乾燥肌のためのスキンケア

 スキンケアとは  皮膚を清潔にし、外部の刺激から保護し、皮膚内に十分な水分を保つ事(保湿)です。特別な薬を使うわけではありません。難しいことではありませんが、毎日続けることが大事です。


 乾燥肌(ドライスキン)とは? バリアー障害とは?

 乾燥肌(ドライスキン)とは簡単にいえば、皮膚がカサカサしている状態です。皮膚内の水分が、少なく、細胞どうしの隙間が広くなっているために起きる現象です。これは皮膚内の水分を保つ物質(皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質、等の保湿因子)が不足しているため、皮膚の表面が隙間だらけになっているからです。

 下図でみられるように、乾燥肌では外からの刺激(細菌やホコリなど)が入りやすくなっています。このように皮膚表面の防御機構が壊された状態を皮膚のバリアー障害といいます。

健康な皮膚では:
 皮膚はうすい表皮とその下の真皮からできています。表皮の表面には丈夫なタンパク質でできた角層(角質層)があり、天然保湿因子角質細胞間脂質のような水分を保つ物質や、皮膚の表面を保護する皮脂膜で保護されています。
 この角層と皮脂膜が体の水分の蒸発を防ぎ、外部の刺激を阻止するバリアーの働きをして体を守っています。

乾燥肌(ドライスキン)では:
 皮膚の表面を保護する皮脂膜がなく、角層に含まれいる天然保湿因子、角質細胞間脂質といった物質も不足し、カサカサした状態です。こうなると皮膚から水分が蒸発しやすくなって、ますます乾燥します。
 また、バリアー機能が弱まって、角層の隙間から、細菌やホコリなどの外からの刺激が内部まで侵入し、トラブルを起こすようになります。



 保湿剤の役目

 保湿剤は、皮膚の水分が逃げないように“ふた”をしたり、皮膚に水分を与えたりする役割を持っています。健康な皮膚を守るため、季節に関係なく毎日塗ってスキンケアをしましょう。


 上手な保湿剤の使い方

□.皮膚をきれいにしてから塗りましょう。汚れも一緒にすり込んでは意味がないです。
□.学校や幼稚園で、どろんこ遊びをした後やプールに入った後には、必ず保湿剤を塗りましょう。人前で塗るのをいやがる場合は保健室を利用しましょう。
□.保湿効果は長いものでもせいぜい数時間、従って1日3〜4回ぬる必要があります。
  (どんなに良い保湿剤でもぬらなければ効きません。)
□.保湿効果の良いものは、刺激も強くなり、皮膚炎のひどいときには適しません。逆に、刺激の少ないものは、保湿効果も弱く、もの足りない感じがすることがあります。従っ て、皮膚の状態に応じて保湿剤を選ぶことが大切です。
□.夏と冬とでは、湿度が違うから、季節にあった保湿剤を選ぶこと。夏は細菌感染に気をつけて清潔にしましょう。冬は特に、乾燥に注意しましょう。
□.入浴後5分以内に塗りましょう。皮膚に水分が多く含まれているから、保湿効果が上がります。
□.霧吹きで皮膚に水分を与えてから、塗るのも効果的です。
□.広い範囲に塗るときは、手のひら全体で塗りましょう。(指先だけで塗らない。)
□.強くすり込まない、うっすらと光る程度で十分。皮膚にティッシュがくっつく程度
□.保湿効果が不十分なときは、塗る回数が不足してないか、今の皮膚の状態にあって いるか、炎症が強くなっていないか(赤みやかゆみには、保湿剤だけではあまり効果がありません。)を、チェックする。
□.しわに沿ってまんべんなく塗ります。皮膚のしわは、概ね体軸に対して横方向に走っています。できるだけしわに沿って保湿剤を塗りのばして下さい。例えば、腕の場合、縦方向にぬるのではなく、腕をラセン状に巻くように塗ります。

 保湿剤の塗り方←保湿剤の塗り方について、マルホ製薬(スキンケア医療品のメーカー)が作成したビデオにリンクしてありますので、ご覧になって下さい。


 上手な入浴のしかた。

□.入浴やシャワーは毎日行いましょう。入浴は皮膚の水分補給になりますが、脱脂作用もあるため、長湯しないようにしましょう。
□.浴槽の温度は熱くしないこと、熱い湯はかゆみを増します。風呂場を寒いと感じるときは、浴槽の温度を上げずに、脱衣場に暖房を入れましょう。
□.石けんは普通のものでも十分、強くこすらないように(ナイロンタオルなどは使わない)、そして十分に洗い流すこと。残留石けんは刺激となり皮膚炎を悪化させます。
□.シャンプーの使いすぎに注意、シャンプーで洗うのは2〜3日に1回で十分、普段は、お湯洗いだけで汚れは取れます。
□.朝シャンはすすぎが不十分になりやすいので、行わないようにしましょう。
□.髪が長いと、うなじのすすぎが不十分になりがちなので、髪は短くするかアップにしましょう。(特に女の子)
□.乳幼児では、脇の下股間、をよく洗う。
□.生後2ヶ月くらいになったら、乾燥肌の強い赤ちゃんには「ベビー石けん」は刺激が強いことがあるので要注意。
□.入浴後は、乾燥肌でも十分に水分を含んでいるから、早めに保湿剤を塗る。(入浴後5〜10分以内に塗ると効果的)
□.入浴剤が刺激になって皮膚炎が悪化することがあります。例えば体を温める成分では、かゆみを増すことがあるので注意しましょう。
□.自動洗濯機では、すすぎの時間が短いため、残留洗剤が衣類に付着しやすいので、すすぎの時間を長めにしましょう。
□.石けんや、シャンプーに含まれている界面活性剤について、その刺激性を強い順番に並べてみました。下へゆくほどより安全性が高いと言えます。表示成分をよくみて使用して下さい。

刺激性            界面活性剤
 アルキルベンゼンスルフォン散(ABS)
 直鎖アルキルベンゼンスルフォン散(LAS)
 アルカノールアミド
 ポリオキシラウリルエーテル硫酸塩 (PELS)(ヤシ油由来)


 保湿剤の使いわけ方

 保湿剤は、その時の皮膚の状態にあったものを選ぶことが大切です。アトピーだから、乾燥肌だからといって、いつも同じ保湿剤ということはありません。 一般に、保湿効果の強いものは皮膚への刺激感も強まり、逆に、皮膚への刺激が弱いものは保湿効果が弱い傾向がありますので、皮膚の状態をよくみて保湿剤を選択しましょう。

(1).皮膚の炎症が強いとき、〜皮膚が赤く、かゆみが強いときです。
@.炎症とは、ちょうど火事で火が燃えているようなものです。すぐ火を消す必要がありますので、保湿剤だけでなく、抗炎症作用のあるステロイド外用剤などを使用します。
A.保湿剤:炎症の強いときの皮膚は大変敏感になっています。こういうときは、保湿効果は少し弱くても皮膚への刺激の少ない保湿剤を使用します。
ワセリン(プロペト)サトウザルベ亜鉛華軟膏など。
 これらの保湿剤は、皮膚への刺激が弱いため、大体どういう状態の皮膚でも無難に使用できます。特にプロペトは眼科用のワセリンで、目に入っても何ともありません。しかし、保湿効果は弱いため、炎症がおさまったあとのガサガサした乾燥肌では、少し物足りない感じがすることもあります。

(2).炎症がおさまったら、〜皮膚の赤み、かゆみが、少なくなって、ガサガサした感じが残っている状態
@.炎症がおさまったら、もうステロイド外用剤は終了します。
A.保湿剤:皮膚が敏感な方は、引き続き今まで使用してきたワセリンや、サトウザルベが適しています。これらの保湿剤で少しもの足りないようなときは、(ガサガサがおさまらないとき)保湿効果の高いものに変更します。
ヒルドイド・ソフト尿素軟膏、など。
 
・ヒルドイド・ソフト:血行を改善し、皮脂を補う作用があり、優れた保湿剤です。しかし、やや刺激感があるため、ジュクジュクした皮膚には不適です。
・尿素軟膏:角質融解作用のため、刺激感が強く、足底のような分厚い皮膚にはよいですが、軟らかい皮膚には不適です。
・夏はさっぱりしたクリームや、ローションが、冬はしっとりした軟膏が適しています。