風疹

 予防接種は、2回必要です。

 妊婦さんは要注意

 風疹ウイルスが、鼻やのどから体内に入り込んでおこる病気です。春先から夏にかけてよく流行します。以前は、数年おきに幼稚園や小学校で流行しましたが、最近は思春期や成人でかかる割合が増えてきました。一時おさまってきたかに見えた風疹ですが、また、流行しそうです。

 妊婦さんが感染すると、生まれてくる赤ちゃんに障害の見られる先天性風疹症候群(後述)も最近目立つようになり、風疹は要注意の病気です。


◆ どんな症状が見られるの

 2〜3週間(約16日)の潜伏期間の後、発熱と発疹が見られます。発熱は全く見られないこともありますが、3日間くらいでる事もあり、“3日はしか”と、いわれることもあります。本当のはしか(麻疹)とは全く違いますので混同しないように。

 発疹は小さく、ピンク色で、顔から始まり、体や手足に広がります。頭や耳の後ろのリンパ節が腫れて少し痛みが見られたり、目が充血して赤くなることがあります。


合併症

 ・関節が腫れることもありますが、小児や男性には少なく、成人女性に時々見られます。

 ・血小板減少性紫斑病といって、血小板(血液中の出血を防ぐ成分)が減少し出血しやすくなることがあります。(3.000人に1人くらい)

 ・風疹脳炎が見られることがあります。(6.000人に1人くらいで稀です)


どんなことに注意するの

 特効薬はありませんが、安静にしていれば数日で回復します。妊婦さんがかかると生まれてくる赤ちゃんに異常が見られることがありますので、妊婦さんには近づかないようにしましょう。(先天性風疹症候群:後述)

 風疹はあまり重症化しませんが、3日以上熱が続いたり、元気がない時は、早めにもう一度受診しましょう。


◆ 先天性風疹症候群とはどんな病気なの

 妊娠初期に妊婦さんが風疹にかかると生まれてくる赤ちゃんに障害が見られることがあります。妊娠週数が早いほど、障害の率が高く、症状も重なります。

 白内障は妊娠の2ヶ月まで、心臓の異常は3ヶ月まで、難聴は5ヶ月までの感染でおこるとされています。これらの障害は、あらかじめ風疹ワクチンを接種していれば、防ぐことができますので、生まれてくる赤ちゃんのためにも風疹ワクチンは大切です。


◆ ワクチン接種回数は、2回

 風疹ワクチンを接種していれば風疹にかからないはずですが、接種していてもかかることがあります。麻疹同様、風疹ワクチンも2回接種が必要です。現在、麻疹と風疹が一緒になったワクチンが2回接種されています。(1回目:1才になったらすぐ。2回目:小学校入学1年前。)


◆ 風疹抗体価

 風疹の免疫は、主にHI法で測定します。抗体がたくさんできていれば感染しませんが、少なければ感染のおそれがあります。HI法の抗体値は、8倍、16倍、32倍・・・というように、8の倍数で示します。一般に8倍未満を陰性(免疫なし)とします。8倍、16倍は免疫が少しあるが不十分。32〜128倍は適度な免疫がある。256倍以上は最近風疹に感染した可能性も否定できない。と評価します。これは一定の目安です、また、現在十分な免疫があるとしても、今後免疫が下がっていく場合もありますので、将来また検査が必要になることもあります。

HI抗体価 8倍未満 陰性(免疫なし)。
HI抗体価 8倍、16倍 免疫が少しあるが不十分。
HI抗体価 32〜128倍 適度な免疫がある。
HI抗体価 256倍以上 最近風疹に感染した可能性も否定できない。


風疹の診断は難しい?

 麻疹や水痘は、見ればだいたいわかりますが、風疹は目で見ただけではわかりません。風疹の発疹と似た発疹は他のウイルスでもよくみられます。

 安易に風疹と診断されると、その人は、ワクチンを接種しなくなるかもしれず、確実に診断する必要があります。風疹を診断するには感染後に免疫を調べることが大切です。

 いつから幼稚園、学校に行けるの

 熱が下がり、発疹が全て消えたら、登園、登校できます。