どんな病気なの
普通の肺炎では、空気の通り道である気管支や、肺胞が傷害されるため、聴診器で効くとゼロゼロした痰が絡むような音が聞こえるのですが、マイコプラズは、気管支や肺胞の外部にある間質という組織で炎症を起こすため、ゼロゼロした音が出てこないのです。ただし、経過が長びくと、炎症が気管支や肺胞にも広がって、ゼロゼロした音が聞こえるようになります。
好発年令:幼児から成人まで幅広い年齢層でかかりますが、幼児では肺炎にまで進むことは少なく、風邪症状くらいで治ることが多いです。学童期、青年期によくみられます。
潜伏期間:2〜3週間と長いですので、周囲にマイコプラズマにかかった人がいたら、しばらくはご用心!
どんな症状なの
しつこい咳と頑固な発熱が特徴で、全身倦怠感見られますが、あまり重症になることはありません。また、聴診器で聞いただけではわかりませんので、診断に時間がかることもあります。
合併症は、どんなものがあるの
マイコプラズマは間質の肺炎ですが、普通の気管支炎や肺炎も合併することがあります。気管支喘息をおこすこともあります。そのほか、中耳炎、副鼻腔炎などもみられることがあります。時に、いろいろな発疹が見られることもあります。稀な合併症として、一時的ですが心臓に異常が見られることがありますが、短期間で治ります。
どうやって診断するの
症状の強い時(急性期)と、すっかり回復してから(回復期)の2回採血して、抗体の上昇の程度をみて診断しますが、症状の強い時に診断できなければ、あまり有用な検査ともいえません。
現在、イムノガード法という検査がよく行われていますが、やや不正確で、確定診断には不向きで、参考になる程度です。
欧米では、急性期に1回の採血でわかる方法が一般的に行われていますが、近々日本でも保険適応になる見込みです。
マイコプラズマ肺炎の胸部写真には、いくつかの特徴的なパターンがありますので、通常は経過と写真で診断されることが多いです。
よくあるパターンのご紹介。
はじめ高熱が出ることが多く、胸の音も悪くないので、風邪と言うことで通院しますが、なかなか熱が下がらず、どんどん咳もひどくなって再受診します。この時も胸の音は、悪くないことが多いのですが、マイコプラズマ肺炎を疑って胸部写真を撮ると、肺炎と診断がつく。ということがよくあります。
★.この経過を少し詳しく検証しますと
通常は風邪で抗生剤を処方しませんが、一般状態が悪そうな時は処方することもあります。その際、最初に使われる抗生剤は、ペニシリン系や、セフェム系が多く、これらの薬はマイコプラズマには効きません。
熱は下がらず、咳もひどくなって再受診した時、ペニシリン系や、セフェム系が効かないので、もしやと思って胸部写真を撮ると、バッチリ肺炎?!。
そこで、マイコプラズマに効く抗生剤(マクロライド系)が処方されて、2〜3日で熱が下がりますが、病気の性格上、しばらく咳は続きます。
★.参考までによく使われる抗生剤を覚えておきましょう
@.マイコプラズマに効かない抗生剤
ペニシリン系:サワシリン、パセトシン、ワイドシリン、クラバモックス等
セフェム系:セフゾン、トミロン、バナン、フロモックス、メイアクト、等
A.マイコプラズマに効く抗生剤
マクロライド系:エリスロマイシン、リカマイシン、クラリス、クラリシッド、ジスロマック等
いつから学校へ行けるの
マイコプラズマは、肺炎という名が付いていますが、あまり重症となることは少なく、だいたい、外来治療で治ります。しかし、他の肺炎などを合併したりすると、少し重症になり入院することもあります。
高熱が続く時はもちろんお休みしますが、解熱して1〜2日たてば登校して良いと思います。ただし、しつこい咳が続きますので、激しい運動は少し控えた方がよいと思います。
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