軽症ですが、年長児や成人は注意
リンゴ病は、ヒトパルボウイルス(HPV)B-19による感染症です。顔面の蝶型の紅斑に続いて、手・足・(体幹)に網目状(レース状)の紅斑が出現します。
本症は、5〜9才がよく罹ります。ウイルスに感染してから、17〜18日くらい経ってから発疹がでます。ウイルスは感染後1週間くらいは体外に排泄されますが、発疹がでる頃には、殆ど排泄されません。(極めて少しは排泄されています。)
つまり、発疹出現以前に他の人への感染をおこしているのです。
従って、発疹のでている子を、他のお子さんへの感染を理由に休園(校)させる必要はないと考えられています。ただし、本症にも合併症がみられますので、以下の事項をよく理解しておくことが大切です。
@.手・足・体幹の発疹は約1週間続きます。顔面の紅斑は7〜10日くらい続きますが、日光に当たると紅斑が強まることがあります。
A.発疹出現後数日間は、少ないながら感染の可能性があります。
B.合併症として、関節炎や、貧血がみられることがありますが、決して多いものではありません。年長児や大人が感染しますと関節炎症状(手指のこわばり、膝関節痛など)が時々みられます。
C.免疫不全症の人が感染すると、重症な溶血性貧血を起こすことがあります。
D.妊婦さんが罹患すると流産の原因になることがあります。
ところで、ヒトパルボウイルス(HPV)B-19 感染症では、必ずしも、顔面に発疹が出現しないこともあり、風疹や、麻疹のような発疹がみられることもあります。こうなるとリンゴ病の診断に迷うことになります。
一般に、リンゴ病=ヒトパルボウイルス(HPV)B-19の感染症 と考えられていましたが、このウイルス感染では、いろいろなタイプの発疹がみられることがわかってきました。そこで現在では、ヒトパルボウイルス(HPV)B-19感染症のうち、顔面の蝶型の紅斑や、手・足・(体幹)の網目状(レース状)の紅斑がみられるような場合をリンゴ病と診断しています。年長児や、成人では顔面の紅班が出現せず、関節症状だけがみられることがあります。
リンゴ病の登園(校)停止の如何については、積極的に休園(学)する必要はないと思いますが、最終的には、各保育園、幼稚園、学校にはそれぞれ園医(校医)さんや養護の先生がおりますので、各園(校)で一定の基準を設けていることが多く、それに準ずればよいと思います。