり、列から離れて踊り踊ったり、マア、こんなもんでしょうか。

 仙北小学校の前に私が校医をしていた小学校では、就学時健診は体育館で行いましたが、ある年、とてもにぎやかで騒がしい子達が大勢いました。たまりかねた校長先生が「静かにしなさい!」と、大きな声で一喝しました。ちょっと、ビックリしましたが、あとから校長先生が、「就学時健診であんな大声を出したのは初めてです。」と言ってましたね。学年によっていろんなカラーがあるわけですが、それを束ねていく小学校の先生は本当にご苦労様です。

 健診から帰って、ちょっと、テレビを見たら、なんと、「ポリオ予防接種でも死亡例 不活化ワクチンで初」というニュースが目に入りました。エ~、今度はポリオか?と、一瞬思いましたが、どうもこのニュースは・・・。あとから見た新聞記事の全文は以下の通りです。

 『 ポリオ予防接種でも死亡例 不活化ワクチンで初 』

 厚生労働省は24日、ポリオ(小児まひ)予防のため不活化ワクチン接種を受けた乳児の死亡例が報告されたと明らかにした。安全性を高めるため、毒性をなくしたウイルスからつくった不活化ワクチンは9月1日に導入されたばかりで、死亡例の報告は初めて。

 同省によると、死亡したのは1歳未満の女児。9月上旬に接種を受けたが、18日後に嘔吐し、翌日、病院で死亡した。

 接種から時間がたっており、接種した医師は因果関係はないとみている。食べ物などが誤って気管に入ったことなどが原因の可能性があるという。

 厚労省は今月29日に開く検討会で専門家の評価を求める。予防接種をめぐっては、日本脳炎ワクチン接種後の死亡例が2件続いて報告され、同省が情報収集を進めている。

 ところで、この記事何なんだ?担当記者は不活化ワクチンと生ワクチンの違いをご存知か?経口(口から飲む)生ポリオワクチンは、ポリオウイルスを弱毒化して作られたワクチンです。みんな知ってますね。だから、時として、この弱毒化したウイルスによってポリオのような症状(神経マヒ)が見られます。生ワクチン接種後2~3週して発熱、その後数日で神経マヒの副作用がみられることがあります。だから、弱毒化ポリオウイルスを使わない不活化ポリオワクチンに変わったのですよね。となると、不活化ワクチン接種18日後に、どんな副作用がでるというのだろう?教えてほしい?

 この記事には不活化ポリオワクチンと死亡との関連性について、一言もコメントはない。大体にして接種医は因果関係はないといっている。にも関わらず、あたかも不活化ポリオワクチン接種後→死亡という報道。しっかりとした検証もせずに何を言いたいのか?

 多くのまともなマスコミは、こんな馬鹿げた記事を書かないと思う(思いたい)。冷静に読めば、誰しも疑問を感じる内容を、淡々と報道する姿勢はいかなるものか。これはワクチン叩きの好きな一部のマスコミの暴挙のように思う。

 幼い子を持つ保護者の不安を煽るのがそんなに楽しいのか。先日の日本脳炎ワクチンとは全くわけが違う。2012年10月15日(月)の本欄で述べた「マスコミが、報道する医療関連の記事は、はっきりとした事実関係が確認されていない場合もありそうだ・・・」まさにその通りであることに残念な気持ちでならない。森口事件の反省はどこにもいかされてないな。

 当院では、今日もいつもの通り、不活化ポリオワクチンを接種しました。

2012年10月23日(火)
青天の霹靂

 すでにご存知の方も多いと思いますが、今月17日岐阜県美濃市の小児科医院で、日本脳炎ワクチンを接種した小学5年生が、接種直後5分で心肺停止状態となり、約2時間半後に死亡したという痛ましい出来事がありました。大変不幸なことです。亡くなられたお子さんのご冥福をお祈りします。

 予防接種の手技、ワクチンの保管方法にも問題なく、検死では、骨折や脳出血、顕著な外傷はなく、腫れや発疹といったアレルギーの症状もなく、死因を特定できず、今のところ原因不明ということです。

 ワクチン接種後の重篤な副反応として、アナフィラキシーショックがあります。これはワクチンに含まれている何らかの成分に対してアレルギーがある場合に起こります。卵を食べてじんま疹が出る。これは、単なるアレルギー反応です。アナフィラキシーは、アレルギーを起こす原因物資が体内に侵入後15~30分くらいのうちにおきる“多臓器のアレルギー症状”で、喘鳴、呼吸困難、全身のじんましん、顔面浮腫、結膜充血、著しい鼻閉、喉頭浮腫、等々の重症な症状がみられます。さらに、血圧低下、頻脈、チアノーゼ、顔面蒼白、のような循環障害が見られる場合をアナフィラキシーショックといいます。

 この記事を見た時、最初、アナフィラキシーショックかと思いましたが、どうもそうではないですね。アナフィラキシーショックで、急に心臓が止まることはありません。血圧が徐々に下がって、その結果体内に十分血液が行き渡らない循環不全という状態になって心肺停止します。つまり、5分間という短い時間でアナフィラキシーショックが起こるとは信じがたく、原因は他にあると思います。

 5分間で心肺停止するような状況は、いわゆる【突然死】という状態が考えられます。突然死を起こす原因はたくさんあるようですが、全て解明されているわけではありません。突然死は、当然、予防接種とは関係なく起こります。

 ところで、今回の報道を見ますと、「日本脳炎ワクチン接種後に死亡」という見出しが目立ちます。原因不明と言いながら、あたかもワクチンが原因で死亡という因果関係で表現することは、多くの人を不安な気持ちに陥れます。

 また、原因不明のうちに、医師名、医院名を公表するというのはいかなるものでしょうか?予防接種事故は接種医に重大な過ちが無い限り責任は問われません。公表するかしないかは結果が判明してからにすべきです。

 現行の日本脳炎ワクチンは約1.000万人に接種されているようですが、今回のような接種後5分で心肺停止というような事例は1例もなく、初めてのことのようです。おそらく他のワクチンでもないことだと思います。

 このお子さんは広汎性発達障害があり、1日1回3種類の薬を服用していたそうですが、当日は飲んでおらず、体調も良かったそうです。診察には素直に応じていましたが、注射を打つため看護師に押さえられると、体をよじらせて嫌がり、看護師を振り切って診察室を飛び出したそうです。その後、待合室のソファに座ったところで、看護師と母親が両脇でこの子を押さえ、院長が注射したそうです。

 注射を見ただけで大騒ぎするお子さんはどこにもいます。小さなお子さんでしたら、保護者に抑えてもらいますが、大きなお子さんですと、暴れられると危険ですので、私が押さえています。こういう行為が今回の出来事に関連するとはとうてい考えられませんが、仮に(あり得ないことだとは思いますが)、“痛み”という刺激が突然死の原因になる事があれば、例えば、痛み刺激で致死的不整脈(心臓の脈が乱れる病気)を引き起こすとか・・・。それは、極めて稀な場合であり、予測不可能なことであり、全く防ぐ手だてもありません。

 現在、当院では、日本脳炎ワクチンの接種を見合わせています。31日に厚労省は小委員会を開いて検討するとしています。この結果を見て再会するかどうか決めます。皆様も動揺することなく、冷静に経過を見守って下さい。

 ちなみに、日本脳炎ワクチンはこれから冬に向かう岩手県では、急いで接種する必要はありません。年が明けてからゆっくり接種しても夏には十分間に合います。

2012年10月15日(月)
誇大妄想

 先週から、毎日、外来が混み合っています。今日は発熱のお子さん達が大勢受診しました。年長児は、溶連菌感染症を思わせるような真っ赤な咽頭(のど)をしている子が多かったのですが、溶連菌の子は数名でした。真っ赤なのど、咽頭痛(のどの痛み)、発熱、と、くれば、溶連菌を考えますが、どうも、溶連菌以外の菌が流行っているようですね。ここしばらくは、「のどのかぜ」が続きそうです。うがい、手洗いを励行しましょう。

 iPS心筋移植問題の渦中の人、森口おじさんの妄想は限りなく続いていますが、そろそろ、幕を引いた方がよさそうですね。彼は妄想の中で、幸せなのでしょう。きっと、「自分も(山中教授のように)注目されたい」と思ったのでしょうね。
 しかし、ノーベル賞を取った山中教授よりも報道時間が長いですよね。こっちの方が面白いんでしょうか。本末転倒してます。

 ところで、彼は、確かに悪いが、記者会見での記者達の態度はどうなんだろう。まるで、鬼の首を取ったような、ネコがネズミをいたぶるような、面白半分で責め立てている様子は、どうも不愉快に感じる。こんな大ホラ、ちょっと調べれば真偽はすぐわかるはず、ろくに確かめもしないで記事にしたマスコミにも責任はあるでしょう。その腹いせに責めまくっているように見える。まるで、“いじめ”だ。よってたかって責めるマスコミの皆さん、こんなヤツにだまされたと、腹が立つ気持ちはわかりますが、「もういい、よくわかった。これからも頑張りなさいよ。その前にカウンセリングでも受けなさいよ。」と言えるくらいの度量があってもよいのではないでしょうか?

 馬鹿げた出来事だったが、彼のおかげ(?)で一つわかったことがある。それは、医療に関するマスコミ報道の信憑性が失われたと言うことに他ならない。マスコミが、報道する医療関連の記事は、はっきりとした事実関係が確認されていない場合もありそうだ・・・と言うことですね。

2012年10月12日(金)
ノーベル賞のまね?

 この頃急に寒くなりましたね。そのせいか、今週の外来は、とても混み合っています。発熱、喘息、マイコプラズマ、RS、不活化ポリオワクチンと多忙な毎日です。
 さらにインフルエンザワクチンも開始しました。これからの小児科外来は1年で1番忙しい時期を迎えます。夏場は来院すればすぐ診察という感じだったと思いますが、これからは、どうしても待ち時間が長くなります。ご了承下さい。

 2011年10月13日(木)の診察室便りに書いたとおり、京都大学の山中伸弥教授が【iPS細胞】の開発でノーベル医学・生理学賞を受賞しました。記者会見で「私が受賞できたのは、日本という国に支えていただいて、日の丸のご支援がなければ、このように素晴らしい賞は受賞できなかったということを心の底から思いました。まさに日本という国が受賞した賞だと感じています」と述べられました。とても、謙虚な方ですね。きっと、これから臨床応用できる素晴らしい【iPS細胞】を作ってくれると思います。

 ところで、感動も冷めない今日、「iPS新手法で作製 臨床応用へ開発広がる」という新聞記事を目にしました。重い心不全患者の肝臓から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、心筋細胞に成長させて移植する治療を今年に入って6人の患者に実施したと、米ハーバード大学の森口尚史(もりぐち・ひさし)客員講師が発表したという内容でした。ン?なんだこれ?ホントカイナ?と、誰でも思いますね。でもかなりホントっぽい記事でしたね。その後、いろいろな情報によると、ハーバード大学は否定しているようですし、この森口さんは医師ではないようですね。インタビューの応答も全く当を得ず、疑惑が広がる一方でした。この新聞社も事実関係を調査中とのことです。あっさりボロが出そうです。山中先生の業績に傷がつくような恥ずかしい行為としか思えません・・・。さて、真相はどうなんでしょう。

2012年10月2日(火)
本当に流行っているRSウイルス感染症

 やっと、朝晩涼しくなってきました。秋の訪れとともに、外来が忙しくなってきましたね。今年の秋といってもまだ、初秋ですが、RSウイルス感染症が、全国的に流行しているようです。北九州の幼稚園では学級閉鎖も行われたそうです。

 本来、冬に流行るはずのRSウイルス(以下、RS)がなぜか、今年は夏から見られていますので、まだまだ続きそうです。今日も外来でRSのお子さんを5人診ました。RSは、乳幼児に急性細気管支炎を起こすとんでもない悪玉ウイルスです。乳幼児、特に6ヶ月未満児では、よく呼吸困難に陥りますので、大体が入院必要になります。

 この頃よくみるRSは、保育園、幼稚園で流行っています。そのため、一番罹りやすく重症化しやすい乳児だけでなく、1~2才の子もよくみます。乳児のRSによる急性細気管支炎では、発熱よりも呼吸困難症状が目立ちますが、1~2才児では、けっこう発熱もします。ですから、今、流行中のRSは、「発熱+ゼイゼイ」が主症状です。

 RSには、特効薬は何もなく、外来治療が難しいです。このまま流行が続くようでしたら、保育園、幼稚園の学級閉鎖も必要になってくるでしょうね。特に6ヶ月未満児は、しばらく、休園した方がよいです。

 10月1日から、今シーズンのインフルエンザ ワクチンを開始しました。いつ流行るか予測困難なインフルエンザですが、年内に流行することもありますから、そろそろ準備した方がよいですよ。盛岡市、及び、周辺町村の補助金は10月20日から出ますので、補助金対象年令のお子さんは、20日から接種開始すればよいです。インフルエンザは、他のワクチンとも同時接種できます。受診回数を少なくするだけでなく、早めに免疫を作るためにもワクチンの同時接種をお勧めします。

2012年9月20日(木)
夏に、インフルエンザ?RSウイルス?

 今日は久々に最高気温が30度以下になったようです。暑い夏でしたが、ようやく秋になりそうです。ということは、これから本格的な喘息シーズンを迎えます。

 今まで調子よかったお子さんもちょっと咳が目立つようになったら、要注意ですよ。いつも言うように、「喘息は発作を起こしてから治療するのではなく、発作を起こさないように予防治療をすることが大切です。」

 ところで、暑い夏に手足口病のような夏カゼが流行するのは当たり前ですが、なぜか、今月初め、東京都の小学校でインフルエンザが発生しました。記事の内容は次の通りです。

「東京都内の公立小学校で、インフルエンザによる欠席が急増し、今シーズン初めて学級閉鎖があった。学級閉鎖されたのは、墨田区の横川小学校の2年生の1クラス。墨田区によると、このクラスでは、4日から発熱やせきなど、インフルエンザの症状による児童の欠席などが目立ち始め、6日の時点で34人のうち11人が欠席しているという。学級閉鎖は、6日と7日の2日間だが、ほかの学年でのインフルエンザの流行は確認されていないという。」

 この後、都内ではインフルエンザの流行はないようですので、一時的な現象のようです。夏にインフルエンザ?と思いますが、3年前の夏に新型インフルエンザが流行ったように、もう、インフルエンザは季節にとらわれない方がよいかもしれませんね。
 
 インフルエンザではありませんが、この頃、RSウイルス感染症の乳幼児をよくみます。RSウイルスも冬季に流行しますが、なぜか、今の暑い時期に暴れています。これも地球温暖化の影響でしょうか?

 9月25日に盛岡市及び、周辺町村による今シーズンのインフルエンザワクチンの説明会があります。ワクチン入荷は、9月下旬~10月上旬になりますので、インフルエンザワクチンは、10月上旬から開始します。今年も予約は取らず、受付順に接種する予定です。詳細は、近々、院内掲示、HPでお知らせします。

 毎年、八幡様の山車を見ると秋を感じます。季節はずれのインフルエンザやRSウイルスは、そろそろ秋~冬に備えなさいよと言ってるのかもしれませんね。

四條畷:南大通り二丁目町内会 鏡獅子:八幡町い組
2012年9月13日(木)
過換気症候群、今と昔

 今年もまた、盛岡秋祭りがやってきました。1709年(宝栄6年)9月14日、南部藩の街造りが完成したのを祝い、全町の若衆がそれぞれ趣向をこらした「丁印(ちょうじるし)」を、八幡宮に奉納して3日間城下目抜き通りを練り歩いたのが始まりだそうです。ドンコ、ドンコという威勢の良い太鼓の音と、どこか寂しげな笛の音が哀愁を誘います。

 今年は山車が9台見られるようです。クリニックの近くからは、仙北町は組:演目は「平清盛」がでます。わが家近くの南大通りからは、南大通り二丁目町内会:演目は「四條畷(楠木正成の子、正行VS足利氏の戦い)」です。山車の車庫が近いですので、ここ数日帰りによって見ています。本番前のリハーサルとあって、なかなか熱のこもった練習でした。今日から早速町を練り歩いているようです。

 まだ暑い日が続きますが、秋祭りが終われば涼しくなりそうです。この季節の変わり目は気管支喘息のようなアレルギー疾患も悪化することが多いです。夏場は調子よくても、これからしばらくは要注意の季節ですね。

 少し前に行った夜間急患診療所で過換気症候群の患者さんを診ました。不安やパニックなどの心理的な原因によって呼吸が浅く早くなり、呼吸の回数が増える状態を、「過換気状態」と言います。この時、体内から二酸化炭素を多く吐きだすため、血液中の二酸化炭素が減ってしまい、手足のけいれんやめまいなどの症状が見られます。これを「過換気症候群」といいます。

 従来、増加した酸素を減らし、減少した二酸化炭素を増やすために、過換気状態になった患者さんに袋をかぶせて呼吸してもらうというペーパーバック法という治療法がよく行われていました。
 現在は、この昔から行われているペーパーバック法では、かえって窒息状態となり、好ましくないということであまり行われなくなってきました。実際に過換気状態にある人でも、そんなに酸素~二酸化炭素のバランスが悪くなっているわけではなく、ゆっくりと安静にしていれば自然に治るようです。
 救急学会でもペーパーバック法は進めておらず、腹式呼吸で酸素~二酸化炭素のバランスを改善するよう進めています。

 過換気になる人は何か心配事があるはずです。この患者さんにもペーパーバック法は行わず、お話を聞きながら、ゆっくり腹式呼吸をしてもらったら、改善しました。

 それから数日して、テレビで過換気症候群の番組を見ましたが、やはり、ペーパーバック法は行わないと言ってましたね。

 治療法の変化は、たばこの誤飲中毒でもいえます。以前は胃洗浄をしていましたが、最近は殆どしなくなりました。なぜ?たばこに含まれているニコチンは水に溶けます。溶けたニコチンは毒性が強くなります。だから、胃洗浄はよくないと言う理由です。
 子どものたばこの致死量は1本です。誤飲したとしても途中で具合が悪くなり、まるまる1本食べられるわけではないので、胃洗浄は必要ないと言うのが、現在の主流な考え方のようです。

 昔は、正しかった(と思われていた)ことでも、時とともに評価は変わってくるんでしょうね。ボヤ~としていると医学の進歩に追いつけなくなりますね。

2012年9月1日(土)
不活化ポリオワクチン接種始まる

 いつまでも暑い日が続きますね。盛岡市では8月の最高平均気温を更新したようです。9月も上旬は暑さが続きそうです。この頃、熱中症とはいえないものの、体調を崩したお子さん達がよく受診します。学校は冷房がないので大変です。夏バテに効くような薬はありませんが、十分な睡眠・栄養をとることが大切です。

 きょう9月1日から、不活化ポリオワクチンの接種が始まりました。ポリオが日本の国で見られなくなって30年になります。生ワクチンは効果がありますが副作用もあります。わが国同様ポリオが見られなくなった多くの先進国では、若干効果が低くても安全性の高い不活化ワクチンの接種に切り替えています。

 わが国でも、やっと不活化ワクチンの接種が実現しました。まずは喜ばしいことです。そして、11月からは、四種混合ワクチン(三種混合ワクチン+不活化ポリオワクチン)の接種も始まります。

 不活化ポリオワクチンと、四種混合ワクチンの使い分けについては、ちょっと混乱しそうですが、8月1日以降に生まれた人は、四種混合ワクチンを接種。それ以前に生まれて、まだ、ポリオワクチンを接種していない(または、生ワクチンを1回しか接種していない)人は、不活化ワクチンを接種 と思えばいいでしょう。詳しくは→ポリオ

 10月になるとインフルエンザワクチンの接種も始まります。今シーズンはいつもの年にも増してワクチンで忙しくなりそうです。不活化ポリオワクチンが認可されるまで生ポリオワクチンの接種を控えていたお子さんは大勢いますが、急いで不活化ポリオワクチンを接種しなくても良いですよ。とは言え、どうしても、インフルエンザワクチンの時期に重なってしまいます。

 不活化ポリオワクチンもインフルエンザワクチンも同時接種できますから、10月以降の接種は同時接種した方が効率がよいでしょうね。ところで、不活化ポリオワクチンはヒブワクチンとよく似ています。下の写真を見て下さい。接種する時は、間違わないように厳重に注意しなければなりません。


上がヒブワクチン、下が不活化ポリオワクチンです。

2012年8月24日(金)
貧血の検査

 この頃とても暑いですね。湿度も高く、不快指数がガンガン上がっています。残暑の季節ですが、猛暑といった方がよさそうです。

 夏の高校野球は大阪桐蔭の優勝で閉幕しました。青森代表光星学院は、またしても準優勝でした。終わってみれば、この二校の強さは別格でしたね。毎年、高校野球にはいろいろ話題が付き物ですが、今年の閉会式で、ちょっとしたハプニングがありました。

 日本高校野球連盟の奥島孝康会長が、球速160kmを出して話題になった花巻東高の大谷翔平投手について「甲子園で見られず残念」と発言しました。この発言後に「(岩手代表の)盛大付高を侮辱し、失礼ではないか」という批判が殺到したそうです。

 確かに、春に続いて夏も大谷と藤浪の対決を楽しみにしていたファンは多かっただろうけど、高野連会長という責任ある立場の人が言うようなことではないですね。盛大付校にとっても、岩手県民にしても「腹立つ~」よね。

 奥島会長は、単なる野球好きのオヤジで、別に悪気はなく、自身の正直な気持ちを述べたつもりでしょう。打ち上げの飲み会で話そうと思ってたことが、ちょっと早まったということでしょうね。

 いつの日か、岩手にも優勝旗が来るように、それもできるだけ、岩手出身の高校生のチームであってほしいですね。

 今日は、貧血の検査についてのご質問をいただきましたので、ご紹介します。貧血が気になるけど、検査の採血は痛くて、ちょっと・・・。というようなご相談です。

H.Tさんからの


 H・Tの母です。妹、共々いつもお世話になっております。

 さてタイトル(3才児の貧血について)に書きました通り、娘が貧血ではないかと思っています。最近目の下のクマが非常に目立つようになったこと、よく疲れたと言っているからです。寝起きが非常に悪いです。(これは貧血とは関係ないかもしれませんが)あと腹痛をよく訴えます。(これも赤ちゃん返りの一種だと思いますが)

 一度受診するのが早いとは思いますが、採血に不安があります。というのも1歳のころアレルギーを調べるのに、血管が見つからず5分以上馬乗りになったので・・・。
 
 当時は痛みをあまり感じなかったせいか暴れませんでしたが、今は注射をはっきりと認識できるようにもなりましたし、大騒ぎするのではないかと。

 そんなことを考えると腰が重く、しばらく様子を見て、何か他で受診する際に見てもらった方がいいのかと思っていましたが、もし本当に貧血だった場合、放置しておくのはよくないとネットなどで見たりもしまして・・・。

 長文になりましてすいません。先に書きました症状では急いで受診する必要があるでしょうか?様子を見ていていいでしょうか?

 お忙しいとは思いますが、ご回答よろしくお願いします。




  お便りありがとうございます。

 目の下のクマや、疲れやすいという訴えが、必ずしも貧血を示唆するものではありませんが、少し、気にはなりますよね。とは言え、採血にはトラウマ(?)がつきまといそうです。

 小さいお子さんの採血は、ご指摘の通り、大変です。ただ、採血にもいろいろ方法があり、簡単な貧血検査くらいでしたら、指先からちょっと血液を採取するだけでできます。蚊に刺された程度の痛みですね。

 子どもの貧血で圧倒的に多いのは鉄分の足りない貧血で、「鉄欠乏性貧血」といいます。血液中の赤血球は体内に酸素を運ぶ働きをします。この時、酸素は赤血球中のヘモグロビンにくっついて運ばれます。ヘモグロビンの主要物質が鉄です。

 この鉄が足りなくなる貧血が鉄欠乏性貧血で、鉄不足→酸素不足→疲れやすい、元気がない、顔色が悪い、朝起きられない等々の、症状が出現することになります。こういう状況は放置して良いはずがありません。鉄欠乏性貧血は鉄剤を内服すれば短期間で改善します。

 鉄欠乏性貧血の原因は性別・年令・環境などにより様々ですが、小さいお子さんであれば成長期の鉄分不足が、原因としてよくみられます。検査は赤血球中のヘモグロビンの量を調べればすぐわかります。

 ところで、赤血球中の鉄には寿命みたいなものがあって、ヘモグロビンは大体2~3ヶ月くらいで新しいヘモグロビンに変わります。体内には鉄が蓄えられており(貯蔵鉄と言います)。赤血球中の鉄がなくなれば貯蔵鉄が使われることになります。

 ですから、鉄欠乏性貧血を検査するには、現在使われているヘモグロビンがどのくらいあるかということと、蓄えられてる鉄(貯蔵鉄)がどのくらいあるかということの両方を調べる必要があります。

 なぜなら、現在使われているヘモグロビンが十分あっても、貯蔵鉄が不足していれば、2~3ヶ月後には鉄欠乏性貧血になってしまうからです。

 ここまで検査するにはキチンと腕から採血しなければなりませんが、現在使われているヘモグロビンだけを調べるなら、前述した指先からちょっと血液を採取するだけでできます。

 私は小さいお子さんの貧血を疑った場合は、いつも、まず、指先の採血で調べています。これで異常があれば、保護者に詳しい検査を勧めています。異常がなければ、さしあたり、2~3ヶ月は心配ありませんので、その頃にまた貧血を疑うような症状が出たら、再検しています。

 というわけで、そんなに急いで受診されることはないですが、まずは、「指先からちょっと血液を採取する」で、調べてみることをお勧めします。では、お大事にして下さい。

2012年8月12日(日)
陸前高田 仮設診療所と、盛岡市 夜間急患診療所

 昨日は夜間診療所、本日は陸前高田の仮設診療所へ診療応援と、お盆近くですが、忙しくボランティア活動をしてきました。

 昨日の夜間では、今の時期には珍しいゼイゼイした呼吸の苦しい赤ちゃんが受診しました。症状から診るに、明らかに急性細気管支炎です。数日前に当院近くの保育園で急性細気管支炎が発生したと聞きましたが、夏にはあまり診ることのない疾患ですので、あまり気にしていませんでした。しかし、昨日二人も診ました。住所は盛岡市の北と南、しばらく赤ちゃんのゼイゼイは要注意です。当然、二次輪番病院へ入院紹介しました。早く元気になると良いですね。

 高田の診療応援は今回が3回目です。こちらはあまり重症な患者さんはおりませんでしたが、皮膚科は大変忙しそうでした。高田には皮膚科の先生が少ない(いない?)ようです。

 受付時間終了後に、これから受診するので診てほしいと電話がありました。少し待っていましたら30分ほどして下痢が止まらないという赤ちゃんが受診しました。元気はよさそうでしたが、おしりが真っ赤で痛々しかったですね。

 どうも、今塗っている軟膏が合わないようでしたので、他の軟膏に替えて、下痢も長引いているようでしたので、整腸剤だけでなく、下痢止めも加えて、さらに、消化の良いミルクを紹介して、離乳食の工夫なども・・・。と、いろいろお話ししたら、「わざわざ、遠くから来ていただいて、診療時間過ぎても待ってもらって、親切に説明していただいて・・・。」と、とても感謝されました。
 
 自分としては、「毎日大変だろうな。少しは役に立たないとな。」くらいの気持ちでしたが、とても、嬉しくなりました。と、同時に、イヤな思い出が浮かびました。ズ~と前(昨日ではないですよ)ですが、夜間診療所終了間際に、「子どもが熱を出したので診てほしい」という連絡がありました。30分以内に受診できるというので待っていましたが、30分経ってもこない、1時間近く経ってこちらから電話したところ、「子どもが寝たので、受診しないことにした」というではありませんか、いやはや、あきれた。それならそうと、もう一度連絡しなさいよ。夜間では、医師、看護師、事務員、薬剤師みんな待ってたんだよ。

 盛岡市は医療に恵まれすぎているかもしれませんね。それが当たり前になっているからでしょうか、ときどきこういう非常識な人を見ます。被災地の診療からいろんなことを思った一日でした。

2012年8月10日(金)
9月1日より、不活化ポリオワクチン開始

 暑い日が続きますが、ここ2~3日少し涼しくなりましたね。お盆過ぎたら秋は近いです。

 オリンピックは後半になりました。金メダルが少ないとは言え、銀、銅も世界の2位、3位なんだから、もっと胸をはって自慢してもいいように思います。

 今朝は、早起きするつもりはありませんでしたが、偶然目が覚めたので、テレビのスイッチを入れたら、女子サッカー決勝戦がロスタイムに入って、大変なところでした。アナウンサーの悲痛な叫びから察するに、これは劣勢・・・。残念ながら2-1で、敗れてしまいましたが、勝敗は時の運。なでしこは日本中に感動を与えてくれました。ありがとう。

 昨日のお昼休みには、高校野球を観ました。9回裏、土壇場で追いつく場面から観ることができました。試合経過は一進一退のようでしたね。こういう展開だと追いついた方に勢いがあるもので、これは逆転できそうだなと思ってましたが、こちらも、残念ながら5-4で惜敗しました。盛大附も県外からの野球留学生が多いようですが、対戦相手の立正大淞南はレギュラー全員が県外出身者のようでした。

 甲子園を目指して、野球留学する子はけっこういるようです。是非はともかく、チーム力はアップしても地元の子が出場できないのは何とも残念な気がします。
 
 大体、県によって人口、高校数は違うわけですから、もう少し実状にあった選考方法があると思います。例えば、高校数50以下は代表校1校、50~100は代表校2校・・・、とすれば、大阪(181校)、愛知(189校)、神奈川(190校)は、3校出場できることになります。大会期間が長くなりますが、いろいろ工夫すればできそうです。

 全く話は変わりますが、9月1日から不活化ポリオワクチンの接種が始まります。市内医療機関での個別接種で行われます。8月15日号の広報「もりおか」に掲載されています。まだ、医療機関には接種券も配布されていませんが、お盆明けには準備が整うものと思われます。

 ポリオワクチンはそんなに急いで接種しなくてもよいですが、忘れずに早めに接種するようにしましょう。

2012年7月30日(月)
青上げて、青下げて、白上げて。

 真夏の祭典、ロンドンオリンピックが始まりました。昨晩、柔道男子66キロ級の準々決勝、日本の海老沼匡と韓国のチョ・ジュンホの試合で判定が覆るという前代未聞(?)の珍事が勃発しました。

 海老沼は延長戦の1分過ぎ、小内刈りで一度は有効と判定されましたが、取り消されると言うハプニングがありました。その後は一進一退の攻防でしたが、時間が切れ、旗判定に委ねられました。主審と 2人の副審は青のチョを支持。3-0で一度はチョに勝ちが告げられました。しかし・・・。この時の場内の雰囲気が全てでしたね。ブーイングに押されるようにして、審判とジュリーの協議の結果、判定は覆り、海老沼の勝ちとなりました。

 確かに、海老沼の方が攻勢でしたし、チョは、海老沼の腕を脇で固めたまま床に倒れ込んでいます。これは、反則すれすれの危険行為です。にも関わらず、審判は注意しなかったナ~。いやはや、お粗末ですね。ところで、ジュリーって何だ?

 ジュリー(Jury)とは、「陪審員」「審査員」という意味のようです。大相撲の【物言い】みたいなもんですね。行事の判定に間違いがあると判断すれば、土俵下の審判親方が手を挙げる。あれと同じような制度らしい。

 柔道でのジュリー制度導入は、そもそもは、先に掛けた選手の「技」が有効か、それを返した選手の「返し技」が有効かを判断するのが主目的だったようですが、徐々に権限が拡大し、最近は主審が判断した有効、技あり、一本が適切であるかどうかの判断も多くなり、今五輪でも度々、主審の判定が覆っています。海老沼の小内刈り有効の取り消しもそのようです。
 
 ジュリー制度導入のきっかけはシドニー五輪100kg超級決勝で、現日本柔道チーム監督の篠原の決勝戦のようです。篠原はフランスのダビド・ドゥイエの内股に対して、内股すかしの返し技で応戦しました。見た目には、篠原の一本勝ちに見えましたが、結果はドゥイエの判定勝ち。これは「世紀の誤審」と言われています。

 本大会のジュリーはビデオを使って審判の判断の「補助」をしているのではなく、判断を「決定」していますね。こうなると、誰が審判かわかりません。

 ジュリーはもう少し改善の余地がある制度と思いますが、審判の質にも問題ありです。特に昨日の主審、副審はみっともなかった。明らかに、海老沼優勢なはず、なのに、3人そろって青を上げるとは、3人そろって色盲でもあるまいし。そして、ジュリーに叱られて(?)、青下げて、白上げて・・・、技量不足というか、節操がないというか、海老沼はその後準決勝で敗退しましたが、気分的にすっきりしなかったでしょうね。

 ところで、一時期よりは少なくなったように見えますが、相変わらず、組み合わない柔道が多いですね。掛け投げ、ネコパンチ、ローキック、タックル、ガッチリ組まずにポイントを上げて逃げ切る。これでも勝ちは勝ちか?スーパーのポイント集めじゃないんだよ。ガッチリ組み合って、力比べの一本勝負が柔道じゃなかったのだろうか?一本勝ち以外認めないルールに変更できないものだろうか。各階級とも数日かけて戦えば、真の王者が決定すると思う。オリンピックのjudoは日本柔道ではなくなってしまった。さびしいですね。

2012年7月29日(日)
続・側頭葉てんかんと熱性けいれん

 ここ数日暑いですね。チョット前までは涼しかったのに、やはり、夏になりました。今日は休日当番医でした。殆どの患者さんは夏カゼによる発熱です。喉が赤くて、少し元気がない感じです。年令も1~2才が多く、にぎやかな外来でした。幸い重症者はいませんでした。

 例年ですと手足口病が多いですが、今年はアデノウイルス感染症やヘルパンギーナの方がよくみられます。年長児ですと溶連菌もいますね。

 先日、掲載した「側頭葉てんかんと熱性けいれん」について、多くのご質問をいただいております。できるだけ返信していますが、重複した内容も多いので、一度、お便りをご紹介しますので、ご参考にして下さい。

M.Iさんからの


 いつもお世話になっております。

 ちょうど先生に相談メールしようと思っていたところ、診察室便りに質問したかった内容が書いてました!先生がお察しの通り、まさにこのニュースに驚いて心配しておりました。あまり過剰に反応しないように、とのことですが、やっぱり心配で・・・

 診察室便りに記載なかった気になる点について質問させていただきます。
私がみたニュースでは、「小児けいれんの治療に使われている薬が、てんかんの発生率を高める危険性があることもわかり、研究グループでは、神経物質の興奮を抑える薬を使った新しい予防法を提案している」
と記載がありました。

 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00227536.html

 この「小児けいれんの治療に使われている薬」とは、ダイアップのことでしょうか?側頭葉てんかんをおこさない為に熱性痙攣を防ぎたいのに、その薬であるダイアップがてんかんの発生率を高めるとすれば、もうどうすればいいやら・・・

 また、「神経物質の興奮を抑える薬を使った新しい予防法」というのがどういうものなのか?もし詳しくご存知でしたら教えてください。




 お便りありがとうございます。

 この論文に関しては、多くのご質問をいただいています。まだ、はっきりと結論が出たわけはなく、断定的なお話しは出来ません。書けば書くほど混乱するかもしれません。

 この論文は、動物実験の結果に基づくものであり、必ずしもそのまま人間に当てはまるものではありません。まず、そのことをしっかりと認識して下さい。

 「小児けいれんの治療に使われている薬」とは、ご指摘の通りダイアップです。脳内にはGABA(ギャバ:γ(ガンマ)-アミノ酪酸)という神経伝達物質があります。GABAは、神経の興奮伝達のスイッチをオフにする働きがあり、神経の過剰な興奮を抑制する役割を持っています。そのため、精神的に不安定な場合や、神経が過剰に興奮し、けいれんなどの症状を示すときには、GABAの働きが強まります。ダイアップはこの働きを強めます。

 ということは、けいれんを抑える方向に働くわけですから、熱性けいれんにダイアップは良いということになりますが・・・?

 実験では、熱性けいれんを起こした(無理矢理起こされた)ラットでは、神経経路を構築する顆粒細胞が運動方向に異常をきたし、本来の位置に移動できず、異所的に配置されました。この異所的に配置された顆粒細胞は、GABAの影響を受けやすくなっており、GABAによって興奮しやすくなっていることが判明しました。

 実際に16匹のラットのうち8匹が、成体になってから、海馬の異常が引き金となる側頭葉てんかん発作を起こしやすくなることが分かりました。

 その結果、熱性けいれんと将来のてんかん発症に関して、乳幼児期におけるGABAの興奮性作用が関与する(のではないか?)という見解を出しました。

 つまり、ダイアップはGABAの働きを強めますから、一時的にはけいれんを抑制しても、長期的には顆粒細胞にとって良くない(てんかんに移行するかもしれない)状態を作ってしまうと言うことです。

 また、細胞間の神経伝達に関して、NA(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(クロール)なども重要な役割を果たしています。これら電解質の輸送に働くNKCC1共輸送体は、GABAの興奮性を高めます。

 このNKCC1共輸送体の働きを抑える薬が、「神経物質の興奮を抑える薬を使った新しい予防法」と表現されています。

 論文ではブメタニド(商品名:ルネトロン)という利尿剤を熱性けいれんに連当する事によって異所性顆粒細胞の出現を抑え、将来のてんかん発症を抑制することに成功したとしています。

 しかしながら、この利尿剤は大変強力です。論文では少量投与でNKCC1共輸送体の働きを抑えるとしていますが、熱性けいれんを起こしやすい年令のお子さんに連用するのは一般的でないように思います。

 この論文は東大大学院薬学系研究科の発表です。常に臨床の場で患者を診察している医師ではありません。日々、実験、研究に従事されている方々の論文ですので、若干、臨床とは“ズレ”を感じます。

 従来、熱性けいれん発症者の約7%がてんかんに移行すると言われています。
次の「てんかん発症に関する要注意因子(複雑型熱性けいれん)」があるときは慎重な経過観察が必要ですが、それとて、必ずしもてんかんに移行するというものでもありません。

1.熱性けいれん発症前の明らかな神経学的異常(脳性マヒ、精神遅滞、小頭症)もしくは発達遅滞
2.部分発作(全身けいれんではなく、体の一部のけいれん)
3.発作の持続が15~20分以上
4.24時間以内の繰り返し
5.発作後のマヒ
6.両親、同胞におけるてんかんの家族歴

 熱性けいれんの多くは、上記以外の単純型で安全です。今回の研究は複雑型熱性けいれんを、不自然な状態で無理矢理ラットに起こした結果です。後遺症についても動物実験の段階です。熱性けいれんを起こしたあとの人間の脳が、常にGABAの影響を受けやすくなっているのかどうかもわかりません。人間での検証には、まだまだ時間がかかります。

 あまり気にせずと言っても気になると思いますが、現時点では、従来の治療方法でよいと思います。ただ、ダイアップの使用については、世界中で一番使っている国が日本だそうです。たまにダイアップを使うことが、恒久的にGABAの影響を受けやすくするとは考えがたいですが、今後は、複雑型、単純型などのタイプによって使用頻度を考えた方がよいかもしれません。

 明解な答えにならず申し訳ありませんが、新しい知見が見つかればまた、掲載します。では、お大事にして下さい。

2012年7月22日(日)
側頭葉てんかんと熱性けいれん

 難治性てんかんの多くを占める「側頭葉てんかん(注1)」は、子どものころにカゼやインフルエンザの発熱で起こるけいれん(熱性けいれん)によって脳に興奮しやすい神経回路が形成されるのが原因だとする研究結果を、東京大のチームが15日付の米医学誌ネイチャーメディスン電子版に発表した。というニュースを見ました。

 ラットを用いた動物実験の結果です。発熱による15分以上続く「複雑型熱性けいれん」を生後間もなく経験したラットは、脳の海馬(注2)に障害が発生し、実際に16匹のうち8匹が、成体になってから、海馬の異常が引き金となる側頭葉てんかん発作を起こしやすくなることが分かった。ということです。

 注1 側頭葉てんかん:数分~数十分、意識がぼんやりして、口をもぐもぐさせたり、ボタンをかけたりはずしたりするような意味のない動作をくりかえす発作です。子どもより、大人に多くみられます

 注2 海馬:“かいば”と読みます。入力された情報の整理(取捨選択)、および、記憶を司っている脳の一部です。

 研究チームは、人間でも乳幼児期に経験すれば同様の現象が生じる可能性もあると指摘しています。

 本当にこの通りだとしたら、ちょっと大変ですね。側頭葉てんかんにならないようにするには→熱性けいれんを起こさないこと→発熱しないこと・・・?どうやって発熱を防いだらよいか?無理ですよね。

 今回の発表の影響はけっこう大きいと思われます。特に熱性けいれんを経験しているお子さんの親御さんにとっては心配です。

 ところで、世界中で毎年何十万人もの子が熱性けいれんを起こしていますが、その全てが脳に障害を起こして側頭葉てんかんを起こす可能性があると言い切れるのでしょうか?もしそうなら、世界中、側頭葉てんかんだらけになっているはずです。

 論文では、生後10日のラットに熱性けいれんを起こさせて、実験していますが、これが子どもの熱性けいれんのモデルに当てはまるのでしょうか?子どもでは、ラットの生後10日に相当する月令では熱性けいれんはまず起こらないと思われます。

 生後早期に無理やりけいれんを起こさせれば、脳へのダメージは通常の熱性けいれんとは明らかに異なるはずです。また、側頭葉てんかんの大人の人が、どのくらい子どもの頃に熱性けいれんを起こしていたかということも明らかにされていません。

 毎年、多くの医学論文が発表されています。医学の進歩はめざましいものがありますが、全ての論文に記載されたことが事実とは限りません。今回の論文についても、今後多くの医学者によって検討されていくと思います。

 「熱性けいれんの中には、側頭葉てんかんを起こす可能性がある場合もあるかもしれない。どういうタイプが危険なのか?それは今後の課題。」と考えた方がよいと思います。

 この論文の内容は早晩、熱性けいれんを持つ子どもの保護者や小児科医の間にも知れ渡るでしょう。あまり過剰に反応しないようにしましょう。

2012年7月13日(金)
なぜ、いじめはなくならない?

 大津市の中学校で、いじめにあった男子生徒が、昨年10月、自宅マンションから飛び降り自殺しました。この事件について連日報道が絶えません。

 男子生徒と家族の無念さを思うとやりきれない気持ちでいっぱいになります。心からお悔やみ申し上げます。周りの生徒達もこの子がいじめを受けていたことを見聞きしていたのに救えなかったようです。

 ところで、なぜ、こんな悲惨な事件が起きたのでしょうか?

 自殺した子の保護者は警察に3回も被害届を出したそうですが、受理されなかったそうです。
 そこで、保護者は学校に、いじめについてのアンケートを依頼したそうです。学校は昨年10月、11月に全校生徒を対象にしたアンケートを実施しています。

 その結果、男子生徒が同級生らから、殴られたり、ズボンをずらされたりしていたのが目撃されていたこと、また、「自殺の練習と言って首を絞める」とか、「葬式ごっこ」とか、とんでもないいじめを受けていたことがわかりました。また、男子生徒が生前、「泣きながら担任に電話をしてきた」ということも明るみに出ました。この結果は、8カ月後の今月10日に発表されましたが、大津市教育委員会はこれらを「見落としていた」と釈明しています。

 最初、大津市教育委員会の沢村憲次教育長は、いじめと自殺の因果関係を否定していましたが、12日、午前の会見では「いじめが要因の一つ」と訂正しました。しかし、午後の会見では「さまざまな要因が考えられる。私どもの認識そのものは変化していない。」と、いじめと自殺との因果関係は断定できないとする従来の姿勢に転じた発言を繰り返しています。

 「いじめが要因の一つ」とは、どういうことなのか?それが全てではないのか。と、誰でも思うはず。どうしてそこまでいじめを隠したがるのだろうか?大津市教育委員会には、常識も良心のかけらもないのか?と、思ってしまう。

 11日、滋賀県警は中学校でのいじめが常態化していた可能性があるとみて、特別捜査班を設置しました。そもそも、所轄の警察署が保護者からの被害届を受理していれば、また、違う展開になっていたかもしれません。
 時既に遅しの感は否めませんが、デタラメな教育委員会と学校関係者を懲らしめようと、やっと警察も本腰を入れたのかと思いましたが、それだけではないようです。

 加害者生徒は男子生徒に自殺の練習をさせ、男子生徒が亡くなる前日には、「明日の登校時間に飛び降り自殺しろ」、「その前にメールよこせ、携帯で撮影するから」などと言ったそうです。実際に男子生徒は、「今から飛び降ります」とメールをしていたそうなので、これは【自殺強要→殺人】の疑いが出てきました。そこで、県警が乗り出したようです。

 今、ネットでは、いろいろな憶測が飛んでいます。

 加害者生徒の保護者がPTA役員であったとか、母親も人権問題などで市と関わりの深い活動家だとか、祖父が警察官僚のOBだとか、自殺した男子生徒が運ばれた病院は20kmも離れた病院で、その祖父が防犯担当役員をしているとか、代議士が関係しているとか、どこまで本当かわかりませんが、もしこの通りなら、学校も教育委員会も行政も全く機能していないことになります。いずれ真実は明らかになるでしょう。

 泣きながら担任に相談しても、相手にされず、「葬式ごっこ」を、教育委員会は見て見ぬふりをするし、「死んでからでは遅い」といって警察は被害届けを受け付けてくれない。一体どうすれば良かったのか?もはや、この地区は暗黒街だ。金八先生やごくせんの山口先生はいない。担任は、教育委員会と警察が後ろに控えている加害者生徒に対して何も出来なかったのだろう。若干同情はするが、しかし、教育者として失格だ。

 転校させるか、あるいは、子どもに何か武器を持たせるか、空手でも習わせて、常に正当防衛するように教えるしかない。

 一刻も早い解決を願います。こうしているうちにも全国でいじめに遭っている子達に負の連鎖が及ぶことが懸念されます。

 過去にもいじめによる自殺はありました。そのたびに、関係者は、「二度とこの様な過ちを繰り返さないように・・・」という判で押したような答弁を繰り返してきました。どうして、この様な悪事がなくならないのでしょうか?

2012年7月6日(金)
アトピー性皮膚炎で悩まないように!

 今日、二年ぶりに受診したお子さんを診ました。軽い気管支喘息で小さい頃からよく診ていたお子さんです。成長とともに軽快してきて、最近は受診することもなくなったようでしたが、今日は久々に喘息発作を起こしたようでした。

 しかし、久しぶりに見た瞬間、アッと驚いてしまいました。いつからこんなにアトピー性皮膚炎が、ひどくなったの?というくらい湿疹が悪化しています。カルテを見ても喘息発作は時々ありましたが、アトピー性皮膚炎の記載は殆どありません。アトピー性皮膚炎は私のところでは殆ど見ていなかったようで、当時から皮膚科を受診していたようです。

 お母さんから最近の状況を聞いてみました。最初はあまり湿疹もひどくなかったようで、ステロイド外用剤で良くなっていたそうです。それがだんだんステロイド外用剤の効果が弱くなり、次第に強いステロイド外用剤に変更されてきたそうです。どうもこの頃からステロイドに対して不安感、不信感が出てきたようです。

 そういう時に、お友達からステロイドを使わない治療方法を教えられて、「評判の良いA先生」を紹介されたそうです。その先生を受診し、「評判の良い治療」を受けたところ、さらに湿疹は悪化したようですが、なにぶん「評判の良い先生」ですから、信頼して通院を続けました。とは言え、イマイチ思ったように改善しないので、今度はまた、別の「評判の良いB先生」を紹介されて受診したそうです。その結果、火に油を注ぐようなことになり、再び「評判の良いA先生」に戻って薬をいただいて、その足で私のところを受診したようです。ちょうど、喘息発作も起こし、「昔(喘息で)よく通ったナ~。そう言えば、吉田先生もアレルギー科だったナ~。」という感じで私のことを思い出してくれたようです。サーと書きましたが、この間、約二年の月日が流れています。

 ウ~ン、評判の良いA先生もB先生も、ある人にとっては良い先生かもしれませんが、治療内容については、かなり独創的です。良いか悪いかはさておき、アトピー性皮膚炎には【常識的治療】があります。あまりそれから逸脱した治療では、治るものも治らなくなるどころか、悪化の一途をたどる場合もあります。というようにお母さんにお話ししたら、同じような思いをしていたようでした。ところが、今度は他県の「評判の良い病院」に、やっと予約が取れたので、8月に受診予定というお話しをされました。

 ウ~ン、これは、マインドコントロールに近いものを感じました。特別な治療に頼らないとアトピーは治らないと思いこんでいる・・・。

 もう一度、アトピーの【常識的治療】についてお話して、入院を勧めました。私も勤務医の頃には重症なアトピーのお子さんは入院治療で診ました。アトピーについての一般的説明、ステロイド剤、スキンケア、精神的ケア、等々、お子さんだけでなく、保護者もまじえてアトピーの理解を深めながら、治療を行いました。お母さんもお子さんも入院治療の意味を理解してくれましたので、早速、総合病院に入院紹介致しました。

 多くのアトピー性皮膚炎は、【常識的治療】で軽快します。しかし、時として、思いがけない落とし穴にはまることがあります。アトピーが一発で治るような魔法の薬など存在しません。「評判の良い」という言葉は曲者ですね。

 ちなみに、私のクリニックにも、「先生の評判を聞いて受診しました。」という保護者の方は多数おります。しかし、そう言ってくれる方の殆どは二度目の受診はありません。初対面の時、「私は魔法使いではありません。【常識的治療】をするどこにでもいる小児科・アレルギー科の医師です。」と、心の中でつぶやいています。

2012年7月4日(水)
アメリカ独立記念日

 今年の7月は暑いですね。梅雨を通り越して夏になるのでしょうか。この頃、特に大きく流行するような病気もなく、平穏無事な日々を過ごしています。これから夏に向かって夏カゼ御三家(手足口病・ヘルパンギーナ・咽頭結膜熱)が見られるようになってきますが、今年は例年より出足が遅いような感じがします。このまま何も流行らないと良いですね。

 とは言え、お腹のカゼ(急性胃腸炎)は気をつけた方がいいですね。ノロ、ロタだけではなく、サポウイルスというウイルスによる急性胃腸炎も盛岡市内の小学校で発生しました。特に治療法があるわけではありません。ノロ、ロタと同じような対症療法です。食事前や排便後の手洗い、食品の十分な加熱(85度、1分以上)、塩素系漂白剤を用いた消毒を励行しましょう。

 今日7月4日は、アメリカ合衆国の独立記念日です。あのアメリカも、かつては大英帝国(イギリス)の植民地でした。

 1763年2月、フレンチ・インディアン戦争の終結と同時に、イギリス国王ジョージ3世とグレンビル内閣は、植民地アメリカへの増税と支配を強化しました。この本国政府による植民地圧迫政策は、植民地住民の本国に対する不満を増強し、ついには、本国へ反旗を翻すことになります。その結果、1776年、アメリカはイギリスと戦い、自国の自治を勝ち取りました。そして、自国の政府を樹立し、民主主義国家となりえたのです。・・・ン?どっかの国と似てないかな?

 今の我が国が、植民地時代のアメリカと同じような状況とは思いませんが、爆発しそうなくらい混乱してるように思いますよ。なにやら新党が出来るとか、離党したり戻ったりとか、そして、増税賛成だ~、増税反対だ~、だと。もう、未曾有の東日本大震災も忘れられたようです。

 ところで、増税賛成派に聞きたい。なぜ、どうして増税しなければならなくなったのか?今まで何してたんだ?増税した金は何にどの様に使う計画なのか?何一つ説得力のある説明はない。では、増税反対派に聞きたい。増税前にすることは何なんだ。具体的にどの様なことをするのか?それは出来ることなのか?これも説明なし。

 この頃の代議士は自分の保全だけを、議員でいられることだけを考えているのではないか?とても、国民のことなど考えているようには思えない。テレビのワイドショーで聞く町の声は、マスコミに都合の良いものだけだろうが、国中不満だらけであることに異存はない。

 議員は公僕ではなかったか?真に国を憂い、国に尽くそうという国士はいないのか?誠に残念な永田町である。