ひきつけ(熱性けいれん)をおこしたら
その時困らないように

 何回も起こすときは、予防しましょう。

急な高熱に注意!!

 小さいお子さんは、急に高熱がでたときに、ひきつけを起こすことがあります。「熱性けいれん」といって、通常は心配のないものですが、一度ひきつけを起こしたお子さんの半数近くは、また起こすことがありますので、次のことを知っておいて下さい


 ◆ ひきつけた時は、どうしましょう。

@.まず、あわてないようにしましょう。
 普通のひきつけは、数分間で止まります。重症になることは、まずありません。

A.特別な処置は不要です。
 舌を噛むことはありませんので、口の中に指や箸を入れないで下さい。またけいれんを止めようとして、体を抑えたりしないようにしましょう。

B.横向きに寝かせましょう(できれば右下)。
 横向きに寝かせ、ベルトやボタンをはずして衣服をゆるめましょう。

C.吐きそうなときは注意。
 吐きそうになったら、横向きの状態のままにして、吐いたものがのどに詰まらないようにして下さい。(仰向けや、うつ伏せにしないように)

D.けいれんの様子を見て下さい。
 体温を測り、時計を見て何分続いているか確認して下さい。また、けいれんの様子(目の位置、左右対称的なひきつけか、体の一部だけのひきつけかなど)を、よく見て、あとで主治医に伝えられるようにして下さい。

 けいれんが止まったら、主治医に連絡して下さい。(夜間なら、夜間診療所などへ連絡して下さい。)お話を伺った上で、適切な指示をします。


 以上が一般的な対応です。殆どの熱性けいれんは心配ありませんが、少し心配な時もあります。

 ◆ 次のような状態の時は、病院を受診しましょう。

@.5分以上続くとき

A.1日に2回以上起こすとき。

B.熱が高くないとき(38度未満)

C.全身がひきつけるのではなく、体の一部だけが目立つひきつけのとき。

D.ひきつけた後に、意識が戻らなかったり、手足に麻痺が見られるとき。

E.生後6ヶ月未満の場合。
 


 ◆ 予防はできるの

 ひきつけ(熱性けいれん)を起こす年令は、6ヶ月〜6才くらいまでです。ひきつけを起こしたお子さんのうち、約30%が2回以上起こします。1年間起こさなければ70%のお子さんはおこしません。また、2年間起こさなければ90%のお子さんはおこしません。

 一般的に、ひきつけは「急に熱が上がった時、発熱後1〜2日の間」に起きます。

 ひきつけを予防する坐薬(ジアゼパム:商品名 ダイアップ)があります。ひきつけは急に熱が上がった時に起きますので、熱の上がりはじめ37.5度くらいで使います。8時間後に熱があればもう1回使います(熱がなくとも予防で使ってかまいません)。

 ダイアップと解熱剤を一緒に使うとお互いの働きを弱めあって効果が落ちます。「熱の上がる前にダイアップ、(30分以上おいて) 熱が上がるだけ上がったら解熱剤」です。

 子どもはよく発熱しますので、そのたびにダイアップを使用するのは大変です。ダイアップはケース・バイ・ケースで使用します。通常はひきつけが1回だけなら、特に予防はしませんが、頻回に起こすようならダイアップ坐薬を使用してもよいと思います。

 抗ヒスタミン剤(鼻水やかゆみで使用される薬)や、テオフィリン(喘息発作で使用される薬)は、ひきつけを起こした場合、長引かせる可能性がありますので、ひきつけを起こしやすいお子さんは、発熱が見られたらこのようなお薬は一時中止した方が無難です。

・注意点:1回の発熱につき2回の使用で十分です。使いすぎると眠気やふらつきが見られるようになります。 尚、熱が上がるのが心配だからといって解熱剤をいくら使ってもひきつけを防ぐことはできませんので、解熱剤の使用は最小限にして下さい。