診察室便り

2010年12月31日(金)
今日は、当番日

 今日は当番日でしたが、あまり忙しくなかったですね。午前はけっこう混み合いましたが、午後は少し余裕がありました。殆どの患者さんは発熱でした。「2〜3日前から咳をしていて、今日熱が上がって、受診。」というパターンが多かったです。それから、水痘が多かったです。「夏のおたふく、冬の水痘」は、その通りですね。

 年末とあって、県外からの帰省患者さんが多かったですね。北は北海道から、南は九州福岡県まで、大勢の患者さんが受診しました。一人だけ、川崎病を疑って二次輪番病院に紹介しました。早く良くなればいいですね。

 今年もあと数時間です。無事一年を終える事ができホッとしています。卯年の来年はどんな年になるんでしょうか。ウサギのように、軽快なフットワークでスムーズな診療を心がけたいと思います。

2010年12月30日(木)
明日は、当番日

 本格的な冬になりましたね。明日から寒波が来るそうです。イヤですね。今日の午後まで診療しましたが、まだ、今年の診療は続きます。明日は当番日です。3年に1回、年末年始の当番日がやってきます。今年が5回目の年末年始当番日ですが、今まで、12月31日が4回、1月1日が1回です。一応、公平な?あみだくじで決めていますが、チョット偏っていませんかネ〜。

 帰省ラッシュもスゴイですね。気をつけて帰って下さいね。喘息やアトピー性皮膚炎のお子さんはご実家に帰られると悪化する事がよく見られます。多分、大事にしまってある布団が原因じゃないかと思います。タンスの奥の布団はダニやホコリがけっこう付いていますから、なるべく布団乾燥機をかけたり、布団専用ノズルの付いた掃除機できれいにしてから使用するといいですよ。掛け布団の襟元にはバスタオルを掛けたり、枕の上にはタオルをしいたりすればよいと思います。

 それから、冬の入浴についてアドバイスを、チョット一言。冬は寒いので、入浴時はどうしても浴槽の温度を高くしてしまいますよね。でも、温まるとカユミも強くなりますので、アトピーのお子さんはぬるめのお風呂がいいんですよ。でも、それじゃ入った気がしない・・・。そこで、一工夫しましょう。浴槽を熱くするのではなく、脱衣所を温めて下さい。そうすればあまり浴槽の温度を上げなくても済みます。

 熱い浴槽と寒い脱衣所〜この寒暖差は脳の血管にも影響します。風呂上がりの脳卒中はこの温度差による血管の収縮が原因です。アトピーの子に限らず、健康のために、「浴槽はぬるく、脱衣所は暖かく」 しましょうね。

 さて、明日の当番日は忙しいでしょうか?昨年の新型インフルエンザが流行した10月11日の当番日では200人以上の患者さんを診ました。でも、待ち時間が長いなんていう人は殆どいなかったですよ。明日はそんなに混まないと思います。受診する人たちみんなが安心して年を越せるよう、しっかりと診察して、一年を締めくくりたいと思います。

2010年12月26日(日)
マイコプラズマ肺炎

 急に大雪になりましたね。やっぱり12月ですね。あの夏の暑さを少し分けることができたらいいのにと思ってしまいます。

 インフルエンザは流行に突入というニュースもありましたが、全国的には流行が始まった地域もあると言うことでしょうね。盛岡市でも少し患者さんが増えているようです。本格的な流行は年明けの1月中旬くらいからでしょう。

 この頃、マイコプラズマ肺炎(以下、マイコ)が流行っているようです。あまり聞き慣れない病名かもしれませんが、昔からあるポピュラーな病気です。オリンピックのように4年に1回流行することも多く、「オリンピック病」なんて言われたこともありましたが、現在は特定の周期はなく、いつでも見られるありふれた肺炎です。

 マイコは子どもから大人まで幅広い年齢層で見られます。あまり重症になることはなく、殆ど、外来治療で治ります。従来、マイコにはマクロライド系の抗生物質が特効薬でした。ところが、最近その特効薬が効きにくくなってきました。原因はよくわかりませんが、薬の使い過ぎもあるようです。

 マイコに罹るとマイコの免疫が上がって抗体ができますので、その抗体を調べれば診断がつきますが、正確な診断をするためには2回採血しなければなりません。2回も採血するとなると、チョットひいてしまいますね。1回の採血で診断する方法もありますが、疑陽性(罹っていなくても罹っていると判定されること)が多く、あまり当てになりません。

 マイコプラズマは子どもから大人まで幅広い年齢層で見られます。一度罹っても十分な免疫ができないため、何回も罹ることがあります。【しつこい咳と頑固な発熱】は、一度はマイコを疑いますね。

2010年12月17日(金)
絵本は見るものです。破くものではありません。

 12月15日の午後、診療後に後かたづけをしていたら、「キャー!何これ?」というスタッフの驚きの悲鳴が聞こえてきました。
 
 もう患者さんは帰って誰もいないのに何事が起こったのかと思って、待合室に行ったら、何と、絵本がバラバラに引き裂かれているではないですか。じっくり写真を見て下さい。ひどいことをするもんだね。

 こんなになった絵本はもう見られないでしょ。大体、本を破いたり、バラバラにすることを悪いこととは思わないのかね。

 おそらく子どもの仕業だろうが(まさか、大人じゃないよな)、そばにいた保護者は何とも思わなかったのだろうか?注意して止めさせなかったのだろうか?

 午前の診療後にはこんなになっていなかった。ということは、この日の午後に来た人ですね。犯人は!

 絵本はみんなで見るものなんだから、汚さないように大事にしなさいよ。こんな当たり前のこともわからないのかね。情けなくなってくる。

 子どもは紙を破いて遊ぶことがすき?そうだよ。だったら、自分で新聞紙でも持ってきて破かせて遊んだらいい。

 クリニックの絵本は破くためにあるのではない。みんなで見るために置いている。

 「三つ子の魂百まで」というでしょ。小さい頃からキチンと善悪を教えないと子どもはどんどんお馬鹿になっちゃうんだよ。どこの誰かわからないが、破いた親子!少し、反省しなさいよ。というわけで、ここ2〜3日ご機嫌ななめです。

2010年12月13日(月)
定期接種と任意接種のスケジュール

 だんだん冬らしくなってきましたね。でも今日は雨降りです。12月に雨が降るなんて事はなかったように思いますが、これも温暖化の影響でしょうか。

 昨日は夜間診療所で勤務してきました。発熱、嘔吐・下痢のお子さんが多かったですね。花巻市から受診したお子さんは頻回に嘔吐して具合が悪そうでしたので、点滴しましたところ、1時間ほどで元気になりました。受診時は抱っこされてましたが、帰りは元気に歩いていました。これなら点滴しなくもよかったかな?とも思いましたが、わざわざ遠くから来院される患者さんには何かしてあげたいと思いますよ。

 一番最後に受診した9ヶ月の赤ちゃんは、ゼイゼイして呼吸が苦しそうでした。急性細気管支炎と診断して、二次輪番病院に入院紹介しました。今日は少し元気になっているといいですね。

 最近、Hibワクチンや、肺炎球菌ワクチン といった新しいワクチンが普及して、接種するお子さんも増えています。でも、接種するワクチンの種類が多いと、どれから接種したらよいものやら、けっこう悩みますね。今日は、定期接種と任意接種のスケジュールについてご質問をいただきましたので、ご紹介します。

A.Kさんからの


 いつもありがとうございます。上の子2人がお世話になっております。

 10月に三人目が生まれ、もうすぐで2ヶ月を迎えます。最近では、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンといった、受けた方がよい任意の予防接種が増え、定期接種とのスケジュールをどう立てたらよいか、混乱してしまいます。

 Hibや肺炎球菌は2ヶ月を過ぎてから受けてよい事になっていますが、参考までにHibワクチン・肺炎球菌ワクチン・三種混合・BCG・ポリオのスケジュールの立て方を教えていただきたいと思います。

 お忙しいとは存じますが、ご返答をお願い致します。




  メールありがとうございます。予防接種予定についてのご質問ですね。おっしゃるように最近は接種したいワクチンが増えてきましたので、スケジュールを考えると混乱してしまいますね。

 いろいろな組み合わせ方がありますが、現在私がお勧めしているスケジュールをご紹介します。

 一応、原則がありますので、その原則に沿って組んでみました。

<接種開始・終了時期の原則>

1.三種混合ワクチン(以下、三混)、BCG、ポリオは3ヶ月から開始できる。

2.Hib、肺炎球菌は2ヶ月から開始できる。

3.三混、Hib、肺炎球菌、BCGを、ポリオより優先する。
・集団接種のポリオは接種日が決まっているためポリオを組み込むと日程の調整が難しくなります。また、ポリオは現在の日本では罹る心配が殆どない病気です。

4.三混、Hib、肺炎球菌を、BCGより優先する。
・三混、Hib、肺炎球菌を先に接種すれば1週間あけるとBCGを接種できますが、BCGを先に接種すれば、4週間あけないと三混、Hib、肺炎球菌を接種できません。

5.BCGは、生後6ヶ月までに接種する。

6.ポリオは、生後6ヶ月以後の接種でかまわない。


<接種間隔の原則>

1.三混、Hibは、3週間間隔で接種できる。

2.肺炎球菌は、4週間間隔で接種できる。

3.三混、Hib 、肺炎球菌の接種後は1週間あける。

4.BCG、ポリオの接種後は4週間あける。

5.Hib 、肺炎球菌は、他のワクチンと同時接種できる。


<接種部位の原則>

1.三混、Hib 、肺炎球菌は、左右交互に接種。

2.BCGは、左腕に接種。

 とマア、書いてみるとゴチャゴチャして、わかりにくいですが、この原則に従って、

A.2ヶ月令から、Hib 、肺炎球菌を開始する場合
B.3ヶ月令から、三混、Hibを開始する場合
C.3ヶ月令から、三混、Hib、肺炎球菌を開始する場合

 の3通りをご紹介します。


A.2ヶ月令から、Hib 、肺炎球菌を開始する場合:(B左)は、どちらでも可。

. 開始 4週後 1週後 4週後
※ 
1週後
※より3週後
#より1週後
三種混合  . @右 . A左 . B右
Hib @右 A左 . B右 . .
肺炎球菌 @左 . A右 (B左) (B左) .
BCG . .. . . .


B.3ヶ月令から、三混、Hibを開始する場合:(B左)は、どちらでも可。

. 開始 1週後 2週後  2週後 4週後
1週後
三種混合 @右 . A左 . B右 .
Hib @左 . A右 . B左 .
肺炎球菌 . @左 . A右 (B左) (B左)
BCG . . . . .


C.3ヶ月令から、三混、Hib、肺炎球菌を開始する場合

. 開始 3週後 1週後 4週後
三種混合  @左 A右 . B左
Hib @右 A左 . B右
肺炎球菌 @左 . A右 B左
BCG . . .

 この他にも、いろいろプランを組むことができますので、ご遠慮なく相談して下さい。

2010年12月5日(日)
東北新幹線

 遂にと言うか、やっとと言うか、東北新幹線が全線開通しました。東北新幹線の建設工事は1971年に始まったそうです。盛岡−青森間の基本計画が決定したのが、1972年ですから、38年かかって実現したわけですね。

 昨日の青森はお祭り騒ぎのようでしたが、その気持ちはよくわかります。でも、強風のため運休や遅れがでました。めったにないことが、よりによってこの記念すべき日に起こるとは、チョット、水を差された感じです。でも、何はともあれ、全線開通は喜ばしいです。

 私が弘前大学にいた頃は、新幹線は盛岡−大宮間でした。弘前から学会で東京へ行く時は、弘前−青森:鈍行列車で1時間、青森−盛岡:特急で2時間30分、盛岡−大宮:新幹線で3時間30分、大宮−東京:京浜東北線で30分という具合で、新幹線は通ったものの、まだまだ首都圏は遠かったですね。盛岡駅ではいつも乗り換えホームまで走っていました。

 東北新幹線が盛岡−大宮間を開通したのは1982年6月23日です。この日、私は最初の研修病院の盛岡赤十字病院で勤務していました。病院は今の都南ではなく、まだ、中央通りにあった頃です(循環器センターの場所にありました。知っている人は少ないかな)。
 新幹線が開通したというので、大通りには山車や鬼剣舞もでて、昨日の青森と同じようなお祭り騒ぎでした。

 この日、勤務が終了後、みんなで新幹線を見に行こうということになりました。若い医師と若い看護婦何人かで新幹線が見えるビルの居酒屋に行くことになりました。せっかくだから、私の上司(小児科副部長)も誘ったんですが、「今日は用事があるので、一緒に行けない」との事でした。と言うわけで、(その当時の)ワカメン 数名で銀河鉄道(だったかな?)に行きました。

 ビールでカンパ〜イ!その時、さっきお誘いした副部長、さらに、部長、病棟婦長、主任看護婦の管理職4名がそろって同じ店に入ってきました。バッチリ眼と眼があって、「アヤ〜」と思ったら、すかさず、副部長「やや、吉田くんも来ていたのか、奇遇だね」だと、あまりにあっさり言われましたので、「ハハハ・・・」と笑っておしまいでした。(オレら下っ端は誘わないで、お偉いさん達だけで来たのネ〜)と、思いましたが、マッ、いいでしょう。

 居酒屋の窓から新幹線を見ながら、いつか青森にも新幹線で行けるだろう。その頃、自分はどこで、どんな医師になっているんだろう。何か得意技(?)を身につけているだろうか? 勤務医? 開業医? まだ青森にいるのだろうか? 盛岡に帰ってきているだろうか? いろんなことを思いながら、新幹線を見ていました。

 その時、一緒に飲んでいた看護婦さんの一人が当院の佐藤婦長です。当時はまだ独身で江刺家さんといっていました。それから十数年の時を経て、まさか、開業して一緒に仕事をすることになるとは、その頃は思っても見ませんでした。懐かしい思い出です。

2010年12月1日(水)
神山アナウンサーは、気象予報士

 昨日、インフルエンザワクチンの接種状況を取材したいという電話がありました。そういえば、去年も今頃そんな電話があったなと思いながら、受話器を取りました。昨年はNHK でしたが、今年はIBCでした。神山さんという方でしたが、とても丁寧な方です。早速、本日取材にいらっしゃいました。

 10月1日から始めたインフルエンザワクチンも大部接種が進んで、以前ほどの混雑はなくなりましたが、まだ、ちょっと、混み合っていますね。神山さんは、「ずいぶん混んでいますね。」とおっしゃっていましたが、「2週間くらい前でしたら、今日の2〜3倍の人数でしたよ。」とお話したら驚いていました。

 今日の午後6時15分のニュースエコーで放送されました。毎週水曜日は診療終了後、近くのフィットネスクラブに行って、運動しています。今日も走っている最中にこの放送を見ました。自分がワクチンを接種しているところが放映されていました。とても照れくさいですね。

 時々、ニュースでお医者さんがワクチンを接種している場面を見ることがありますが、接種の仕方が正しいカナ?ナンテ思ってみています。最近見たニュースでは接種後に腕を揉んでたな。今は、揉まない方が普通ですけどね。

 ところで、今日いらしたIBCの神山アナウンサーは気象予報士でもあるんですね。以前から聞いてみたいことがあったので、チョット聞いてみました。
 私の質問:「降水確率50%とは、どういうことですか?私が思うには、1日の半分は雨が降る。または、この地域の半分が雨が降る。ということでしょうか?」 
 神山さんの答え:「降水確率50%とは、同じような天気図が10枚あれば、そのうち5枚の地域では雨が降ると言うことです。野球の打率みたいなものです。」ということでした。なるほど、降水確率50%の朝は、今日みたいな日は二日に1回は雨が降るんだなと思えばいいんですね。ウ〜ン、わかったような。よくわからないような。マア、納得しましょう。神山さんも天気予報はなかなか当たらなくて、難しいと言ってました。

 今日から、12月。師走です。師走とは、『年末でいつもは落ち着いている学校の先生も忙しくて走りまわる月』という意味だと、子どもの頃教えられましたが、諸説あるようです。いずれ、忙しい月には違いありません。小児科も忙しくなります。これから年末まで、気を引き締めて頑張ります。

2010年11月29日(月)
仙北小もインフルエンザ発生

 一昨日、昨日と仙台で開催された第42回日本小児感染症学会に行って来ました。早速、今日の新聞に『新型インフル「せき先行」に注意』という見出しの記事が載ってました。新型インフルエンザでは、発熱より先に咳が出て、肺炎を起こすことが多い と言うような内容です。確かにその通りでしたね。 
 
 今回の学会のインフルエンザの演題は殆ど昨シーズン流行した新型インフルエンザについてでした。今年は盛岡市ではまだ新型は検出されていないようです。全国的にも新型:香港型の比率は1:2くらいで、香港型の方が多いようです。

 南半球では今シーズンは新型は殆どみられませんでした。北半球の流行は、大体南半球に類似しますので、今シーズンは新型が大流行することはなさそうですが、用心に超したことはありません。もう既に香港型に罹った人もいますが、新型にも備えてワクチンを接種してたほうがよいですよ。
 
 土曜日に仙北小学校の生徒さんが2名インフルエンザで受診しました。月曜日の今日は数名受診しています。だんだん、本宮から仙北に拡がってきましたね。昨年度、新型流行時には、1学級2名インフルエンザが発生したら学級閉鎖しました。ちょっと厳しい基準でしたが、そのおかげもあって、一気に大流行することはありませんでした。今年はどの程度で閉鎖したらよいか、ハッキリとした基準はありませんが、流行の始めは少し厳しい基準で対処した方がよいと思います。あとは流行状況に応じて見直していけば良いです。

 盛岡市の初雪は、11月15日だったそうですが、今日が初雪という感じです。これから寒くなりますね。インフルエンザだけじゃなく、普通のカゼも流行ってきます。手洗い、うがいを励行しましょう。

2010年11月21日(日)
柳田法務大臣“失言”

 11月にしては、暖かい日が続いて過ごしやすいですね。でも、今週末は少し冷え込みそうです。そろそろタイヤ交換しなければならないですね。

 政治のことはよくわからないけど、しょっちゅう、「ぶれた発言」で罷免される大臣がいます。今回も柳田法務大臣が、国会答弁を軽視する発言をしたことが問題となっています。

 14日に広島市で行われた国政報告会で、「法相はいいですね。(国会答弁では)二つ覚えておけばいいんですから」と言ったそうな?その二つとは、「個別の事案についてはお答えを差し控えます」と、「法と証拠に基づいて適切にやっております」だと。何も考えなくても良いんだと言わんばかりだな。まさか、本気で発言したんじゃないだろう。本音は、「国会における大臣は、これだけ不自由だ」と言いたかったと、擁護するマスコミもいるが、とてもそうは思えない。こんな事言っちゃいけないよ。いい加減なオッサンにしか見えない。これでも大臣かね。この国の行く末が危ぶまれる。

 この文句を国会答弁で39回使ったと、自民党議員が言っている。ご苦労様です。よくマメに記録してたモンですね。それだけ聞いていたら、その時に、なぜ、「国会答弁を軽視する発言」だと言わなかったのかね。その時は黙って聞いていたんでしょ?今になって、騒ぐのはなぜ?

 こういう事があると、この大臣がいると都合が悪い連中がいるから、更迭させるようにし向けてくる。と、いつも思ってしまいます。考えすぎですかね。

 この頃の国会は、個人批判的な事ばかりで、(もっとも、批判されても仕方がないような感じはするが)さっぱり、国策が進まない。世の中、本当に大丈夫だろうか?

 難しい政治は、さておき、先週検査した本宮小学校のインフルエンザはA香港型でした。今のところ、盛岡市ではA香港が主流です。インフルエンザが流行っていると思っている人も多いと思いますが、本宮〜向中野のあたりだけのようです。それも今のところ大流行という状態ではないです。みんな、早めに受診してくれますし、学校も早い段階で学級閉鎖します。おかげで感染の拡大が防がれていると思います。

 今年はワクチン接種する人が多いです。ワクチンは不足することはなさそうですが、毎日大勢の方が接種に見えますので、医療機関も大変です。この頃、患者さんから、「先生も看護婦さんも忙しくて大変ですね。体をこわさないようにして下さい」と、お声をかけていただいてます。「オレ、そんなに疲れた顔しているかな?」と思いながら、頑張っています。

 明後日は休日当番医です。どんなに忙しくても、「正しい診察に基づいた適切な医療」を行っていきます。

2010年11月15日(月)
インフルエンザ流行開始
10月中旬、そろそろ紅葉が始まってきました。
10月下旬、紅葉がきれいです。
11月初旬、雨上がりの紅葉です。

 紅葉も終わり、何となく冬が近くなってきましたね。明日は氷点下2度らしいです。今日の大相撲で、白鵬負けてしまいました。稀勢の里は苦手だったのかな。ニュースで見たけど、焦ったな。

 思うようにいかない時、こんなはずではないと思いながら、ついつい強引に仕掛けて失敗。ということかな。ウ〜ン、チョット残念。双葉山の記録は偉大ですね。少し、落ち込むと思いますが、また連勝を続けるよう、頑張ってほしいです。

 先週後半から、本宮小学校でインフルエンザが流行り始めてきました。今日も4人受診しました。みんなA型です。そろそろ学級閉鎖が行われるようです。また、この季節がやってきました。

 今年はかなりゆっくり、じっくりペースのインフルエンザですが、もう少し、流行しないで待っていてほしいです。多くの人がワクチンを接種し終える今月末くらいまでは流行してほしくないですけどね・・・。

 保健所から、本宮小学校のA型が、新型か香港型か検査するよう依頼を受けました。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)という検査で、ウイルスの遺伝子を調べます。通常の検査同様、鼻汁を採取して専用容器に保存します。

 今日の午後、早速一人検査しました。新型か香港型か結果はまだわかりませんが、早くよくなればいいですね。今シーズンはまだ、インフルエンザの患者さんは20人くらいしか診てませんが、今のところ、みんな軽症です。

 明日は冷えますよ。しっかり身支度して出かけましょう。10月中旬から11月初旬にかけて当院向の児童公園の紅葉を撮ってみました。晴れた日もきれいですが、雨上がりの紅葉も風情があります。

2010年11月7日(日)
インフルエンザワクチンと日本脳炎ワクチン、どっちから接種?

 先週は水曜日がお休みでしたので、その分、他の日が大変混み合いました。これから12月末までは忙しい日々が続きそうです。先週はインフルエンザの患者さんも診ることもなく、ワクチン接種も順調に進んでいます。今日の新聞では秋田県の病院でA型インフルエンザの集団発生が報じられていました。A型はA香港型が検出されています。やはり、今シーズンはA香港型が流行するのでしょうか?しばらく流行していなかったA香港型ですから、殆どの人は免疫が低下しています。ワクチン接種を急ぎましょう。

 ところで、日本脳炎ワクチンもまた、積極的に勧められるようになり、年中接種できるため、日本脳炎ワクチン接種で受診されるお子さんも多いです。

 では、インフルエンザワクチンと日本脳炎ワクチン、どっちから接種しましょう。というご質問をいただきましたので掲載させていただきます。この頃、よく聞かれるんですよ。


R.Kさんからの


 先生、いつもお世話になっております。
 予防接種のスケジュールについてご相談したくお便りしました。

 息子は1月末に4歳の誕生日を迎えますが、まだ日本脳炎の予防接種を1度も受けておりません。早く受けなければ…と思いながら、気が付いたらインフルエンザの予防接種時期になってしまい、どちらを優先すべきか悩んでおります。

 また、日本脳炎予防接種に関して小学3年の娘は、いわゆる「積極的勧奨を差し控える」という通達のあった年に接種時期だったために未接種のままです。

 先生のHPで、「【第2期 接種対象年齢:9〜13歳未満】の年令で第1期の3回全て、或いは未接種分を接種する」というのを知りましたが、娘は9歳の誕生日(1月)を迎えてから受診したほうが良いのでしょうか?(そのほうが公費負担で接種できるということですか?)

 度々通院しておきながら、お便りにて失礼します。お忙しいとは存じますがアドバイス頂けると嬉しいです。宜しくお願い致します。



 メールありがとうございます。

 皆様お元気でしょうか。日本脳炎ワクチンについてのご質問ですね。

 厚労省は日本脳炎ワクチンは「積極的に勧めない」と言ってましたが、平成22年4月からは、また「積極的に勧める」と言っています。一方、そうは言いながら、「積極的に勧めるのは新規に接種する3〜4才」で、既に何回か接種し、中途半端に終了しているお子さん達には「もう少し待つよう」に言ったり、「第U期接種は当分見合わせる」と言ったり、大変混乱しておりました。

 やっと、昨年から再開された日本脳炎ワクチンですが、今年の10月からは大体以前のように接種できる状態に復帰しました。現行法内での「変則的接種体制」といえばいいでしょうか。「やっとここまで救済」という表現がピッタリです。詳細は日本脳炎と日本脳炎ワクチンをご覧下さい。

 さて、おたずねの件ですが、インフルエンザワクチンと日本脳炎ワクチンと、どちらを優先するかと言うことですよね。

 やはり、季節柄、インフルエンザワクチンを先に接種した方がよいです。ただ、インフルエンザワクチンは他のワクチンと同時接種できますので、インフルエンザワクチン+日本脳炎ワクチンで同時接種しても良いと思います。最近はこのように同時接種されるお子さんたちも増えてきています。

 お姉さんの場合は、今から1月までの間に、岩手県で日本脳炎が流行することは考えがたく、公費負担年令の9才になってから接種しても良いと思います。

 日本脳炎ワクチンについては、いろいろ混乱していましたが、やっと正常化しつつあります。現在7才6ヶ月〜9才までが、公費負担されておりません。一番の問題点はこの年令のお子さんたちが、「任意接種(自費)で接種するか、公費負担年令まで待って接種するか」ということでしょう。今後、いろいろ検討されると思いますが、今のところ「接種希望者は医師とよく相談して・・・」という現場丸投げの状態です。

2010年11月3日(水)
二種類のポリオワクチン?

 だんだん寒くなってきましたね。インフルエンザはボチボチ見られるようになってきました。先週本宮小学校のお子さんが一人インフルエンザに感染してきましたが、比較的元気でした。この子と仲のよいお友達も感染したようです。昨年は例外として、ここ数年、インフルエンザは11月中旬くらいから流行が始まっています。そろそろでしょうかね。

 今日は、ポリオワクチンについてご質問のメールをいただきましたので、ご紹介したいと思います。春・秋季節限定ワクチン?ですから、何となく早く接種しなけりゃいけないナンテ思っていませんか?ポリオは三種混合やBCGが済んでから、接種すればいいです。本日のメールにもあるように、実は、現行のポリオワクチンは少々問題ありなのですよ。

R.Sさんからの


 こんにちは。いつもお世話になっております。

 今月にポリオの生ワクチンの1回目を受ける予定でした。恥ずかしながら最近になって「ポリオ不活化ワクチン」のことを知りました。様々なサイトを閲覧していくうちに、ポリオの生ワクチンを受けるのが怖くなりました。

 御院では不活化ワクチンを受けることは可能でしょうか。不可能な場合、受けられる病院をご存知でしょうか。

 お忙しいところ恐れ入りますが、ご返信お待ちしております。



 メールありがとうございます。

 ポリオワクチンについてのご質問ですね。ご指摘の通り、現行のポリオワクチンは生ワクチンであるため、弱毒化したポリオウイルスによる副作用(麻痺)の心配があります。約200〜300万人に1回の副作用があると言われております。

 今年も神奈川県藤沢市と兵庫県神戸市で発生しています。藤沢市のお子さんは麻痺はなくなりましたが、左腕と右肩に筋力低下が残っているということです。頻度として決して多いわけではありませんが、接種する側からは大変気になります。

 ご存知のように、ポリオワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類あります。これについては当院のホームページ:予防接種〜予防接種スケジュール〜(2).生ワクチンと不活化ワクチン に、以下のように記載していますので、ご参照下さい。

(2).生ワクチンと不活化ワクチン

 予防接種で使うワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。ポリオにも生ワクチンと不活化ワクチンがあり、日本では生ワクチンを使用しています。

 生ワクチンは菌体(ウイルス)を弱毒化して使用していますので、効果が高い反面、その菌体(ウイルス)の症状が見られる心配が少しあります。ポリオの場合、約200万〜300万人の投与につき1回くらいの頻度で、「麻痺」が発生します。

 これに対して、不活化ワクチンは菌体(ウイルス)そのものを使っていませんので、効果は多少弱いですが、このような副作用の心配がありません。

 多くの欧米先進国では、ポリオはほとんど見られなくなりましたので、効果が多少弱くても、安全性の高い不活化ワクチンを接種しています。
 これに対して、開発途上国のようにポリオが蔓延している地域では、副作用を気にするどころではありませんので、効果の高い生ワクチンを使用しています。

 つまり、ポリオの少ない地域では、個人防衛のため、安全性の高い不活化ワクチンを、逆に、ポリオの多い地域では、集団防衛のため、効果の高い生ワクチンを接種しています。

 日本では1980年以来、ポリオは発生していません。ですから、副作用を心配する生ワクチンではなく、安全性の高い不活化ワクチンに切り換える必要があります。

 平成22年4月、ようやく、厚労省は不活化ワクチンに切り換える方針を公表しました。近い将来、三種混合に不活化ポリオワクチンを加えた四種混合ワクチンが接種されるようになりそうです。


 というわけで、現行のポリオ生ワクチンは日本の実情にそぐわないワクチンです。では、いつになったら不活化ワクチンに切り替わるかというと、残念ながら、まだハッキリとした予定は立っていません。

 お尋ねの不活化ワクチンは日本国内では製造されていませんが、外国から輸入して接種することは出来ます。私の知る限りでは、盛岡市内では輸入ポリオワクチンを接種している医師はいないと思います。

 また、厚生労働省は承認していませんので、輸入ポリオワクチンを接種して副反応が生じた場合は、医薬品副作用被害者救済制度が利用できないかもしれません。私自身使用経験もなく、あまり、お勧めできません。

 となると、副作用も心配。病気も心配。輸入ワクチンも心配。と言うことになってしまいます。では、どうしたらよいかというと、あまりよいアドバイスも出来ませんが、以下のように考えています。

・日本国内でポリオに感染する心配は、まずないと思います。ですから急いで接種する必要性はあまりないかもしれません。しかし、世界的には流行地域はあるわけですから、海外渡航するような場合には、接種していった方がよいと思います。

・国内での感染(野生株)は、まず心配ないといいましたが、ポリオワクチンを接種したお子さんからの二次感染(ワクチン株)の心配はあります。
 接種後、2〜5週間は、便中からウイルスが検出されますので、オムツの処理などから感染する可能性があります。
 今年の神戸市のお子さんは、ポリオワクチンを受けていないのにポリオを発症し、検査の結果、ワクチンと同一株と判明したため、ワクチン接種した人からの二次感染と診断されました。この様な二次感染を防ぐためには、ポリオ生ワクチンを接種しておいた方がよいとも言えます。

 以上のようなことから、結論を出していくしかないと思います。多くの人たちは、「うちの子は大丈夫」と思って接種していると思います・・・。

 何とも言えませんが、早急に結論を出さなくても良いと思います。ポリオは、春、秋に接種されています。今は、少しお気持ちが動揺されているようですので、接種するにしても、チョット、間をおいて来春以降でもよいのではないでしょうか。

 あまりよい回答にならず、ご参考にならなかったかもしれません。疑問な点があれば、またメールお願いします。

2010年10月24日(日)
小児科同窓会

 先週の土曜日に久しぶりに弘前へ行って来ました。毎年行われている小児科医局の同窓会に出席してきました。車で東北自動車道を北上すること、約2時間。まだ、紅葉には早かったですが、山の緑はきれいでした。学生時代から新米医師時代を弘前で過ごしましたが、だいぶ町並みは変わりましたね。道路が全くわからなくて困りました。時々車を止めて道行く人に聞きながら何とか宿泊するホテルまでたどり着きましたよ。十年以上暮らした街なのに、サッパリわかりませんでした。でも、しばらくぶりに聞く津軽弁は懐かしかったですね。

 同窓会会場までは歩いていきました。さすがにメインストリートは変わっていませんでしたが、ずいぶん人通りが少なくなった感じがしましたね。昔よく行った本屋や喫茶店も今はなくなっていて、何となく、浦島太郎みたいな気持ちになりましたよ。

 同窓会は150人くらい出席してました。先輩、同級生、後輩と、楽しく語らってきました。卒後1〜2年くらいの新人医師たちはとても活気に満ちあふれていますね。自分もこういう時があったのかな〜。なんて思いましたね。その半面、自分がよく叱られた先輩たちは老けましたね〜。でも、みんな懐かしそうに思いで話をしてくれました。

 隣の県にいながら、あまり同窓会には出席していませんでした。近いといつでも行けるような気がしてついつい欠席してしまいます。これからは2年に1回くらいでも行こうかと思っています。

 先月27日に第1例目が発生したインフルエンザですが、もう1ヶ月くらい経ちます。でも、あまり流行しませんね。普通でしたら2週間くらいで流行期に入りそうなモンですが、今年はスローペースのインフルエンザでしょうかね。と思っているうちにいきなり大流行なんて事もありますよね。全国的にはボチボチ出現してきていますから、要注意であることには変わりないですね。

 10月13日に、新しい抗インフルエンザ薬として、イナビル(吸入薬)が発売されました。この薬はリレンザと同じように吸入薬ですが、年令制限がなく、吸入できれば何才でも使用可能ということです。とは言え、実際に製剤を見ましたが、やはり、乳幼児には無理でしょう。リレンザ同様5才以上くらいからの使用になりそうです。

 明日は少し冷えそうです。冬は近いですね。気象のことはよくわかりませんが、年平均気温というものは、あまり変動しないようです。と言うことは、「夏が暑ければ、冬は寒い?」と言うことになるんでしょうか。イヤですね。東北の冬は厳しいですからね。寒さに負けないよう、元気に冬を乗り切りましょう。

2010年10月12日(火)
去年の今頃は・・・。

 10月にしては、暖かい日が続いてますね。9月下旬から発生したインフルエンザの流行状況はどうなんでしょうか?毎日配信されてくる小児科医療機関の流行状況では、あまり拡大していないようですが、油断禁物ですね。

 昨日は夜間診療所に行って来ました。発熱、感染性胃腸炎、気管支喘息、など、季節感のある疾患が多かったですね。あまり重症なお子さんもいなくて、平穏無事な夜間でした。

 ただ、喘息は、治療継続中にもかかわらず発作を起こして受診する患者さんが多かったですね。こういう時、いつも診ているお子さんに会うと何となく済まないような気がします。「もう少し、ガッチリ治療しておけばよかったかな」なんて思うんですよ。幸い?、昨日は他院で治療中のお子さんばかりでしたので、何となくホッとしたかな?

 今の時期、日頃は元気なお子さんでも、少し咳が続いたり、息苦しさを感じるような時は、少し治療をステップアップした方が良さそうです。

 去年の今頃は新型インフルエンザが流行し始めた頃で大変でした。去年の10日は夜間診療所、11日は休日当番医で大忙しでした。今から振り返ってみると、あの大騒ぎは何だったんだ?なんて思ったりします。

 寒い時期に流行る病気はインフルエンザだけではありません。急性細気管支炎、感染性胃腸炎、気管支喘息などなど、これから2〜3ヶ月は小児科医が1年で一番忙しい時期です。

 明日は仙北小学校へ就学時健診に行って来ます。申し訳ありませんが、明日の午後の予防接種は休診です。先月と今月は、水曜日の午後を休診にすることが多くご迷惑をおかけしました。盛岡市医師会看護学校の講義が2回、健診が2回(矢巾町、仙北小学校)ありました。来月以降年内は休診はしません。

 ところで、看護学校の講義はチョット緊張しましたね。しばらくぶりですからね。みんな熱心に聴いてくれてましたよ。少し眠そうな人もいましたがね。これから試験問題も作らなければなりませんが、実際の臨床の場で役立つような問題を作ろうと思っています。立派な看護師になって社会貢献してほしいです。

2010年10月7日(木)
《ホメオパシー》とは?

 この頃、盛岡市周辺でインフルエンザの発生が続いています。昨日(6日)は松園中学校でもインフルエンザが発生しました。10月2〜3日に花巻で行われた陸上大会に参加してきたようです。ついに盛岡市内にも入ってきましたね。ワクチン接種を急ぎましょう。

 しかし、今年の予診票、もう足りなくなりそうです。保健所は足りなくなったらすぐ送付してくれるという話でした。5日に頼みましたが、まだ、送られてきません。なくなればすぐ送るなんていってたのにな。今から、これで大丈夫なんだか?

 三重県や大分県では既に学校閉鎖しているところもあるそうな。みんなA香港型だそうです。盛岡市もそうです。今シーズンは久々にA香港型が暴れそうです。

 今日はワクチン接種後の腕の腫れとホメオパシーについてのご質問をいただきましたので、ご紹介します。

M.Oさんからの


 いつもお世話になっております。

 先日、インフルエンザの予防接種でお世話になりましたM.Oの母でございます。

 先日の接種後、まぁ、毎年の事と言えば毎年の事なのですが、接種後に副反応とみられる腫れがあり、赤みは多少落ち着きましたが、腕に倦怠感のひどい症状と言いますか、鈍痛がしておりました。(ちなみに、娘ではなく私です。)

 (娘も赤く腫れてはおりましたが、接種箇所が触れると痛痒い程度のようです。※手で掻いてしまうので、接種箇所にバイキンが入らぬよう絆創膏を貼って保育園に行かせました。)

 利き手だったのもあり(手の甲あたりまで痛んだ為)止むに止まれず、接種の際に針を刺した箇所は避け、まわりに、以前外科で頂いてあまっていた湿布薬を貼ってしまったのですが、これは対処として『あり』なのでしょうか?

 素人なもので、冷やす…か、湿布くらいしか思いつかず、はたして今回のケースで言えば『湿布』はありなのかどうか…(むしろ、貼らない方がよかったのか…などとも思ったり…)

 診療でお忙しいところ、大変恐縮ではございますが、今後の為にも、副反応の対処方法等お教え頂けます有難く存じます。

 宜しくお願い申しあげます。

 ※ちなみに、全くの別件ですが、先日ニュースなどで取り上げられておりました《ホメオパシー》とは一体どういったものなのでしょうか?

 子供を持つ身として、良くも悪くも“予備知識”程度にでも知っておいた方が良いのかな…と思いまして質問させて頂きました。自然医療…という事で、勿論色々と見解があるのだと思いますが、ご参考までに吉田先生の見解をお聞かせ願えますと有難く存じます



 メールありがとうございます。

 ワクチン接種後の腕の腫れですね。まだ、あまり多くの方に接種していませんので、何とも言えませんが、私自身も接種後少し腕が腫れました。また、若干接種部位の疼痛もありました。何となくではありますが、今年のインフルエンザワクチンはいつもの年とくらべてチョット腫れやすく、痛い、ような感じです。とは言え、特に根拠がなく、自分がそう感じているだけかもしれません。当院の職員たちもそろそろ接種しますので、聞いてみようかと思っています。

 接種部位の腫れに『湿布』は、悪いことではないです。『あり』ですね。ただ、湿布薬の成分は「非ステロイド系抗炎症剤」というものが殆どですが、この「非ステロイド系抗炎症剤」は、よく「かぶれ」を起こします。いわゆる「接触性皮膚炎」というものです。

 ひどい時は湿布を貼った部位だけでなく、広範囲に皮膚がかぶれてしまうことがあります。これがやっかいなので『湿布』は要注意と言うことになりますが、あまり、皮膚が敏感な方でなければ、かぶれる心配は少ないですので、ご使用なさってもよろしいかと思います。

 ただ、一度よくても二度目にかぶれることもあります。結局、実際に使用してみなければわからないことです。とは言え、現実的には、かぶれる人よりは、かぶれない人の方が圧倒的に多いわけですから、自分があまり敏感な体質と思わなければ(殆どの人はそうです)普通に使用していいと思います。

 ワクチン接種後の副反応の対処方法も、なかなかこれと言った名案はありませんが、1回目で腫れがひどいようであれば、2回目は減量して接種すればいいと思います。実際そのようにしています。接種量が少なくなりますが、効果がなくなるわけではありません。

 時々、腫れやすいお子さんに、前もって抗アレルギー剤などの内服を勧めている医師もおります。効果はあるかもしれませんが、そこまでする必要はあまりないと思います。

 では、次のご質問にいきますか。

 《ホメオパシー》は、8月上旬の新聞に載ってましたね。その記事を掲載します。

<2010年8月5日付 朝日新聞東京本社朝刊>
 山口市の女性(33)が同市の助産師(43)を相手取り、約5.600万円の損害賠償を求める訴訟の第1回口頭弁論が4日、山口地裁であった。

 訴状などによると、女性は2009年8月に長女を出産。助産師は出血症を予防するためのビタミンK2シロップを投与せず、長女はビタミンK欠乏性出血症にもとづく急性硬膜下血腫を発症し、同年10月に死亡したという。

 女性は、助産師が母子手帳にあるK2シロップ投与欄に「投与した」とウソの記録を残していた。また、K2シロップを投与しない場合の出血症の危険性も説明しなかった。などと主張している。一方、助産師は関係者などに対し、ホメオパシーのレメディーを与えたと説明しているという。

 ビタミンK欠乏性出血症は、K2シロップの適切な投与でほぼ防ぐことができるとされる。


 この記事をご覧になったのでしょうか。母乳栄養の赤ちゃんでは、ビタミンKが不足して、時として重症なビタミンK欠乏性出血症を起こすことがあります。その予防にK2シロップを内服しますが、この記事によると、K2シロップは飲ませないで、代わりにレメディーという訳のわからないものを飲ませたようです。
 
 ホメオパシージャパンのホームページでは、レメディーについて、次のように説明しています。〜ホメオパシーでは、「超微量の法則」に基づき、植物や鉱物などを高度に希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませます。この砂糖の玉をレメディーと呼びます。相談者はこの小さな砂糖の玉を舌下に入れ、溶けるのを待ちます。〜だと。何のことはない。ただの【砂糖水】じゃないか。「超微量の法則」なんてあるわけがない。お話しになりません。
 
 K2シロップの代わりに【砂糖水】を飲ませたわけですからビタミンk不足が治るわけがありません。赤ちゃんもお母さんもかわいそうです。ご冥福をお祈りします。

 「自然医療」という言葉自体何がなんだかわかりません。自然に治るものは何もしなくても治りますよ。もっともらしい屁理屈をつけてるだけです。

 しかし、ここで一つ気をつけなければならな事があります。「プラセボー効果」という医学用語をご存知でしょうか?「プラセボー効果」とは、『効く薬だと信じて飲む事による心理的な働きで、効果が認められる。いわば、自己暗示効果のこと。』を言います。いわゆる、『信じるものは救われる』ですよ。

 わらにもすがる思いの人、医療(医師)不信に陥っている人、好奇心の強い人、などは簡単に「プラセボー効果」が見られます。ホメオパシーは、この様な「プラセボー効果」を狙ったものと思われます。

 「プラセボー効果」のみであったとしても、一時的に症状の軽快が見られれば、それはそれとして有益なことと主張している連中もおります。例えば、暗示の罹りやすい人が、気持ちが落ち込んでいる時に、「この薬はヒマラヤの山中で作られた【ナンデモナオール】という妙薬だよ。これを飲むと何でもすぐ治るよ。」なんて言われて飲むと、スッキリしたなんてこともあるかもしれません。マア。あまりよい方法ではありませんが、「ウソも方便」という言葉もあります。ホメオパシーは、この程度のことと思って下さい。

 しかしながら、「プラセボー効果」を本当に効くと誤解すると、危険な事になってしまいます。本来は何にも効くわけがないのですから、本当の薬が必要な時にもレメディー何ぞを処方した時には大変なことになります。新聞報道はまさにこの例です。

 レメディーは薬としてはとうてい認められるものではありませんので、常識ある医師が処方する事はありません。新聞報道では、純粋な薬であるビタミンK2シロップが必要であるにも関わらず、単なる【砂糖水】(レメディー)を飲ませたわけですから、もうメチャクチャです。

 結論として、まさかこんなもの真剣に考えているとは思いませんが、オームみたいなモンですよ。医学的根拠は全くありません。相手にしないことです。

 《ホメオパシー》については、日本学術会議がコメントを出しています。一般の方がご覧になってもご理解できる内容だと思いますので、こちらも参考にして下さい。「ホメオパシー」への対応について

2010年10月5日(火)
今年のインフルエンザワクチンと、今年の抗インフルエンザ薬

 少しずつ朝が涼しくなってきましたね。クリニック前の公園もそろそろ紅葉が始まりそうです。チョット前までは「暑い、暑い」と言っていたのにね。やはり北国は秋の訪れが早いです。食欲の秋、スポーツの秋を満喫したいですね。

 今日はインフルエンザ患者の発生はなかったようです。インフルエンザワクチンはまだ、始まったばかり。出来れば、秋が終わるまでは流行ってほしくないですね。

 先日、インフルエンザワクチンについてのご質問のメールをいただきました。この頃、外来でもよく聞かれる事ですので、ご紹介したいと思います。

T.Iさんからの



 いつもありがとうございます。

 10月2日にインフルエンザ3価ワクチン接種いたしました。9月になると幼稚園のお母さん方とインフルエンザの予防接種時期の話題が出ていますが、私は早めにしてウィルスをもらうことはあってもあげることがないようにと思いいつもはやめに接種してます。
 
 ところで、ワクチンの接種量のことが気になったのでご質問いたします。お時間あるときで構いませんので、教えてください。

質問1:去年は2種類のインフルエンザワクチンそれぞれ0.2ml*2回で合計4回接種しましたが、今年も一回あたり0.2mlの接種量のようですね。

 単純に思うのですが、“季節性2種+新型”の今回のワクチンも同じ量ということは去年よりも新型インフルエンザへの効果は少ないのではと、少し心配です。ワクチンの内容(濃度が濃いとか効果が高いとか)も去年よりも進化しているのでしょうか?

質問2:今年のタミフル・リレンザの供給量はどのような状況でしょうか?それ以外の特効薬など出たのでしょうか?





メールありがとうございます。

 今年もインフルエンザを巡っていろいろ混乱しそうな雰囲気です。今のところ、ワクチンも順調に接種開始できましたが、混み合ってくると・・・。心配は絶えませんね。

 さて、ご質問ですが、ごもっともなことと思いました。

質問1について:まず、ご安心して下さい。今年の2回分で、昨年の4回分になります。ワクチンに含まれる抗体量は流行しそうな株をチョット多めに入れたりしますが、大体決まっています。

・昨年の季節性ワクチン1ml中:A香港型30μg  Aソ連型30μg  B型30μg

・昨年の新型ワクチン1ml中 :新型30μg

・今年の新型ワクチン1ml中 :A香港型30μg  新型30μg  B型30μg

 上記のように、昨年とくらべるとAソ連型がなくなっただけで、あとは同量の抗体が含まれています。ワクチン自体は抗体の他に安定剤や緩衝剤などが含まれて一定の量になっていますので、それらの量を調整して1mlとしています。なお、ワクチンには0.5mlもあり、抗体量は半分になっています。

 補足ですが、ワクチンに含まれる抗体量の上限は決まっています。そこで、新型を入れるために一つ削除しなければならなくなり、Aソ連型を除いたようです。Aソ連型は、ここ数年流行が続き国民の多くは抗体を持っているだろう。と言うことのようです。

 ワクチンの接種量については6月10日の診察室便りにも記載したように乳幼児の接種量が少ないと思っています。近い将来、接種量が増えればもう少し効果も期待できると思います。

質問2について:
 タミフル、リレンザに次いで、今年の1月にラビアクタが、10月にイナビルが発売(予定)されました。治療に関して、多くの選択肢を持つことは大変心強い事ではありますが、半面、どの様な使い分けをしたらいいのか、チョット、とまどいもあります。

 タミフル、リレンザの供給量については今のところ十分なようです。ただ、厚労省が出荷規制をかけることがありますので、実際の流行が始まればどうなるのか、不安はありますが、今のところ大丈夫と思っています。

 ラビアクタ、イナビルについては、使用経験のない医師が殆どだと思います。私もそうですので、あまり、詳しいお話しは出来ませんが、わかっている事をお話しします。

 ラビアクタは点滴静注です。適応年令は成人となっていますが、薬の量を調整して小児でも使用できるようになるかもしれません。とは言え、点滴しなければなりませんので、小さいお子さんには使いにくいでしょう。薬が飲めないとか、入院するような重症な人が対象となるでしょう。

 イナビルは、リレンザのような吸入薬ですが、1回の吸入で済みますので、リレンザよりも楽かもしれません。こちらは吸入量を調整して小児でも使用できるようになっています。10才未満でも使用可となっていますが、5才以上10才未満という解釈のようです。従って5才未満のお子さんには今のところ使用できないようです。おそらくリレンザに適応年令をあわせたものと思います。

 以上より、どれを選択するか、迷いますが、年令だけで考えれば、下表のようになりますかね。小児ではやはり、飲みやすいタミフルが主流でしょう。どうしても飲めないとか、入院が必要なくらい重症となれば点滴のラビアクタ。しかし、忙しい外来で小さなお子さんに点滴するのはとても大変です。医師も看護師も点滴に時間をとられますので、一時的に外来診療がストップしてしまいます。多くの患者さんにご迷惑をおかけしそうです。そういう場合は入院紹介の方がいいかもしれませんね。


  タミフル  リレンザ   ラビアクタ  イナビル 
0才〜1才未満       x?  
1才〜5才未満       x?  
5才〜10才未満       x?  
10才〜15才未満       x?  
15才〜20才未満        
20才以上        

 ○は、お勧め。 ◎は、特にお勧め。 △は、ケース・バイ・ケース。 は、原則使用不可。
 ?は、今のところ使用不可だけど、今後の状況によって使用可となるかもしれない。

 インフルエンザの新薬はもう一つ開発中のものがあります。T-705と言います。今までの薬は全てインフルエンザの増殖を抑制する薬ですが、T-705は、直接インフルエンザウイルスを死滅させてくれます。おそらく、今ある4剤よりも効果が期待できるように思っていますが・・・。まだ、わかりませんね。

注:平成22年11月1日時点では、イナビル、ラビアクタともに年令制限なく小児でも使用できるようになりました。
  詳しくは
診断と治療をご覧下さい。
2010年10月2日(土)
当院でもインフルエンザ発生!!

 インフルエンザワクチンも始まり、インフルエンザの患者さんもチラホラ現れてくると、急な発熱の患者さんはチョット気になってきますね。まだ、夏カゼも見られますし、今日はアデノウイルス感染症(プール熱)の患者さんも来ましたよ。アデノはまず、のどを見ればわかります。真っ赤に腫れて、ジュクジュクしていますから、目で見てある程度見当がつきますが、簡単な検査キットがありますから、検査して確定診断しています。

 では、インフルエンザでは、のどは赤く腫れるのか?というと、そうでもないですね。インフルエンザ単独ではあまりのどの変化はないです。インフルエンザはのどを見ただけではわかりません。ただ、目が充血して真っ赤な目になってくることが多いです。アデノも目が赤くなりますが、インフルエンザとは全く違います。

 昨日まで、滝沢方面で二人インフルエンザの患者さんがでていますので、滝沢方面の発熱患者さんは大丈夫かいな?と、気をつけて診察してましたところ、滝沢村在住の5才7ヶ月の男の子、昨日から39.6度の高熱が続くため、受診しました。目は充血して真っ赤、どうにもならない倦怠感、だるくてだるくて座っていられないような状態でした。この目、この顔、「あ〜、今年も、またこの季節がやってきたな。」と、直感しました。

 「インフルエンザは目で見て診断する病気、検査キットは参考程度」と、日頃言っていますが、流行期ならともかく、まだ、二人しか患者さんはいないわけですからね。早速検査しましたよ。思った通り、インフルエンザA型陽性でした。今シーズン3人目です。みんな滝沢村在住です。この子の通っている幼稚園には連絡が行くと思いますので、思い当たる人たちは急な発熱に注意して下さい。だからといって、例えば、夜中に発熱したら、すぐ病院だ。なんて思わないで下さいよ。翌日朝一番に病院を受診すれば十分です。

 A型陽性と言っても簡単な検査キットだけでは、インフルエンザのタイプが新型か季節性かわかりませんので、シーズン始めは、PCRという詳しい検査をして、型を判別します。それには専用の容器が必要ですので、忙しい外来診療の合間をぬって盛岡保健所へ連絡しました。滝沢方面の二人の患者さんは一人目(9月27日発生)がA香港型、二人目(10月1日発生)が検査中とのことでした。盛岡保健所では県央保健所の指示を仰ぐと言うことでしたが、集団発生ではないのでこのお子さんについてはPCR不要とのことでした。現在検査中の二人目もA香港型だったら、今シーズンはA香港型が流行するかもしれませんね。ここ数年影を潜めていたA香港型ですが、症状は新型よりもきついように思います。

 毎年のことではありますが、これからワクチンを接種する人たちで混み合いますので、今年も12月まで毎週土曜日の8時30分〜9時をインフルエンザワクチン接種の時間にします。この時間はインフルエンザワクチン接種のみの時間です。

 今日来たお子さん、すぐ、タミフルを内服して帰りました。今晩もう一度内服して、明日には少し軽くなっているといいですね。診察後は別室で待機してもらってそのまま、勝手口から帰ってもらいました。インフルエンザの患者さんが少ないうちは出来る限り、他の患者さんたちと隔離していますが、だんだん多くなってくるとそれも難しくなってきます。みんな、ワクチン接種しましょうね。私も今日接種しましたよ。

2010年10月1日(金)
Simple is best

 今日から10月、衣替えです。院内の衣替えは、カーテンが薄い夏物から、やや厚めの冬物に変わったくらいですが、気がつきましたか?私も衣替えしましたよ。いつも白衣の代わりに開襟シャツとチノパンですが、3シーズン分用意しています。春(4月〜5月)と秋(10月〜11月)は薄手の長袖、夏(6月〜9月)は半袖、冬(12月〜3月)は厚手の長袖、と言う具合です。

 いろいろ配色に気を遣っていますが、自分の好みのカラーになってしまいますし、無難なカラーが多いですね。時々、ド派手なカラーにしようかなと思ったりもしますが、止めています。やはり質素なコーディネーションがいいですね。「Simple is best」(シンプル イズ ベスト)です。

 いよいよ、今日から、今年度のインフルエンザワクチンが開始になりました。いろいろ問題を抱えながらも、まず順調にスタートしました。今日は20名ほどの方々に接種しましたが、みんな「インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン)」を接種していきました。当たり前だよね。

 一昨日からどの様にして、三種類のワクチンの違い、選択すべきワクチンを説明しようかと考えてきましたが、やはり、「短い言葉で簡潔な表現がよい」との結論に至りましたので、問診票を拡大コピーしてそれに但し書きを貼り付けてみました。受付窓口の左右と、中待合いの壁に、掲示していますから、見て下さい。

 本日接種しにいらした方からは、「詳しい解説書も勉強になっていいですが、この掲示は一目瞭然で、わかりやすいです。」と、お褒めの言葉をいただきました。やはり、「Simple is best 」ですね。

 9月27日に滝沢村で発生したインフルエンザはA香港型だそうです。全国的に今年の夏までは、若干、A香港型がA新型より多く発生しているようです。滝沢村の患者さんは中国で感染してきたと思われますので、これから、A香港型が流行るかどうかはわかりませんが、ワクチンは新型も季節性も一緒に含まれている「インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン)」を接種しましょう。

2010年9月30日(木)
ガ〜ン、ショックだ〜。

 今日で9月もおしまいです。今年も余すところ、あと3ヶ月・・・。こんな言い方は、まだ早いね。

 昨日は盛岡市の予診票が送付されてきました。今日は矢巾町の予診票が送付されてきました。いよいよ開始直前です。盛岡市と矢巾町の文字以外の内容は同じですね。同じ用紙でもいいように思います。あとは滝沢村からも明日あたりには送付されてくるんでしょうが、同じような予診票がまた増えることになります。
 
 紫波町は予診票は持参とのことです。紫波町の方はウッカリ予診票を忘れると接種できませんので、お忘れのないようにして下さい。こんな時、共通の予診票なら接種出来るんですけどね。

 昨日はチョットエキサイトして書いてしまいました。少し言いすぎたかな(書きすぎたかな)という感じです。今日、私の家族に実際にインフルエンザワクチンを受けに来るという想定で、予診票と『注!!予診票の読み方 今年の予診票は、大変わかりにくいです。』を、読ませてみました。「三種類から一つ選んで接種といっても、わからないだろうから、出来るだけ詳しく解説してみた。わかりやすいだろう・・・。」と言ったところ、「なにこれ、こんな長ったらしい文章誰も読まないよ。」 「読むより先にどれを接種したらよいですか?と、職員に聞きたくなるな。」  「うち(当院)では、これ(インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン))がお勧めですと言えばいいだけじゃないの。」 などなど、せっかく一晩かけて制作したファイルを、わが家の家族は誰一人賞賛してくれませんでした。ガ〜ン!!ショックだ〜。とは言え、言われてみればごもっとも。少し【くどい】かもしれない。文面は少し手直ししてそのまま掲示しますが、受付窓口に予診票の拡大コピーを掲示して、三種類のワクチンの特徴を書くようにしてみます。

□ インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン)(国内産ワクチン)→今年作られた新型ワクチンです。新型と季節性の両方に効果があります。これを接種しましょう。

□ A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)(国内産ワクチン)→去年の新型ワクチンです。新型にだけ効きます。季節性には効きません。お勧めしません。

□ アレパンリックス(H1N1株)筋中(グラクソ・スミスクライン株式会社)→去年の新型ワクチン(外国産)です。新型にだけ効きます。季節性には効きません。岩手県にはありませんので、接種できません。

 という感じかな。これならわかりやすいですかね。皆様からのご意見、ご質問も待っていますよ。いよいよ明日から新型インフルエンザワクチン開始です。まずは当面12月31日当番医まで気を引き締めて頑張ろう

2010年9月29日(水)
予診票(問診票)は来たけれど・・・。

 今日、待ちに待ったインフルエンザワクチン予診票が、やっと、送付されてきましたよ。盛岡市の分だけですけどね。それと、盛岡市の助成金の金額も決まりましたよ。もう、わかりにくいというか、煩雑というか、ガッカリというか、正直言って、今年のインフルエンザワクチンは大変です。今日までにはっきり解っていることを、みんなにお知らせしたいと思います。どうせ、また、後からあれやこれやら変更はあると思っていて下さいよ。

 まず、今年のインフルエンザワクチンは三種類あります。ヘエ〜?ダヨね。その三種類の中から接種したい人が選ぶことになっていますが、選ばなくていいです。私が選んであげます。もう既に一種類で決まってると思っていいです。他の二種類はダミーです。

 さて、何からどう説明していいのやら・・・。

 まず、予診票第1行には「新型インフルエンザ(1回目・2回目)予防接種予診票(接種券)」とあります。新型インフルエンザとなると、昨年流行った新型インフルエンザの事だと思いますよね。じゃあ、季節性インフルエンザのワクチンはどうなるの?ということになりますね。実はこの予診票は、昨年作られた新型ワクチン(H1N1株)と今年作られた新型ワクチンのどちらかを選択できるようになっているんです。何がなんだかわかりにくい!その通りわかりにくいんです。

 では、新型ワクチンの意味を説明しましょう。昨年作られた新型ワクチン(H1N1株)は、新型だけに効果のあるワクチンです。今年の新型ワクチンは、今年新しく作られたワクチンという意味です。つまり、今年作られた新型ワクチンは昨年の新型ワクチン(H1N1株)と季節性ワクチンを一緒にしたものです。ただし、厳密にはチョット違います。間違いなく昨年の新型ワクチン(H1N1株)は含まれていますが、季節性ワクチンからはAソ連型が除かれています。少しこんがらかってきたでしょう。どういう事かというと、

 昨年の季節性ワクチンは、Aソ連型+A香港型+B型です。ここから、Aソ連型を除いたA香港型+B型に、昨年の新型(H1N1株)を加えたワクチンが、今年の新型ワクチン(新型(H1N1株)+A香港型+B型)です。

 つまり、
・昨年のワクチン:新型ワクチン(H1N1株)と季節性ワクチン(A香港型+Aソ連型+B型)の二種類ありました。
・今年のワクチン:新型(H1N1株)+A香港型+B型の一種類 → 今年は、このワクチンを新型ワクチンと呼んでいます。

 ですから、今年の新型ワクチンを接種すればいいのですよ。ところが、この予診票、何じゃこりゃ?という項目があります。予診票の最後に保護者の記入欄がありますが、何とそこには三種類のワクチンから、どれか一種類を選択するというメチャクチャに混乱する項目があります。

※接種するワクチンにチェックして下さい。
□ インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン)(国内産ワクチン)
□ A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)(国内産ワクチン)
□ アレパンリックス(H1N1株)筋中(グラクソ・スミスクライン株式会社)

 これを読んで、どれを接種したらよいか、即座に判断できる人がいるだろうか。答えはNOである。わかるはずがない。あまりに不親切であり、無責任であろう。当然、接種時には医療機関の職員に対して、どれを接種してよいか聞くことになるだろう。ただでさえ、忙しい時期にこの説明に時間をとられれば、著しく業務は遅れてしまう。接種までの待ち時間は増え、会計にも時間がかかり、患者のいらだちはピークに達する・・・。ということになりそうです。(だから、こんなの止めろと言ったのに!)

 では、次に、この三種類のワクチンの解説です。

□ インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン)(国内産)
 これが今年作られた新型ワクチン(新型(H1N1株)+A香港型+B型)です。何も難しく考えることはありません。これを接種しましょう。

□ A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)(国内産):
 去年の新型ワクチンです。優先順位が、「あ〜だ。こ〜だ。」と、言っていたあの「売れ残りワクチン」です。みんないい思い出ないでしょ。それはさておき、もうじき期限も切れますし、新型(H1N1株)にしか効きません。季節性(A香港型+B型)には効かないわけですから、接種する価値が低いです。もし、今年の新型ワクチンがなくなれば接種するかもしれませんが、当面はお勧めしません。

□ アレパンリックス(H1N1株)筋中(グラクソ・スミスクライン株式会社):
 これも去年の新型ワクチンです。外国から多額の費用を投じて買ったワクチンです。ご存知の通り、昨年の新型インフルエンザはあまり大きな流行にはならず、外国から輸入したワクチンは殆ど手つかずのまま残ってしまいました。一部は返品したものの大半は返品できずに、このまま使用期限が切れれば廃棄という運命にあります。これがそのワクチンです。2番目の「A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)(国内産)」と同様、新型(H1N1株)にしか効きません。季節性(A香港型+B型)には効きません。しかも外国産です。これまた、接種したい人はいませんよね。大体にしてこのワクチンは岩手県は購入していません。手元にないワクチンを接種しませんかだと?何言ってんだ。怒るよ。

 ここまで、話せばおわかりでしょう。何も難しく考えることはありません。今年作られた新型ワクチン「インフルエンザHAワクチン(3価ワクチン)(国内産)」を接種しましょう。
「A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株)(国内産)」と「アレパンリックス(H1N1株)筋中(グラクソ・スミスクライン株式会社)」は、あまりに多く在庫があるため、何とか処分したいというのが本音でしょう。

 予診票第1行に、新型インフルエンザ(1回目・2回目)と書き、保護者の記入欄で、「売れ残り」の昨年の新型ワクチン(H1N1株)を接種するように誘導している。と言えば、少し言い過ぎか?でもそういう気がしますね。

 実は、この事は9月6日に行われた説明会でも、医師側から、「よほどの物好きでもない限り、今年の新型ワクチン(新型(H1N1株)+A香港型+B型)を接種するわけだから、この項目は削除すべきだ。」という意見が多く出されました。その時は行政側もそのように善処すると言ってましたが、結局、厚労省の方針とかでこの様な問診票になってしまったようです。残念です。相変わらず、医療現場の声は行政側に届かないようです。昨年の新型インフルエンザの教訓もあまり生かされそうにないです。今年も大変だな。失望、落胆、あきらめ・・・かな。

 最後に、助成金について、盛岡市の助成金は、1回につき1.000円だと、年令は7才未満の乳幼児(小学校就学前まで)だと。矢巾も、紫波も、滝沢も、1回につき2.000円。小学生も中学生も助成金がもらえるのに・・・。ここでも、失望、落胆、あきらめ・・・だな。盛岡市ダメだな。「子育てに優しい街、盛岡」は、「子育てに厳しい街、盛岡」に変更だ。

2010年9月28日(火)
インフルエンザ発生!!

 一昨日の当番医は、あまり混みませんでした。紫波町、矢巾町方面の患者さんが多かったですね。やはり季節柄、気管支喘息発作が多かったです。一人だけ発作の強いお子さんに点滴しましたが、なかなか呼吸困難が改善しませんでしたので、二次輪番病院へ入院紹介しました。日頃から予防治療していれば、そう簡単に悪くなることはありませんが、いきなり強い発作が起きるとチョット大変です。

 喘息発作に対する外来での点滴治療は大体1時間を目安にしています。1時間で改善しなければ、やはり、入院を考慮した方がいいです。とうわけで、この日は入院1名でした。

 9月27日、滝沢村の小学生がインフルエンザA型に罹りました。盛岡市近郊では、今シーズンの第1例目です。中国旅行より帰国した家族も発熱しておりますが、症状は軽く、全員元気だそうです。

 いよいよシーズンになってきたかな。でも今回のケースは中国からもらってきたようなので、この人たちから拡がらなければ、今、急に流行することはなさそうです。とは言え、滝沢村方面は要注意ですね。

 ところで、新型インフルエンザワクチンの問診票、送られてきませんよ〜。今日、いくつかの市町村にたずねてみたら、「今、封筒に入れている最中で、10月1日には間に合うように送付する。」ということでした。そば屋の出前みたいだね。本当に間に合うんだか?ある自治体は、問診票はどこかのものをコピーして使用してくれなどと言ってました。だんだん心配になってきた。ところで、盛岡市の助成金はいくらになるんだか、こっちも音沙汰なし。

 今日始めて知ったことですが、助成金をもらうには、申請書だか書類だかに、住所、氏名などを書かなければならないそうです。また、煩わしい手続きが増えそうです。この事は市町村から連絡が来たわけではなく、たまたま今日電話して話をしていたら偶然教えてもらったというような状況です。今年のインフルエンザワクチンは相当混乱しそうですね。何で、こんなに面倒なことばかり考えるんだろうね。医療現場の実情を知らない人たちが勝手に決めてるとしか思えない。

 どう考えても、10月1日は【見切り発進】だ。もっと前から準備すべきだったと思います。あと1ヶ月も経たないうちに、『新型インフルエンザワクチン、現場は大混乱』なんていう見出しが新聞で見られるかもしれません。そうなってからじゃ遅いんだよな。とても憂うつです。

2010年9月24日(金)
休日当番医

 昨日から急に寒くなりました。一昨日は全国で猛暑日だったというから驚きです。昨日は、秋分の日でしたので、ご先祖様のお墓参りをしてきました。ずいぶんお寺も混んでました。小さい子どもがお墓の前で何やら呪文?を唱えていましたが、おそらくお経を読んでいるつもりなんでしょうね。見よう見まねでも昔からの風習を肌で感じながら受け継いでいってほしいですね。

 今年の中秋の名月は、9月22日だったそうです。昨日は1日遅れでしたが、けっこうまん丸いお月様が見られました。もう秋ですね。例年9月は、気管支喘息発作が多い時期で、September Attack(9月の発作)と言います。今年も発作を起こして受診してくるお子さんたち多いですよ。以前は喘息発作で点滴治療することが多かったですが、最近は、内服薬も吸入薬も昔の薬とは比較にならないくらい効き目のある製品が増えました。おかげで、殆ど点滴治療することはなくなりましたが、時々はありますね。

 明後日の日曜日は休日当番医です。喘息の患者さんたち、たくさん受診するかな。当番医の日は、殆ど始めてお会いする患者さんばかりです。当たり前ですよね。いつも当院を受診される患者さんたちとは、既にコミュニケーションが取れていますから、「こういう時は、ああして、こうして・・・。」と、ある意味、「阿吽(あうん)の呼吸」で診療が進みますが、初対面の方にはけっこう気を遣いますね。できるだけ患者さんのご要望に応じたいと思っていますが、時々、どの様に対処したらいいのか迷うこともあります。

 例えば、喘息発作の場合、点滴が必要なくらい重症かなと思っても、「なぜ点滴するんだ。今まで点滴なんかしたことがない。本当に必要があるのか。」と詰問されたり、そうかと思うと、逆に薬だけでいいと思っても、「以前はここからどんどん悪くなって入院してしまった。今回も心配だから点滴してほしい。」と哀願されたり、人によって、軽症〜重症の尺度が違うんでしょうね。患者さんは十人十色です。と言うわけで休日当番医はいろいろ疲れます。さて、明後日はどんな一日になるのでしょうか。

 休日当番医は大体3〜4ヶ月に1回あたります。年末年始(12月29日〜1月3日)は別枠でローテーションしますが、3年に1回はあたります。今年度は年末年始の休日当番医にあたっていますが、さて、いつでしょうか?特別な事情がない限り、年末年始の休日当番医は【あみだくじで】決めます。チョット驚いたかな?公平と言えば公平ですが・・・。

 私は14年前に開業して以来、4回年末年始の休日当番医をしましたが、ナント、12月31日が3回、1月1日が1回です。そして、5回目の今年度も、12月31日が当た〜りました。なんて当たりがいいんでしょ。一応、公正なくじではありますが、よくもこれだけ真ん中ばかりあたるモンだなと思います。キット来年はいいことがあるんだと自分に言い聞かせて、12月31日も頑張ります。

2010年9月18日(土)
ワクチンの順番

 9月になっても暑い日が続いていますが、朝晩はだいぶ涼しくなってきました。薄着で寝ていると寝冷えして体調を崩してしまいます。

 9月は気管支喘息発作もよく起きる時期です。体調管理に気をつけましょう。

 前回、今年度のインフルエンザワクチンは、まだ詳細が決まっていないとお話ししましたが、ワクチンの管理を国から市町村に移行する部分だけが決まっていないのだそうです。10月1日から実施と言うことは、厚労省から「事務次官通知」というものが、既に8月中に公布されており、間違いなく10月1日から接種できると言うことでした。ただ、ワクチンの問診票が、まだ出来上がっていません。今年度から、インフルエンザワクチンの問診票は各市町村ごとに作成されます。遅くとも10月1日には間に合うと思いますが、これだけがチョット心配です。

 インフルエンザワクチンに限らず、子どもが接種するワクチンはたくさんあります。今日は、ワクチンの接種順についてのご質問をいただきましたので、ご紹介したいと思います。

H.Kさんからの



 吉田先生
 いつもお世話になっております。
 
 予防接種のことで伺いたいことがあってメール致しました。昨日娘も無事1歳の誕生日を迎え、そろそろそちらに健診に行こうと思っていたとき、前回の健診時に先生が「1歳児健診のときに麻疹・風疹の予防接種も一緒に受けましょう」と、おっしゃっていたことを思い出しました。本来なら予防接種の日にやらなくてはならないところ、一緒にやっていただけるということでありがたいなあと思っておりました。

 そこでご相談なのですが、ヒブワクチンを麻疹・風疹と一緒に接種させて頂くことは可能でしょうか?1歳から受けられる予防接種はたくさんあるようで、出来るだけ任意接種のものもなるべく早めに受けさせたいと思っているのですが(水痘、おたふく、ヒブ、インフルエンザ、出来れば肺炎球菌も受けさせたいと思っています)、生ワクチンが多いため、接種間隔等を考えたときに「何を優先してどのような計画でいくのがベストか」というのがなかなか思いつきません。

 新型インフルエンザも気になりますし、そう考えるとかなりの数になるので、今回の健診時に差し支えなければ一緒にヒブも接種させて頂いたほうが良いのかな…と漠然と考えてしまいました。(最近、新聞やこちらのHP等でヒブの重要さを痛感し、出来るだけ早い方がいいのでは!?と、ちょっと焦ってしまっているのが現状です(^^;)もっと早く気づくべきでしたが…)

 ただ、うちの娘は保育園等には入っておりませんので、そんなに焦る必要はないということであれば、麻疹・風疹の4週間後に他のワクチンと組み合わせて接種させようと思います。

 とりとめのない文章で分かりづらいですが、これらのワクチンをどのように接種していったら良いのかのアドバイスを頂けたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。





 メールありがとうございます

 お誕生日おめでとうございます。1才以後のワクチンの予定ですね。「予防できる病気は予防する」という考え方が基本ですので、できるだけ接種されればよいと思います。

 1才になったら、なにはさておき、まず、麻疹・風疹ワクチンです。Hib、肺炎球菌は、1才前に接種しておいた方がよいワクチンですが、これからでも接種した方がよいです。Hibと肺炎球菌は「髄膜炎セット」として一緒に接種されればよいです。水痘、オタフクよりも優先します。
 
 インフルエンザは、いつ流行するか全く見当がつきません。年々流行開始時期が早まっているようにも感じます。静岡県浜松市ではインフルエンザ様疾患のため学年閉鎖が行われたそうです。本当にインフルエンザかどうかわかりませんが、今シーズンも早めに接種した方がよいでしょう。

 それでは、お子さんの予防接種予定を考えてみましょう。もう1才になりましたから、麻疹・風疹を接種しますが、同時に、Hibと肺炎球菌も接種できます。ただ、1度に3本接種というと、何となく、引いてしまうかもしれません。実際に3本同時接種されるお子さんもけっこうおりますが、大体は1回に2本接種して、日を改めてもう1本接種という場合が多いです。この場合、麻疹・風疹接種後は4週間空けなければなりません。Hib、肺炎球菌接種後は1週間空けます。

 まず、麻疹・風疹、Hib、肺炎球菌を接種してから、インフルエンザワクチン接種、その後は、水痘の方がオタフクよりも低年齢で罹りますので、水痘〜オタフクの順で接種すればよいかと思います。

プラン1.
麻疹・風疹+Hib+肺炎球菌(3本同時接種)→4週間空けて→インフルエンザ2回接種→1週間空けて→水痘→4週間空けて→オタフク

プラン2.
麻疹・風疹+Hibまたは肺炎球菌(2本同時接種)→4週間空けて→Hibまたは肺炎球菌→1週間空けて→インフルエンザ2回接種→1週間空けて→水痘→4週間空けて→オタフク

プラン3.
Hib+肺炎球菌(2本同時接種)→1週間空けて→麻疹・風疹→4週間空けて→インフルエンザ2回接種→1週間空けて→水痘→4週間空けて→オタフク

 麻疹・風疹、Hib、肺炎球菌は、同等(同じくらい大切)と考えていいです。もし、インフルエンザの流行が早まりそうでしたら、先に持ってきます。保育園に入所しないなら、水痘、おたふくは急ぎません。

 いくらでも予定は組めますので、臨機応変に考えて下さい。とは言え、迷うことも多いと思います。接種当日でもいろいろプランは組めますので、ご安心して受診して下さい。では、お待ちしていますよ。気をつけていらして下さい。

2010年9月7日(火)
今年度のインフルエンザワクチン

 昨日、岩手県医師会館で、今年度のインフルエンザワクチンの説明会がありました。説明する側は、盛岡市、滝沢村、紫波町、矢巾町の職員の方々です。説明される側は医療機関の職員です。

 毎年行われているインフルエンザワクチンですが、今年度はちょっと趣(?)が違います。昨年度のことを思い出して下さい。昨年度は、新型ワクチンを特別措置法という法律に基づいて国がワクチンの流通管理をしました。今年度は、予防接種法を改正して『新臨時接種法』という法案を成立させて、市町村がワクチンの流通管理をすることになるのだそうです。

 ???何がなんだかサッパリわかりませんよね。私も最初話を聞いた時はチンプンカンプンでした。いろいろ質疑応答が進むにつれて少しずつ理解できましたが・・・。

 どういう事かというと、「今年度は10月1日から接種開始する。今年度からインフルエンザワクチンをすべての国民に勧奨接種(積極的に接種を勧める)するが、公費負担はしない。接種料金は市町村ごとに決める。予防接種事故に対する補償は、定期接種同等に引き上げる。」という事が、『新臨時接種法』と理解してきました。

 料金は市町村ごとに決めると言うことですが、まだどこの市町村でも決まっていません。それもそのはず、『新臨時接種法』なる法案がまだ審議されてないからです。ご存知のように、今、世間は、「菅ダ〜。小沢ダ〜。」で、国会なんぞ開かれていません。民主党党首決定→総理大臣決定→内閣決定→臨時国会→法案審議 までいって、始めて今年の新型ワクチンが接種できるようになります。まだ道のりは長そうですね。

 今年のワクチンは新型と言っていますが、(昨年流行った新型H1N1+A香港型H3N2+B型)の3価ワクチンです。新型と従来型が一緒になっていても新型と呼ぶのかね?マツ、新しい製品だから新型と呼んでいいんでしょうね。公費負担はしないと言いましたが、昨年度とくらべると助成金を出してくれる市町村は増えそうですので、期待できそうです。

 ところで、問診票は中学生以下と高校生以上の二種類が用意されますが、それぞれの市町村別に作成されます。と言うことは、盛岡市、滝沢村、紫波町、矢巾町、それぞれ二種類。4x2=8種類の問診票を用意しなければなりません。同じ内容なのになんでこんな無駄なことするのさ?と言いたくなります。ただでさえ、忙しいのに煩雑になるだけです。

 『新臨時接種法』で、驚いたことが一つ、「全国民に勧奨接種する。」となっていますが、乳児は生後何ヶ月から接種できるのかというと、『新臨時接種法』では、年令の制限はなく、とにかく全国民が接種対象なのだそうです。だから、オギャーと生まれたばかりの赤ちゃんでもインフルエンザワクチンは接種できるんだと?ナンボナンでも、チョットおかしいよね。私は、今まで通り生後6ヶ月以上で接種しようと思っています。この法案大丈夫かね?

 さて、本当に10月1日に間に合うんでしょうかね?

2010年9月3日(金)
舟っこ流し
龍頭が欠けてしまい、、申し訳ありません。
火がついて燃え始めたところです。
舟が火に包まれて、燃えさかっています。

 9月になってもサッパリ涼しくなりませんね。一体この暑さは、いつまで続くんでしょう?寒い冬には早く夏になればいいと思いますが、今は早く冬になればいいとは・・・思いませんね。冬は冬で寒くてイヤです。

 まだ、夏カゼも見られますが、手・足・口病や、ヘルパンギーナはだいぶ少なくなってきました。今年の夏は重症な手・足・口病の発生が心配されましたが、今のところ、そういうこともなく、今シーズンも無事夏カゼは終了しそうです。

 今は、「少しのどが赤くて熱がでる」という感じの夏カゼが見られていますが、だいぶ、少なくなってきました。

 そろそろ喘息発作を起こして受診してくるお子さんも増えてきました。暑い、暑いといっても、やはり、確実に秋は近づいています。朝晩冷え込んだ時は要注意です。

 ちょっと前になりますが、先月の22日、明治橋に「舟っこ流し」を見に行ってきました。私は、高校を卒業するまで、このあたりで暮らしていましたので、「舟っこ流し」はよく見に来ていました。今年は北上川が増水したため、16日から22日に延期になりましたが、これが終わると、もう夏も終わったという感じでした。

 「舟っこ流し」は、江戸時代に北上川で船が転覆して溺れ死んだ人たちの供養として始まりました。今では、その年に亡くなった人たちの霊を安らかに天国に送る行事になっています。

 今年は16艘の舟が出たようです。とても暑い一日でしたけど、たくさん人が出てました。患者さんたちとも逢いましたよ。

 舟の先は龍頭を形取っており、これを「舟っこ」と呼ぶのだそうです。龍の口に火を灯して、燃え上がる舟を北上川に流します。舟がどんどん燃えて、煙となって霊が天国に召されていく・・・。と、子どもの頃に教わりました。ちょっと、しんみりしますね。

 この頃、【戸籍上生存】という超高齢者の記事をみます。130才だとか、150才だとか、テレビで見る坂本龍馬が活躍してたあの頃に生まれた人たちが生きているというわけですから、???ダヨね。死亡届の出し忘れや、遠くへ引っ越してしまって行方が分からなくなったことなどが原因のようですが、何となく、「浮かばれない気持ち」になります。もう既に亡くなっているのなら、「舟っこ」に乗せてあげたいですね。 

2010年8月22日(日)
高校野球は、投手?

 熱戦が続いた高校野球も下馬評通り(?)沖縄興南高校が優勝しました。島袋投手は、スゴイですね。少し上半身を反り気味にしながらの投球フォームは迫力があります。バッタバッタと三振を取る投球には圧巻されました。

 総じて、甲子園で優勝したり上位になるチームは投手がいいですよね。昨年の花巻東の菊池雄生(現西武)を始め、駒大苫小牧の田中将大(現楽天)、早稲田実業の齋藤佑樹(現早大)、東北のダルビッシュ有(現日本ハム)、横浜の松坂大輔(現レッドソックス)、古くは、仙台育英の大越、PL学園の桑田、報徳学園の金村、愛工大明電の工藤(現西武)、浪商の牛島、星陵の小松、もっと古くは、銚子商業の土屋、横浜の永川、土浦日大の工藤、作新学院の江川、もっともっと古くなると、三沢の太田幸司、静岡商業の新浦、岡山東商業の平松、下関商業の池永(知っている人いないかな?)・・・まだまだいますが、やはり、甲子園で勝つには良い投手がいないと難しいようです。菊池雄生投手の再来に期待しましょう。

 2010年8月11日、WHOは、「新型インフルエンザの大流行終息宣言」をしました。去年の今頃は時間の問題で盛岡市でも流行が始まりそうという状況でした。あっと言う間に一年経ちましたね。今シーズンのインフルエンザはどの様な流行となるのでしょうか?全く見当がつきませんが、備えあれば憂いなしです。今年のワクチン接種はいつから始めるかまだ決めていませんが、昨シーズンのように2種類ではなく1種類の接種ですみますから、あまり大きな混乱はなさそうです。

 いつも夏には「日本脳炎ワクチン」についてのご質問を多くいただきます。今回のメールは「第1期初回2回接種後、第1期追加接種をしないままに、公費負担年令を超えてしまった」お子さんからのご質問です。

T.Sさんからの



 暑い日が続いていますが、先生始め職員の皆さん、お元気ですか。いつもお世話になっておりますT.Sの母です。といっても子供も大きくなり最近は殆ど受診することもなくなりました。今日は日本脳炎ワクチンについてお聞きしたくてメールしました。

 子供は小学校3年生になりましたが、日本脳炎ワクチンを第1期初回2回接種後、第1期追加接種をしないままにしていました。第1期追加の公費負担対象年令は7才6ヶ月までだそうですね。うちの子供の場合、すでに7才6ヶ月を過ぎていますので有料になると思いますが、第1期追加は省略して来年まで待って第2期接種を受ければよいのでしょうか?それとも、今年自費で第1期追加を受けて、さらに来年第2期接種を受ければよいでしょうか?お忙しいところすみませんがよろしくお願いします。





 お久しぶりですね。小さい頃はしょっちゅうカゼをひいたりして受診していても、いつの間にか丈夫になって小児科とは縁がなくなってしまいますよね。それがふつうですよ。

 さておたずねの件ですが、日本脳炎ワクチンは以下のように原則4回の接種が必要です。

【第1期 接種対象年令:生後6ヶ月〜90ヶ月未満】(公費負担年令)
<標準的な接種期間>
第1期初回:3才〜4才 2回接種(1〜4週間隔)
第1期追加:4才〜5才 1回接種

【第2期 接種対象年令:9才〜13才未満】(公費負担年令)
<標準的な接種期間> 小学校4年生 1回接種

 この対象年令から外れてしまった場合、ケース・バイ・ケースで修正していかなければなりません。厚労省は今年度から「日本脳炎ワクチンを積極的に勧める」という方針に変更しました。

 しかし、平成17年以降、「積極的に勧めない」という状況が続いていましたので、T.Sさんのように中途半端なままでいるお子さんが多くおります。第1期初回1回しか接種していないとか、第1期初回2回接種後、第1期追加接種をしていないとか・・・。

 この様なお子さんたちの接種スケジュールをどの様にしたらよいのか、厚労省では小委員会を設置して検討しているそうです。来年の夏頃までには方針を決めるようですが、ハッキリとしたことはまだわかっていません。また、現在第2期接種は行われていませんが、これも、今年の3月には、夏までには接種できるようにしたいという方針を打ち出していましたが、まだ、通知は来ていません。

 と言うわけで、さしあたり、医療現場で一人一人について考えていかなければなりませんが、T.Sさんの場合、せっかく第1期初回2回接種までは済んでいますので、早めに第1期追加接種をして免疫を上げておいた方がよいと思います。それで、しばらくは免疫が維持されますので、第2期接種をそんなに急がなくてもよいかと思います。いくら遅くとも、来年になれば第2期接種は、再開されると思いますが、9才〜13才未満が第2期接種の公費負担年令ですから、少し余裕があります。

 結論として、早めに第1期追加接種をして、第2期接種については少し待っていていいと思います。もう夏休みも終わったでしょうが、ちょっと時間を見つけて接種にいらして下さい。

2010年8月16日(月)
O-157出現!

 一時涼しくなったような気がしましたが、また、猛烈に暑くなりました。今日は群馬県館林市で最高気温37.1度を記録したそうです。暑さを通り越して具合が悪くなりそうです。

 今年のお盆は13日午前中だけ診療しました。けっこう患者さん見えましたね。あまり重症な患者さんはいなく、今日も無事終了と思ったその時、検査センターから検査結果のFAXが入りました。

 二日前にひどい下痢のお子さんが受診しました。血便も発熱もありませんでしたが、どことなく気になりましたので、便の検査をしました。その結果がFAXで送られてきたわけですが、ナント、病原性大腸菌O-157(陽性)でした。O-157は、保健所に届け出をしなければなりませんので、早速保健所へ連絡しました。その後は、ベロ毒素の検査→検査結果判明するまで患者さんは外出制限→ベロ毒素陽性なら家族も便検査という流れで行われます。

 ベロ毒素の検査は1〜2日かかりますが、今回は翌日に判明しました。その結果を患者さんのご家族と保健所へ連絡するために、14日もクリニックへ出勤しましたよ〜。その結果はベロ毒素(陽性)でした。直ちに連絡したところ、患者さんは元気に回復傾向、保健所では直ちに家族の検査に出かけるとのことでした。幸い軽症ですみそうですが、保健所の職員さんもご苦労様です。お盆でも救急は休めないですね。

 今年は病原性大腸菌はいつもの年より多いですよ。当院でも、O-157:1名、O-26:2名診断しています。みんな軽症でしたが、まだまだシーズンは続きますので、気をつけましょう。食中毒予防は「付けない」「増やさない」「死滅させる」ことが3大原則です。

 そんなわけで今年のお盆は、墓参りにいったくらいで、あまり遠出はしませんでした。お盆のいわれはいろいろあるようですが、「親族が集まってご先祖を供養し、亡くなられた人を偲ぶ行事」と、思っています。親族が集まり、故人の思い出を語り合うことは大変に意義ある良い風習だなと思っています。私の親族も、最少年齢12才〜最高年齢78才まで、11名集まって、にぎやかにご先祖様を偲びました。何か御利益があるといいですね。

2010年8月8日(日)
熱中症

 この頃とても暑いですね。この暑さはいつまで続くんでしょうか?何年か前にも暑くて米がとれなくなり、タイ米を食べたことがありました。今年はそれ以上の暑さでしょうか。昨年、一昨年と、殆ど夏らしい暑さはなく、梅雨が明けたら秋という感じでした。「夏が恋しい」と思ったりもしましたけど、今年は「夏が恨めしい」ですね。

 今日は朝の涼しいうちにお墓掃除に行って来ました。自分の住まいから歩いて5分くらいの所にお寺があります。子どもの頃から毎年お盆が近くなると、お墓掃除を家族全員でしました。大学卒業後はしばらく青森県にいましたが、お盆休みも取れないことが多く、10年以上墓掃除はしていませんでした。盛岡に戻ってからはまたするようになりましたけど、自分が子どもの頃とくらべるとメンバーも世代交代しましたね。今日は身近の親戚含め8人でした。ご先祖様も喜んでくれるでしょう。

 熱中症で搬送された人は5月末からの2ヶ月間で21.032人に上がり、98人が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。死亡人数だけをみれば、新型インフルエンザよりも重症?です。ならば、もう少し熱中症対策を考えても良さそうなものですが、あまり熱中症対策を耳にしません。暑いときは外に出ないこと。こまめに水分をとること。だいたいそんなことくらいでしょうか。大雨注意報や洪水警報のように、熱中症注意報もあればよいです。環境省熱中症予防情報サイトが参考になりますので、毎日見るようにしましょう。

 この頃、外来でも熱中症のお子さんを診ます。ウ〜ンと重症というわけではなく、前日、めいっぱい外で遊んで、翌日、ぐったりして来院というケースが多いです。「食あたり」ならぬ、「陽あたり」という感じです。点滴1本くらいで軽快していますが、炎天下での活動は控えましょうね。

 昨日から高校野球が始まりましたけど、大丈夫かな。いくら高校生でも甲子園の照り返しは結構きつそうです。何もこの暑い兵庫県で野球をしなくてもよさそうなものと思いますが、そうじゃないんでしょうね。みんな甲子園には特別な思い入れがあるんでしょう。

 よく「水分は何を飲んだらよいですか」と聞かれますが、ただの水だけを飲むのではなく、塩分、糖分がほどよく入った飲み物がよいです。ニュースでは、スポーツ飲料を飲むように進めていますが、市販のスポーツ飲料は、糖分が多く、塩分が少ないので、そのまま飲むのではなく、一工夫してから飲みましょう。熱中症を参考にしてください。

 だいぶ、手・足・口病が流行ってきました。前にもお話ししましたが、今年の手・足・口病はいつもとちょっと違いますね。手の甲や足の甲に水疱ができたり、腕や大腿部にも水疱ができますし、その水疱もちょっと大きめです。1〜2日間熱が出てから水疱出現なんていう場合もあります。今年の手・足・口病は全国的に重症型のエンテロウイルス71型が流行っていると言われていますが、このようないつもとは違う症状がエンテロウイルス71型なのでしょうか?

 リンゴ病もチョコチョコ見られますが、静岡県ではリンゴ病が麻疹と誤診されたケースがあったそうです。リンゴ病も麻疹も赤い発疹が見られますが、重症度が全く違います。よく診れば違いはわかりそうなモンですけどもね・・・。
 麻疹は、時々発生するといっても以前のような大流行は久しくありませんので、麻疹を診たことのない医師も多くなってしまったからでしょうか。そういう自分もここ2〜3年麻疹を診ていません。このままズ〜ト診なくてすめばいいですね。

2010年7月25日(日)
Hibワクチン:予約なしで接種出るようなりました。

 今年も高校野球の季節になりました。昨年はあと一歩のところで県代表を逃した母校でしたが、今年もベスト4まできました。今日午前中は所用があって応援に行けませんでしたが、12時過ぎて時間が取れそうでしたので、これから県営球場に行こうかなと思っていたところ、残念ながらコールド負けでした。ウ〜ン、甲子園への道のりは遠いですね。

 今年は母校創立130周年にあたり、周囲も期待を寄せていましたが、残念でした。捲土重来し、来年こそは頑張れ。

 今年も夏カゼが流行ってきました。春先から手・足・口病が西日本で流行っていましたが、重症タイプのエンテロウイルス71型が流行しているというので、戦々恐々としています。

 岩手県でも流行り始めてきましたが、今年の手・足・口病は、いつもの年とちょっと症状が違うようです。ふつうは、小さい水泡が、手、足、口、膝、臀部などの皮膚が柔らかい部分に見られるのですが、今年は、手の甲、手首〜腕、足の甲〜下腿、あるいは、体幹にも少し大きめな水疱が見られます。また、1〜2日間発熱が続いて、解熱する頃から水疱が見られたりしています。という具合に水泡の出現部位、形が、いつもの手・足・口病とは異なっている感じがします。

 今のところ岩手県内では重症例は発生していないようです。暑い日が続く異常気象とは関係ないもしれませんが、いつもと違う手・足・口病は何となく不気味ではあります。

 Hibワクチンが、7月から供給量が増えました。現在接種順番待ちのお子さんは全員接種できます。メーカーによると、今後も供給は十分維持されるということですので、Hibワクチンはいつでも接種できそうです。

 肺炎球菌ワクチンもHibワクチンも早く公費負担で接種出来るようになるといいです。しかし、実際に肺炎球菌ワクチンもHibワクチンも三種混合ワクチンと同様に公費負担で接種可能となれば、生後(2)3〜6ヶ月くらいの間に、三種混合ワクチン3回、肺炎球菌ワクチン3回、Hibワクチン3回、と、合計9回接種しなければなりません。同時接種できるといっても一度に3本のワクチンを接種するのは、接種される赤ちゃんの方も接種する医師の方も負担が大きいですよね。現在も何人かの赤ちゃんには3本同時接種していますが、これをほぼ全員に行うとなると、結構大変です。
 
 ワクチン供給量が増えて一安心。→ 早く公費負担になってほしい。→ 効率のよい接種方法を考えなければならない。というわけで、これはこれでまた悩み事が増えそうです。

2010年7月18日(日)
熱が下がらない「夏カゼ」

 ここ数日、梅雨らしい天気になりました。来週くらいには梅雨明けして暑くなるんでしょう。やっと、夏だな。でも、盛岡の夏はあっと言う間に秋になってしまいます。それだけに短い夏を十分楽しみたくなります。

 相変わらず、夏カゼが流行っています。夏カゼの主な症状は発熱ですが、熱が続くとみんな心配になりますよね。発熱についてのご相談メールもよくいただきます。今日はそのうちの1通をご紹介します。

Y.Tさんからの



 いつも、ホームページを楽しく拝見させていただいてます。私は盛岡市に住んでいませんので、吉田先生に診ていただいたことはありません。なのに、ご質問をするのは少し図々しいように思いましたが、ちょっとお聞きしたいことがあったので、メールしました。よろしくお願いします。

 先日2才の長男が、夏カゼに罹りましたが、1週間も熱が下がりませんでした。熱以外には特に症状もなく、そんなに元気がないわけでもなかったのですが、かかりつけの先生からは入院を勧められて、結局入院してしまいました。夏カゼは軽いと思っていましたが、そうでもなかったです。  

 かかりつけの先生からは、「バイ菌をやっつけるために熱が上がる」とか、「熱を下げない方が早く治る」とか、説明されました。吉田先生のホームページでも同じような説明ですね。
 
 そこで、ご質問ですが、熱が上がって、バイ菌をやっつける仕組みがよくわかりません。また、それは1週間も続くことがあるんでしょうか。それに、坐薬を使って熱を下げてはいけないのでしょうか。お忙しいところ、すみませんが、教えて下さい。





 お便りありがとうございます。確かに1週間も発熱が続くと夏カゼは軽いなんていってられませんね。発熱と熱冷ましでは、簡単な説明にとどめていますが、ここでは少し詳しくお話しします。  

 私たちの体に、バイ菌(細菌やウイルス)が侵入してくると、このバイ菌を排除するために、免役活動が活発になります。免疫活動で大きな役目を果たしているものはサイトカインとよばれるものです。  

 サイトカインは白血球から産生されますが、多くの種類があります。その中には発熱物質を作るサイトカインがあります。なぜ、発熱物質が作られるかというと、一つは、バイ菌の増殖を防ぐためです。体内に侵入したバイ菌が増えていくためには適度な温度環境が必要です、そこで、それ以上に体温を上げることによってバイ菌の増殖を防ぐわけです  

 もう一つの理由は、発熱によって体温が上昇すると、免疫が活発になり、多くのサイトカインが働くようになるからです。サイトカインは、発熱物質を作るだけでなく、バイ菌に対する抗体を作ったり、バイ菌に破壊された組織を修復したり、あるいは、眠気を促進する物質を作ったりします。(人は眠ることによって免疫力が高まります)  

 つまり、発熱は生体にとって防御反応の一つであるといえます。発熱はバイ菌が出しているのではなく、私たちの体がバイ菌と戦うために出しているのです。ですから、なるべく熱は下げない方がよいわけですが、何日も熱が続くと心配になりますよね。  

 それでは、夏カゼで熱が下がらない場合は、私達の免疫はどの様になっているのでしょうか。難しいことはきりがないので、わかりやすく、主に、以下の4通りの場合があると思って下さい。

1.免疫力が弱くてバイ菌を排除するだけの免疫ができない。〜“抵抗力が弱い”状態。多くのお子さんがこれです。
2.肺炎、気管支炎などを併発している。〜いわゆる“合併症”です。
3.新たなバイ菌に罹ってしまった。〜いわゆる“二次感染”です。
4.すでにバイ菌が体内から排除されたにもかかわらず、免疫が頑張っている。〜いわゆる“免疫の暴走”です。  

 夏カゼで1週間以上熱が続いている時は、大体は、上記の4通りのどれか、あるいはいくつかの組み合わせです。

 それぞれの場合によって治療は異なりますが、1週間以上熱が続いたら、入院した方がいいと思いますよ。お子さんの場合、あまり重症感はなかったようですので、やや、“抵抗力が弱い”状態にあったのではないでしょうか。

 「熱冷まし」を使わない方が治りが早いとは言え、高熱が続けば、食欲も減退し、体力も消耗します。こんな時は「熱冷まし」を使ってもいいと思います。「熱冷まし」による解熱作用は一時的で、すぐまた上がってきますが、少しの間でも熱を下げて、食事をしたり、入眠したりすれば、体力の回復も早まります。こんな感じで、「熱冷まし」を使われればよいです。

2010年7月7日(水)
ワクチンお知らせハガキ

 今回のワールドカップは、審判の判定が微妙ですね。オランダ−ウルグアイ戦もゴールを巡ってチョット混乱したようです。日本戦ではあまり判定を巡るトラブルはなかったようでした。でも、PK戦は惜しかったですね。ワールドカップで、PKを外した外国の有名な選手が「PKを入れても誰も覚えていてくれないが、PKを外したら誰も忘れてくれない」なんて言っていましたが、ウ〜ンその通りかな?外した選手はチョット気の毒です。
 
 どうもPKで決着をつけると言うこと自体がスッキリしないです。でも、PK戦はそんなに古くから行われていたわけではないようです。昔は、同点で勝負がつかない時はコイントス(硬貨を放り上げてその裏表を当てる)で決着をつけていたそうです。ところが、同じチーム同士が3回続けて戦い3回とも引き分け〜コイントスとなり、全て同じチームがコイントスで勝ったため、負けた方のチームがFIFAに猛抗議をして、PK戦が生まれたようです。知りませんでした。
 
 この頃、日本脳炎ワクチンを接種するお子さんが増えています。ところで、日本脳炎ワクチンは、第T期初回接種後、約1年後に第1期追加接種を行うことになっていますが、この「約1年後」とは、具体的にはどのくらいの期間かわかりますか?実は誰もわかっていないんですよ。昔、日本脳炎ワクチンは今のような個別接種ではなく集団接種でしたので、夏休みに接種していました。そこで、追加接種は来年の夏休みという具合に「約1年後」と決まったようです。

 平成16年度まで、盛岡市では、6月〜9月の4ヶ月間を日本脳炎ワクチンの接種期間としていました。この理屈から言えば、1年±4ヶ月(8〜16ヶ月間)が約1年後ということになりますが、市の担当者に確認したら、ハッキリしたことはわからないとのことで、さしあたり1年±1ヶ月ならよいのではないかということでした。とても曖昧ですね。

 この「約1年後」は全国的にも統一された期間になっていないので、いろいろもめることもあるようです。そこで今年度中には「約1年後」ではなく、ハッキリとした期間を設定するということになりました。大したことでもないように思いますが、決まりを重んじる人たちには、重要な課題なんでしょう。早いところ決めてほしいですね。

 ところで、追加接種が必要なワクチンの初回接種〜追加接種の期間はワクチンによって異なります。例えば、三種混合ワクチンは6ヶ月〜1年6ヶ月(1年〜1年6ヶ月が望ましい)、Hibワクチンは1年〜1年3ヶ月、肺炎球菌ワクチンは60日間以上あけて1歳過ぎ、日本脳炎は約1年。いくつものワクチンがあると、それぞれいつ追加接種するのか、忘れてしまうこともありますよね。

 当院では追加接種のあるワクチンについては、接種時期が近づいてきたら【ワクチンお知らせハガキ】を出して、お知らせするようにしています。転勤されても住所変更届をしていれば、新住所に【お知らせハガキ】が届きます。「引っ越してすっかり忘れていたけど、【お知らせハガキ】をもらって忘れずに接種できた。」と、お礼のお便りをいただくこともあります。遠くからいただくお礼のお便りは嬉しいですね