診察室便り

2010年6月24日(木)
Hibワクチン出荷数増加!

 今年のワールドカップは、始まるまではいまいち盛り上がりが少なかったようですが、カメルーンに勝ったとたんにフィーバーしてきました。
 
 オランダ戦は予想通り(?)敗退しましたが、大善戦でした。そして。いよいよ明日デンマーク戦に期待がかかります。強い方が勝つといっても勝負には微妙な心理状況が影響します。デンマークはおそらく日本がここまでがんばるとは思っていなかったでしょうから、気持ちの上では日本が有利に見えます。午前3時でしたね。多分寝てると思いますので、結果は明日見ます。日本がんばれ!
 
 サッカーとは全く関係ありませんが、Hibワクチンについてお知らせがあります。現在、Hibワクチンは毎月決まった本数しか出荷されておらず、接種待ちのお子さんが大勢います。

 何とかもっと早く接種できないものかと思っておりましたが、やっと、7月から供給量が倍近くに増えるようです。そうしますと、現在接種待ちのお子さんたちは、大体、7〜9月にかけて全員接種できそうです。

 また、10月からはさらに供給量が増えますので、10月下旬以降はいつでも接種したい時に接種できるようになりそうです。

 2008年12月発売以来、予約しても半年くらい待たなければ接種できない状況でしたが、やっと、正常な状態になりそうです。もう少し詳細が判明しましたら、HPや院内にも掲示しますので、ご覧下さい。

2010年6月10日(木)
チョット早いインフルエンザワクチンの話題

 だいぶ暑くなってきました。手・足・口病ヘルパンギーナプール熱のような夏カゼは、まだ、あまり流行っていませんが、『のどが赤くなって、熱の出る夏カゼ』が、流行っているようです。 

 夏カゼの原因はウイルスです。殆どのウイルスには特効薬がないので、免疫ができるまでの間、ジッと待たねばなりません、とはいえ、熱が続くと熱冷ましが使いたくなります。
 
 あまり使わないようにと言いながら、熱冷ましを処方していますが、チョット変ですよね。「使うなといいながら、処方する」のはね・・・。熱冷ましの使い方は、発熱と熱冷ましを参照して下さい。
 
 まだ、夏にもなっていませんが、冬の話題として、今年度のインフルエンザワクチンについてご紹介したいと思います。昨年度と異なる(であろうという)ことが二つほどあります。

 一つは、昨年度までの季節性ワクチンは、(A香港型+Aソ連型+B型)から、(A香港型+A新型+B型)に変更されます。昨年度は季節性ワクチン+新型ワクチンの二種類を接種しましたが、今年度は季節性ワクチン一種類で間に合うことになります。Aソ連型を外して、代わりにA新型を入れたわけですが、Aソ連型については多くの国民が免疫を持っている(?)と言うことらしいです。本当に外しても大丈夫なのかなと、少し心配ではあります。でも、昨年のように、季節性と新型を2〜4回も接種する事はなくなりそうですから、よいことと思っています。

 もう一つは、子どもの1回あたりの接種量が変わりそうです。現在は下表のような接種量ですが、特に低年令ほど量が少なく効果が不十分と言われています。

  1才未満 0.1ml
  1才〜6才未満  0.2ml
  6才〜13才 0.3ml
  13才以上 0.5ml

 インフルエンザワクチンの効果がイマイチというのは、接種量が少ないことも原因の一つと言われていました。そもそも、殆どのワクチンが乳幼児も成人も同量で接種しているのに、インフルエンザだけがなぜ、この様に年令によって接種量に違いがあるのかよくわかりません。

 昔のワクチンは副作用として、発熱や発赤がよく見られたため、年令、体重を基に設定したといわれていますが、現行のワクチン(1972年以後)は殆ど副作用もないので、いつまでも、昔のワクチンの基準にこだわらず、もっと接種量を増やした方が効果も上がると思います。

 そこで、独立行政法人国立病院機構が、WHOの推奨する新しい接種量で、臨床試験を実施したところ、効果が確認されました。その結果、今年度は下表のような1回あたりの接種量になりそうです。今までよりも効果が期待できそうです。

  3才未満 0.25ml
  3才〜13才未満  0.5ml

 ところで、この新しい接種量は、医学的には証明されたものの、まだ、法的な手続きを踏んでいません。接種量を変更するには法改正が必要なんだそうです。なんと、現在開かれている国会で審議される予定なのだそうですが、今の国会もめていますよね。本当に国会で決まるんでしょうか、今決まらないと、シーズンに間に合わないように思いますけどね。そうしたら、また、昨年度と同じ量で接種・・・。これじゃ困るよ〜。

 何とかなるんでしょうが、少し不安です。それと、いつから接種開始したらいいのか、これも迷います。昨シーズンは今頃から流行ってきてましたよね。今後の情勢を見て考えますけど、ワクチンが出荷されるのは夏過ぎですから、早めに流行が始まったら、大量に残っている新型ワクチンから接種することになるんでしょうかね?

 追記:平成22年7月7日、インフルエンザワクチン接種量の変更は、6ヶ月〜1才児のデータが少ないため、今年度は見送られることになりました。残念ながら今年度も昨年度と同じ接種量のようです。

2010年6月2日(水)
熱性けいれん後の予防接種

 ついにというか、やっとというか、鳩山首相が辞任しました。今日のワイドショウーはこの話題で持ちきりでしたね。しかし、マア〜、コメンテェーターの言いたい放題ですね。ズ〜ト聞いていると、だんだんその通りなんだなと思ってくるから不思議です。日本人は煽動されやすいんでしょう。

 鳩山首相が最後に小沢幹事長を道連れにしたのは、意地を見せたのか、演出なのか、どうなんでしょう。海外では日本の総理大臣は1年任期だと思ってるのかもしれませんね。

 政治に関する話題は難しいです。人それぞれ支持政党がありますからね。あまりこういう話題には触れない方がいいかもしれません。でも、一言だけ、「日本の政治家は本当にこの国のために働く気があるのだろうか?私利私欲のために国会議員になっているのではないだろうか?不明瞭な金の問題は秘書が勝手にしたことでケリをつけ、選挙に当選することしか考えていない。」と思ってしまうのは私だけでしょうか?国家の問題は山積みです。まず、【経済を立て直す】ことが最大の課題です。次の総理大臣には是が非でも経済復興に取り組んでいただきたい。

 話はがらりと変わりますが、熱性けいれん後の予防接種についてご質問をいただきました。昔は熱性けいれんを起こすと1年間おいてから予防接種をするように教科書に書かれていました。なぜ?今ではチョット考えられないですよね。

K.Hさんからの



 よしだ先生 いつもお世話になっております。

 さっそくですが、息子は(現在1歳10ヶ月)3月8日に1回目の肺炎球菌ワクチンを接種し、5月10日以降に2回目の接種をすることになっています。
 ちょうど5月10日に初めての熱性けいれんを起こしました。(そちらで診察を待っているときに起こしました。)

 先生のクリニックのホームページには、初めて熱性けいれんを起こしてから予防接種まで、3ヶ月あけるようにとあります。3ヶ月あけると、初回のワクチン接種からだいぶ期間があいてしまうのですが、2回目の接種はいつごろがよいのでしょうか。今は熱もなく体調もよいので、今のうちに・・・と思ったのですが。。。

 お忙しいところ恐れ入ります。よろしくお願いします。





 お便りありがとうございます。熱性けいれん後の予防接種についてのお問い合わせですね。

 熱性けいれん後、どれだけの間隔をおいて予防接種をすればよいかという決まった基準はありませんが、一応の目安として、『初発の熱性けいれんでは3ヶ月、何回かおこしている場合は1ヶ月くらいおいて接種』というのが一般的ではあります。

 初発の熱性けいれんでは、単純な熱性けいれんかどうか、他の疾患によるけいれんではないか、などということを配慮して、少し経過をみてから接種した方がよいだろう。というので3ヶ月あけるようです。しかし、特別な根拠があるわけではなく、実際は、ケース・バイ・ケースで接種されていますので、この基準は参考程度です。

 私は、ふつうの熱性けいれんであれば、初発でも1ヶ月あければ十分と考えております。また、インフルエンザなどが流行しそうで、早めに接種しなければならないような時は、初発でも2週間後に接種しています。
 
 熱性けいれんを起こした後に脳波検査をすれば、全例ではありませんが、2週間くらいは脳波に異常が見られることがあります。このことを配慮して最短でも2週間はあけています。

 肺炎球菌ワクチンは、1才〜2才では60日間以上あけて2回接種となっています。これは、60日経過すればすぐ接種しなければならないというわけではありません。もう少し間隔があいてもかまいませんが、忘れないように60日経過したら早めに接種と思っていただければよいです。

 お子さんの場合、5月10日に熱性けいれんを起こしましたので、1ヶ月くらいあけて、6月9日(水)、あるいは、6月10日(木)くらいに接種されればよいと思います。

 『初発の熱性けいれんでは3ヶ月、何回かおこしている場合は1ヶ月くらいおいて接種』という基準は、小児科の教科書に記載されていますが、一つの目安です。絶対的なものでありません。
 私が医師になった頃の教科書には、『熱性けいれん後、予防接種は1年間あける』となっていました。当時のワクチンは副作用でよく発熱がみられましたので、慎重になったんだと思います。でもネ〜1年もあけたら、なんにもできませんよね。数年後の教科書では、半年後になっていましたが、あまり変わりませんね。さらに、麻疹ワクチンは発熱が多いというので、熱性けいれんを何回も起こす子には、なんと、抗けいれん剤(けいれん予防の薬)を接種2週間前から内服して接種したりしていました。今では考えられない話ですね。

 どうぞ、安心して、接種にいらして下さい。

2010年5月27日(木)
日本脳炎ワクチン

 この頃寒いですね。また、冬に逆戻りしそうな天気です。そのせいか、体調を乱すお子さんも多いです。今の時期にしては喘息発作も多いです。早く暖かくなればいいですね。

 今日は、日本脳炎ワクチンについてのご質問をいただきましたので、ご紹介したいと思います。平成17年5月の「積極的勧奨接種の差し控え」から、5年経過し、再び「積極的に接種」することになった日本脳炎ワクチンですが、接種未完了のまま中途半端になっているお子さんが大勢います。早く、ワクチンが十分供給され、みんなが無料で接種できるようになるといいです。

K.Sさんからの



 息子がお世話になっております。

 早速質問なのですが、息子は北海道生まれで6歳まで北海道に 居住しておりました。盛岡には3年ほど前に転勤で住む事になりました。北海道では日本脳炎のワクチン接種は必要ないですよね?と思って息子には受けさせた事はありませんでした。

 もう少しで息子は9歳になりますが、今から日本脳炎ワクチン を接種することはできるのでしょうか?





 お便りありがとうございます。

 「日本脳炎ワクチン」は、今年度4月より、再び「積極的に接種」再開となりましたが、平成17年5月の「積極的勧奨接種の差し控え」以後、接種を控えて、未だに接種されていないお子さんも多数おります。

 お子さんは北海道在住だったようですね。確かに、北海道では日本脳炎ワクチンは必要ないように思われていますが、北海道にも日本脳炎に感染している豚はいます。

 日本各地の豚の日本脳炎ウイルス抗体価を調べた結果、九州、四国、中国地方では80%以上、北海道でも50%以下ではありますが抗体を保有しており、罹る確率は西日本と比べると低いですが、北海道にいるから日本脳炎に罹らないということはありません。また、今後流行地域で生活されることもあると思いますので、ワクチンは接種しておいた方がよいと思います。

 ところで、現在9才ということは、第T期の接種対象年令(生後6ヶ月〜90ヶ月未満)を過ぎています。この様な場合どうしたらよいか?ということですよね。
 
 この年令に該当しない場合でも、日本脳炎ワクチンは接種できますし、日本脳炎は常に感染の危険がありますから接種した方がよいと思います。ただし、任意接種扱いになりますので、有料です。第T期初回2回、第T期追加1回、第U期1回、の合計4回を自費で接種しなければなりません。これでは、あまりに個人負担が大きく接種をためらわれる方が多いように思います。そもそも、国が積極的に勧めないから接種しなかっただけで、接種したいと思っていた人は大勢いたはずです。その人たちの救済策を国は考えなければなりません。

 現在、一年間に製造される日本脳炎ワクチンは500万本です。平成17年以後、接種を控えていたお子さんたち全員に接種しようと思うと、1500万本以上のワクチンが必要です。さすがにこれではどこにも足りなく、希望者全員に接種することはとうていできません。

 そこで、厚労省は今年度は第T期の接種対象年令(生後6ヶ月〜90ヶ月未満)のうち、標準的な接種年令に該当する3〜5才に対して積極的に接種を勧める方針としました。

 それ以外の年令については、ワクチンの供給量に不安があること、接種が未完了の場合(例えば、1回しか接種していなかったり、2回しか接種していなかったり、)どの様にして、完了させればよいのか基準がハッキリしないこと、などから、今年度は積極的に接種するとは言っていません。ただ、積極的に勧めないとも言っていません。「接種希望者は、かかりつけ医と相談して決める。」という現場丸投げの方針は相変わらずです。

 しかし、未接種者には何らかの形で救済しなければならないことは事実ですし、厚労省も、ワクチンの供給量を見ながら、積極的接種対象者を増やしていく方針です。ここ数年かかると思いますが、いずれ接種希望者は全員接種できるようになると思いますし、少しは負担が少なくなると思います。全く無料になるか、一部負担金が必要になるのか、全額自己負担のままなのか、わかりかねますが・・・。

 以上が、日本脳炎ワクチンの現状です。今の盛岡市で急に日本脳炎が流行することは考えがたく、K・Sさんの場合も、もう少し待ってから接種されてもよいように思います。もし急いで接種を希望されればできますが、その場合は自費になります。

 日本脳炎ウイルスを運ぶ小型アカイエカは、夕方〜夜間に活動して人を刺します。最近の日本家屋の窓枠は、殆どサッシですし、エアコンも普及し、容易に小型アカイエカは家に入れない環境になっています。ですから、夕方〜夜間に、あまり外出しないようにすれば、感染の危険は少なくなると思いますよ。

2010年5月20日(木)
口蹄疫(こうていえき)は、牛の手・足・口病?

 昨年の今頃は新型インフルエンザで戦々恐々としていました。今年は口蹄疫で宮崎県は大変なことになっていますね。宮崎牛が松阪牛や但馬牛などの種牛になっているなんて知りませんでした。相当なブランド商品なんですね。

 口蹄疫は、ウイルスによる伝染病で「口と蹄(ひづめ)の病気」です。致死率は、幼畜では高率で50%を越えることもあるようですが、成畜では数%程度のようです。しかし、ウイルスの伝染力がかなり強く、また、発育障害、運動障害、泌乳障害などの後遺症がみられ、「商品価値のない牛」になってしまうようです。そのため、畜産農家は大きな経済被害を受けています。

 口蹄疫は、人には感染しないそうですので、あまり気をつけてニュースを見ていませんでしたが、口や手足(蹄)に症状が出るんですね。水疱をつくったり、発熱したり・・・。人が罹る「手・足・口病」と、何となく症状が似てますね。全く別な病気ですけどね。
 口蹄疫は、英語でfoot-and-mouth disease(FMD)と言います。「牛の手・足・口病」と言っても良さそうです。

 ところで、今年は3月頃から西日本を中心に「手・足・口病」が増えています。それも重症型のエンテロウイルス71型が多くみられており、本来の流行期である今年の夏は要注意とされています。幸い今のところ重症な患者は診られてないようです。

 口蹄疫はアフトウイルスが原因で、手・足・口病はエンテロウイルスが原因です。この二つのウイルスは異なったウイルスですが、どちらもピコルナウイルス科のウイルスですので、大きな分類では同じ仲間のウイルスと言ってもいいです。
 
 チョットわかりにくいかな?例えば、盛岡市と花巻市は全く別の市ですが、岩手県内にある市という意味では同じですね。アフトウイルスとエンテロウイルスも、盛岡市と花巻市のようなものと思って下さい。

 口蹄疫は宮崎県で、手・足・口病は西日本で、それぞれ流行がみられていると言うことは、これらのウイルスが増殖するのに都合のよい気象条件でもあるのでしょうか?

 流行性耳下腺炎(オタフク)も、水痘(水ぼうそう)も、昨年の秋頃からズ〜ト流行しています。昔は「夏のオタフク、冬の水ぼうそう」なんて言われていましたが、もうウイルスの流行に季節は関係なくなったんでしょうね。夏でもインフルエンザは出ますしね。

 5月に入ってから、山梨県では大学生の新型インフルエンザの集団感染がありました。三重県では小学生が季節性インフルエンザに罹りました。鳥インフルンエンザは世界の各地で依然として存在しています。そういえば、数年前にはSARS(サーズ)なんていうとんでもないウイルスも出現しましたね。

 もういつでも人類にとって恐ろしいウイルスが出現してもおかしくないような状況になっているようです。何でもかんでも異常気象が原因とは言えませんが、やはり、温暖化の影響はあるんじゃないでしょうか?「夏は暑く、冬は寒く」 自然が一番です。

 宮崎県の畜産農家は本当に困っていると思います。一刻も早く感染が終結してほしいです。

2010年5月16日(日)
ニセ医者だと!?

 ちょうど1週間前の今日、新聞に宮古病院の「ニセ医者」の記事が載っていました。もうみんな知ってますね。アッと驚いた。戦後のドタバタした時代には、けっこういたようですが、まさか、今の時代にネ〜。

 宮古市に限らず、岩手県は医師不足が深刻です。こういう弱みにつけ込んだのでしょうか?ところで、本当に医者になりすまして、診療しようとしたのでしょうか?

 宮古病院の院長は何回か面接しているようですが、どんな話をしたのでしょうね。今は、テレビドラマでも医療番組はよく見ますし、少し医学の知識があればそれなりの会話にはなるんでしょう。でも、チョット専門的な話題になればボロが出たはずですから、キット「あやしい」と思ったはずです。以前に勤務していた病院や、出身大学に問い合わせれば、すぐわかったでしょう。でも、そういう詮索をすると、気分を害して「勤務や〜めた」ナンテ事を心配したんでしょうね。

 ところで、この「ニセ医者」は、本当に診療するつもりだったんでしょうか?実際に診療すれば、すぐにばれるはずです。【循環器専門医】で心カテ(下記注1参照)の経験も豊富と言ったそうですが、そう簡単に心カテなんてできやしないよ。私は勤務医の頃は「子どもの心臓病」を診る【小児循環器専門医】でした。子どもの心カテは、生まれたばかりの赤ちゃんを始めとして、何百例も経験しました。もともと心臓が悪い子たちを検査するわけですから、心カテ中に状態が悪化したりして何回も冷や汗を流しました。
 
 心カテは非常に高度の技術を必要とされます。日々研鑽し、腕を磨いてこそできることです。それをこの「ニセ医者」は、見よう見まねで行うつもりだったんでしょうか?あきれてものが言えない。医学を愚弄している。大きな憤りを感じるとともに、見よう見まねで医療行為ができると思っている軽薄さに情けなくなってきます。

 私も県立病院(北上病院:現 中部病院)に勤務したことがあります。大学からの派遣でしたので、大学(教授)と医療局の間で勝手に決められてましたね。医療局関係者とは面接どころか会うこともなく、まっすぐ勤務地へ着任、その日に院長、事務長にごあいさつして、即、診療開始でした。医師免許証(下記注2参照)は勤務してからコピーを提出しました。今から見ると、ずいぶんいい加減でしたね。大学と医療局との信頼関係が良かったんでしょうが、今の時代ではこれではダメですね。キチンと身元を確認して、面接や基礎的な医学知識の試験も必要かもしれないです。

 今回の「ニセ医者」は、何をしたくて宮古に来たのか今のところ動機もよくわかっていないようですが、医学は決して見よう見まねの付け刃でできることではありません。幸い、診療以前(?)に発覚しましたから、患者さんには被害がなかったことが不幸中の幸いでしょうか。二度とこの様な事件が起きないようにしてほしいです。


注1 心カテ:心臓カテーテル検査と言います。主に大腿部の血管から心臓にカテーテルという細いチューブを挿入し、心臓病の検査、治療を行う医療行為です。医者なら誰でもできるわけではなく、専門的技術が必要です。私も今はもうできません。

注2 医師免許証:チョット大きめの表彰状のような形です。運転免許証のようにコンパクトではありません。氏名、医籍登録番号、本籍地、厚生労働大臣名が記載されています。医師免許証は紛失した場合、再発行されないそうです。大事に保管するように言われました。と言うわけで、私はたくさんコピーをとってあります。ちなみに、診察室に掲示している小児科学会専門医証、アレルギー学会専門医証もコピーです。こちらは再発行してくれるそうです。やはり、「医師免許証」は重いですね。

2010年5月7日(金)
今年の「手・足・口病」は、要注意?

 この頃の新聞の第一面は、沖縄米軍基地移設の話題が多いですね。でも、沖縄県内か県外かと言うことより先に、なぜ、日本の国に他国の軍隊が存在するのかと言うことを議論すべきと思いますが、どうでしょう?もっとも、この話になると、少なくとも日米安全保障条約あたりまで話がさかのぼるんでしょうから、とっても難しくて政治音痴の私には、わかりません。これ以上コメントできませんが、米軍基地の問題は沖縄県だけのことではなく、日本全体のことだと思います。どんな形で決着するのでしょうか。とても不安です。

 日本は、医療、福祉、教育、経済など多くの分野に課題を背負っています。今、一番大事でかつ早急に行わなければならないことは、「経済の立て直し」だと思います。しかし、どうも、ハッキリした経済政策が見られないような気がします。これまた不安です。・・・私には腹案がある。・・・不安じゃないの?

 「子ども手当」もありがたいけれど、いつまで財源が続くのやら?行き着くところは経済政策の成否にかかっています。財源がなくなれば増税では国民は疲弊してしまいます。

 さて、政治の話はこの辺にして、今年はというか、今年もというか、異常気象のせいでしょうか、春まだ浅い時期ですが、全国あちこちで、「手・足・口病」が流行り始めてきたようです。

 国立感染症研究所によりますと、過去11年間で最多ということです。「手・足・口病」は、その名の通り、手.足.口などに水疱(すいほう)性の発疹ができる程度で、本来は短期間に自然治癒する「軽〜い病気」ですが、時として「命に関わるような重症例」が見られることもあります。

「エンテロウイルス」というウイルスが原因となることが多いのですが、「エンテロウイルス」にはさまざまなタイプがあります。今年は、髄膜炎などの中枢神経系の合併症を引き起こす恐れがある「エンテロウイルス71型」が、増えているようです。

 今のところ重症患者の報告はありませんが、これから夏に向かって、「手・足・口病」は、流行してきます。チョットした発熱くらいですぐ心配するのも考えものですが、今年の夏は「手・足・口病」は、要注意かもしれません。

 これから、いろいろ感染症情報が入ってきますので、院内掲示や、ホームページなどでお知らせするようにします。

2010年5月2日(日)
【第113回 日本小児科学会】 その2

 4月23日〜25日に、盛岡市で【第113回 日本小児科学会】が開催されました。新聞には5千人以上の参加者となっていましたが、実際は4千人くらいだったようです。もっとも、3日間の延べ人数にすれば5千人以上になりますね。

 4月は、盛岡市で全国規模の医学学会が三つも開催されました。(日本脳卒中学会、日本小児科学会、日本泌尿器科学会)けっこう全国から人が集まりましたので、盛岡市にも経済効果大いにありです。盛岡は東北ですが、新幹線も空港もありアクセスはよいようですので、時々全国学会も開かれています。

 小児科学会は3日間でしたが、診療もありましたので、土曜日の午後と日曜日に行って来ました。マリオスとアイーナに七つの会場が設けられて、とても全部に参加することは出来ませんでしたが、いろいろ見聞を広めてきました。

 新型インフルエンザの発表では、重症例の検討があちこちの施設から報告されていました。なぜか、肺炎、呼吸不全のような重症例は、男子に多いようでした。どこの施設でもそのような傾向があり、誰もこのことについては質問しないので、「これは分かり切ったことなのかな?」と思いながらも、「もしかして知らないのは自分だけじゃないのかな?」というような気もして、チョット、聞きにくかったんですけども、(控えめに)「なぜ、男の子に多いんですか」と、質問してみましたら、なんと、全ての演者(発表者)が、誰もわからないと言ってました。驚いた!なぜでしょうね?女の子の方が男の子よりも強いなんてよくいわれますが、その通りなんでしょうか?そういえば、昨シーズン入院紹介した新型インフルエンザの患者さんは確かに男の子が多かったですね。いずれ解明されるでしょう。

 夜は久しぶりに会った大学の友人たちと会食してきました。私の母校:弘前大学小児科の伊藤教授は、大学の同級生です。「エ〜?!」と驚くでしょう。私の同級生のうち、6人が国立大学医学部の教授になっています。大きな声では言えませんが、学生時代の素行を見ると、「なんでこいつが教授になるんだ〜?」ナンテのも約1名おりますがね・・・。

 小児科の伊藤教授は、100%まじめ人間ですよ。学生の頃からよく勉強してました。一緒に小児科へ入局してからも、彼は勉強熱心でしたので、すぐ米国留学しました。あまりに勉強熱心なため、1年で帰ってくる予定が、延びて、延びて・・数年して戻ってきました。その伊藤教授と後輩たち数名で、和やかに飲んできました。

 研修医制度が始まって地方大学はとても大変そうでした。研修医制度の話はまたの機会として、伊藤くん(二人の時は、オレ、オマエの仲で話をしますが、側に人がいる時は、やはり、教授と言うようにしています。けっこう、気を遣います。)医学部の学生を連れてきてました。今、6年生で来年卒業予定、小児科希望なんだそうです。いくつか会場で発表を聞いてきたようですが、難しくてよくわからなかったと言っていました。でも、学生のうちから、こういう大きな学会の雰囲気を味わうことが出来て好いですね。こうして、小児科への興味が拡がってくれれば頼もしいです。彼は広島県出身だそうですが、なぜか、北国にあこがれて弘前へ来たんだそうです。今は、とても北国が気にっているそうで、ずっと北国で暮らしたいとも言ってました。少しでも多くの医学生が小児科医になり、青森や岩手に残ってくれると好いですね。

2010年4月19日(月)
第113回 日本小児科学会

 本日の新聞に、「小児科医 本県が最小」という記事が載っていました。岩手県の子ども10万人当たりの小児科医の人数は2008年12月末時点で121.3人(06年118.4人)と全国最小ということです。産婦人科も少なく、こちらは全国32位とのことでした。ウ〜ン、小児科・産婦人科は人気ないですかね。どんな臨床科でも好いこともあれば、イヤなこともありますからね。少子高齢化の時代にあって、これからもどんどん小児人口は減っていく。当然小児科医のなり手は少なくなる・・・。ということでしょうか。チョット寂しくなります。

 今月23日〜25日に、盛岡市で【第113回 日本小児科学会】が開催されます。小児科の学会としては日本最大規模の学会です。全国から三千人以上の小児科医が盛岡市に集まります。学会場に行けば、小児科医だらけですので、とても小児科医不足なんて思いませんよね。この学会が岩手県で開催されるのは初めてということです。最新の研究や、難病の治療など、多くの発表がなされます。

 私も勤務医の頃に何回か発表したことありますよ。最初は卒後2〜3年目頃でしたので、緊張しました。どっかの有名なおじいちゃん教授から重箱の隅を突っつくような質問をされて困りましたね。開き直って堂々と適当に答えたら、納得してくれました。後から、先輩に「訳のわからない質問には、訳のわからない答えで、ピッタリだったな」と、からかわれました。

 以前はこんな意地の悪い質問をする人もいましたけど、今は、そんなことをする人はいなくなりました。みんな紳士になったんでしょう。全国から友達が来ますので、週末は忙しくなりそうです。

 先日、食物アレルギー検査についてのお便りをいただきましたので、ご紹介します。赤ちゃんのアレルギーを調べる時、採血するのは大変ですよね。どうしても採血しなければならない時は別として、当院では赤ちゃんのアレルギー検査(卵、牛乳、小麦)では、指先からチョッピリ血を採るだけの検査をしています。これでキチンとわかりますので、赤ちゃんは痛い思いをしないで済みます。検査はしたいけど、赤ちゃんに痛い思いをさせたくないと思っている方はどうぞいらして下さい。

N.Nさんからの



 はじめまして。
 ご相談なのですがよろしくお願いします。

 私は福岡県北九州市在住なのですが実家が盛岡で、今子供(もうすぐ9ヵ月の娘)と帰省しています。こちらに出てくる直前、子供に乳ボーロを与えたら顔に湿疹ができ、北九州市の小児科に受診したらアレルギーだろうとのこと。夜受診したのと、かかりつけの小児科ではなかったので、アレルギー検査は違うとこでするということになったのですが早くしたほうがよいとのこと…

 私自身も不安なので検査してもらいたいのですが、県外からでも診ていただけますか?ちなみに5月13日に北九州市に帰ります。帰るまで少し時間があるので、正直不安でいっぱいなので診てもらいたいのですが、断られたらどうしようと思いましてメールさせてもらいました…

 すみませんが、よろしくお願いします。





  お便りありがとうございます。

 食物アレルギーについてのご相談ですね。食べてすぐ湿疹が出たのなら、その食品がアレルギーの原因かもしれませんね。

 検査は簡単に出来ます。RASTという抗体を調べますが、その食品のアレルギーがあるかないかだけなら、指先からチョット血を採るだけでその場でわかります。もう少し詳しく、アレルギーの程度を数値で見るには、ふつうに採血して調べます。どちらでもよろしいですが、赤ちゃんの採血はなかなか大変なこともありますので、実際にお子さんを見てから決めましょうか。

 ところで、「乳ボーロ」というのは「卵ボーロ」のことですよね。卵と牛乳(脱脂粉乳)が主成分だと思いますので、この2項目について調べましょう。

 ご実家から遠く離れていると何かと心配なこともありますよね。どうぞご遠慮せずにいらして下さい。通常の診療時間でよろしいですよ。出来れば予約して頂ければ、あまりお待たせしないで診察できます。では、お気をつけていらして下さい。

2010年4月18日(日)
日本脳炎予防接種が、「積極的に勧められる」ようになりました

 肌寒い日が続いていますね。昨日は雪が降ったりして、天候不順です。野菜も値上がりしてこもりモンです。
 今の時期、寒くて良いことは何一つありませんが、唯一助かるのは、スギ花粉があまり飛ばないことです。ホントに今年は飛んでませんね。いつもの年より、グ〜ンと楽です。あと2週間あまりで、スギのシーズンも終わります。さすがにその前には暖かくなって花粉は飛び回るでしょう。でも、短期間で終息しそうです。

 今年度から、日本脳炎予防接種は、積極的に勧められるようになりました。平成17年以来接種を見合わせていたお子さんも多いと思いますが、日本脳炎ウイルスを持った蚊(カ)は、あちこちにいます。屋外活動が多くなる夏前に接種するようにお勧めします。
 
 日本脳炎予防接種について、ご質問のメールをいただきましたので、ご紹介します。

A.Eさんからの



 日本脳炎の予防接種はもうできないのでしょうか

 一回受けただけで追加接種するとは知らずに今日まできてしまいました。現在六歳なのですが 去年初回を接種しました。 
 二回目や追加接種はできるのでしょうか?またできるとすれば無料接種券は使えるのでしょうか?また使えない場合料金はいくらになるかも教えて下さい。





 お便りありがとうございます。

 日本脳炎予防接種については、厚労省がなんの予告もなしに、度々方針を変えてしまいますので、混乱が見られていますが、平成22年4月1日より、また、「積極的に接種を勧める」ということになりました。詳しくは日本脳炎と日本脳炎予防接種をご覧下さい。さて、おたずねの件ですが、

・現在6才
・日本脳炎T期初回1回目のみ接種後、1年経過している。
・T期初回2回目や追加接種を受けることができるか?
・受けられるとすれば、公費負担(無料)できるか?

 というご質問ですね。

 大丈夫接種できます。年令的には90ヶ月(7才6ヶ月)までは、公費負担です。昨年T期初回1回目を接種しているようですので、今年、T期初回2回目と追加の2回接種すればよいわけです。

 しかし、T期初回2回目と追加の両方を同じ年度内に接種することは、医学的には問題ありませんが、T期追加は、T期初回2回目から、概ね1年後となっていますので、法的には不可能かもしれません。

 ですから、今年T期初回2回目、来年T期追加すればよろしいです。この場合でも90ヶ月を超えなければ公費負担で接種できます。

 なお、T期初回1回目、T期初回2回目、T期追加は、多少不規則でも、3回接種できれば基礎免疫はできると思ってけっこうです。

 日本脳炎予防接種の対象者は、比較的年長児が多く、学校もありますので、通常の予防接種の時間帯だけでなく、一般診療の時間帯でも接種してます。乳健の時間帯以外であればいつでも接種できますが、遅くとも受付終了30分前にはいらして下さい。

 では、お気をつけていらして下さい。お待ちしていますよ。

2010年4月13日(火)
野田村、エラい。

 本日の岩手日報朝刊第一面に、【 野田村 ワクチン無料化〜県内初、予防を推進 】という記事が載っていました。スゴイですね。感激しました。野田村は2010年度から、子宮頸がんの予防ワクチンと、細菌性髄膜炎を予防するHib(ヒブ)ワクチンを全額助成すると言うことです。岩手県では、初めての試みです。せっかくワクチンで予防できる病気があるのに、そして、それが命に関わる病気であるのに、自己負担で接種しなければならず、接種をためらっている人が大勢います。
 
 本来であれば、国が公費負担で接種すべきワクチンですが、今のところ、国からの補助はありません。今、全国で少しずつではありますが、予防接種に助成をしてくれる自治体が増えてきています。岩手県内では初めて無料化に踏み切った自治体が野田村です。これに続く自治体が増えてほしいです。特に、盛岡市。“子育てに優しい町、盛岡”というキャッチフレーズは、看板倒れかいな?子ども手当でも使わないと、命を守るワクチンを打てないような状況では情けないです。野田村、エラい。これからも頑張れ、応援するぞ。

 関連サイトです。是非ご覧になって下さい。

 ワクチンで防げる病気をVPDと言います

 allwomen.jp(子宮頸がん情報サイト)

 子宮頸がん予防ワクチン

 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会

 Hibワクチン

 肺炎球菌ワクチン(プレベナー)

 定期外予防接種(任意接種)に公費助成をしてくれている自治体

2010年4月6日(火)
肺炎球菌ワクチン

 4月になったら、少し暖かくなりましたね。それとともにチョット花粉が飛んできたようで、この頃鼻がムズムズしてきました。今年は暖冬だと思っていたので、早めに花粉が飛ぶと思っていたら、3月下旬は予想に反して寒かったせいか、あまり花粉が飛びませんでした。お陰様で例年よりも少し楽でしたが、そろそろ本番でしょうかね。多少、寒さが長く続いても、花粉症で辛い思いをするよりは、ましですけどね。そう思うのは自分だけ?

 今日の健診で、九州の博多から引っ越してきた赤ちゃんを診ました。お母さんも東北は初めてのようです。周囲に知り合いがいないと不安な気持ちになりますよね。これからいろいろお力になれるかもしれません。なんでもご相談にいらし下さい。

 最近、肺炎球菌ワクチンについてのお問い合わせが多いです。昨日も一通いただきましたので、ご紹介します。

M.Iさんからの



 お世話になっております。

 ニュースで、小児用肺炎球菌ワクチン(?)というものが実用化になったと見たのですが、これはどういうものですか?早めに接種したほうがいいのでしょうか?もし貴院にて取扱がありましたら、お値段なども教えてください。

 急ぎませんので、お時間のある時に教えていただければ幸いです。
 よろしくお願いいたします。





 お便りありがとうございます。

 肺炎球菌ワクチンは2月24日から、発売になりました。現在当院でも接種しております。肺炎球菌ワクチンについては詳しくは→ 肺炎球菌 ワクチン をご覧下さい。

 既にHibワクチンも接種されていますので、Hibについてはよくおわかりと思います。肺炎球菌は大体Hibと同じような菌と考えればいいと思います。

 乳幼児期の細菌性髄膜炎の二大起因菌が、肺炎球菌とHibです。肺炎球菌とHibで、乳幼児期の細菌性髄膜炎の90%をしめています。頻度はHibの方が高いですが、重症度は肺炎球菌の方が高めです。また、肺炎球菌は、菌血症、肺炎、中耳炎、などの原因菌でもあります。

 できれば、肺炎球菌ワクチンはHibワクチンと一緒に『髄膜炎セット』として接種したいワクチンです。しかし、Hibワクチン同様、任意接種ですので、自費になります。毎度のことですが、自治体の助成もなく、経済的な負担が多く、なかなか大っぴらにお勧めできないでいます。ただ、肺炎球菌ワクチンはHibと違って、十分供給されていますので、いつでも接種できます。

 特に予約は必要ありませんが、乳幼児の場合、できれば、病気の人がいない(水)・(木)の予防接種の時間帯をお勧めします。

2010年4月1日(木)
開院記念日

 今日、4月1日は当院の開院記念日です。早いもので、開院以来、14年の月日が経ちました。14年前の今日は小雪が降る寒い日でしたが、今日も雨が降ったり止んだりのグズついた天気でしたね。

 年度初めは、今年の目標とか課題とかを掲げるものですが、どうも実行された試しがありません。そこで、今年度は4月1日に何かしようと、〜Change〜を考えていました。どんなことかというと・・・。大したことではありませんが、本日受診された方、アレ?と、思いませんでしたか。看護婦さんの頭みましたか?そう、ナースキャップをはずしてみたんですよ。

 今、多くの病院では看護師はナースキャップをかぶらなくなりました。診療所は半々くらいでしょうか。特に外科系は少ないですね。私はナースキャップがあった方が看護婦らしくていいくらいにしか思っていませんでしたが、ナースキャップについては賛否両論いろいろあるようです。

 例えば、賛成の意見として、
・ナースキャップは看護婦のシンボルだから、キャップを着ける事によって、身が引き締まる感じがする。
・髪を束ねるのに便利、かぶらないと、なんとなく清潔感がなくなる。
・ナースキャップを着けることで、他の職種(事務職)と区別がつきやすい。
・『ナースキャップ=戴帽式の感動』と思う。あの時の気持ちをいつまでも持ち続けたい。

 一方、反対の意見として、
・ナースキャップにバイ菌がくっついて、そこから人に移す危険がある。
・患者さんの処置をする時に、患者さんにぶつかってしまう危険がある。
・点滴のチューブやカーテンなどにキャップが絡みついて、動きにくくなることがある。
・髪を引っ張ることによる頭皮への刺激が気になる。
 
 以上のような話をよく聞きます。賛成派は感情的、反対派は実務的ですかね。どちらも一理ある言い分です。ズ〜と、ナースキャップをつけた看護婦さん達と勤務していましたから、ナースキャップがない状態がどんなものかチョットわかりませんよね。まず試みに、ナースキャップをはずしてみました。皆さんのご意見、ご感想をお聞かせ下さい。反響によって今後どうしようか考えていきたいと思います。

 平成14年3月1日付で、看護婦(士)の呼称は看護師となりました。この頃から、ナースキャップをはずす施設が増えてきたように思います。男性の看護師も増えてきたからでしょうか。時の流れを感じます。

2010年3月22日(月)
二度泣き橋

 週末はお天気があれて大変でした。黄砂も飛び回り、いよいよ花粉症本番です。今のところあまり症状が強く出ていない人でもそろそろ注意が必要です。

 今日はお墓まいりに行ってきました。私の住まいの近くにお寺がありますので、お彼岸、お盆は欠かさずお参りしていますが、ちょうど通勤途中いつもお寺の前を通ります。何となく、常にご先祖様に監視(よくいえば、見守ってもらっているのかな?)されているような気がします。そういうわけではありませんが、お参りにはよく行っています。

 今年も転勤シーズンの3月になりました。いつものことですが、この時期は紹介状の作成に追われます。毎年20通くらいは書いてます。喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患についての紹介状が多いです。
 
 知らない土地へ行っても新しい先生に今までの経過がよくわかるようにと、心を込めて(?)書いてますよ。カルテをみると初診の頃が懐かしく思われます。最初はお互いに初対面ですので、何となく意思疎通が十分でない時もありましたけど、次第に気持ちが通じてくるのを感じます。何か困ったことがあったらメールして下さい。少しはお役にたてると思います。

 先日、晴れた日に開運橋から岩手山をみました。その時思い出した“二度泣き橋”のお話しをご紹介したいと思います。今の時期にピッタリのお話しです。

 “二度泣き橋”は、開運橋のことを言います。いつの時代に誰が言い始めたのか定かではありませんが、人情味あふれる城下町〜盛岡〜を、よく言い表しています。
 東北新幹線が開通する前、東京−盛岡間は、特急やまびこ(新幹線ではありませんよ。在来線の特急やまびこです。)で、6時間くらいかかりました。当時の盛岡は首都圏からはウ〜ンと離れた秘境みたいなイメージがあったようです。口の悪い人たちは「岩手県は日本のチベット」なんて言ったりしてました。ひどいよね。そのころの時代、イヤ、それよりももっと前の時代のお話しです。

 冬のとても寒い頃(昔は今よりもっと寒かったです。氷点下20度近くまで冷え込みました。)に、東京から盛岡に転勤してきて、初めて盛岡駅に着いた場面を思い浮かべて下さい。
 雪の降りしきる開運橋を歩いてわたる時(昔の話だから、タクシーはないのです。)に、冷たい風が川から吹き上げてきて、雪がほほを打って、鼻水が凍って・・・、「こんなに遠くて寒いところで暮らすのか。」と、泣けてきます。これが一度目の“泣き”です。

 しかし、何年か盛岡で過ごしてるうちに、盛岡の美しい自然や、温かい人情にふれて、とてもいい町と思うようになります。そして、再び転勤の日がやってきます。

 今度は、春風薫る頃(花粉も飛んでますが、当時は今ほどではありませんでした。)に、開運橋をわたる場面を想定して下さい。開運橋からくっきりと岩手山が見えます。晴れた日に開運橋から見える岩手山はとても綺麗です。
 そこで、盛岡で過ごした懐かしい日々、豊かな人情や美しい自然が、思い出され、今度は「こんなにいい町を離れたくない。」と、二度目の“泣き”がはいります。

 これが“二度泣き橋”の由来です。人情味あふれる城下町〜盛岡〜をよく言い表していると思います。

 転勤して初めて盛岡にいらっしゃった方々にはこのお話をよくしています。今や、新幹線で東京−盛岡間は、最短2時間20分でつながっています。“二度泣き橋”の一度目の“泣き”はもうないと思いますが、二度目の“泣き”は健在です。盛岡を離れる時、開運橋から岩手山を見ていって下さい。そして、いつまでも盛岡のことを忘れないで下さい。

2010年3月10日(水)
ペプチドミルク

 もうすぐ春、と思いきや、今週は冬に逆戻りしましたね。冬将軍は、まだ健在のようです。まだ、夏タイヤに換えていなくて良かったです。いつもお彼岸の中日頃は天気があれますので、タイヤ交換は3月末日まで待っていた方がよいですよ。

 インフルエンザも時々出たり、引っ込んだり、春になれば一時的にせよ、消えてほしいですね。もう一年中、インフルエンザを診ない月がなくなってしまいました。

 毎年、この時期になると、保育園、幼稚園、小学校の新入生の診断書を依頼されることが多いです。何の診断書?〜食物アレルギー〜の診断書が実に多いんですよ。本当に食べられない場合から、思いこみで食べていないような場合まで様々ですね。保育園、幼稚園では診断書の様式は統一されていますが、小学校はまだ、決まった様式の診断書がなく少し混乱しているようです。昨年から、医師会と教育委員会で診断書の内容について話し合っていますが、もう少し時間がかかりそうです。

 最近は、アトピー性皮膚炎でもあまり厳格な除去食は行われなくなってきましたが、時々、赤ちゃんの除去食についてもご相談を受けます。今回、徳島市の方からアレルギー予防ミルク(ペプチドミルク)についてのメールをいただきました。
 遠方の方からもご相談されることはうれしく思いますが、同時に、責任を感じます。少しでもお役に立てれば幸いです。

H.kさんからの



 吉田先生

 突然のメールにて失礼いたします。私は徳島市に住んでいる二児の母親でH.Kと申します。

 先生がおつくりになったサイトのアトピーアレルギーのお話がとてもバランスがとれた内容で、私の住んでいる町にこのような先生がおられたらなあと思わずにいられませんでした。さぞや地元で人気のクリニックでしょうね。

 5歳になる上の子は乳児期よりアトピー性皮膚炎こそないものの、食物アレルギーに悩まされ、いまだに卵牛乳は蕁麻疹が出る状態です。乳児期は先生が書いておられるように皮膚科と小児科が真っ向から違う診断を示し、途方にくれたものでした。

 当時の私は極端な除去食をしてステロイド外用薬を一切拒否していました。いつも子供の肌は厳重な監視の下ピカピカでしたが、結局それも対症療法で根治にはいたっていません。食事に神経質になり、へとへとに疲れ果てていました。

 この失敗を教訓に第二子はよだれかぶれ程度の肌荒れですが、和食を心がける程度で、保湿に気をつけながら過ごしています。

 二人の乳児期を経験して、先生のおっしゃっておられるアレルギーやアトピーに対する自然歴をやっと理解するにいたりました。とはいえまだまだですけど。

 お忙しいところこんな遠くから自分語りをしても仕方ないのですが、一点だけ質問があります。

 粉ミルクについてなのですが、ミルクアレルギーがない限りは普通の粉ミルクを使うように書かれていますが、この理由を教えていただけますか?

 私は第二子を現在完全母乳で育てているのですが、まもなく保育園に入ります。冷凍母乳で対応してもらう予定ですが、ミルクをもし与える場合、ペプチドミルクの方がいいのかなと思っていたので、その点だけ知りたいと思っています。

 先生の患者でもないのに厚かましいですが、もしよろしければ教えて頂けないでしょうか。よろしくお願いいたします。





 遠くから、メールありがとうございます。自分のホームページが、少しはお役に立っているようですので、嬉しく存じます。四国には学会で2回ほど行ったことがありますが、暖かくて良いですね。北国は、やっと、春の訪れを感じる頃になりました。

 今まで、とても頑張ってこられたようですね。感心します。アレルギー疾患を実体験された方は“活きた知識”を獲得しますので、きっと、これからの子育てにも、お役に立つと思います。
 
 さて、粉ミルクについてですが、原則として、ミルクアレルギーがなければ、普通のミルクでよろしいと思いますが・・・。
 では、どんなときにペプチドミルクが望ましいかというと、ペプチドミルクは通常のミルクよりはタンパク質を細かく分解したミルクです。しかし、アレルギー用のミルクほどではありません。従って、はっきりと診断がついているミルクアレルギーのお子さんで使うミルクではありません。ミルクアレルギーのお子さんに使えば、ミルクアレルギーが悪化することがあります。

 ペプチドミルクが望ましい場合は、「現時点では、ミルクアレルギーを発症していないが、将来的に、ミルクアレルギーなどを発症する可能性がある時」です。「将来的にミルクアレルギーなどを発症する可能性」とは、漠然としてますが、わかりやすく言えば、「同胞に食物アレルギーがあるとか、家系にアレルギー疾患が多いとか」、そのような場合を指します。

 H.Kさんの場合、上のお子さんが、卵・牛乳のアレルギーがあるようですので、下のお子さんもアレルギーを発症する可能性はあります。現在、母乳栄養のようですので、できれば、母乳を続けられればよいと思いますが、もし、ミルクを飲むならば、ペプチドミルクが良いと思います。ただ、ペプチドミルクは味があまりよくないので、チョット飲みにくいかもしれません。もし、ペプチドミルクに換えて、湿疹や、下痢などが見られたら、既にミルクアレルギーになっているかもしれませんので、その場合は、小児科を受診してみて下さい。

2010年3月3日(水)
お雛様

 3月になって、少し暖かい日が続くと思っていたら、けっこう冷えますね。でも、もう春の足音を感じます。もうすぐ、ド〜ンと、スギ花粉が飛んできます。いつものこととはいえ、チョット憂うつです。もう、初期治療を開始してますか?

 2月28日は当番日でしたけど、殆ど、急性胃腸炎〜吐いたり下痢したりのお腹のカゼ〜でした。特に重症者もいなく、点滴が必要なお子さんもいませんでした。

 インフルエンザは少なくなりましたけど、この日は、A型(多分新型)を二人診ました。3月1日には、矢巾、都南方面で数名A型が、見られていますので、まだまだ、終息していないようです。このまま、夏くらいまで続くんでしょうか?そうしているうちに、また、別な新型が出てきたらイヤですね。鳥インフルエンザもこの頃は話題に上らなくなりましたが、どうなってるんでしょうか。そもそも、鳥インフルエンザが新型の大本命だったわけですから、気になります。

 それはさておき、今日は、雛祭りですね。お雛様を飾っているお家も多いと思います。県内のあちこちでいろいろなお雛様が飾られているようです。私はまだ行ったことがありませんが、遠野や大迫では、町中の民家でお雛様を飾っているようです。見た人からお話を聞きましたけど、普通のお家に入って、飾ってあるお雛様を見せてもらうんだそうです。なかなか風情があって良いですね。

 私の母は三人姉妹の長女でしたが、昔は娘が生まれるたびにお雛様をそろえていたようで、三人分のお雛様セットがありました。戦前からのお雛様ですので、さすがに、現存するお雛様は全てそろっているわけではなく、「混合チーム」になっています。例えば、お内裏様一人にお姫様が二人だったり、三人官女が6人いたり、と言う具合です。私の子どもが小さい頃にはよく飾ってもらいました。もちろん、人数あわせはしますが、その年によって、どのお雛様達をメインにするか、いろいろ考えたりしましたね。

 わが家では、あまりスペースもないので、お内裏様とお姫様だけのセットです。一般的にお内裏様は向かって左側だそうです。お内裏様が右側だと、力関係(?)が逆転して、お姫様の方が強いと言うことだそうです。確かに言われてみれば、お内裏様が左側にいることが多いようです。

 お雛様はとても品があってきれいですよね。いつまでも飾っておきたいです。お雛様は女の子の結婚になぞらえることがあります。早く飾って、早くしまうと、「早く嫁に出す」と、言うことで、お雛様に娘の幸せな結婚を例えたようです。

 よく、いつまでもお雛様を飾っておくと、嫁に行けないなんて言ったりしますが、これは、後片づけもキチンできない女性は、よいお嫁さんにはなれない。と考え、きちんとした娘にしつけたいから、早く片付けるようにしたと言うことだそうです。フ〜ン納得、昔の人はよい知恵を持っていますね。ところで、お雛様をしまう時は湿気がない日にしまうんだそうです。もし湿気の多い日にあたったら、お雛様を後ろ向きに飾り、「お帰りになられた」とか、「眠っていらっしゃる」とか言って、後日しまうんだそうです。ウ〜ン納得、少しいい加減じゃないかな?これも昔の人の知恵だね。

 カレンダーを見ると、毎月いろんな行事(祝祭日)があります。その日には、私は子ども達に、「今日はなんの日か」と言うことを教えるようにしてきました。行事にはそれぞれ意味があります。しっかりと理解しておくことが大切と思っています。

 ところで、近々、春と秋には変則5連休ができそうですね。飛び石連休じゃ物足りないんでしょうか。まとまって休めば、人があちこちに出て、お金を使って経済が活性化する?と言うことでしょうか。祝祭日には、それぞれ意味があるはずです。それを無視して、単に連休を増やすというのはどうも理解できません。まるで、「時間をやるから、金を使え」と言っているようなモンです。『長期休暇は、労力と財力の無駄』以外の何ものでもないと思います。毎月1.500万円(5年間で9億円)もの【子ども手当】をもらっている人の考えることはわかりませんね。

2010年2月25日(木)
子宮頸がん予防ワクチン

 昨日、今日と急に暖かくなりました。スギ花粉も飛び始めていますね。私も朝起きると何となくスッキリしない感じです。こうしているうちに、くしゃみ、鼻水が、始まりますっけ。去年の薬がまだ余ってますので、さっそく飲んでいますが、まだ、有効期限内だっけカナ?
 
 バンクーバーの国母クンは予想どおり(?)でしたが、明日は女子フィギアですね。浅田真央VSキム・ヨナ、盛り上がっています。技術的なことはサッパリわかりませんが、どっちも上手いと思います。でも、どうもキム・ヨナはキツ〜イ感じがする。それに比べると、真央ちゃんは優しい面立ちですよね。と言うわけで、真央ちゃん頑張れ!

 「子宮頸がん予防ワクチン」について、ご質問のメールをいただきました。最近同様のメールをいただくことが多いです。「子宮頸がん予防ワクチン」は、まだ接種が始まったばかりです。情報も少なく、接種について迷っている方も多いと思いますので、ご参考になれば幸いです。

M.Aさんからの



 子宮頸がんのワクチンについて教えてください。

 私30代子供一人います。この私が子宮頸がんのワクチンを接種することは可能でしょうか?可能というか、もし接種したとしても意味のないものになるのでしょうか?最も効果があるのは性交渉する前の10代がいいと書いてました。もしワクチンをしたとして、少しは効果があるのでしょうか?

 少しでも効果があるのであれば、予防という意味で打ちたいなぁと思っているのですが、実際のところどうでしょうか?

 お忙しいかと思いますが、教えてください。よろしくお願いします。




 メールありがとうございます。

 「子宮頸がん予防ワクチン」の接種については、まだ、準備中の医療機関もあり、一般にはあまり認知されていないのが現状のようです。望ましい接種時期はHPVに感染する前の十代初期でありますが、年令について特に上限は定められていません。

 HPVは、容易に感染しますので、おそらくM.Aさんの場合も既に初感染はしているかもしれません。しかし、まだ、頸部がんを発症していなければ、再感染を防ぐという意味で、ワクチン接種は有効であると思います。

 定期的に子宮がん検診を受けていて、現在、頸部がんを発症していなければ、ワクチンを接種した方がよいと思います。これは、私の考えです。

 盛岡市では、まだ、産婦人科の先生方は積極的に接種を勧めるかどうか、方針を決めかねているようです。ですから、ご相談する先生によってはワクチンを勧めたり、勧めなかったりと、いろいろアドバイスが別れるかもしれません。できれば、産婦人科の先生ともご相談されればよいと思います。複数の医師から話を聞けば迷うことも多いかもしれませんが、得ることも多いと思います。その上でまた、ご相談頂いてもけっこうです。

 確かに、ワクチン接種で全ての頸部がんを予防できるわけではなく、ワクチンに多大な期待をしてはいけないかもしれません。しかし、「予防できる病気は、積極的に予防する」 という考えが基本と思っていますので、私はお勧めします。

 「子宮頸がん予防ワクチン」は、まだ始まったばかりですが、おそらく、近い将来、公費負担で接種されるようになると思います。ただ、年令制限はあると思います。

 以上が、現時点での「子宮頸がん予防ワクチン」に対する私の見解です。接種ご希望されましたら、受付にご連絡下さい。ワクチンは取り寄せになりますが、だいたい、1週間〜10日以内には接種できます

2010年2月21日(日)
肺炎球菌 ワクチン

 「神戸市は、18日、市内の男児(9カ月)がワクチン由来のポリオ(急性灰白髄炎)を発症したと、発表した。」というニュースがありました。ポリオはもう30年以上日本では発生していませんでしたから、「アレ?」と思いましたが、どうやら、偶然ポリオワクチンを飲んでしまったみたいです。

 ポリオワクチンの副作用でごく希ではありますが、「麻痺」が発生することがあります。どうやらそれのようですね。神戸市保健福祉局によると、「右足は回復したが左足にまひが残っている。命に別条はない」という事ですが、チョット、心配ですね。

 「生ワクチンをやめて、不活化ワクチンに切り換えていれば防げたのに、そんなにポリオ生ワクチンは大事なワクチンなんだかな?」と、思ってしまいました。少し、詳しくお話しします。

 予防接種で使うワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンがあります。
・生ワクチン:生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもの→ポリオ、麻疹・風疹、BCG、水痘、流行性耳下腺炎
・不活化ワクチン:細菌やウイルスを殺し免疫を作るのに必要な成分を取り出し、毒性をなくしたもの→三種(二種)混合、日本脳炎、インフルエンザ、Hib、肺炎球菌

 ポリオワクチンにも、生ワクチンと、不活化ワクチンがあります。日本で使用されているのは、生ワクチンです。
 生ワクチンは菌体(ウイルス)を弱毒化して使用していますので、効果が高い反面、接種したためにその菌体(ウイルス)の症状が見られる心配が少しあります。
 ポリオの場合、約200万〜300万人の投与につき1回くらいの頻度で、「麻痺」が発生します。今回の事例はこれです。

 一方、不活化ワクチンは菌体(ウイルス)そのものを使っていませんので、効果は多少弱いですが、このような副作用の心配がありません。

 多くの欧米先進国では、ポリオはほとんど見られなくなりましたので、効果が多少弱くても、安全性の高い不活化ワクチンを接種しています。
 これに対して、開発途上国のようにポリオが蔓延している地域では、副作用を気にするどころではありませんので、効果の高い生ワクチンを使用しています。

 つまり、ポリオの感染の少ない地域では、個人防衛のために、安全性の高い不活化ワクチンを接種。ポリオの感染の多い地域では、集団防衛のために、効果の高い生ワクチンを接種しているのが現状です。

 30年以上もポリオが発生していない日本では、副作用を心配する生ワクチンではなく、安全性の高い不活化ワクチンに切り換える必要があります。数年前に不活化ワクチンに切り換える方針が出されましたが、いつの間にか立ち消えになったようです。

 と言うことで、「不活化ワクチンであれば防ぐことが出来た事です。世界中でポリオワクチンを接種していない国はありません。日本でもまだ、必要なワクチンだとは思いますが、今後も不活化ワクチンに切り換えることなく、生ワクチンを公費負担で行うくらいなら、もっと患者数も多く、重症化する病気のワクチンにそのお金を廻したほうが、よっぽど、人助けになるのではないか。」と思いました。

 先月は、子宮頸がん予防ワクチン(商品名:サーバリックス)をご紹介しましたが、今月24日に、また一つ、肺炎球菌ワクチン(商品名:プレベナー)という新しいワクチンが発売されます。このワクチンは、既に発売されているHibワクチンと同じように、乳幼児の細菌性髄膜炎のような重症感染症を予防するワクチンです。詳細はこちら→肺炎球菌 ワクチンを、ご覧になって下さい。とても、価値あるワクチンですが、残念ながら、任意接種ですので、自費になります。せっかく子どもの命を守る新しいワクチンが開発されても公費負担になることはなく、殆ど自己負担で接種しなければなりません。全額自己負担ではあまり普及が進まないように思います。こういうワクチンこそ公費負担とすべきではないでしょうか。

 今回、ポリオの副作用記事を目にして、ポリオよりも、Hibワクチンや肺炎球菌ワクチンを公費負担にした方が現実的と思いました。

2010年2月17日(水)
坊や、頑張れや

 すっかり少なくなった新型インフルエンザですが、今週になってからまた、患者さん見えましたよ。高校生でした。この学校では少し新型が流行っているようです。いつも言うように、「まだ罹ってない人は要注意」ですよ。 

 「バンクーバー冬季五輪」、始まりましたね。オリンピックといえば、すぐに日本はメダルをいくつ取れるか・・・。という話題ばかりですね。「オリンピックは参加することに意義がある」ナンテのはもう死語になったんでしょうか。
 今日は男子フィギアスケートで、高橋大輔選手、織田信成選手が、調子がよかったです。明後日も頑張ってほしいですね。ン?やっぱりメダル意識しているかな。

 ところで、国母和宏クン!いよいよ明日登場です。〜乱れた服装、悪態の謝罪〜と、何となく、朝青龍みたいに注目されたかったんでしょうか。マスコミにはいろいろ書かれていますね。大体が、「態度が悪い」と批判的な意見が多いようですけど、中には、「若者らしくて良い」なんて言う意見もありました。

 さて、みんなはどう思っているのかな?彼の一連の言動を良しとするも悪しとするも、それは、その人の『常識』で判断することだと思います。では、『常識』とは、なんでしょう?
 『常識』とは、「社会人が当たり前のものとして持っている価値観、知識、判断力のこと」と、辞書に載っています。ふだん何となく使っている『常識』という言葉ですが、ものすごく抽象的ですね。
 何を持って当たり前というのか?それは、人それぞれによって変わるということです。今回の彼の言動も人によって、非常識という人もいれば、、常識という人もいるということでしょう。

 ところで、『常識以前』なんて言う言葉もありますよね。私は彼の言動を常識云々で計ること自体が適切でないように思います。〜だらしない服装、「競技には影響ない。反省してま〜す」と語尾を伸ばした言い方で“謝罪”〜。これは、『常識以前』です。
 この一連の言動は、彼が【幼い】という事につきるんです。まるで子どもです。彼は、子どものまま、図体だけが大きくなってしまったようなものです。子どもなら、しかたがないか?
 でも、これは、彼だけの責任ではないですよ。やはり、親の「しつけ」です。「しつけ」は漢字で書くと「躾」です。読んで字の如し、「身(身体)が美しい」と書きます。それが、この【坊や】はなっていないんですね。幼児教育の失敗といえばそれまでだけど、今さら、再教育もできないでしょう。体は大人なんだから、大人の考え方をまねして、今回の失態を経験として次に活かすようにしてほしいです。

 この【坊や】は、確か、トリノ五輪の時もナンカ威勢のいいことを言っていたけど、サッサと予選落ちしたモンね。進歩のない【坊や】だ。でも良いところもあるみたいです。難病の友人の治療のための寄付金集めを先頭に立って行っているということも知りました。まんざら捨てたモンでもないですね。

 明日の結果がどうあれ、マスコミはいろいろかき立てるでしょうね。メダルを取れば、少しくらいの悪態は甘受して、褒めちぎる人もいるでしょう。朝青龍と同じように、実力を認めながらも品格がないという人もいるでしょう。惨敗すれば、これ見よがしに袋だたきにする人もいるでしょう。まだ若いのだからと言って慰めてくれる人もいるでしょう。人それぞれの『常識』が乱れ飛びそうですね。

 私も一言、「坊や、明日は目一杯頑張れや。人生は経験の積み重ねだ。それを活かすも活かさないも己の技量だ。オレも若い頃には、オメエ〜みたいな頃があったよ」。

2010年2月14日(日)
水難(?)

 先日の乳幼児健診で久しぶりに水難(?)に遭いそうになりました。包茎をご存知でしょうか。亀頭と包皮がくっついていてむけていない状態が包茎です。簡単に言うと、おちんちんが皮をかぶった状態です。なんでもないようなことのように思えますが、いつまでも皮(包皮)がむけてこないと、汚れがたまりやすく不潔になってしまいます。

 育児書などでは、生後3〜4ヶ月くらいで包皮をむくように指導されていることもあるようですが、この時期ですと、すぐ元の状態に戻ってしまうことも多いですし、無理にむいてしまうと、包皮が元に戻りにくくなり、痛みが出ることもあります。

 大体1才頃に、チェックして、必要に応じて治療する方がよいように思います。治療といってもそんなに大げさなことではなく、手で包皮をむいたり、軟膏を塗る程度ですけどね。この赤ちゃんもやや包茎気味でしたので、さっそくチョット処置したら、勢いよくオシッコをされてしまいました。ビックリした〜!危うく顔にかかりそうになりましたが、サット体をかわして難を逃れました。ときどき、赤ちゃんにオシッコをかけられそうになりますが、今までのところ、大きな被害は被っていません。お母さんはとても恐縮されていましたが、しかたないことですよね。元気な赤ちゃんでした。

 新型インフルエンザも激減し、感染性胃腸炎もそんなに大きな流行ではないようです。水痘(みずぼうそう)、流行性耳下腺炎(おたふくカゼ)は、けっこう診ますけど、季節性インフルエンザも流行の兆しがなく、とても、穏やかな2月です。

 でも、そろそろスギ花粉症は始まってきましたね。何となく、鼻がムズムズという方、最近増えてきました。自分もスギ花粉症ですから、わかります。まずは初期治療です。毎年のことではありますが、予防に備えましょう→花粉症 特集

2010年2月3日(水)
泣き入りひきつけ

 先月末は、雨が降ったりして1月らしくない天気でしたけど、2月になった途端に寒くなりましたね。1月下旬〜2月上旬が一番寒い時期ですから、マア、こんなモンでしょうね。

 この頃、あまり新型インフルエンザを見なくなりました。このまま消えてしまうんでしょうか?それとも、小流行がダラダラと続くのでしょうか?あるいは、突然変異して大流行するんでしょうか?全くわかりませんけど、今のうちにワクチンを接種してた方がよいことだけは確かですよ。

 いつもは、初冬に流行る感染性胃腸炎が、この頃多く見られます。例年、幼稚園・保育園での流行が多いですけど、今年は、小・中学校でも流行しているようです。今週は、大きなお子さん達を毎日点滴しています。

 感染性胃腸炎〜急性胃腸炎〜嘔吐下痢症、いくつか呼び名はありますが、要するに「お腹のカゼ」です。ノロでも、ロタでも、症状は皆同じです。体内に入り込んだウイルスを出すために体の防御反応として、吐いたり下痢したりします。その結果、脱水状態になりますので、水分を補えばいいわけですが、なんでも飲めばよいと言うわけではないですよ。

 今朝の某民放の番組で、「感染性胃腸炎」について解説してましたね。「水分補給はイオン飲料を飲ませましょう」なんて言ってたっけな。この番組はキチンと医師が監修・指導してるのかいな?「チョット、どうかな?」と思いましたね。
 
 吐いたり下痢したりして脱水になりますけど、脱水の意味わかりますか。水分だけが足りなくなるんじゃないんですよ。糖分や、塩分も不足するからグッタリして元気がなくなるんですよ。お茶だけ飲んでもよくなりませんよ。下痢している時は腸の粘膜が痛んでいるので、糖分や塩分の入っていない水分は吸収されません。いくら飲んでも「飲むとジャー」とすぐ出てしまいます。腸を洗っているようなものです。

 適度な糖分や塩分が含まれた飲み物が良いわけですが、市販されているイオン飲料は甘すぎて塩分が少ないものばかりです。こういうものを飲み過ぎると、血糖値ばかり高くなって塩分は少ないままですので、血液が薄くなり、その結果、脳がむくんだりして、乳幼児ではけいれんを起こすこともあります。不用意に市販のイオン飲料を与えすぎないようにして下さいね。まずはこちら、嘔吐下痢症を、見て下さい。
 
 今日は、「泣き入りひきつけ」についてのメールをいただいたのでご紹介したいと思います。「熱性けいれん」程ではありませんが、「泣き入りひきつけ」も、乳・幼児ではよく見られますので、小さいお子さんをお持ちの方のご参考になれば幸いです。

M.Wさんからの


 先生こんにちは。いつもお世話になっています。先日は、1歳健診でお世話になりました。

 ひとつ、聞き忘れてしまったことがありましたので、メールで失礼します。

●泣き入りひきつけについて●
 息子は生後40日くらいのときに大泣きした直後、顔色が青白くなりぐったりとしたことがあります。そのときはびっくりして救急車を呼んでしまいましたが・・・

 このようなひきつけは、年齢的にまだ繰り返すことがあるのでしょうか。また、何歳ころになったら安心(?)してよいのでしょうか。
 
 今でも、大泣きするたびにまたひきつけを起こすのではないかと、ハラハラしながらあやしています。ちなみに、熱性けいれんは起こしたことがありません。

 お忙しいところとは思いますが、お返事いただけるとうれしいです。よろしくお願いします。




 お便りありがとうございます

 生後40日で『泣き入りひきつけ』をおこしたんですね。ビックリしたでしょ。おそらく、救急で診ていただいた先生からは、「心配ない」と言われたと思いますけど、やっぱり心配は残りますよね。よくわかりますよ。

 『泣き入りひきつけ』は、生後6カ月から2才頃にかけてよく見られます。1才前後がピークで2才頃には少なくなります。強く泣いた時、息をはいたままで呼吸をしなくなるために、低酸素状態となり、けいれんや意識消失のような症状が見られますが、そのまま息が止まってしまうようなことはありません。また、知能障害などになることもありません。

 多くの場合、赤ちゃんにとって、何かイヤなことに出会った時、突然大泣きして起こすようです。では、どの様に対処すればいいかというと、赤ちゃんを泣かせないようにすればいいわけですが、赤ちゃんはいろんな事で泣いてしまいますので、赤ちゃんを泣かせないようにすることは不可能です。当たり前ですよね。

 まず、赤ちゃんが泣くことに対して恐怖心を持たないことが大切です。赤ちゃんが泣き出したら、抱っこしたりして気持ちを落ち着かせ、気を紛らわせるようにしてみて下さい。心配して、大声をかけたり、体を揺すったりすると、ますます泣いてひどくなってしまいます。静かに様子を見ることが最善です。
 もっとも、抱っこすれば必ず泣きやむとうわけでもなく、やはり、泣き続ける赤ちゃんもいます。こんな時は、「息が止まっても、命にかかわることはない。何もしなくても必ず回復する。」と思って冷静になって下さい。

 ただ、息を吹き返すときに、口の中に物が入っていると、誤燕して窒息することがありますので、口の中に何も入っていないことを確認して下さい。

 特に有効な薬はありません。「泣かせてはいけない」と思うあまり、ついつい過保護にして、赤ちゃんの言いなりになると、赤ちゃんは気ままになってしまいます。幼いながらも「泣けばなんでも言い分が通る」と思ってしまいます。それは、感心しません。赤ちゃんのためにはなりませんよね。
 あまり難しく考えないで、ふだんから、突然叱るとか、転倒したりとか、赤ちゃんにとって予期しない出来事が起きないように、心がけていればよいと思います。

 付け足しですが、生後6カ月以前に、『泣き入りひきつけ』のような状態で、ひきつけ後に、意識状態が回復しにくかったり、手足の麻痺のような神経症状が見られる場合は、『泣き入りひきつけ』とは限らず、いろいろな神経疾患の可能性もありますので、お子さんの場合、救急を受診してよかったと思いますよ。その結果、何ともなかったわけですからね。

2010年1月26日(火)
妊産婦メンタルヘルス研究会

 いよいよ、明日からは新型ワクチンは誰にでも接種できるようになります。少し、「遅かりし」の感がなきにしもあらずですが、まだ、罹ってない人は今のうちに接種した方がよいですよ。 

 23日土曜日に、アイーナで開催された『妊産婦メンタルヘルス研究会』に行って来ました。これは、岩手県が主催する「ハイリスク妊産婦の早期発見と育児支援事業」です。いわゆる、「産後うつ病」の支援事業です。

 小児科領域ではあまり接することがないような「産後うつ病」ですが、ときどき「チョット心配そうなお母さん」を見ることがあります。自分では案外気がつかないでいることも多く、いつの間にか深みにはまってしまう事もあるようです。なるべく早く周囲の人が気がついて、支援してあげることが重要です。と言うわけで、不得意な領域でもありますので、少し勉強しようと研究会に出かけてきました。

 女性は出産後、涙もろくなったり、不安や焦りが強くなったり、気分が変わりやすい状態になる事がありますが、1週間もすれば自然に治ります。これは、女性ホルモンの急激な変化に伴うものと考えられ、いわゆる「マタニティーブルー」です。

 これに対して「産後うつ病」は、発症時期がもう少し後になります。多くは分娩後2、3週間〜3ヵ月の間に発症しますが、産後6ヵ月くらいでも発症します。ですから、「マタニティーブルー」で見られような症状が長く続く時は、チョット気を付けなければなりません。

 具体的には、以下の症状が2週間以上も継続していたら「産後うつ病」の可能性が高いと言えそうです。(出産直後の人の場合)

・1日中憂うつだ。
・何に対しても興味や喜びがない。わけもなく涙が出てくる。
・極端な体重減少、または、増加。
・極端な不眠、または、いくら眠っても寝た気がしない。
・特に理由がないのに、気持ちが焦る。イライラする。
・いつも疲れているような気がする。何もしたくない。
・自分は「価値のない人間」だと思う。
・生きていても仕方がないと思ってしまう。

「産後うつ病」になると、自分では何をしていいか分からなくなり、自分から助けを求めることもできなくなることもあります。

 可愛い赤ちゃんだけど育児は初めて、一生懸命赤ちゃんのためにしてあげたいけど、日中はご主人は仕事で留守。一人で頑張る育児には計り知れない孤独感がつきまといます。特に近所に両親や知人もいないような環境ではなおさらです。赤ちゃんはよく泣くものとわかってはいるけど、泣きやまない赤ちゃんに不安やいらだちを覚えるようにもなります。次第に感情が不安定になり、「産後うつ病」になってしまうようです。特に、責任感の強い人や頑張りやさんは、その傾向が強いようです。

 
 この様な「産後うつ病」にある人たちや、なりそうな人たちを支援、援助しようというのが『妊産婦メンタルヘルス事業』です。この日の参加者は保健士、看護師、医師、など、顔見知りの人も多かったですよ。

 妊産婦メンタルヘルスは、育児支援でもあります。保健士さんの乳児・産婦訪問や、医療機関での健診などで、妊産婦さんとお会いすることから始まります。
 具体的には、〜抑うつ気分、睡眠障害、赤ちゃんへの愛着、精神科既往歴、夫婦関係、友人関係、住環境、実母との関係、生育歴、経済状況など〜、妊産婦さんが今どの様な気持ちでいるのか評価していきますが、誰が聞いてもわかるように一定の形式の質問票が用意されており、以下の3つの質問票がよく使われるようです。 

@.育児支援チェックリスト(母親に対するサポートを含めた育児環境の評価で、産後うつ病の危険因子、育児不安要因のチェックをします)
A.エジンバラ産後うつ病質問票(母親の抑うつ感や不安の評価)
B.赤ちゃんへの気持ち質問票(育児の負担や赤ちゃんへの様々な気持ちを評価します)

 これらの質問票から、現在妊産婦さんが置かれている状況が把握できますので、それに応じた支援が施されていくことになります。質問票の具体的な内容についてはとても書き切れませんが、現実的でわかりやすい(答えやすい)内容と思います。

 継続的な支援が必要と判断されれば、市町村事業(乳幼児健診親支援グループ、育児支援家庭訪問事業、子育て短期支援事業、ファミリーサポートセンターなど)を活用したり、医療専門機関(心療内科医、精神科医)へも紹介していきます。

「産後うつ病」を多く診ていらっしゃる精神科の先生から、いろいろためになるお話を伺いました。なかでも、妊産婦さんの生い立ち(生育歴)が子育てに大きな影響を与えているというお話しが印象に残りました。自身が育ったように赤ちゃんも育てたいと思うあまり、現実のギャップに悩んでしまうようです。

 支援の基本は、社会的孤立をなくすこと。育児不安、生活のストレスを軽減すること。そして、社会全体で支えること。です。

 小児科医が、母子と初めてお会いするのは乳児健診が多いと思います。子育てや赤ちゃんの病気の事なら、いくらでもご相談できます。小児科医が支援できる分野です。私は「産後うつ病」の治療はできませんが、「チョット心配そうなお母さん」カナと思うような時は、迷わず、地区担当の保健士さんを紹介しています。まずここから始まります。特に転勤などで遠くからいらっしゃった方には「些細なことでも気になること、心配なことがあればいつでも相談して下さい」と、積極的にお話ししています。

 「産後うつ病」は、できるだけ早く支援してあげれば、回復も早いようです。時間とともに自然に治る人もいます。赤ちゃんの笑顔に救われる人もいます。家族(夫・母・兄弟)や友人に支えてもらった人もいます。自分なりの気分転換で良くなった人もいます。カウンセラーなどの専門家にアドバイスしてもらった人もいます。いろいろな人達の支援が必要です。産後に調子が悪いなと思ったら、一人で悩まずに相談して下さい。

2010年1月18日(月)
1番セカンド柏葉く〜ん

昔は、注射で泣いたような・・・?
親子ではありません。
頑張れ、柏葉くん!

 先週まではとても寒かったけど、今週は少し寒さが和らぎましたね。昨日、大通りの本屋さんに行って来ました。私の住まいは南大通りですけど、行きはバスで、帰りは歩きです。そんなに寒くもなく大通りをブラブラと歩いて、ちょうど良い散歩になりました。

 今日、思いがけないお子さん(?)が麻疹・風疹ワクチンを接種しに来院しました。だれでしょう?甲子園で活躍した花巻東高校野球部の柏葉康貴くんでした。
 とても、ビックリしましたよ〜。開院当初、彼はまだ、4〜5才でした。当時から、キリッとした感じの子でしたけど、ずいぶん逞しくなりました。今風にいうと「イケメン」ですね。

 柏葉くんは仙北中学校から花巻東高校へ進学しました。昨年は岩手代表として甲子園で大活躍でしたね。毎試合応援しましたよ。横浜隼人戦では決勝のホームランを打ちましたね。良いところで打ったもんだ。まさに値千金の一発。

 柏葉くんは日米親善高校野球全日本選抜にも選出されました。ドラフトで指名される可能性もあったようですが、大学進学を選択しましたね。同じチームメイトの菊池雄星くんとは、「プロで会いたい」と話したそうです。夢は拡がります。

 今日は、柏葉くんが来るというので、スタッフ一同、ドキドキしながら待っていたようです。私は直前まで知りませんでしたけど・・・。お母さんと一緒にいらっしゃいましたよ。まずは甲子園での活躍をねきらい、ワクチン接種。続いて待ってましたとばかり、みんなと一緒に記念写真を撮影させて頂きました。全く気取りがないですね。好青年です。

 柏葉くんは明治大学に進学して野球を続けるそうです。もしかしたら、ハンカチ王子:斎藤佑樹投手との勝負なんかも見られるかもしれないですね。

 『1番セカンド柏葉く〜ん』場内アナウンスが聞こえてきそうです。頑張れ!柏葉くん!しまった、サインもらわなかった!

2010年1月13日(水)
アレルギー検査

 この頃、また、新型インフルエンザを診るようになりました。少なくなったとはいえ、毎日一人〜二人は診ますよ。終息するまでは、まだまだかかりそうです。

 今日はアレルギー検査について、T.Mさんからメールをいただきましたので、ご紹介したいと思います。アレルギー検査は簡単にできて便利ですけど、何のアレルギーが心配なのか、あらかじめ予想してから検査されるとよいですよ。

T.Mさんからの


 年末28日に親子で喉の炎症で大変お世話になりました。T.Mと申します。

 快方に向かいましたので30日は受診しませんでしたが、“30日も先生が診療している”というだけでかなり心の平穏が保てました。先生をはじめスタッフの皆様には本当に感謝しています。

 今回は娘の件で質問させてください。

 お蔭様で私と娘はその後良くなりました。一点気になったのが、娘が頻繁に耳を触る為、1/5に耳鼻科受診しました。結果は耳の中に湿疹があり痒いのだろう、中耳炎ではないと。

処方)

クラリス
エンテロノン-R散
レフトーゼ
ムコソルバン
ゼスラン
プランルカストDS10%
4日間

 現在は耳を触る事もなく元気はつらつとしています。
 前置きが長くなりましたが今回はアレルギーについてお尋ねします。

 娘は約1ヶ月前から首、肘の内側、膝の内側と皮膚の隣接面を夜中に無意識に掻いています。日中は掻きむしることは見られません。出血もありません。主人が幼児期にアトピー症状があったそうで、娘の皮膚をみてアトピーかな・・・と言ってます。赤ちゃん様低刺激のスキンケア用品で清潔と保湿は気をつけています。一歳になるまでスキントラブルは殆どありませんでした。なので皮膚関係は心配なし!!と思い込んでいました。

 そして以前娘は埃で鼻水が止まらず、先生にお世話になった既往もあります。今回の耳鼻科からの処方や皮膚炎を見ると、先生の所でアレルギーの検査が現時点で必要なのか教えていただきたくメールしました。

 まだ皮膚炎も軽度だと勝手に判断していますが、受診基準などご指導いただけないでしょうか。

 お忙しい中申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。




 お便りありがとうございます

 お鼻と皮膚のアレルギーについてのご相談ですね。確かに昨年7月に大掃除の時でしたか、鼻水が止まらない事がありましたね。今回、耳鼻科でいただいたゼスランや、プランルカストは、アレルギーでよく処方される薬です。ゼスランは鼻水やくしゃみで、プランルカストは鼻閉で、よく処方されます。しかし、必ずしもアレルギーだけの薬というわけではなく、カゼでも同じような症状があれば処方されることはあります。

 皮膚については実際に診てみないと何とも言えませんが、子どもは、もともと乾燥肌が多く、特に冬場は空気が乾燥していますので、さらに皮膚のガサガサが目立ってきます。夏場はあまり気にならなくても、冬場に湿疹が目立つようでしたら、乾燥肌の場合が多いように思います。アトピー性皮膚炎は乾燥肌が著明であり、さらに皮膚の過敏性が高まっている状態です。一目見て診断できる場合もありますが、、少し経過を見ないとわかりにくいことも多いです。

 さしあたり、冬場のスキンケアは大切です。現在使用しているスキンケア用品で保湿に努めて下さい。十分なスキンケアで、乾燥肌が改善しかゆみがなければ、スキンケアだけで十分です。

 ところで、お父さんがアトピー症状があったなら、お子さんにも少しその素因はあると思いますが、同様に発症するかどうかは何とも言えません。今のところ、あまり、心配なさそうですが、アトピー性皮膚炎は慢性的な湿疹ですから、皮膚の異常、特にカユミや、ガサガサ(乾燥)が続くような時はちょっと診せて下さい。

 アレルギーの検査は、アレルギー症状を疑えば検査した方がよいです。例えば、卵を食べるとじんましんが出る。とか、ホコリっぽいところへ行くと、くしゃみ、鼻水が出やすい。とか、そのような場合には、卵やホコリ(HD)、ダニなどがアレルギーの原因と推測されます。一般的に、【なにか原因となるものが予想される場合に検査する】ことが多いです。

 よく行われるアレルギー検査は、Ige抗体という抗体を検査します。私たちの体内に異物が侵入すると、免疫を担当する細胞が、この異物を受け入れて良いものかどうか判断します。普通は受け入れると判断しますが、これを排除すると判断すると、排除するための抗体(特異的IgE抗体)を作ることになります。この抗体(特異的IgE抗体)と体内に侵入してくる異物が反応することを抗原抗体反応といって、アレルギー反応の始まりになります。

 アレルギー反応が起きると、体内にいろいろな物質が産制されて、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じんま疹、アレルギー性鼻炎などの症状が見られることになります。

 Ige抗体は、アレルギー性鼻炎ではかなり陽性率が高いです。しかし、アトピー性皮膚炎では抗体の検出率はだいたい50%くらいです。アトピーはアレルギー検査( Ige抗体)で診断する病気ではありません。【目で見て診断する病気】です。ですから、アレルギー検査は参考程度です。
 
 アトピー性皮膚炎の人のアレルギー検査で、卵やダニの抗体が検出されたところで、それは、卵やダニのアレルギーを合併しているだけのことです。直接、卵やダニがアトピー性皮膚炎の原因というわけではありません。悪化させる要因の一つくらいに考えればいいと思います。

 現在、皮膚や鼻の症状が特に気になるほどでなければ、アレルギー検査はあまり急がなくてもよいと思います。アレルギーは、「普通の人にとっては、何でもないようなものが、ある特定の人にとっては、不快な反応をおこすこと」をいいます。ですから、何か気になるものがあれば検査されればよいと思います。検査は詳しい検査から、簡単な検査までいろいろあります。なるべくお子さんの負担にならないような検査を選択するようにしています。

 また、抗体にはたくさんの種類がありますが、たくさん検査すればいいというわけではありません。検査キットで一度に24種類のIge抗体を検査できるセットがありますが、不必要な検査項目も多く、大変高額でお金の無駄です。このような検査を全ての患者さんに行っている医療機関もありますが、いかなるものかと疑問を持っています。「これが心配だ、気になる。」というような項目のチェックをしてから検査すればよいと思います。検査を希望されましたら一度受診してみて下さい。現症を診てご相談したいと思います。

2010年1月11日(月)
どうなる新型ワクチン?

 昨日、今日と二連休でしたので、少しノンビリ過ごしました。木曜日に「大部インフルエンザが下火になってきたので、土・日・休日の夜間診療所は、小児科医二人から一人に戻します。」と、医師会から連絡がありました。今月は9日と、24日が、お手伝いの日でしたが、それがなくなりましたので、少し気持ちが楽になりました。

 小児科外来は、年が明けてから、穏やかな日々が続いています。昨年の10月〜11月の新型インフルエンザの混乱がウソだったように静かです。季節性のインフルエンザも「そろそろ、そろそろ・・・。」と言われながら、なかなか出てきませんね。

 こうして落ち着いた状態が続くと、新型にしても季節性にしてもワクチンを接種しようという気持ちにならないかもしれないですね。罹ってない人から見ればいつ罹るかわからないわけだから、今のように流行していないうちに、サッサと接種しておけばいいですよ。回りで流行し始めてから慌てて接種しても、間に合わないという経験したことあるでしょ。

 ところで、新型ワクチンは、どのくらい備蓄されているんでしょう。最初は「足りない、足りない。」ということで、サッパリ納入されませんでしたけど、今の所、希望者ほぼ全員に接種できるくらいあります。再び、大きな流行にならなければ国産ワクチンだけでも間に合いそうです。おそらく、殆どの医療機関でそのように思っているんではないでしょうか。

 国産ワクチンは5.400万人分用意されました。さらに輸入ワクチンは2月に9.900万人分(1回接種の場合)供給される予定になっています。そうしますと、国産+輸入=1億5.300万人分にもなり、日本の人口を大きく上回ってしまいます。当初2回接種が必要とされていましたが、1回でも十分な効果が得られることが判明したため供給量が倍増したようです。

 既に1.500万人〜2.000万人が感染していると考えられ、このままでは、国産ワクチンだけで十分対処できそうです。となると輸入ワクチンが余る・・・?

 WHO(世界保健機関)は、ワクチンが、余っている国から、不足している国への寄付を進める方針を発表しました。これに対し、日本の厚労省は「ワクチンを出す予定はない。」としています。ただ、WHO関係者は「寄付の方法は各国の方針によるが、日本も傾向として『潜在的余剰国』と見られ、いずれ海外発注分などのワクチンの調整が必要になることは十分に考えられる」と語っています。

 しかし、寄付を勧めるとはどういう意味でしょう?まさか、無料で不足している国へ供給するわけではないでしょう。WHOの真意が測りかねますね。一国の経済・医療政策に口をはさむのはよくないと思いますよ。

 もし、ホントに国内で余ったら、輸入ワクチンにかけた費用は、無駄になってしまうんでしょうか。それなら、底値(?)でも良いから、不足している国に買い取ってもらいたいですね。

 輸入ワクチンにかかる費用は1.126億円だそうです。ワクチンを輸入する決定をした時は、どれだけの流行の規模になるか、どれだけの毒性があるのか、全くわからなかったわけですから、その時の方針としては間違っていなかったと思います。もし、新型の流行がもっと大きく、重症者が多ければ、当然国産ワクチンだけでは間に合わず、輸入ワクチンが必要だったわけですからね。今後は輸入ワクチンを、国内で消費できるのか、不足している国へ供給するのか、いろいろな選択肢を迫られそうです。

 もう一つ、先行き不透明なワクチンがあります。

 強毒性鳥インフルエンザ(H5N1型)の流行に備え、政府が備蓄してきたプレパンデミック(大流行前)ワクチン。覚えていますか?もう新型(豚)のことで、鳥のことは忘れていないかな。

 強毒性鳥インフルエンザは97年に香港で死者が出て以来、世界中で445人に感染。うち6割近い263人の死亡が確認されています。日本の政府も感染拡大を防ぐ行動計画を策定するなど対策を進め、06年度から毎年1.000万人分、計3.000万人分のワクチンを製造、備蓄しています。

 政府は昨年度から医師や公務員などに優先接種を検討していましたが、4月下旬以降、新型(豚:H1N1)が流行したため、プレパンデミックワクチン接種ができないまま、最初の年に製造した1.000万人分(約50億円相当)が昨年の夏から秋にかけて期限切れとなってしまいました。あと、2.000万人分備蓄されていますが、これもいずれ期限切れになりそうです。という事は、ここでも150億円の損失?

 なんか、税金が無駄使いされているようでイヤな気分ですが、悪いことばかりでもなかったようです。今回のワクチン騒動で国も国民も、ワクチンの必要性【予防できる病気は、積極的に予防する。】ということに、少し目覚めたようです。

 ご承知の通り、日本は、「ワクチン後進国」と言われています。諸外国が公費負担で定期接種しているワクチンの半分しか定期接種していません。予防できる病気を予防せず、病気になってから、高い医療費をかけて治療しています。

 「ワクチン先進国」のアメリカには、積極的に接種するため、日本にはない大きな特徴があります。
 例えば、
1.スケジュールをしっかり守るために発熱していても構わず打つ。
2.複数ワクチン同日接種が行われている。生後2か月の未熟児でも同じ日に6種類のワクチンを接種します
3.必要なワクチンを全て受けていないと、小学校に入学できません。

 厚労省が新たに定期接種化を検討するのは、水痘ワクチン・ヒブワクチン・乳幼児向け肺炎球菌ワクチン(※)の3種類です。せめてこのくらい公費負担で接種しなければ「先進国」とは言えません。新型ワクチンの混乱から、思いがけず、予防接種に対する考え方が1歩前進したように思います。それにしても、輸入ワクチン、プレパンデミック(大流行前)ワクチンどうなるんでしょうね。


(※)乳幼児向け肺炎球菌ワクチン(商品名:プレベナー)は、2009年9月、日本でも承認されました。細菌性髄膜炎をはじめとする子どもの重症な肺炎球菌感染症の予防に大きな効果があります。現在、世界95カ国で導入され、うち39カ国で定期接種となっております。
 日本での接種は今年の春頃からになりそうです。昨年末は新型インフルエンザの対応に追われ、肺炎球菌ワクチン紹介が遅れてしまいましたが、いずれ接種開始したいと思っています。できる限り早く定期接種に組み込んで頂きたいです。

2010年1月7日(木)
松の内

 今日で「松の内」も終わり、平日(?)に戻りますね。子どもの頃に「松の内」とは、「お飾りをつけている間」と教わりました。普通は1月1日〜7日までを「松の内」というんですね。でも、本来は小正月(こしょうがつ)の1月15日までを「松の内」と言うようです。

 ところで、「松の内」の意味知っていますか?「松の内」は新年にその年の歳神様を迎える道しるべの門松を飾っている期間を言うのだそうですよ。最近、あまり門松を見なくなり、ちょっと寂しいです。

 7日か、15日かはともかく、現代のようにせわしい時代では、15日までノンビリとお正月気分でいるわけにはいきませんね。やはり、「松の内」は7日までが現実的です。

 ちなみに、年賀状は15日までに配達されればいいのだそうです。でも、7日過ぎにもらった年賀状はどうもピンと来ないですよね。昨年出さなくて今年もらった人にはあわてて出しますね。そうして、今年は出すけど、今度は相手から帰ってくるのが7日頃なんて言うことも良くあります。なかなか年賀状の縁は切りがたいです。

 患者さん達からもたくさん年賀状をいただきました。どうもありがとうございます。転勤していった方からも、毎年、年賀状をいただいております。お子さん達の成長が目に見えるようでとてもうれしいですね。知らない土地へ行くといろいろ不安なことも多いと思いますけど、困ったことがあったらメール下さい。少しはお役に立てると思ってます。

 毎年のことですが、年が明けると小児科はヒマですね。学校も休みになって新型インフルエンザも殆ど診なくなりました。とはいえ、一日一人〜二人はいます。学校が始まるとまた少し流行しそうです。今のうちにワクチン接種しましょう。

 先月多くのお子さん達が1回目の新型インフルエンザワクチンを接種しました。今、そのお子さん達が2回目の接種に来院しています。正直言って、新型が下火になれば2回目を接種する人達は少なくなるんじゃないのかなナンテ思っていましたが、そんなことはないですね。みんなしっかり2回目を接種に来ています。いいことだと思います。

 過去の新型インフルエンザで有名なスペインインフルエンザは大きな流行が3回ありました。一番患者数が多かったのは1回目でしたが、重症者が多かったのは2回目です。1回目の流行の後、わずか3〜4ヶ月後に2回目の流行が来ました。

 今の新型も、もしかしたら今年の3〜4月頃にまた流行するかもしれませんね。春にインフルエンザ?ナンテ思うかもしれませんけど、現実に、昨年は4月に新型が発生しましたからね。まずは、ワクチン接種しましょう。「備えあれば憂いなし」です。

 5日から、新型ワクチンの接種は、中学生、高校生もできるようになりましたが、予備校生や浪人生には接種しないという自治体もあるようです。ひどい話だよね。岩手県はどうかわかりませんけど、私は予備校生や浪人生にも接種しますよ。どうぞ遠慮しないでいらして下さい。

 ところで、今シーズンはワクチン接種回数が多くて大変でした。季節性、新型それぞれ2回接種だと4回も接種しなければなりませんでした。来シーズンは季節性と新型が一緒になったワクチンができますから、1〜2回接種ですみます。
 ただ、季節性+新型は、季節性ワクチン(A香港+Aソ連+B型 )からAソ連を除いて、その代わり新型を入れる(A香港+A新型+B型)のワクチンになりそうです。詳しいことはまだわかりませんが、もともとワクチンの効果が薄いB型よりも、一番効果のあるAソ連を残した方がいいと思うんですけどもね・・・?

 年末から年始にかけて、赤ちゃんのゼイゼイ、ヒューヒューけっこう診ますよ。少し下火になったかと思っていましたけど、急性細気管支炎が、流行っているようです。インフルエンザと急性細気管支炎が一緒に流行することはあまりないので、今は急性細気管支炎に要注意です。
 
 今日も一人入院紹介しましたけど、急性細気管支炎は、アッという間に呼吸が苦しくなります。でも、ちょっと見た感じではわかりにくいですね。おそらく小児科以外の先生が見たらあまり重症に思わないかもしれません。赤ちゃんに多いですが、幼児でも見られます。傍で聞いていて呼吸が苦しいなと思ったら早めに小児科を受診しましょうね。

2010年1月1日(金)
明けまして おめでとうございます

 新年明けましておめでとうございます。たった一日違うだけで、何となく新鮮な気持ちになります。一年の計は元旦にありと言います。昨年を振り返って今年こそはと意気込むわけですね。

 今年の4月で開業14年目を迎えますが、それでもまだ、勤務医時代の方が長いです。自分が医者になった頃と比べると、医学の進歩はめざましいですね。ずいぶん変わったなと思うことがありますね。

 私が大学を卒業した頃に「医学の進歩」という医学雑誌がありました。主に最近のトピックスを取り上げて、医学生や初心者(?)にもわかりやすく説明してくれるとても良い雑誌でした。

 その中に、「将来は予防できる病気が増えてくるだろう。ガンでも予防可能になるだろう」という仮説が載っていました。簡単に言いますと、ある種のガンは、細胞の免疫異常によって発生する。→ 免疫異常を起こす一因として感染症がある。→ この感染症を防げばガンならない。→ 感染症に罹らないワクチンを作ればガンを防げる。というものでした。その頃は、そんなに簡単にガンが防げるわけないだろう。これは夢のまた夢だ。 と思っていました。

 ところが、本当にワクチンで予防できるガンがあることわかってきました。子宮頸ガンは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって発生することがわかり、このウイルスの感染を防ぐワクチンが完成しました。サーバリックスと言います。ワクチンで子宮頸ガンを防ぐことができるようになったんです。

 ところで、子宮頸ガンといっても小児科領域ではピンと来ないかもしれませんね。おばあさんがかかる病気?とんでもない!20〜30代で発症するんですよ。

 詳しい内容は、近々ホームページに掲載したり、院内に掲示するようにします。12月22日に発売になりましたが、ちょっと忙しい時期でしたので、まだ接種開始してません。1月中旬くらいからは開始しようと思っています。

 このワクチンはまだ、HPVに感染する前に接種する必要があります。HPVは、性交渉によって感染します。従って初交前に接種しなければなりません。

 だいたい、10才〜15才の初交前の女性(女の子)が対象になります。このことをどのように説明したらよいのか、ちょっと悩んでいます。産科の先生にも聞いたりしながら自然にお話しできればよいなと思っております。

 今年はこのワクチン:サーバリックスを、多くのお子さん(女の子だけですよ)に接種することを一つの目標にしたいと思います。新しい年の初めに「医学の進歩」のご紹介です。